二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: EVIDENCEーmonster hunter:B ( No.1 )
日時: 2016/07/21 21:34
名前: 年中漢 (ID: T0oUPdRb)

僕はハンターが嫌いだった。

父さん?何処に行くの?
こう言うと、決まって父は
「丘の上。お前もそのうち見ることになるさ。」
と言う。

酷いよ。父さんは何で誤魔化すの?父さんがハンターじゃなければ今頃こうはならなかったよ。

少年…スルガは指を指す。

そこにはボロボロになった母が横たわっていた。

「それも近いうち原因を探すからさ、これを母さんに渡してやってくれ。」
そう言って父は青い小さな果実を渡す。

そんな…しってるよ。僕は聞いたんだ。父さんみたいなハンターがその病気を持って来たんだって。

そんなことを言った。言わなければ良かった。父は残念そうな顔で
「宜しく頼むよ。スルガ、またな。」
と言って出かけて行ってしまった。

それが父の最期の言葉だった。

父の遺体は見つからなかったそうだ。
僕は怨んだ。父さんを殺した犯人を見つけたかった。犯人はほぼ決まっている。

モンスターだ。

そして十年後、スルガは、あの、嫌いだったハンターになっていた。

十七歳である。

Re: EVIDENCEーmonster hunter:B ( No.2 )
日時: 2016/07/22 08:57
名前: 年中漢 (ID: OLpT7hrD)

砂漠の街、バルバレ。
砂上船に乗って多くの人が訪れる。

スルガもその一人だ。

デルクスが走る。この辺には大きな古龍も出現するらしい。
(…この古龍、《ダレンモーラン》の襲来時、大きなイベントになる…?本当だろうか…)

パンフレットを見ながらそう思う。
古龍は歩く災厄とも呼ばれる様な恐ろしい存在なのだ。イベントなんて考えられない。

港に着く。港から見えるのは、大海原ではなく、大砂漠だ。砂の上に舟を浮かべる。それがこの街の常識だ。

家を探す。スルガはこの街に引っ越してきたのだ。

あった。案外、港の近くにある。

一見、只のテントに見えなくも無いが、実はかなり強度の高い造りになっている。

「古龍に耐える為だろうか…いいな」
スルガはふと呟く。

彼は防具に着替えた。ランポスSシリーズ。攻撃力の強化などが出来る防具だ。

武器は太刀のシャルクルトゥラ。ケチャワチャから採れる素材で作る。水属性。

着替えた理由はクエストに早速行く為だ。

でないと、金欠で飢え死ぬ。

(3500ゼニー…とほほ…)
財布を見る。

正直言って、この武器は強化するのが高かった。そう思いながら集会所に向かった。

Re: EVIDENCEーmonster hunter: ( No.3 )
日時: 2016/07/22 09:18
名前: 年中漢 (ID: OLpT7hrD)

「おお〜君がここに新しく引っ越してきたスルガ君かね?よろしく」
話しかけたのはギルドマスターだ。この集会所の一切の責任者である。
「あ、はい、そうですけど…」
スルガは少し照れながら答える。

「早速だが、君当てに面白い依頼があるのじゃが、見てみるかの?」
ギルドマスターが口を開く。

「はぁ、面白い依頼ですか…」

「リオレイア亜種の狩猟依頼じゃ。」

「ああ、なるほど。面白いと言うより怖いですね。マスター。」
スルガは少しびっくりした。自分はもうこんなレベルまで来たのか…

引っ越す前、スルガは自分の村でリオレイアと言うモンスターを狩った事がある。
飛竜種と呼ばれる、モンスターの中でも強大な種類に属し、体色は緑色である。口腔内からの火炎と尻尾からの毒には苦戦した。
亜種だとどう違うのかは分からない。噂で名前を少し聞いただけだ。情報は少ないがとりあえず解毒薬は持って行こう。
スルガはそう思う。

「あ…じゃあ、この依頼を受けます。」
スルガはリオレイア亜種の依頼表を指差す。
「良し、その意気じゃ!!」
そう言ってギルドマスターが笑う。


そして、受付嬢が依頼表にハンコを押そうとした時、

「ちょっと待って待て待てぇーーーー!!!」

隣から大声が聞こえた。

Re: EVIDENCEーmonster hunter:B ( No.4 )
日時: 2016/07/25 09:27
名前: 年中漢 (ID: w32H.V4h)

「え…?」
流石に驚く。

「リオレイア亜種だろっ?!俺も狩りたいんだ。一緒に連れてってくれ!!頼む!」

「おお…あーうんいいよ。」
スルガは不審がったが、その大声を上げた青年も一緒に連れて行くことにした。

目的地までの荷車の上…

「俺の名前はヴァルハ。この依頼に同時参加した理由は新しく大剣を作りたいからだ。よろしく!」

「はぁ…そうなんですか…」

大声の青年…ヴァルハのテンションにはどうも乗れない。

「なぁ、俺が自己紹介したのにお前はだんまりかよ。何か言ってくれよ〜。」
ヴァルハが呼びかける。

「あ、ええと…僕はスルガ。よろしく。」

「何だ、言えるんじゃねぇか!ハハッ、挨拶は同時狩猟には大事だぜ。」
…言えるさ。スルガはそう思う。
しかし、彼の言うことは的を得ている。連携を決めるにはコミュニケーションが何より大事だ。

