二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 東方崩壊譚 ( No.48 )
- 日時: 2017/07/16 21:30
- 名前: 彩都 (ID: SsbgW4eU)
東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第三章 第三話 茸と魔法と人形遣い
CHAPTER 1 魔法の森
「のんびりおにぎりでも食うかぁ」
僕こと華扇(かおう)はつい数時間前に貰った、東風谷早苗(こちや さなえ)の手作りと思われるおにぎり(中は何も入っていないただの塩握りである)を一つ、手に取って、食べ始める、今いる場所は博麗神社の中の僕の寝室である、何で寝室でおにぎりを食べているのかは、僕には不思議だが、霊夢が早苗のおにぎりを食べている僕に何か言い寄る可能性がある為、仕方なく直感で選んだ結果がこの寝室、と言う事だ。
そして早苗のおにぎりを食べ終え、包んであった包み紙をゴミ箱に捨てて、寝室を出、博麗神社の掃除をしようと箒を持った時だった、空中から『華扇くぅん?』と聞こえる、一体誰だろう? 自分はそう思い、首を回して周りを確認する、すると空中に文が浮いていた、しかも手帳と思われる物と字を書く物を手に携えていた。
「おう、団子屋の時の、あの時は有難う、文の情報がなかったら犯人は特定出来なかったよ──犯『人』というより、犯『妖怪』かな? それは知らないけど──心から感謝する」
自分がそう言って頭を下げる、すると文は早速本題へと切り出していく。
「さぁ、華扇くん、その団子屋での出来事、覚えてますよね? さて、妖怪の山へと行きましょう、大丈夫です、一緒に歩いて向かいますし、君がいいなら、私の手の中で飛びますか?」
「あぁー……その事なんだがぁ……」
僕は文の発言に対し、横目で発言する。
「生憎今は君と一緒に行動するのが不可能になってしまった、数日後、僕は魔理沙と一緒に魔法の森に行くのだから」
魔法の森、その発言を聞いた文が目を見開いて僕にもう一度聞き直した。
「はい? 華扇くん、もう一度言ってくれません? 魔理沙と何だって?」
「いや、だから、魔理沙と一緒に魔法の森に行くのだからって……」
「いや、華扇くん、まず魔法の森って知ってます?」
文の発言に不思議に思いながら自分は文に返答する。
「そ、そりゃあ魔理沙が住んでいる場所だろう? それ位は霊夢から聞いた」
「そうじゃないです、『魔法の森とは、一般人が立ち入るとどうなるか分かっていますか』ね? 特に幼い肉体を持つ君ならどうなると思いますかねぇ……?」
まるで謎かけの様に言う文の発言に対し、まさか、とは思う。
「ま、まさか、そのまさかだ、もしも僕の思う『まさか』が文の言う『どうなるか』という発言に合っているかは分からないけれど……『まさか、魔法の森って相当危険な場所』なのかい……?」
「…………」
僕の発言に対し、文は静かになって無言状態を貫く、あ、あの、合っているかどうかだけは教えてほしいのだが……?
僕がそう思っていると、文は目を閉じて、僕に語りかける。
「魔法の森、其処は『確かに危険な場所』です、ですが、魔法の森は『少し特殊』なので、危険な妖怪等が立ち入りません、なので一般人は魔法の森に逃げても良いでしょう、ですが先述の『危険な場所』という意味を私は言っていません、そして何故魔法の森が危険な場所か分かりますかね? いや、君は分からないでしょうね、なので説明します、『魔法の森は森の中で呼吸するだけで一般人は体調を崩してしまう程、空気環境が悪い』んです、魔理沙や『七色の人形遣い』等は『その土地に住み続けて慣れたから住める』んです、そして君の肉体は幼い、最悪魔理沙より幼いかもしれない、更に呼吸器官も幼かったら……『君は魔法の森に入った瞬間、体調を崩し、倒れてしまう』かもしれません──それでも向かうのですか?」
文の言葉を受けて、僕は静かに右手を出してニコッと笑う。
「おいおい、文よ、僕の能力を忘れたのか? 『元に戻す』能力だ、『悪くなった呼吸器官を『元に戻』せば』どうだろうか?」
「な、成程、自分の能力で弱点を補う、と言う事ですね? 果たしてそう簡単に出来るんでしょうか? 私は少し怖いですがね」
「僕だって怖いさ、だけども挑戦って言うのは大事だと思うんだ、だから僕は行かなきゃならないんだ、魔法の森、いや、魔理沙の家に特訓しに行く為に!」
僕の発言を聞いて、溜息を吐く文、渋々理解した、と言いたそうだった。
「はぁ、分かりましたよ……えーと、数日は私の言う事を聞いてくれないんでしたよね?」
「あぁ、済まないな、軽く一週間は見積もった方がいいかもしれないね」
「はぁ、折角時間が出来たから来た、と言うのに貴方という存在は……」
文はそう言って溜息を吐く、そして僕は文に言う。
「アハハ……済まないって思ってるよ、また埋め合わせするからさぁ?」
僕の言葉を聞いて、文ははぁ、と溜息を吐きながら発言する。
「まぁたそんな事を言ってぇ……どうせ私は妖怪だし、人間様より後回し、盥(たらい)回しにされる未来を感じます……」
文はそう言って肩を下げる、アハハ……本当に文の事を盥回しにしそうで怖いな、と思いながら僕は博麗神社の掃除を開始しようと場所を考える、霊夢は今の所、縁側で休憩をしている、さっさと掃除をしないとな、僕がそう思った後、文は空を飛び、何処かへと向かう──文が向かう所は一体何処だろう? 僕はそう思いながら掃除を開始する──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.49 )
- 日時: 2017/07/16 21:30
- 名前: 彩都 (ID: SsbgW4eU)
僕が掃除を初めて数十分、霊夢が急に立ち上がって、肩を慣らしながら僕の所に来る、一体何なんだろう? 僕はそう思いながら霊夢の事を見つめると、霊夢はめんどくさそうな表情で頭を掻きながら僕に言う。
「華扇? アンタ、早く魔理沙の所に行きたくてうずうずしているでしょう?」
急に僕の心の中の思いに気づいた様な言い方をしたので、僕は焦りながら返答する。
「え、えと、確かにそうだけど……」
僕がそう言うと霊夢は溜息を吐きながら、僕が持っている箒を奪い、掃除をし始める。
「じゃあさっさと魔理沙の所に行きなさい、私や博麗神社の事は気にしないで良いから、どうせ私は一人でも大丈夫だから」
「えっ……でも軽く二日三日残ってるけど……?」
僕の発言を聞いて、霊夢は怒鳴りながら言い返す。
「大丈夫って言っているでしょう!? この特訓馬鹿!」
「…………」
霊夢の怒鳴り声を聞いて、確かに、と頷いてしまう僕、いや、頷いている場合ではない、僕は急いで自分の部屋に戻り、支度をして、博麗神社を出る準備をする、そして僕は霊夢の前に立って、言葉を発す。
「ごめん、霊夢……僕、魔理沙の所に行ってくるね、そして少しでも強くなってくるから!」
僕はそう言って走って博麗神社の石の階段を下りる、そして地面に辿り着き、走って右の方へ向かう──僕が石の階段を下りた後、霊夢は『あのバカ……』と呟いて上から僕を見ていた──
流石に魔法の森の所在地を知らぬまま出た僕ではない、僕は人里へと出向き、魔法の森の所在地を人里の人間から聞いていた、ふむふむ、成程な、此処に位置するのか、この道を真っ直ぐに進めばいいのか、と僕は頭の中で魔法の森迄の道程を頭の中で思い浮かべながら、人里を出、魔法の森迄のんびりと歩いていた、だけど魔法の森に着いた所で肝心の魔理沙の家は知らないのだ、そこだけが僕の失敗点だった、まぁ、魔法の森の中に入ってしまえば、何れは見つかるだろう、僕はそう思いながら深呼吸をする、すると何時の間にか、魔法の森に着いていた、良かった、何気に道が合っており、助かった、後はこの中に入るだけ──と、その時だった、急に女性の声がし、僕の動きを止めてしまう。
「ちょっと!? 貴方自殺でもする気!?」
「何を言っている? 僕はこの中に入って家を探すだけだが……?」
僕が魔理沙の情報を出さずに説明すると、金髪に赤いカチューシャを着用している、青いドレスに可愛い人形二体を宙に浮かせて操っている女性が僕に向かって怒鳴る。
「此処は魔法の森! 一般人が入ると息をするだけで体調を崩してしまう所なのよ!? 分かってるの!?」
「何でそんな怒声で僕は怒られなきゃならんのだ! 流石に息をするだけで体調を崩してしまう場所、魔法の森の事位知ってらぁ! 僕はこの魔法の森に入って特訓するんだよ! そして強くなるんだよ! 邪魔をするなよ人形のお姉さんよぉ!?」
僕が怒声で怒鳴られたので、怒鳴り返すと金髪の女性は僕の怒声に驚き、後方に足をずらす。
「分かったか!? という事でさよならお姉さん」
自分がそう言って魔法の森に入ろうとすると、金髪の女性は、人形を使用し、僕の四肢の動きを止める、そこ迄してこの魔法の森に入れない気か!? 僕はそう思いながら、人形が持っている、僕の四肢の動きを止める糸を右手で掴んで『元に戻』して、自分の体から糸を離す、その時、金髪の女性はどうやって人形の糸から離れたのか、不思議がっていた。
「アンタ……どうやってこの強固な糸の束縛から離れたの!?」
「は、はぁ? そんなの簡単だろ、右手で掴んで、はい終了って──」
「そんな簡単に私と人形の糸の束縛から逃れるなんてどんな右手よ!? と、とりあえず、貴方の魔法の森に入りたい欲を消さない限り私は糸で貴方の事を縛るわ!」
金髪の女性はそう言って、人形の量を増やし、最初に連れていた二体から、三体、四体と人形を増やしていく、と、とりあえず、誰だか分からないけど、今此処で倒さなくてはならないのか、僕はそう思いながら物を掴む様な感じで右手を前に出す、今自分の身を守ってくれるのはこの右手のみ! 僕はそう思いながら、金髪の女性の人形を見つめる、さぁ、どう動くか!?
