二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- リムバック中の奇襲 ( No.2 )
- 日時: 2016/07/28 14:50
- 名前: tunamayo (ID: 7I10YEue)
とある海域に2隻の艦娘が佇んでいた。艤装の大きさや形などが異なり、一目で違うクラスの艦だと分かる。そして、その大きい方が突然口を開いた。
「SPYレーダーにアンノウン30機の反応あり」
「全く、無駄に多いですねえ。こっちは使用できるミサイルの数をかなり制限されてるというのに」
それを聞いて、小さい方は心底面倒臭そうに愚直る。
「まあ、こいつらをすべて落とさねば最強国家のメンツが台無しだよ」
「それもそうだ」
うしっ、と頬を叩いて気合いを入れ直した小さい方はシャキッとした顔でこう言った。
「そいじゃ、いっちょ頑張りますか。モンスさん」
「撃ち漏らしの処理は頼むわよ、バーク」
そう、2隻の艦娘の内、大きい方はズムウォルト級駆逐艦の2番艦「DDG-1001 マイケル・モンスーア」で、小さい方はアーレイ・バーク級フライトⅢの1番艦で、退役した元祖ネームシップの名前を引き継いだ「DDG-124 アーレイ・バーク」だ。
「「対空戦闘よーい!!」」
2隻は、アメリカの威信を示すためにも声を張り上げる。
「「周囲の安全確認! Mk.57(41)のミサイルセルを開放!」」
「スタンダード、サルヴォ(一斉射)!!」
——————————
——キィィィィィィィィィィィィン——
煩いジェット音が響く中、フランス海軍の旗艦を務める原子力空母「シャルル・ド・ゴール」から飛び立った、30機の艦上戦闘機「ラファールM」の隊長妖精は、HUDを見ながら慎重にミサイル発射のタイミングを謀っていた。
——ビービー——
「!!」
レーダー照射を警告するブザーが鳴り響く。どうやら、アメリカの最新艦は第4.5世代のステルス性をも上回る性能を持っているらしい。
「(-""-;)」
隊長妖精はすかさずチャフを発射した。その直後、物凄いスピードと金切り音でスタンダードミサイル(模擬弾)が迫ってきた。
——————————
「全期撃墜判定かぁ」
少し離れた位置で成り行きを見守っていたシャルル・ド・ゴールは、妖精達の悔しそうな唸り声を聞きながらハァ、と溜め息を吐いた。
「仕方ないですよ、シャルル姉さん」
「そうですよ。あんな化け物に勝てる筈がありません。あの日本の2隻でも、掠り傷すら付けられなかったんですから」
随伴していたアキテーヌ級駆逐艦対空型の「D656 ブルターニュ」「D657 ロレーヌ」は、落ち込む先輩を励ましていた。
「アメリカ艦にミサイルの一発でも当てれば、フランスに胸を張って変えれるんだけどなぁ」
「「!!」」
シャルルが愚直っていると、随伴艦の2人が急に騒がしくなった。
「こ、これって」
「多分、訓練じゃないよね。こんなの予定には無かったもん」
「「てことは……」」
「ん? どうしたの?」
シャルルの質問にロレーヌが叫ぶ。
「シャルルさん! ミストラルの発射準備とSIWSの起動準備、急いで下さい!!」
「え!?」
「周囲の安全確認! ミサイルセル開放! アスター30発射!!」
シャルルの驚く声と、ブルターニュの中距離対空ミサイル(実弾)が放たれたのはほぼほぼ同時だった。
「私が各国の艦娘に連絡するわ!!」
「分かったわ。私が暫く持ちこたえる!!」
——————————
「ええっと、次は何処との模擬戦だっけ?」
「チーム戦ですよ。アジア勢とヨーロッパ勢の」
「これってもう、名称から太平洋を取っても良いんじゃないか?」
今喋っていた、あきづき型護衛艦4番艦「DD-118 ふゆつき」や、いすず型護衛艦2番艦「DD-120 ながら」等の日本の派遣混成隊の面々は、現在真珠湾で少しばかりの休息を取っていた。
直ぐに次の模擬戦が予定されており、艤装を外していなかった為、休息中の他の国の艦娘よりも、逸早くあの連絡を耳にすることになった。
『緊急連絡。こちら、フランス海軍所属の駆逐艦ロレーヌ。パールハーバーより8時の方向、約500km程の海域に多数のアンノウンを確認。さらに、そのアンノウンから大量の謎の飛翔体による攻撃を受けた。まだ、被害は出ていないが残弾数が心許ない。至急、応援を要請する。これは訓練では無い。繰り返す……』
ロレーヌからの緊急連絡が無線から入って来る。今回の派遣隊の旗艦を務めていた、一番最新鋭で一番若手のちくま型イージス護衛艦2番艦「DDG-179 ちくま」の決断は早かった。
「私たちは誰かを護る為に存在しているんですよね? ならば、こんな時に仲間を護れなくてどうして日本を護れるっていうんですか!! みなさん、海上警備行動を私が許可します!!」
「政府に許可を……」
「今は時間がありません! どうせアメリカの要請は断れない筈なので、遅いか早いかの違いでしかありません!!」
「分かりました!!」
「私達派遣混成隊は、友軍を護る為に集団的自衛権を発動し、海上警備行動を開始します!!」
ちくま以下水上艦6隻,潜水艦3隻はパールハーバーを出港した。まさにその時だった。無線から悲鳴のような報告が入ってきた。
『アンノウンからハワイ諸島に向けて謎の飛翔体が発射されました! あれはおそらく……弾道ミサイルです!!』
それは、沖の方で何とか持ちこたえていたロレーヌ達からだった。
『弾道ミサイルらしき飛翔体を補足した! しかし、距離がありすぎて迎撃間に合わない!!』
そして、その直後にモンス達からの無線も入ってくる。彼女は悔しさで、無線越しでも分かるほどに歯軋りをしていた。
これを聞いたちくまは、無意識の内に無線機に向かって叫んでいた。
「私達ならおそらく対応できます! データをください! 早く!!」
ちくま達が巻き込まれる長く長く続く争いの、最初の一戦とも言える戦いが始まる!!