二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: EVIDENCEーmonster hunter: ( No.23 )
日時: 2016/08/05 10:01
名前: 年中漢 (ID: KZRMSYLd)

船が湾に着く。湾と言っても、木の床が陸地から飛び出ているだけだが。
スルガとヴァルハは船から降りる。半日は船に乗っていた。

下の隙間から海が見える木の床の上。
ヴァルハが何かを決心したようにスルガを見る。

「どうしたヴァルハ?」
スルガが聞く。

「なぁ、スルガ。わりーけど、俺はミリアのところに行くぜ。」

突然だった。

「?!……どうして?」
「こうなったのは俺の責任だ。」
「ヴァルハ、何を思い詰めているんだよ。」
「だってよ……俺という大剣使いが居ながら……怪我人を出しちまった。俺は自分のことしか考えていなかった。」
「どうしたんだよ。ヴァルハは頑張っていたはずだよ。そこまで考える必要がどこにあるんだよ!」

「俺は!!」
鋭い怒気。スルガは黙る。

「……俺は……大剣使いは、ガードが出来る。人のことを考えた立ち回りなら、負傷者も出さない……彼女を守れたはずだ。」

そうだ。大剣はわずかながら大剣の広い一面を使ってガードが出来る。それをしなかったから、思い詰めているのだ。

「……分かった。ごめん、ヴァルハ。」
「ああ、俺もカッとなって済まない。お前も一緒に行かねェのか?」
「いや、僕はまだやり残したことがあるんだ。」
「そうか。じゃあ、一回別れちまうことになるな。また、共に狩りができると良いな。」
「そうだね。旅の途中で死ぬなよ。」
「分ァかったよ。」

トン

二人が、拳をぶつける。

また、共に会うことを願い、

二人は別々に、進んで別れた。

Re: EVIDENCEーmonster hunter: ( No.24 )
日時: 2016/08/05 10:46
名前: 年中漢 (ID: KZRMSYLd)

スルガは、ヴァルハと別れた。

その次の日
スルガは狩りに行かずに畑を耕す。耕作期がそろそろ近づいているのだ。
今回育てるものは、薬草、アオキノコ、虫箱ではハチミツを生産する。どれも使えるアイテムとなる。そして、食用でドテカボチャとシモフリトマト、意味はないけど趣味で、イキツギ藻を育てる。

美味しくなれよ。そう思いながら種を蒔く。土の中ではたくさんの命が輝いているように見える。

スルガの中ではどんな料理を作ろうかという妄想が広がる。



腹が減るな。

家の縁側に座っておにぎりを食べる。

畑は木々に囲まれている。何故なら飛んでくる砂を防ぐための防砂林だからだ。
その木に鳥が巣を作っている。微笑ましい光景だ。スルガは思った。

が、その時、鳥が飛んだ。

「あーのー、家に泊めてくれますかー!!」

女の声だ。うるさいな。スルガの耳は今にも潰れそうだ。近所迷惑。この言葉しか思いつかない。

「あの……なんですか?」
家の玄関に出る。
すると突然、先程まで叫んでいた女が、スルガに指を指す。
「あー!!スルガじゃん!」
「はい?誰でしょうか?」
「はぁ?覚えてないの?!」
「知り合いでも知りません。」
「そんな見た目変わっちゃったかなぁ?私よ!ヘレンよ!」
「あッ!!」
「思い出した?!ボケてるんじゃないよねェ?」
「あああああああッ!嘘だろ!ヘレンさん?!!」
「もう、なんで幽霊でも見るかのように私を見るの!気に入らないわね。」
「ひ……久しぶり…」
「よーやく分かってくれたようね。じゃあ、早速……」

パタン

スルガはドアを閉めた。こんな怖い幼馴染が来るなんて……
「開ァァァァけェェェェるおォォォォ!!!!!!」

大声

「ウワァァァァァ!!」

スルガも恐れおののく。というか、震えている。

バガンッッッッッ!

ドアが吹っ飛ぶ。どうやらヘレンが後ろ回し蹴りをドアに決めたようだ。

「ウワァァァァァァァァァッッ!!」
スルガは世界の終わりを悟った。

「スルガ、しばらくここに泊めてくれない?」
ヘレンは自信満々に、スルガの前で仁王立ちをしている。

Re: EVIDENCEーmonster hunter: ( No.25 )
日時: 2016/08/06 09:57
名前: 年中漢 (ID: OLpT7hrD)

ヘレンにはリビングのテーブルに大人しく座ってもらった。

ショートカットの髪、少し気が強そうな、でも可愛らしい目つき、健康的に痩せた体、普通だったらまるでアイドルのようだ。でも性格は違う。ミリアの方が百億倍可愛く見える。

「えっと……どういうこと?」
「はぁ?決まってんじゃん。あんたのとこに泊めてっていうことよ。」
「誰に僕の家を紹介してもらったの?」
「ギルドマスターよ。あのじいさん結構やるわね。」
「えっ?ギルドマスター?それってつまり?」
「私もハンターよ。双剣を使うの。」
「し…………」
信じられない。スルガは心の底からそう思った。ヘレンが狩場に来たらどのモンスターも逃げてしまうのではないか。

そしてこの流れは……まさか……

「ねぇ…」

ミリアの時と同じく強制狩猟出発なのでは?