その瞬間だった、自分の頭に『まぁ、待て、落ち着けよ』と言って、箒の柄の先端をぶつける存在が居た、その存在は魔理沙だった、魔理沙は箒に乗りながら、箒の柄の先端で僕の頭を小突いたのだろう、何気に痛いぞ魔理沙? と、僕はそう思いながら背後の魔理沙を睨む。
「落ち着けよ二人共、このガキンチョは私の客人であり、特訓相手だよ、アリス」
「魔理沙? 何だ、貴女魔理沙の家に行こうとしたのね、それを早く言いなさい? 魔理沙の家位私だって知っているし、案内出来たのに……」
金髪の女性はそう言って臨戦態勢の人形を落ち着かせる、な、何とか助かったのか……? 僕はそう思いながら、ほっと、胸を撫で下ろした。
「それにしても魔理沙がこんな可愛い女の子相手に特訓ねぇ、貴女気をつけなさい、魔理沙の特訓は相当大変でヘビーだから」
金髪の少女は腕を組んでにやり、と笑う、僕と魔理沙はお互いに顔を見合わせ、同時に溜息を吐く──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.50 )
- 日時: 2017/07/16 21:31
- 名前: 彩都 (ID: SsbgW4eU)
「あーうん……女の子ね……」
僕はそう呟いて頬を掻く、魔理沙も『まぁ、仕方ないよな』と呟いて金髪の女性に自己紹介を促す。
「とりあえず、二人共自己紹介をしたらどうだ? 先にアリスな」
「なっ!? いきなり過ぎるわよ!? ……えー、私の名前はアリス・マーガトロイド、一応魔理沙と同じ魔法使いよ、宜しく」
金髪の女性──アリス・マーガトロイドだ──はそう言って、綺麗な手を差し出す、僕も握手する前に自己紹介でもしておこうか、僕はそう思い、自分の名を名乗る。
「僕の名前は華扇(かおう)だ、宜しく、アリス」
僕はそう言って、アリスの手を両手で握って握手する、アリスはいきなり両手で握手された事により、少し驚いていた。
「きゃっ! 貴女、いきなりね……宜しく華扇──それで、貴女と魔理沙、どんな関係なの?」
急にアリスは僕の顔に自身の顔を近づかせる、アリスの呼吸音と息が間近に聞こえ、感じ、少しドキドキしてしまう、すると魔理沙は笑いながら僕と魔理沙の関係を話し始める。
「ん? 単純に霊夢ん所に預けられたガキンチョだが? このガキンチョは強くなる為に私に教えを請うたんだ、だから霊夢の巫女装束を着ているって訳さ」
「成程……という事は人里の人間って事?」
「いや違う、コイツは『何時の間にか幻想郷に来ていた』んだ、記憶を取り戻すと同時に強くなろうって魂胆だ」
魔理沙はそう言って、僕の頭を撫でる、ちょっと激しいかな? 僕はそう思いながら乱れた髪を整えてアリスに言う。
「アリス、魔理沙の言った通り、僕は幻想郷に来た存在で、記憶を取り戻すと同時に強くなろう、と思っているだけ、んで、魔理沙に特訓をして貰おう、と此処に来たんだ、これで僕と魔理沙の関係を分かってくれたかな?」
自分が少しばかり補足して説明すると、アリスは手を頭に当てながらふむふむ、と頷く、何だろう、一挙手一動作が可愛いな……と僕は思う。
「成程ね、貴女は魔理沙に強さを教えて貰う為にこの魔法の森へと……だけど魔理沙、今の話を聞くに、彼女はただの一般人、魔法の森に入ってはこんな華奢な体がもっと華奢になってしまうわ、マスクや口頭巾でもあるのかしら?」
アリスの言葉に反応して僕は反論しようとした。
「えっと、アリス、何だか勘違いしているようだけど、僕はおどっ!?」
僕が性別を男だと訂正しようとした所、魔理沙が背中に弾幕を当てて、黙らせる、てめぇ、魔理沙ぁ……?
「あー……えっと、華扇は結構な人見知りで、今いるこの状況に対し、少しおどおどしているようだ、そして勘違いしているって言ったのは、性格の訂正をしたいようだ、『僕は実はおどおどしている性格なんだ』ってな」
「あらそうなの? 私の糸を右手の力だけで解いた時の威勢は何だったのかしらねぇ? まぁ、私には関係ないか」
アリスはそう言って首を傾げる、何で此処で僕の性別を言わないのだろうか? 僕はそう思いながら頬を掻く。
「それにしても貴女の右手、少し不思議ね? だって私の人形の糸を解いたもの」
「あぁ、あれは僕の能力だよ、少しややこしい説明になるけれど──」
僕はそう言って頭を掻く、すると魔理沙が簡易な説明をする。
「あー、華扇の能力は簡単に言えば、『元に戻す』能力っつってな、『右手で触れたモノ全般を一つ前に戻す』能力なんだよ、つまり『弾幕撃って、撃った弾幕を右手で触れて能力を発動すれば、元々その空間に弾幕という物は存在しないから、消す事が出来る』、みたいな? そんな感じの能力なんだよ、だからアリスにした事は、『元々人形の糸は自分に纏われていないから、それを右手で触れて『元に戻す』事で、『糸に纏われていない自分』に『元に戻』した』って所かな?」
魔理沙がそう言うと、アリスは頭に手を当てながら少し唸る、あ、ある程度は分かってほしいな、そう思いながら僕はアリスを見つめる。
「ふ、む……大まかに言えば、『自分の右手の能力で、『人形の糸に纏われていない自分』に戻した』、という事かしら?」
「まぁ、そんな感じだな」
アリスの発言に魔理沙は静かに頷く、普通頷くのは僕の筈なんだが……僕はそう思いながら頭を掻く。
「それじゃあアリス、またな、私は華扇と共に特訓をするから──あっ、華扇、これを口に着用してくれ、魔法の森はお前みたいな一般人が居ると、体調を崩してしまうからな、そのマスクをしようすればある程度は身を守ってくれるだろう、もしもそれを着用してても体調を崩したのなら……私は知らん」
魔理沙はそう言って、僕を箒に乗らせる、するとアリスが僕に言う。
「貴女、同性だからって魔理沙を襲わない事、良いわね? 流石に女の子同士はダメだと思うから……」
アリスはそう言って顔を赤らめて、魔法の森へと走って消えた……いや、だから男だっつーの、僕はそう思いながら深い深い溜息を吐く──
そして僕は口にマスクをして、魔法の森を魔理沙の箒に乗りながら見物する、色々な植物があるんだなぁ、流石森、と思いながら魔理沙の箒の動きが止まる、そして魔理沙が言う。
「ほら、着いたぜ、私の住処、『霧雨魔法店』になぁ!」
魔理沙はそう言って、僕に自宅を紹介する、『霧雨魔法店』、如何にも魔法使いが通いそうな名前だな、僕はそう思いながら魔理沙に案内されて、『霧雨魔法店』の店内へと侵入していく──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.51 )
- 日時: 2017/07/16 21:32
- 名前: 彩都 (ID: SsbgW4eU)
「えっと、これは……」
僕はそう言って、頬を掻く、それもその筈、『『霧雨魔法店』の店内はとても汚かった』からだ、これでは冷や汗と共に頬を掻いてしまう。