ヴァルハの背負う武器はフルミナントブレイド。
防具は暁丸シリーズ。
大剣使いだ。

そろそろ近づいてきた。
狩場、【地底洞窟】

荷車からも見える。地面に開いた大きな穴。この下に大きな洞窟が続いている。段差が多く、全体的に暗いのが特徴だ。

「近づいてきたな。」
ヴァルハも穴を見る。地獄の洞穴の様だ。

「ヴァルハはリオレイア亜種について何か知っている?」
スルガが聴く。タメ口っぽいのは、ヴァルハと奇跡的に同年代だからだ。

「知るかよ。見つけたら斬るだけだ。ハハッ。」
_______乾笑い。

スルガは不安になってきた。

Re: EVIDENCEーmonster hunter: ( No.5 )
日時: 2016/07/26 08:33
名前: 年中漢 (ID: XnbZDj7O)

アイテムボックスから、支給品と呼ばれるギルドから貰えるアイテムを取る。

その隣には、月も入ってしまうのではという様な大きな穴がある。

「タリーな。奥の8番エリアにいるぜ。」
ヴァルハは千里眼の薬を使い、リオレイア亜種の居場所を見つけ出している。

「分かった。」
そう言ってスルガは穴の底に飛び降りた。

ハンターは高い場所から落ちても大丈夫なように訓練されている。しかし、それでもこの高さの穴…崖は流石のスルガ達も足が痺れる。

「これをあともう一回か…」
ヴァルハは怠そうな顔をする。まあ、この8番エリアと呼ばれる場所はこの狩場でも2番目に深い場所として知られる。

この狩場は崖も多い。深ければ深いほど崖も多くなる。仕方無いことだ。

そして2番エリアから8番エリアにジャンプした。膝が砕けそうだ。


「…いた。」
スルガが呟く。それに合わせヴァルハも目をエリアの真ん中に佇む生物に合わす。

『グルウウゥォオオオオ…』

リオレイア亜種だ。暇なのか、何か考え事をしているのか、呻く。

体色は鮮やかな桜色。暗い洞窟内でも光ってる様に目立つ。小さい頭、長い尻尾、そこに付いた大きな棘、そして畳まれた翼と強靭な脚。体色以外はリオレイア通常種と変わらない。

「行くか?お前先に突っ込んでくれ。俺は先に尻尾を斬る。」
ヴァルハは言う。彼の言うことはとても的を得ている。彼は尻尾を切って尻尾の先から出る毒を封じようとしている。

「うん、分かった。頼むよ。」
スルガが言う。

「おう、任せろ!!」


彼らの戦いが今、始まる。

Re: EVIDENCEーmonster hunter: ( No.6 )
日時: 2016/07/25 20:31
名前: 年中漢 (ID: w4lZuq26)

「ふっ!」
スルガがリオレイア亜種にペイントボールをぶつける。

リオレイア亜種が気付く。

『グルゥギャウオォォォオオオッッッ!!』
咆哮。腰が引ける程の大音量。動きがストップするが、すぐに回復し、リオレイア亜種に斬り掛かる。

縦切り、突き、切り上がり、滑らかな太刀の動きがリオレイア亜種の鱗を裂き斬る様に切り裂いていく。

そして、一瞬、リオレイア亜種が噛みつきに来た刹那に、懐に潜り、気刃切り。

振り回す様で実は繊細な動きが赤いオーラを出しながら切り回す。

リオレイア亜種が怯む。
そして、白いオーラを刀が纏う。太刀がオーラを纏うと攻撃力が上がるのだ。

リオレイア亜種はさらに後ろにいる殺気に気付き、尻尾を振りながら振り向く。

ヴァルハだ。

「はよ逝けよッ!ォオラァ!!」

ヴァルハが大剣を、振り向いた頭に叩き込む。溜め3段階の最大の攻撃力がリオレイア亜種の頭に入る。

「チッ、尻尾じゃないのが残念か…ん?」

その時、リオレイア亜種が何か溜めている様に見えた。エネルギーがその中に集まる様に見える。
こいつはヤバイ。
ヴァルハは思う。

スルガはまだ太刀を振り回している。

マズイ!!