「私の財布金欠になりそうだし、ハンターっていう職業は金欠になりやすいから早く狩りに行こうよ。」

やっぱり(心の叫び)

「……一人で行けるだろう。」

休ませろ。(心の叫び)

「いいから来て。死ぬわよ。」

休ませろ。(心の叫び)

「分かったよ。ついて行くよ。」
「分かればよろしい。」

渋々だけど、集会所に行った。

Re: EVIDENCEーmonster hunter: ( No.26 )
日時: 2016/08/08 11:09
名前: 年中漢 (ID: w32H.V4h)

「実はねぇ、気になるクエストがあったんだ〜フフン♪」
ご機嫌だこと。

「ほほう、二人で新婚狩猟かね?」
もう枯れたじいさん声。実際にじいさんだ。問題のギルドマスターさんである。何てこと言うんだ。

「はぁ?!何言ってんだボケ!」
ギルドマスター の胸倉を掴む。おいおいやめろ。
「女子に叩かれるのもわるかないのぉ。」
「ヘレンさん、やめといた方が良いと思うよ。」
だがヘレンは止めようとしない。明日の三面記事だぞ。

その時、

「お疲れ様です。マスター。」

後ろから声がした。振り向くとセルタスシリーズのG級版(見たことない防具)と思われる20代ぐらいの男がいた。
「キャーーー!!貴方は!」
「えっと……有名人?」
「はぁ?知らないの?世界でも5人だけの円卓の騎士の一人、ソウゴ・イルナルクさんよ。会えるなんて奇跡よ!」

彼女の叫び声で群衆が出来てくる。
「ソウゴ・イルナルクだと?」
「嘘ッ!有名人じゃん!」

「あー……うん。」
聞き覚えはある。確か古龍ラオシャンロンを倒してミナガルデと呼ばれる町を救ったとか。

「サインして下さい!」
サイン色紙を持っている。どっから取ってきた。

「また後でね。僕はクエストを受注したい。」
「うぅ〜」

ヘレンのテンションが下がる。
それを見たソウゴは気の毒に思ったのか、
「それじゃあ、僕の狩りを見学するかい?」
「えっ!良いんですか!」

「そして君も。」
スルガを指差す。
「はぁ……」
それしか言えない。

「できれば僕の狩りから学べることが多くあれば良いね。」
「はい!!」
ヘレンの大きな返事。
どうすればそんな正直になるのか……

「じゃあ、これを頼む。見学二人だ。」
「えっ……そのクエストにするのですか?あまり調査が進んでいなくて、どのような事態が起きるのか分かりませんよ。」

ソウゴが指差したクエストはティガレックスという飛竜種のモンスターの狩猟だ。しかし、生態未確定というハンコが押してある。

「良いよ。狩るから。」

あっさりとクエストを受注した。

そしてソウゴはスルガたちに話しかける。
「君たちもしっかり装備した方がいい。何かあると危険だからね。」
見学は手出しをすることを禁じられている。しかし、そこまで言うなら万が一のために装備は整えた方がいいということなのだろう。

今回の装備……
スルガはラギアSシリーズに太刀、氷刃【雪花】
ヘレンはイーオスSシリーズに双剣、爆砕の双刃
ソウゴはセルタスXシリーズ(推定)にチャージアックス、ディヴァルキューレ(推定)

周りから、ソウゴさんといいなぁ、いいなぁと不満をぶつけられながら狩場に向かう荷車に乗った。

目的地は天空山である。

Re: EVIDENCEーmonster hunter: ( No.27 )
日時: 2016/08/09 14:20
名前: 年中漢 (ID: w4lZuq26)

荷車の中。

ガタンゴトンと車輪の音がする。外を見ると小型モンスターのガブラスが飛んでいるのが見える。

ブモオオォ

アプトノスが鳴く。今まで言わなかったが、この荷車はアプトノスが引いているのだ。

荷車は止まった。

そこは竜人族の村であった。
「こっちだ。」
ソウゴはスルガとヘレンを呼び、ある場所に連れて行った。
そこは飛行船乗り場であった。飛行船が崖から繋がれて宙に浮いている。

「予約は取ってある。二人とも、乗れ。」
そう言ってソウゴは飛行船に飛び乗った。
「うあぁ……崖怖い……」
ヘレンが怯える。しかし、勇気を出して、飛び乗った。

「あ……」
スルガも驚いた。かなり高い崖だ。下は見ない方が良い。

これから飛行船に乗って山の上まで行くらしい。
天空山。この異常なほどの高さならこの名も納得できる。

そして着いた。

ティガレックス。まさか自分がこれほどのモンスターを目にすることになるとは思わなかった。
名前も聞いたことあるだけだ。

「行くぞ。」
早ッ……!もうアイテムボックスからアイテムを取ったのか?
「あの……ソウゴさん?アイテムは……?」
猫を被ったヘレンが可愛らしい目つきでソウゴを見る。

「要らない。」

一蹴。ヘレンはぽかんという表情になった。

Re: EVIDENCEーmonster hunter: ( No.28 )
日時: 2016/08/10 18:27
名前: 年中漢 (ID: OLpT7hrD)

1番エリアに行く。野生のアプトノスが悠々と歩いている。至ってのどかだ。

分かれ道が3本ある。

マップに記される限りでは、2番エリア、3番エリア、5番エリアにそれぞれ続く道である。

するとソウゴは急に歩き出す。5番エリアの方角だ。
今までの経験で初期位置を見出したのだろう。千里眼の薬を使わないとは、恐るべし。

そのままついて行く。
「……いた。しゃがんで。」
ソウゴが小声で言う。段差が多いゴツゴツした小さな平地に、小型モンスター、イーオスの群れと大きなオレンジ色の竜がいた。
それは長い首と、同じく長い尻尾を持ち、背には角ばった甲殻が立ち並ぶ。そしてその両脇に長い腕が生えて、それを地面につけ這いつくばるようにいる。
オレンジ色に青い縞模様があるのも目立つ。
目は凶暴そのものだ。

【轟竜】ティガレックス

殺気がジンジンとその存在から感じられる。