「あぁ、汚いだろ? だけどこれが『霧雨魔法店』なんだよ」
そう言って魔理沙は僕の為にさっさと足で物をどけ、道を造る、まるで獣道を彷彿させる。
「さぁ、華扇、『魔法』を習得しようか……と言っても、一日二日で手に入れられる物ではないから、ちゃんと特訓して使える様にしないとな」
「ふむ、そう簡単に手に入れられる物じゃないんだね、『魔法』って」
「そりゃそうさ、私だって頑張って習得中だしな」
魔理沙はそう言って机の上の本を手に取る、そして魔理沙は僕に言う。
「現在この本はパチュリーの本棚から盗んで……いや、借りてきた本だが、この本は中々興味深くてな、私も夜も寝る間を惜しんで読んでいる、中々に興味深いからな」
「成程」
「まぁ、習得出来るのは何時になるか分からないけれどな」
魔理沙はそう言って手に持っている本を奥へと投げる、借りている物なのだろう? そんな乱暴に扱っていいのだろうか? と、僕はそう思いながら魔理沙に言う。
「んで、魔理沙は僕にどんな魔法を教えてくれるんだい?」
「ん? そうだなぁ、大まかに言えば、『火の魔法』かな? よくある火の玉を出す様な感じの『魔法』」
魔理沙がそう言って自分の人差し指から小さな火の玉を出す、おおっ、詠唱なしで出せるとは流石魔法使いだ。
「凄いね、何も言わずに出すなんて、『魔法』ってのは詠唱が必要じゃないのか?」
「簡単な『魔法』は詠唱は不要だぜ、逆に心の中で唱えたりとかするんだよ」
魔理沙はそう言って人差し指上の火の玉を消す、そして自分に一冊の本を奥から取り出して渡す、これが『魔法』の本か、自分はそう思いながら静かに唾を飲み込む、今日からこの本を読んで、『魔法』を習得するのか……! 何だか燃えてきた気がする、そして僕はすぐさま『魔法』の本を開き、ページを確認する。
「あっ! おいおい……」
魔理沙がそう言って止めようとしたが、僕は本の内容を読んで絶句した、それもその筈、『僕には読めない文字』だったからだ、霊夢から『大吉、中吉、小吉』とかを習ったが、この文字はそんな生易しい物ではない、僕は読めない文字からそれを受け取った。
「…………」
「お前じゃ読めないだろう……」
「うん……」
僕はそう言って、本を閉じる、そ、その前に文字を読む特訓から始めないといけないのか、僕はそう思いながら溜息を吐いて肩を下げる──
「それじゃあまずは文字を読む特訓から始めるか……と言っても私は他の本を読むのに忙しいし……文字を翻訳した紙でも渡すから自分で解読しろ」
魔理沙はそう言って、少し汚れた紙を僕に渡す、紙には色々な文字の読み方が書いており、結構難しそうな内容だった。
「つまり自分で頑張れ、と?」
「そうだぜ」
僕は魔理沙の言葉を聞いて、溜息しか出なかった、結構大変そうだぜ、僕はそう思いながら魔理沙から個室を借り、一人で静かに解読する事にした。
確か魔法の森の入り口で出会ったアリスって奴も魔法使いとか何とか言っていたな、あの人もこの難しい文字を読んでいたりするのかな? だったら親身に教えてくれるかもしれない、そう思いながら僕は一文字ずつ解読していく、この本は結構簡単な『魔法』を書いてはいるが、文字を読む初心者の僕にとっては苦痛、苦悩、苦労する程の大変さであった、普通に解読したのを読みたいが、魔理沙はそんな事をしないだろう、『自分で解読する経験をしないとダメだろう』とか言いそうだ。
「おぉい、華扇ー? お茶を持ってきたぜぇ」
魔理沙がそう言って、個室の戸を開けてお盆に乗ったお茶を持ってくる、お茶は湯気が出ていて、入れたてだった。
「あぁ、有難う」
僕はそう言って、お茶を受け取って、文字の解読を再開する、すると魔理沙が僕の隣で正座しながら文字の指摘をする。
「華扇、此処は間違っているぜ、この文字はこの文字とよく似ているから気をつけて読むんだ」
僕の顔面数センチの近さで魔理沙の顔が近づく、そしてつん、と香る魔理沙のいい匂い、いい匂いと魔理沙の顔の近さで僕は少しドキッとしてしまう、魔理沙ってこんなに可愛かったっけ? と勘違いしてしまう感覚を覚える。
「華扇? どうしたんだよ?」
ついフッと我に返って、自分が何を考えていたのかを思い出し、冷や汗を掻く、もしも魔理沙が『相手の心を読む魔法』を覚えていて、それを使用されたら、恥ずかしくて、魔法の森を縦横無尽で走り回っていただろう、僕はそう思いながら、我に返った事に安堵する。
「い、いや、何でもない、この文字とこの文字は似ているんだね、気をつけないとね」
僕はそう言って紙に字の違いを記していく、魔理沙も正座で腰に手を当て、笑顔で僕の解読を見る、あの……見られると恥ずかしいのですが……僕はそう思いながら文字を解読していく──
そして時間はもう夜になってしまった、ちぇっ、解読出来たの、たったの数ページかよ、僕はそう思いながら深い深い溜息を吐く、もっともっと解読するスピードを上げないとなぁ、僕はそう思いながら『霧雨魔法店』の窓から夜空を見上げる、やはり幻想郷の夜は美しい──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.52 )
- 日時: 2017/07/16 21:33
- 名前: 彩都 (ID: SsbgW4eU)
あれっ? そう言えば魔理沙は……? 僕はそう思い、その場から立ち上がった時、急に個室の戸が開いた、戸を開けたのは割烹着姿の魔理沙だった、何だろう、可愛い、それしか思い浮かばなかった。
「おーい、華扇ー? 晩ご飯が出来たぜぇ、早く来いよぉって、何だ、料理の完成に気付いていたのか」
「いや、たまたま立ち上がっただけだけど……料理を作っていたのか、道理で僕の隣から離れたのか……ちょっと寂しかったな」
僕がそう言うと、魔理沙ははぁ、と息を吐いて僕に言う。
「何だよ、たまたまかよ……まぁ、いいか、早く来いよ、お前だって腹が空いているだろう、なぁに、今日は豪勢な料理達だぜ、期待してくれたって構わない」
魔理沙の言葉を聞いて、僕は少し喜んだ、豪勢な料理、もしかして『魔法で作った合成の料理』って訳じゃないよな? 僕はそう思いながら魔理沙について行く。
「おおっ……!?」
僕は魔理沙の料理を見て、とても焦る、こ、これが料理!? 僕はそう思いながら露骨に厭な顔をする、それもその筈、何故なら『変な色のキノコ料理』だからである……その料理の中には、赤と白の水玉の危険そうなキノコや、残機が1増えそうなキノコ、更にパワーが増えそうな赤色のキノコ、点数が増えそうな蒼いキノコ、そして体の何処かが大きくなりそうな赤いキノコが存在していた、いや、どれも食べたくない、僕はそう思いながら席に座って冷や汗を掻きまくる、魔理沙は割烹着を脱いで、席に座って両手を合わせ、『頂きます』と言う、うぅっ……食べないとダメそうだ、僕は意を決して、両手を合わせ、変な色のキノコ料理を食べる──このキノコ、食べてもお腹下さないよね? 深夜が怖いんだけど、僕はそう思いながら変な色のキノコを口に入れる──ん、案外美味しい。