「早く引けよっ!スルガァァァァッッッ!」

「え??!」

「こいつはマズいぞォォォォッッ!!」

リオレイア亜種が、
力を込め、
殺気を込め、
全身を力強く、
四方八方に回転させた。

そこには美しさも感じられる。まるで死の桜。

スルガは一瞬そう思い、そして、

体が消え入りそうな感覚と共に、

吹き飛ばされた。



Re: EVIDENCEーmonster hunter: ( No.7 )
日時: 2016/07/25 21:54
名前: 年中漢 (ID: w4lZuq26)

気付いたら、そこはベースキャンプだった。先ほどのアイテムボックスが見える。

「ん…あ…ど ういうこと…?」
スルガはヴァルハの顔を見て、聞く。

「お前はリオレイア亜種の尻尾に振り回され、毒の棘をモロに脇腹にめり込ませて、そしてそのまま毒に侵され…力尽きた。糞ッ!【サマーソルト】の動きが通常種と違うとは…知らなかった!!」

サマーソルトとは、リオレイアが縦に一回転して尻尾を振り回す攻撃だ。

ああ、そうだ。思い出した。
スルガの脳裏。

一方向にしか行かないと思ったリオレイア亜種の尻尾を避けようと横に移動したら、斜め上から尻尾が襲い、そのまま吹き飛ばされた。

脇腹に包帯が施されている気がする。

「この地域のアイルーがやったんだ。ここに運んだのも、やつらだ。」
ヴァルハが言う。

アイルーには、進んでハンターを助ける者もいる。

「もう止めるか?それともまだやるか?」
ヴァルハが聞く。

答えは一つだ。ハンターなら誰もが選ぶ。絶対唯一の選択肢。



「…止めてたまるか。」

Re: EVIDENCEーmonster hunter:B ( No.8 )
日時: 2016/07/28 21:16
名前: 年中漢 (ID: w32H.V4h)

_______9番エリア…リオレイア亜種がそこにいる。

6時間後。

もうリオレイアの翼爪、頭殻が割れている。
あの後、かなり猛闘した。どちらも大きく消耗している。回復薬も底を尽きている。

『ゴォォオオオオ!!』

大火炎ブレス。スルガはそれを避け、気刃切りをさらに叩き込む。

太刀の良い点は、動きが早く、回避がしやすいことだ。

良い感覚だ。死ぬかも知れない。その雰囲気が、さらにアドレナリンを放出させ、5つの感覚を研ぎ澄ませる。

行ける!!

「フゥゥッ!!!!」
気刃大回転切り。太刀に赤いオーラが纏う。最大の攻撃力となった。

「!!」
スルガは予備動作を見抜いた。

「来るぞ!」
「ああ!!」

スルガはサマーソルトを避ける。
縦横無尽の尻尾の渦から抜けきった。

「死ンねぇェェェェ!!!」
そこにヴァルハが大剣を叩き込む。

サマーソルトが終わった直後、垂れ下がった尻尾に大剣が当たる。

尻尾がその瞬間、切れる。

裂け目がぺりぺりと避ける様に、
気持ち良く、

尻尾切断。

リオレイア亜種の尻尾がプツンと音を立て、切れる。
リオレイア亜種はたまらなくなり、エリア移動をした。

「うっし、あともうちょいだ!!」
ヴァルハが叫ぶ。

あともう少し。クエスト終了まであと13分。
リオレイア亜種は瀕死になっていた。

Re: EVIDENCEーmonster hunter: ( No.9 )
日時: 2016/07/25 21:53
名前: 年中漢 (ID: w4lZuq26)

リオレイア亜種は1番エリアにいる。

どうやら、食事をしている様だ。アプトノスを倒して喰らっている。

ヴァルハは後ろに回り、大剣を肩に担ぎ、エネルギー溜めを開始する。

スルガはリオレイア亜種の動きを見張りながら罠を張る。

リオレイア亜種が気付く。だが、それより前に大剣を切り下げた。

咆哮をしようとしていたリオレイア亜種に大剣が当たり、咆哮がキャンセルされる。

だが、リオレイア亜種はまだ全身の力が残っている様だ。

振り向き、スルガの方に走っていく。

だが、目の前には隠れて【シビレ罠】が設置してある。

シビレ罠はモンスターに麻痺毒を注入し、動きを止めるという効果を持つ。

リオレイア亜種はそのシビレ罠を踏み、全身を痙攣させる。
リオレイア亜種はスルガしか見ていなかったから、罠には気付かなかったのだろう。

スルガは黙って白いボールに投げる。これは【捕獲用麻酔玉】と呼ばれるモンスターの捕獲をする為の薬品が入った玉で、モンスターを昏睡状態にすることが出来る。

スルガはそれを2個投げ、リオレイア亜種にぶつけた。リオレイア亜種は昏睡状態に入り、眠る。しばらくは起きないだろう。


クエストクリア


「やったんだ。俺らは……」
ヴァルハは座りこむ。

「大変だったァ…」
スルガも脱力。

強敵であった。しかし、もうそれは完全に縄に縛られ、ギルドの研究所などに運ばれるのだろう。

捕獲は成功したのだ。

「ふう………お疲れ。」
ヴァルハが振り向いて言う。

「…お疲れ。」

もうやり切った。それしか頭に浮かんでこない。

…もう、夜になっているだろうか。


ハンターとしての生き甲斐を感じ、

スルガは帰りの荷車を待った。