二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 悪ノ王国 ( No.15 )
- 日時: 2017/05/04 15:55
- 名前: 山田 花 (ID: WGarmeYs)
歌の悪ノ娘シリーズを小説にした物です。
リンの視点から書かれています
〜悪ノ王国〜
〜第六話〜
〜悪ノ娘編〜
私は、八歳の時にレンやお父さんやお母さんと引き離されて王宮に連れて来られた。
王宮に連れて来られた理由は、病気でなくなった本物の王女様の変わりに私を王女にするためだ。
王宮に連れて来られてからは、勉強や馬術やダンスなどの王族に必要なスキルを学ばされた。
私が王女様にさせられても国を動かすのは、大臣がしていた。
大臣は、私の名前を使って国民から税金を搾り取って私腹を増やしたり好き勝手をしていた。
私が王女様だからと言っても権力も何もないただのお飾り同然の王女様だった。
私に許される事と言ったらほんの少しの我儘だけだった。
私は、それが嫌で気分をまぎらす為に一人で街に出かけた。
街の様子は、少し寂れていた。
「これってやっぱり大臣が税金を取りすぎてるって事だよね。
私に何かできないのかな……?」
私は、考え事をしていたら気が付くと裏通りを歩いていた。
「いけない表通りに戻らないと……」
私は、慌てて来た道を戻ろうとした。
でも17歳くらいの痩せ細った男性が私の前に現れてとおせんぼうをした。
「お姉ちゃん、俺と良い事をしないか?」
男性は、にやにやしながら私の肩を掴もうとした。
「そんな事は、しません。
私に構わないでください!!」
私は、男性の手を振り払って後ろを振り向いて逃げようとした。
「お姉ちゃん、何処に行くつもりだい?」
逃げようとする19歳くらいの太った男性が私の前に現れると私の腕を掴んだ。
「何するの!?
私を離しなさい!!」
私は、大声で叫ぶと太った男性を睨んだ。
「そうじゃけにするなよ」
痩せ細った男性は、にやにやしながら私に近づいてきた。
「警備兵、こちらです、早く来てください!!」
遠くから男性が警備兵を呼ぶ声が聞こえてきた。
「やべえ、警備兵だ、行くぞ!!」
太った男性は、慌てて逃げるように走って去って行った。
「待てよ、俺を置いて行くなよ!!」
痩せ細った男性も太った男性の後を追いかけて走って逃げて行った。
逃げて行く二人の男性を呆然と見つめた。
「危ない所だったね。
怪我とかしてない?」
声がした方を向くと黒色の髪で年は21歳くらいの男性がこちらの方に近づいてきた。
「余計な事をしないでよ。
私、一人だけでもどうにかできたんだから」
他人に弱みを見せたくなくて強がってみせた。
「それは、悪かったね。
でもここに居たらまたへんな輩に襲われるかもしれないから僕について来てくれないかな?」
「う、うん……」
私が男性に失礼の発言をしたのに男性は、それを気にしないで逆に優しく接してくれてそれがカイトに似ていて戸惑いながら返事を返した。
男性は、私を表通りまで連れてきてくれた。
「ここまで来たら大丈夫だと思うよ」
男性は、優しそうにやんわり微笑みながら私の方を向いた。
私は、男性の笑顔にしばらく見とれてしまった。
「どうかしたの、お嬢ちゃん?」
男性は、私の視線に気が付いて不思議そうに首を傾げた。
「な、何でもないよ……」
私は、男性の視線に恥ずかしくなり男性から視線を逸らした。
「それなら良いけれども、でももうあんな所に一人に行くんじゃないよ」
男性は、私の頭を撫でると直ぐに去って行こうとした。
「ま、待って。
私の名前は、リン。
良かったらあなたの名前も教えてくれない?」
私は、去って行こうとする男性を呼び止めた。
「僕の名前は、キリト。
またね、リンちゃん」
キリトは、私の方を振り向くとやんわり微笑みながら私の方に右手を振ると去って行った。
「キリトってカイトに少し似ていたな……」
キリトが去って行くのを見送ると小さな声で呟いた。
私は、またキリトに会いたくて街に出かけた。
キリトを見つける事が出来なかった。
一か月たってやっと公園で本を読んでるキリトを見つける事が出来た。
「キリト、何を読んでいるの?」
私は、後ろからキリトに話しかけた。
「リンちゃん、久しぶりだね。
本のタイトルは、大罪って言って一人の人間の自分の犯した罪に悩んで苦悩を書いた本だよ」
キリトは、本から顔をあげると私の方を向いて読んでる本を私に見せた。
「聞いた事がない本……」
私は、小声で呟いた。
「それでリンちゃんは、こんなところでどうしたの?」
キリトは、本をベンチに置くと少しだけ首を傾げながら私を見つめた。
「それは、その……そう気分転換の散歩よ。
私が散歩したらいけないと言うの?」
私は、腕を組むと横を向いて憎まれ口を述べた。
キリトを探していたのに素直に会いたかったって言えなくてそんな素直になれない自分に嫌気がさして深くため息を吐いた。
「リンちゃんが散歩したら駄目なわけないよ」
キリトは軽く首を振ると気分を取り直したように小さく咳をすると私を優しく見つめた。
「それで僕に何かようがあったんじゃないのかな?」
「えっ、ど、どうしてそう思うの?」
キリトに思って事を言いあてられると戸惑いながら述べた。
「リンちゃんが何か言いたそうにしていたから。
もしかして僕の勘違いだったのかな?」
キリトは、自分の口元を押さえて私の心を覗き込むように私を見つめた。
「うんん、勘違いじゃないよ……
私は、もう一度キリトに会いたくて探したの」
キリトに見つめられてると私の隠し事を見透かされているようだった。
だからこれ以上本当の事を隠すのは、無理だと思い素直にキリトを探していた事を伝えると首を軽く横に振った。
「やっぱりそうだったんだね。
それでリンちゃんは、僕にどんな用事なのかな?」
キリトは、しゃがんで優しく微笑み私の顔を覗き込みながら質問をした。
「それは、その……」
私は、ここで話をしていいか解らずに戸惑いながら話しを濁らした。
「……ここで話ができない事なんだね。
それなら僕の家に来ないかな?
僕は、一人暮らしだから誰にも話を聞かれる心配は、ないはずだよ」
「キリトの家……?
確かにそれなら誰にも聞かれないよね……」
私は、右手で口元を押さえて俯きながら考え込み小さい声で呟いた。
「それならキリトの家にお邪魔させてもらうわ ね」
私は、顔をあげるとキリトを見つめながら述べた。
「構わないよ。
早速僕の家に行こう」
私は、キリトに連れられてキリトの家に向かった。
キリトの家は、街の端っこにあった。
そしてキリトの家は、茶色の屋根で白い壁の一階建ての建物だった。
「ここがキリトの家なんだね……」
私は、キリトの家を見上げながら述べた。
「何にもない所だけれども家にあがってよ」
キリトは、家の扉を開けると私の方を向いた。
「ありがとう、キリト、お邪魔するね」
私は、キリトの家の中に入るとキリトも私の後を追いかけるように家の中に入った。
私達は、家の中に入るとリビングに向かった。