「ふぅ、食べ終わったぜ」
僕はそう言って腹をさする、何だ、案外食べれる変な色のキノコだったな、と思う。
「よし、華扇、風呂の準備が出来たから、先に入ってこい、私は片づけをするから後で入る」
「あぁ、分かった、先にすまない」
僕はそう言って風呂場へと向かう、それにしても魔理沙の家の風呂はどんな感じだろうか? 守谷神社みたいな一室の風呂場なのか、もしくは霊夢のドラム缶のお風呂みたいな一人用なのか……僕はそう思いながら魔理沙に案内された風呂場に到着し、戸を横にずらす、すると其処は脱衣所がある風呂場だった、何だ、守谷神社とほぼ同じか、と思いながら、巫女装束を脱ぎ、下着を脱ぐ、そして戸を開けて、湯船に向かう、湯船には湯が張っており、湯船の中に手を突っ込んで湯船の温度を確認する、湯の温度はいい温度であった、熱くもなく、温くもなく、冷たくもない、程良い暖かさの湯の温度であった、僕は湯船の中に入って、ふぅ、と息を吐く、風呂は良いな、僕はそう思いながら肩迄浸かる──するとドタバタと誰かが走る音がして、僕が入っている湯船に近づいてくる、魔理沙かな? こんな急にどうしたんだろう? と思いながら湯船と脱衣所の境目の戸を見つめる、するとその戸を開けて魔理沙が入ってきた、魔理沙は顔が真っ黒であった、えっと……何が起きたのでしょう? 僕の目の前に真っ黒い魔理沙が現れた? 何だその怪現象、僕はそう思っていると、魔理沙が僕に話してきた。
「うわー! 危なかったぁ! 聞いてくれよ、華扇、私が液体と液体を合わせようとすると分量を間違えてその場で爆発しちまった! いやぁ、何とか煙が出たから後方に避けたが、爆発の中心地から少し離れただけだったから爆発をモロに受けてしまった!」
アハハ、と笑う魔理沙を見て、何をやっているんだか、と思っていたが、その次の瞬間、湯船は鮮血に塗(まみ)れる事になった。
それもその筈、『顔面が真っ黒になる程の爆発なのだ、服も被害を受けている』筈だ、そう『魔理沙の服が爆発によってボロボロになっている』のだ……つまり『今の魔理沙の格好は『薄いつるぺたの胸が丸見え』状態』なのだ、その姿を見た僕は顔を赤らめた後、一気に鼻血を出して湯船に凭れる。
「ぐっはぁぁぁ!!」
鼻血を出した僕を見て、魔理沙は驚いている、『えぇ!? 急にどうしたんだよ華扇!?』と言って、僕の肩を掴み、揺らす、そして僕が最後の力を出して、指を魔理沙のつるぺたの胸に指す、魔理沙は自分が出した指先の方向を見て、じわじわと顔を赤らめて、目に涙を溜めながら僕の頬を叩く。
「見っ……見るなぁっ!」
この魔理沙の一撃(と言う名の平手打ち)を受けて、僕は気絶する……じ、地味に痛いよ魔理沙……僕はそう思いながら風呂場で力が抜ける──
痛い、未だにまだ痛い、気絶から復帰し、湯船を出た僕はそう思いながら自分の叩かれた頬をさする、それにしても湯船を出た後、綺麗な薄い胸を見てしまった僕は魔理沙と会話出来そうにない、それもそうだろう、『魔理沙の胸を見た張本人』だし、そ、そりゃあ魔理沙だって女の子だ、恥ずかしい、という感情もあるだろう。
あーあ、明日から特訓はどうなるだろう? まさか筆談か? 筆談って僕、記憶喪失だし、文字とかあまり読めないぞ? 僕はそう思いながら個室から窓を覗き、夜空を見る、僕は痛い目に遭ったのに、夜空だけは綺麗だ、これは完全に理不尽である、僕はそう思いながら布団を用意し、寝る準備をする──魔理沙が今日の出来事を寝たら忘れます様に、そう思いながら僕は睡眠を取る──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.53 )
- 日時: 2017/08/20 22:09
- 名前: 彩都 (ID: XGjQjN8n)
東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第三章 第三話 茸と魔法と人形遣い
CHAPTER 2 アリスVS華扇
翌日──
「うー……魔理沙に話しかけたけど、やっぱり素っ気ない態度が……ダメだな、こりゃあ」
僕こと華扇はそう呟いて、『霧雨魔法店』の店前を箒で払う、すると僕の目の前に一人の人形遣い──アリス・マーガトロイドが現れる。
「あら? 貴女は?」
「華扇です」
「そうだったわね、んで、魔理沙は店内にいるかしら?」
「一応は居ますけど……昨日一悶着あって、僕とは会話出来そうにないですね……」
僕がそう呟くと、アリスは頭を傾げて僕に言う。
「それはどうして?」
「……実は昨日、魔理沙の裸を見てしまいましてね、同性異性だろうと、自分の裸を見られるのは恥ずかしいでしょう? 特に自分は幻想入りしてたった数日、数週間の存在、気を許す相手ならまだしも、まだまだ気を許していない相手だと思います、自分は」
「……確かにそれは有り得るわね、貴女も不運ね」
アリスはそう言って、手で頭を支える、アリスは僕の性別を知らない、だからバラせる時にバラした方がいいだろう、自分はそう思い、自分の性別を隠したのだ。
「それにしても……幼いから胸が薄いのね」
「な゛っ!?」
急に恥ずかしい話になり、僕は顔を赤らめて、もじもじする。
「流石に気の知れない相手にそれを言うのはちょっと……」
僕はそう言って、アリスにツッコミを入れる、だがアリスは不思議そうに僕に言う。
「どうして? だって貴女は『女の子』でしょう?」
……あ、うん、そう言う事か、僕はそう思い、心の奥底で溜息を吐く。
「あぁ、うん、もう分かりました、うん……」
僕はそう言って、『霧雨魔法店』の戸を開けて、アリスを店内に入れる。
「魔理沙ぁ?」
アリスがそう言って魔理沙を呼ぶ、すると奥から涙を流す魔理沙が現れる。
「別に彼女に体を見られた位良いじゃない、たかがそんだけの事」
「そんだけじゃねぇよ! い、色々あるんだよ……!」
魔理沙はそう言って帽子で自分の顔を隠す、するとアリスが優しく抱き締める。
「まぁまぁ、偶然なんだし、許してあげたら? 彼女だって悪気があって見た訳じゃないでしょう?」
「……まぁ、確かに悪気があって見た訳じゃないしなぁ」
僕は頭を掻きながら答える、すると魔理沙は大きな溜息を吐いて二人に言う。
「あーもう分かったよ! 華扇も許すから気を落とすな! 偶然だから見た事を忘れろ! いいな!」
「まぁ、いいけれど……って、気は落としていないよ? 落としたのは魔理沙じゃないか……」
僕は持っていた箒を抱き締める、と、とりあえず、機嫌が直ったから良いか、と自分は思い、室内から出ようとする、すると自分の首根っこを掴むアリス、一体何なんだろう?
「ねぇ、華扇……私、貴女とのちょっとした戦いが未だに脳裏から離れないの、出来たら私と戦闘してくれないかしら? 戦闘データを使用して人形を作る事も可能だし……」
「戦闘ねぇ……僕は良いけれど、魔理沙がいいかどうか……」
アリスの言葉を聞いて、自分は発言する、すると魔理沙が自分に言う。
「ん? 強くなる為に頑張っているんだろう? だったら少しは戦って戦闘の経験値を入れないとなぁ?」
「ぐぅぅ……反論出来ない!」
自分はそう言って、静かにアリスに言う。
「という事で戦っても良いようだ、それじゃあ表に移動しようか」
「魔理沙の了承も得たし、後は戦うだけね」
「そうだね」
自分はそう言って箒を室内に置いて、外に出る、アリスも外に出て、両者は少し離れて体を動かして慣らす。
アリスの戦い方は少しだけ見た、そう『人形での攻撃』だ、この攻撃だけを避ければ大丈夫だろう、自分はそう思いながら深呼吸して準備完了を宣告する。
「あら? もう準備完了? 案外早いわね」
アリスがそう言うと、僕は頷く。
「アリスだって、早く戦いたいだろう? 僕は素手で何時も戦っているからね、準備はあまりない」
「へぇ、飛び道具、式神、人形、魔法を使わないのね?」
「まだ魔法は使えないしね、飛び道具も式神も使えない、万能じゃない人間さ」
「人間なのに万能じゃないのね、道具を使えないお子ちゃまなの?」
「生憎そうなんだよなぁ……」
アリスの発言を受け、自分は静かに頷く、そしてアリスも体を慣らし終え、人形の動作を確認する。
「私の方も準備が完了したわ、何時でもかかってきなさい?」
「ほう? それなら魔理沙に試合開始の審判をして貰おうか?」
アリスの言葉を受け、僕は魔理沙に試合の審判を頼む、すると魔理沙は『私!?』と言いたげな顔をして、嫌々僕とアリスの真ん中に立って、箒に乗り、言葉を発す。
「えー、それでは、試合開始ぃ!」
魔理沙の発言を受け、いきなりアリスが動き出し、僕に弾幕を放ってくる、成程、魔理沙が箒に乗った理由が分かった、『アリスの弾幕から一人逃げる為』だったのか! 僕はそう思い、魔理沙が試合開始の声を出した場所を見る、そこに魔理沙は居らず、何時の間にか上空に避難していた。
……生憎僕だって、『弾幕を避ける』事位出来る! 僕は自分の右手を見、アリスの弾幕を避けていく、避けられない場所に弾幕が来たのなら、僕の『元に戻す』能力で弾幕を『元に戻』し、回避する。
- Re: 東方崩壊譚 ( No.54 )
- 日時: 2017/08/20 22:10
- 名前: 彩都 (ID: XGjQjN8n)
「!? 中々やるわね! だけど私も体が熱くなってきたわ!」
アリスはそう言って、人形を更に増やす、計十体も人形を操っていて、僕は驚愕する。
「中々人形捌きが上手だね! 凄いや……だけど、僕だって負けたくない!」
僕はそう言って、弾幕を避け、アリスに近づく、と、とりあえず、人形に触れて、『元に戻』せば、人形は『作る前に『元に戻』せる』から、人形に触れる事が出来るか、出来ないかの勝負だな、と思いながら僕はゆっくりとアリスに近づく、だがそう簡単にアリスも近づけさせてはくれない。
そして僕は弾幕を見逃してしまい、腹部に弾幕を受けてしまう。
「うわぁっ!」
僕は弾幕の威力を受け、吹き飛ばされてしまう、そして木の幹にぶつかって、何とか静止する。
僕が腹部を確認すると、服は破れ、傷がついていない腹部から赤い鮮血が現れていた、僕は急いで右手で腹部に触れ、『元に戻』す、あっ、序でに服も戻さないとな、そう思い、服にも触れて、能力を発動し、服を『破れる前迄『元に戻』』し、アリスを見つめる。
中々やるな、僕はそう思いながら、ゆっくりと立ち上がり、アリスの手を見る、すると可憐で細く、美しい指先が微かに動く、動いた、という事は『次の行動を人形達に命令した』、という事、僕は周りを確認し、何処から人形が現れるかを確認する──だが、人形達は僕の思い掛けない行動を行っていた。
それは『背後からの奇襲』である、人形達は僕の背中に張り付いて、爆発した──
「ぐあぁ!?」
背中が焼け爛れる感覚を覚える、熱い、痛い、背中が、もの凄く痛い……そう思いながら右手を背後に回そうとした、すると残っていた人形達が僕の頭を掴み、地面に押しつける。
「うっ……ぐっ……」
頭が地面に着いていなかったから簡単に背中に触れる事が出来たが、地面に顔をつけて背中を触れる事の難しさを知った僕は、必死に右手を背中に当てようとする、当てようとした瞬間、右手の前腕部分に不思議な痛みが走る、僕が横目で確認すると、アリスが僕の右腕を踏んづけていたのだ、そしてアリスが一言。
「終わった、わね……」
「た、確かに、これはアリスの圧勝だな、よって華扇は負け」
アリスの言葉を聞いて、淡々と発言する魔理沙、くっそぉ、僕は負けたのか……僕はそう思いながら、全身の力を抜いて降参した──
「はぁ……やっと離してくれたぁ」
僕はそう言って、アリスの足を睨む、アリスは『終わって離したんだから許してよ?』と発言する、まぁ、確かにもう終わったのだ、睨む理由もないか、と考え、自分は右手を背中に当て、ダメージ、傷を『受ける前迄『元に戻』』す、そして破れた服にも能力を発動し、『元に戻』す、するとアリスが不思議な眼差しで僕を見つめながら顎に手を当てて言う。
「ねぇ? 貴女は博麗の巫女の様に胸にサラシをしないのかしら?」
「ぶっ!」
「うっ!!」
アリスの発言で魔理沙は笑い、僕は顔を赤らめる。
「アッハッハッ! アリス、それはいらねぇよ、だって華扇はサラシを巻く胸すらないんだから!」
「た、確かに僕は胸が成長していないから要らないよ!」
うぅっ、女性同士でこんな会話をするのか……? 僕はそう思いながら『女性』という存在に対し、少し不思議な感覚を覚えた──
「それじゃあ、アリス、華扇と戦って、何か意見は?」
魔理沙の急な発言に、あっ、僕も忘れていた、と思いながらアリスの発言を待つ。
「そうねぇ……全く以て、『弱かった』わね、でも、楽しい戦いだったわ」
「僕も、結構貴重な体験が出来て嬉しいよ、まさか人形と戦うなんてね……」
「まぁ、私位な者ね、人形を使うのは」
アリスがそう言うと、魔理沙が笑いながら言う。
「でも、人形を大量に一人で使うのはやっぱり考えられん、何人か仲間が居るんじゃないか?」
「いえ、全部一人で操っているわ」
魔理沙の発言をきっぱりと斬るアリス、でも、あんなに大量の人形を操るのはやっぱり凄いと思う、僕はそう思いながらアリスと魔理沙の会話を見つめる──
「それじゃあ、戦闘データも手に入れれた事だし、今日の所は帰るわね……後、魔理沙、ちゃんと本は返してね? 読んでいない本だってあるんだし」
「大丈夫大丈夫、死ぬ迄借りるだけだ、死んだら返してやるよ」
アリスがそう言うと、魔理沙は口角を上げて、笑いながら言う、するとすぐさまアリスが言う。
「返される間に読むたくなったらどうするの! それじゃあ! ちゃんと死ぬ前に返してね!」
「へいへい……」
アリスは人形を操りながら魔法の森の中へと消える、僕は隣の魔理沙を見る、魔理沙は両手を頭の後ろで組んで笑っていた、ちゃんと借りた本は返しておきなよ……? 僕はそう思いながら上空を見上げる。
もっと……もっと、強くならないとなぁ、僕は明るくてまだ見えない星々にそう願って綺麗な青空を見つめる──果たして僕は強くなる事が出来るのだろうか……? 僕にはまだまだ伸びしろがあるのか? それは僕には分からない、そして僕は『霧雨魔法店』の店内に入って、『魔法』を習得する為に読めない文字を解読していく──果たして、何時解読出来るかは僕には分からなかった──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.55 )
- 日時: 2017/08/20 22:10
- 名前: 彩都 (ID: XGjQjN8n)
「おぅい、華扇ー? もう晩ご飯の時間だー」
「はぁい!」
僕は部屋に籠もって『魔法』の文字を解読していた、すると夜になっていて、僕は驚愕した、結構な時間僕は解読に費やしていたのか、と思いながら食卓に着く。
「ほう、美味そうだ」
僕はそう言って、魔理沙の手料理を食べる、うん、美味しいなぁ、僕はそう思いながら、満腹になる迄晩御飯を食べる──そして満腹になって、僕はまた部屋に籠もって、『魔法』の文字の解読を進める、中々難しい解読だが、一文字一文字に新たな発見と驚き、楽しみがある、僕は解読に夢中になっていた。
そして時間が過ぎ、部屋に魔理沙が入る。
「もう寝る時間だ、今日の所はそれでいいだろう」
「えぇ……後数ページだけだし、もう少し夜更かしを……」
「バカ! 魔法使いも人間も体力と睡眠が基本だ! 両方どちらかが欠けたら、健全な魔法だって使えない!」
「は、はい……」
僕は頭を垂れて魔理沙の説教を受ける──魔理沙の少しばかりの説教を受け、僕が憔悴しきっていると、魔理沙が布団を敷いてくれる。
「全く……ほら、さっさと寝ろ!」
「はいはい……分かりましたぁ」
「はいは一回!」
「はい……」
魔理沙に寝る最後の時迄叱られて、僕は欠伸をして、寝る事にする。
魔理沙もはぁ、と深い溜息を吐いて、部屋の電気を消し、部屋を出る、でも今日の出来事は凄かったなぁ、と思う、人形と戦って、人形遣いに負けて、『魔法』の解読が進んで……今日みたいに充実した毎日が送れたらいいなぁ、僕はそう思いながら目を閉じ、寝息を立てながら、眠り始める──
「朝よぉ?」
聞き慣れた声を聞いて僕は片目を開ける、すると目の前にいたのは、寝転がって、僕の布団の中に人形を入れて人形の手で僕の顔を叩くアリスだった。
「…………えっ?」
「えっ? じゃないわ、もう朝よ? だから私が起こしに来たの、あっ、『起こしに』と『お越しに』ってのを掛けたんだけど?」
「いや、そんな話をしているんじゃないんですよ、お姉さん? 何で 僕の寝室に侵入してきたんだって話なんですよ」
「あら? ちょっとしたドッキリよ?」
「ちょっとしたっていうレベルを優に超えていますけどね?」
僕はそう言って、布団から起き上がって、その場で欠伸をし、背筋を伸ばして、眠気を吹き飛ばす。
そして少々乱れた髪を指で梳いて、目を擦って、完全に眠気を吹き飛ばして、正座になり、起き上がるアリスを見つめる。
「驚く様な起こし方をしないで下さいよ……驚きましたよ、少々」
「あら? 少々なの? じゃあ今度から人形を爆発させて起こしましょうか?」
「生命に関わる大事件を起こしてんじゃねぇ!」
「大丈夫よ、火薬は少量にするから」
「火薬が入っている時点で少量でも危ないわ!」
「でも火薬が入っていないと爆発出来ないわよ?」
「いや、爆発させるなよ!」
「えっ? でもそうでもしないと驚かないわよ?」
「驚かせないで下さい!」
怒鳴る僕を見て、アリスは不思議そうな顔をして、ハッ! とした顔になって、優しい笑顔になって僕に言う。
「あら? 華扇、貴女、もしかして、今日女の子の日だった? ゴメンね、それはカリカリイライラするわよねぇ……」
「…………!」
違う、そうじゃない、完全にそうではないぞアリス嬢よ……って、女の子の日って何なんだ? いや、今は其処に気を取られている場合ではないぞ華扇、僕はイライラする頭の中で冷静に考えてアリスに言う。
「いや、女の子の日とか、そういうのではなくて!」
「あら? やっぱりそうよね、だってこんなに幼いんだもの、まだ女の子の日じゃないわよね、私は何を勘違いしているのかしら……」
だからそうじゃねぇ! ムラムラと沸き上がる怒りを抑えつけながら、ゆっくりと説明する。
「いや、そう言うのではないのですが……」
「あら? それじゃあ何なの?」
「その前に爆発させて起こす、という事はしないで下さい! 命に関わる可能性もあります! いや、それ以前の問題だ! 火薬を入れて爆発させないで下さい!」
僕の声を聞いて、アリスは不思議そうな顔をして僕に言う。
「爆発は……火薬が入っていないと、起きないわよ?」
「いや、その前に『爆発させない』という事は考えないのですか!?」
僕の言葉を聞いて、アリスは驚愕した表情になる。
「そ、それは考えていなかったわ……!」
「もうダメだぁ……この人……残念美人って言うの? そういう人種だよぉ!」
僕は布団の家で泣きそうになる顔を抑えて涙を堪える、するとアリスがいきなり立ち上がって僕に言う。
「分かった! それじゃあ火薬を使用せずに爆発させるわね!」
「お前は人の話を聞いていたのか!?」
も、もうダメだ……この人が前にいると僕がツッコミ係になるのか……僕はその場で頭を垂れて、深い深い溜息を吐く──もうこの人には何を伝えても無駄だ、そう思いながら僕は静かに布団を片づける……もうこの人と会話して、完全に目が覚めた……さぁ、この後は本の解読か……僕は頭を掻いて、布団を片づけた後、ご飯を摂る為に食卓へと移動する──果たして魔理沙はアリスが来ている事を知っているのだろうか? 僕はそう思いながら食卓への道中を歩く──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.56 )
- 日時: 2017/08/20 22:11
- 名前: 彩都 (ID: XGjQjN8n)
深紅に染まる指先、そして指先から爪へと滴り落ちる紅き雫──その紅き雫を舌舐めずりの様に舐め取って、静かに睨む。
目の前にいるのはメイドの格好をした羽が生えた存在──妖精だ──だった、その存在の格好は白いエプロンを纏っていたが、紅き雫を舐め取った存在の攻撃により、白いエプロンは深紅に、濃い紅へと染まっていった──
「ど、どうしたんですかお嬢様!?」
妖精の悲鳴を聞きつけた銀髪の少女──十六夜咲夜だ──は現在の惨状を見て、『お嬢様』と呼ばれた紅き雫を舐め取った存在に言う。
そして十六夜咲夜の姿を見て、紅き雫を舐め取った存在はゆっくりと言葉を発した。
「……今から」
「今から?」
十六夜咲夜は紅き雫を舐め取った存在の言葉を繰り返す、そして紅き雫を舐め取った存在は高らかに宣言する。
「今から! この『幻想郷』に血の雨を降らそう! 数十年間も『何もしなかった』のではない! 数十年間も『力を蓄えていた』だけだ! 今! ここに宣言する! 我が紅魔館の主、『レミリア・スカーレット』は、『幻想郷』に血の雨を降らせ、『幻想郷』という空間を支配する! 『幻想郷』の住人は皆、我が『レミリア・スカーレット』という名を聞いただけで、身を縮こまらせ、畏怖! 恐怖させる事を此処に誓う! そして私に従う者! 急いで武器を取れ! 今から『幻想郷』を攻撃するのだ! 躊躇も躊躇いもない! さぁ! 急ぐのだ! 『レミリア・スカーレット』に従う者よ! 楽しみだ! 『幻想郷』を支配する時よ! 笑いが止まらん!」
「……は、はい……? お、お嬢様? 急にどうしたんですか?」
紅き雫を舐め取った存在──レミリア・スカーレットだ──はそう言って高笑いをしながら前に進む、そんな中十六夜咲夜だけが一言たりともレミリア・スカーレットの言葉の内容を理解出来なかった。
支配? 攻撃? 血の雨を降らせる? 一体何を言っているんだ……? 十六夜咲夜は不思議に思いながらその場で立ち尽くす事しか出来なかった、そしてレミリアは紅魔館のテラスに出、上空を見上げる、空は曇り模様で、太陽は雲に隠れていた──まるで雨が降りそうな天気だった──
「よぉ、華扇? アリスの起床方法に驚いたか?」
「えっ……?」
僕は食卓に座って茶を啜る魔理沙を見て、驚愕する。
「ま、まさか、アリスが来ていた事はもう知っていたって事? もしかして僕の起床が遅いからアリスに起こしに来てもらったの?」
「どうだかな? 私はただ朝っぱらからアリスが来たから家に入れただけだが?」
「入れた所為で僕がどんな酷い目に遭ったか……知らないだろう?」
「知る気もない」
「え、えぇ……」
魔理沙に今朝の事を話す、だが魔理沙には興味がない様で適当にあしらわれる。
すると僕の寝室兼解読室からアリスが現れる。
「あら、もう魔理沙と出会ったの華扇? 早いわねぇ」
「早いぃ? そんな事より、今は普通に起こしてもらう方法を話していたのだけれど?」
僕がアリスにそう言うと、魔理沙は口の端を歪ませてアリスに言う。
「華扇が言うには『もっと激しくして起こしてほしい』んだそうだ、だから華扇の腰の近くに座って、揺らして起こしてみたらどうだ?」
「おっ!? お前!?」
流石にそれはダメではないか? だ、だって僕の性別がバレるぞ!? 僕は冷や汗を流しながら魔理沙を睨むと、魔理沙は悪い顔をして笑っていた、コイツ……と、僕が思っていると、アリスが笑顔で言う。
「魔理沙、貴女たまには良い事言うじゃない! じゃあ明日からそうしましょう!」
「いや! いやいやいやいや! ちょっと待ってよ! もしもトイレが近かったらどうするの!? アリスが僕の腰に座った瞬間に僕がお漏らししてもいいの!?」
僕が何とか回避しようとすると、アリスが言う。
「大丈夫よ? 優しく乗るから」
「乗るってどう言う事だ!? 座るって話だろ!? 何で乗るんだ!?」
僕が怒鳴り声を上げてそう言うと、魔理沙はお茶を飲み干して僕に言う。
「まぁまぁ、落ち着けよ、アリスだって冗談で言っているんだよ」
魔理沙がそう言って横目でアリスを見る、だがアリスは衝撃的な事を言う。
「えっ? 全部『本気』だけど……?」
「…………」
「…………」
アリスの発言を聞いて、魔理沙が僕の首根っこを掴んで、風呂場へと運ぶ。
「おいおいおいおい!? どう言う事だ!? こんなアリス、私の知っているアリスじゃないぞ!?」
「僕だってアリスとあまり関わっていないから『そうだ』とは断定出来ないけど……魔理沙も遊んでないで助けてくれよ! だから言ったろ!? 『僕がどんな酷い目に遭ったか』って!」
「私もあそこ迄とは思わなかったんだよ! どうせ冗談混じりに言っているんだろ感覚だった!」
魔理沙が声を荒げると、空を切る音が外で聞こえた、そしてその瞬間、『ドンッ!』という巨大な音が風呂の近くで起きた、僕と魔理沙は急いで風呂場を出て、家を出る、家を出て、音の方へと向かう、すると其処に居たのは、人形を出しているアリスと紅き槍を持っているレミリアだった。
「れ、レミリア……? どうして此処に? だって此処は魔法の森……妖怪とかが立ち寄らない場所……」
「い、今は立ち寄らないとかは関係ない、今は『何故、此処に来たか』ってのが重要だ……!」
魔理沙がそう言って、僕の前に手を出す、僕は手を出すなってか。
「吸血鬼・レミリア・スカーレットね……どうして此処に?」
人形を出しているアリスが言う、するとレミリアが僕達三人に向かって言う。
「そんなの簡単だ人間共……我が紅魔館の主、レミリア・スカーレットは『幻想郷』を支配する為に動いているのだ、少しでも邪魔なモノは壊しておくのが、支配の基本だろう?」
「…………」
僕はレミリアの発言を受け、驚愕する、レミリアってこんな事をするか? いや、今迄の事を考えたら、それは『有り得ない筈』だ! 僕はそう思いながら宙に浮くレミリアを見つめる──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.57 )
- 日時: 2017/08/20 22:11
- 名前: 彩都 (ID: XGjQjN8n)
「……!」
僕はとりあえず、戦闘態勢になる、するとレミリアが僕を見つめ、言葉を発す。
「お前が……私の妹、フランドールを助けた者、だったな……」
「華扇だ」
「華扇、か……覚えておこう、だが、私の計画を邪魔するのなら……抹殺も考える」
「……たしかレミリアの計画って、『『幻想郷』の支配』だったよね?」
「あぁ……それがどうかしたか?」
僕はレミリアの発言を受け、強い眼差しでレミリアに言う。
「巫山戯んな! 『幻想郷の支配』だぁ!? そんなもん、僕が阻止する! 僕が無理なら霊夢! 魔理沙! アリス! 早苗! 諏訪子! 神奈子! 色々な幻想郷の住人がレミリア、お前の野望や計画をぶち壊す!」
「…………口が過ぎるぞ、ガキが」
僕が怒鳴った後、少しの間が経って、レミリアが威圧する、僕はあまりにも強い威圧で体が固まってしまう、これが吸血鬼・レミリア・スカーレットの威圧! 僕はレミリアの威圧を肌で感じて恐怖する……するとレミリアが言葉を続ける。
「華扇、と言ったな? 貴様は『僕が阻止する』と言ったな? という事は『私の計画の邪魔をするモノ』だな?」
「……そ、そりゃそうだけど?」
僕がそのまま答えると、レミリアは僕を睨みつけて発言する。
「だったら……抹殺だ」
レミリアはそう言って、一瞬で僕の目の前に移動し、殴りかかる、だが横から人形の攻撃をするアリス、な、何とか助かった、僕がそう思い、アリスが作った隙を突いて、レミリアから逃げる、すると片手で簡単にアリスの人形を壊したレミリアが僕に向かって紅き槍を投げる、だが、魔理沙が僕の背後に立ち、八卦路からビームだか光線だか分からない攻撃を放ち、槍を消し飛ばす。
「華扇を抹殺なんてさせない!」
「そうよ! 彼女には私ともっと戦ってほしいもの!!」
「何つー本音だアリス……」
僕がアリスの発言にツッコミを入れると、二回も攻撃を防がれたレミリアが言う。
「ふむ、二回も防がれては、吸血鬼として名が恥じるな──華扇と言ったな? 今日の所は見逃してやる、だが、今度会ったら……抹殺だ」
レミリアはそう言って、僕達の前から消える──そして曇っていた天気がゆっくりと日の光を照らし始める、な、何とか僕は生き延びたのか……僕はそう思いながらその場で尻餅をついて、一気に息を吐く、すると魔理沙、アリスも胸に手を置いて、一気に息を吐いていた、二人共緊張していたのかな? 僕はそう思いながら二人に声を掛ける。
「だ、大丈夫? アリス、魔理沙?」
「だ、大丈夫なんてモノじゃないわよ……流石吸血鬼、威圧が凄かったわ
……気を抜いていたら、完全に死んでいたわ……」
「た、確かに……前の『異変』の様に恐ろしかったぜ……」
「…………」
二人の言葉を聞いて、僕は眉を顰(ひそ)めて、無言になる、ぼ、僕の所為だ、僕の所為で二人がこんな目に……!
「おい、そうやって『自分が悪い』とか思うな?」
不意に聞こえる魔理沙の声、次にアリスが言う。
「そ、そうよ……貴女は何も悪くはないわ……だって、悪いのは『異変』を起こす存在そのモノなんだから……逆に貴女は勇気があるわ」
「ゆ、勇気?」
「あぁ、そうだ……『私達は何も言えなかった、だけど華扇、おまえ一人だけがあの威圧された空間の中で口を出したたった一人の張本人』なんだ……『勇気がないとあんな行動は出来ない』よ……」
「え、えぇ、魔理沙の言う通りよ……あの威圧された空間の中でレミリア・スカーレットに力強く言ったのは貴女、華扇のみなのよ……!」
僕は二人の言葉を聞いて、首を横に振る。
「そ、それは違う! レミリアが前に来た時、助けてくれたのはアリス、君じゃないか! そして僕はアリスの人形が前に来て、隙が出来たからあの威圧された空間から逃げた……! 完全に僕は卑怯だ! レミリアに姑息な手で逃げた卑怯な存在だ!」
「それは違う!」
僕の声をかき消して、魔理沙が怒鳴る、次にアリスが僕を見つめて言う。
「そうよ! 私は華扇、貴女が襲われそうだから救っただけ! 卑怯だなんて思っていないわ!」
「アリスの言う通りだな……華扇、三人の中で一番弱いのは、華扇、お前だ……そしてお前の能力は『元に戻す』能力、レミリアも何かがあって、フランドールみたいになっているだけだと思う……だから、レミリアを救えるのは『華扇、お前ただ一人』なんだよ」
「僕……一人……? な、何を言っているんだよ、魔理沙やアリス、霊夢、早苗、神奈子、諏訪子だって居るじゃないか! 最悪紫、藍達が……!」
僕が泣きそうな顔を必死に堪えながら二人に言う、すると魔理沙が力強く言う。
「『フランドールの時はどうだった』んだ? お前がフランドールに触れて、元に戻ったじゃないか」
「!!」
魔理沙の力強い言葉を聞いて、『確かに』、と思ってしまう……確かにあの時、僕が右手で触れなかったら……もっと被害は拡大していた筈だ、だけれど、『僕がフランドールに触れて元に戻した』からこそ、被害が収まった筈だ、だから……今のレミリアを救えるのは『僕のみ』となる! フランドールの時と同じか分からないけれど、僕の右手で救える存在が居るのなら、『全部、全員救いたい』! 僕はそう思いながら、ゆっくりと立ち上がって、アリスと魔理沙に言う。
「有難う……二人共、僕が、僕が頑張ってレミリアを救う! この右手に賭けて!」
僕はそう言って高らかに右腕を上に上げる、そして僕は右手に誓う、『レミリアを救ってみせる』と……!
- Re: 東方崩壊譚 ( No.58 )
- 日時: 2017/09/17 22:06
- 名前: 彩都 (ID: kEC/cLVA)
東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第三章 第三話 茸と魔法と人形遣い
CHAPTER 3 運命を操る程度の能力 レミリア・スカーレット
僕と魔理沙、アリスは、今朝のレミリアの襲撃の疲れを癒すべく、『霧雨魔法店』で休憩を取っていた。
僕は体力を『元に戻』して、すぐさま紅魔館に迎えるが、魔理沙、アリスの事を思い、休憩を取る事にした。
「さて、どうする? バカみたいに突っ込んではダメだからな、アリス、何か案は?」
魔理沙はそう言ってアリスに案を聞く、するとアリスは両手を顎に当てて魔理沙に向かって言う。
「そうね……これはどうかしら? 『人形を使用して紅魔館を爆破させる』とか? 太陽に晒して自然消滅、とか?」
「待て待て待て待て! 怖い! 怖いですアリスさん!?」
「やっぱり?」
「でしょうね!」
アリスの発言に自分はツッコミを入れる、そして魔理沙に聞く。
「んで、発言者の魔理沙は何か案が?」
「そうだな、『マスタースパーク』で紅魔館を攻撃して、太陽に晒す──」
「お前もか! お前もか!」
自分はそう言って、その場で溜息を吐く。
「お前等どういう思考回路してんだ!? 紅魔館は壊さない方向で!」
「えぇっ!? それは難しい!」
「えぇ……!」
「爆破と破壊に力を注ぐな!」
自分はそう言って魔理沙とアリスに怒鳴る。
全くどういう考えをしているのか……自分はそう思いながら自分の考えを述べる。
「そうだなぁ、僕の考えとしては、やはり正攻法で突破、更に一気にレミリアの部屋に突っ走って、すぐさま触れて能力発動、って感じかな? スピードに関しては魔理沙の箒に乗ればいいし」
「成程、私を足にするってか」
「うん」
「それじゃあ弾幕勝負出来ない!」
「すんな!」
自分はそう言って、魔理沙に怒鳴る、あーもう! 何でコイツ等こんなに攻撃的なの!? 自分はそう思いながら右手を見る。
「うーん……もっと確実な方法がある、と考えれば良いが……実際問題、ないんだよなぁ、はてさて、どうすれば……」
自分はそう呟いて顎に手を当てる、一体どうすれば……そう思っていると、アリスが自分に言う。
「それじゃあ侵入とか?」
「それだ! 侵入さえすれば、後はこっちのモノ!」
「でも侵入する方法は? 紅魔館に侵入するとかあの門番を倒さないと……」
「あぁ、そうか」
アリスはそう言って顎に手を当てる──正解、それでいいんだ、侵入すればいい! 自分はそう考えて、魔理沙に言う。
「いや、侵入で良い、急いで向かわないと! 魔理沙、急いでくれ!」
「はぁ? 他に考えがあるのか?」
「ない、だけれど、侵入は違う意味で正攻法だ、何故なら『門以外で侵入すればいい』からね」
自分の発言を受けて、魔理沙が不思議がる。
「はぁ? 何を言っているんだ? ってあぁ、そうか、言いたい意味が分かった」
「分かった? 何の話?」
僕と魔理沙の話に割って入るアリス、魔理沙はアリスに説明する。
「つまりはさ、『門以外守っていない』って事なんだよ、門番って仕事は……」
「なぁるほど、裏口で侵入すると?」
「そう言う事」
自分はアリスにそう言って、頷く、そして自分は魔理沙の箒に乗って、紅魔館に向かう──
そして自分とアリス、魔理沙は紅魔館へと来ていた。
次に魔理沙に箒で飛んでもらい、裏口を探す、逆に箒で一人一人運ぶののは危険だ、見つかってしまう場合がある。
なら一気に裏口から入って侵入した方が早い。
少し落ち着く為に深呼吸をしていると、魔理沙が戻ってきて、自分達に言う。
「裏口は見つけた、だけれど……」
「だけれど?」
「裏口は『水の中』なんだよ、『霧の湖』だ」
「……水の中だと濡れるよね?」
自分がそう言うと、魔理沙が言う。
「何の為の『元に戻す』能力なのか?」
「三人の為に乱発するのはよしてよ?」
「そうよ、華扇ちゃんの言う通りだわ」
自分の言葉に対し、アリスが参戦する、すると魔理沙は小声でアリスに言葉を投げかける。
「もしも湖の中に入ったら、華扇が濡れる場面を確認出来るが?」
「……分かったわ、湖を潜って侵入しましょう」
「えっ!? いきなりアリスどうしたの!?」
「背に腹は代えられないわ、お願い華扇ちゃん、私達の為に能力を使用して?」
「……流石にそこ迄言われたら使用するしかないか……分かったよ、能力で戻せばいいんだろ? それじゃあ湖の中に入って移動しようか、魔理沙、案内は宜しくね」
「あぁ、分かったぜ」
魔理沙はそう言って、箒を腰につけて、湖の中へとダイブする、アリスも躊躇わずに湖にダイブ、自分も少し躊躇ってから湖の中にダイブ、そして薄らと見える魔理沙の姿を追って、紅魔館の内部へと侵入する。
そして魔理沙が水面に顔を近づけたので、もうすぐか、と思い、水面に顔を近づける、すると其処は紅魔館の内部だった、そして周りを確認する。
周りは木々と土しかなく、どうやら紅魔館の中に出来た湖──いや、池か? よく分からないが──のようだ。
自分達は侵入してきた所から出、水に濡れる魔理沙、アリスを見る。
こうして二人を見ると、肉付きの差が分かる、魔理沙は全体的に細い、だがアリスは……何も言わないでおこう、自分はそう思い、自分、魔理沙、アリスの順番で能力を使用していく。
さぁ、後は潜入してレミリアに触れるだけ、自分はそう思いながら紅魔館の館を見つめる──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.59 )
- 日時: 2017/09/17 22:07
- 名前: 彩都 (ID: kEC/cLVA)
湖から侵入してきて早々魔理沙が魔法で紅魔館の壁を壊し、侵入する。
「ま、魔理沙さん? いきなり何を?」
「何って? 簡単だろ? 侵入するんだから壁を壊した」
「…………」
「…………」
魔理沙の行動により、紅魔館の室内から足音が聞こえる、自分とアリスは魔理沙の行動に怒鳴った。
「巫山戯んな! 見つかったらどうする!? 侵入だぞ!? 静かに入ってこそのし・ん・にゅ・う! 分かる!?」
「そ、そうよ! 大胆不敵に侵入するなんて!?」
「いいじゃないか! 侵入出来たんだ、少しは派手めに……」
「流石にこれは派手過ぎる!」
「門番が来るわ!」
自分とアリスの言葉にタジタジになる魔理沙。
「い、良いじゃないか、侵入出来るんだし」
「そこで被害を出すなよ!? あーもー後で能力を使って『元に戻
』そう……」
「何で私達の濡れた服には厭で、壁の崩壊には寛容なんだよ?」
「寛容じゃないし、更に君の行動は崩壊ではなく破壊だけど?」
「って、言い争っている場合じゃないわよ二人共! 早く侵入しなきゃ!」
「あ、あぁ、そうだな……」
「全く……魔理沙は暴走列車かよ……」
自分はそう言って紅魔館内部へと侵入する、すると侵入した場所に咲夜が現れる。
「あっ」
自分がそう言うと、顔を赤らめながらプンスカ怒る咲夜。
「あぁっ!? 貴方達ね! 壁を壊したのは!」
「おう、そうだが? 丁度目の前に壊しやすそうな壁があったもんでねぇ?」
「壊さないでよぉ! 修復するの、案外大変なんだからぁ!」
「大丈夫だぜ、華扇の能力を使用すれば、あっという間に直るし」
「そう言う問題じゃないんだけどね……」
魔理沙の発言に自分は溜息を吐いて、右手の能力を使用し、紅魔館の壁を『元に戻』す、すると泣いて感謝する咲夜。
「有難う! 華扇君! もう私達の館に住まない!?」
「何でこの人こんなに泣いているんだろう?」
「目の前に破壊者が居るからでしょ? 何度も何度も破壊されているから、怒るを通り越して泣いているのよ」
アリスの発言を聞き、『成程』と思う、そして泣いている咲夜を見て、『こちらを見ていない事』を確認し、そそくさとレミリアの許へと向かう。
そして魔理沙に紅魔館内部を案内され、レミリアの部屋に辿り着いた。
前にも来た事があるが、そう簡単には覚えられないよね、館だし、広いし。
「入るぞー」
魔理沙がそう言ってレミリアの部屋に入る、すると玉座に頬杖を掻き、座るレミリアがいた。
「何とも早い到着だ」
「まぁな、お前にはあまり攻撃されていないからな、体力は有り余っている」
「ふん、その言葉、何れ後悔するぞ?」
「後悔すればいいさ、『何れ』の後、後悔は忘れているだろうからな」
魔理沙はすぅ、と息を吸って、レミリアを睨む、魔理沙の高出力攻撃により、ふらついたレミリアに僕の能力を使用する、という算段だ。
だが上手く行くか? と言うのが問題だ、いや、これは『上手く行かさなければならない』のだ、行く行かないの問題ではない。
そう思っていると、いきなり魔理沙が動き出す、遂に戦いが始まる……自分はそう思いながら右手に力を込める。
「いきなり全力で行くぞ!」
魔理沙はそう言って八卦炉を懐から取り出し、レミリアに攻撃を仕掛けようとする、だがレミリアは魔理沙の目の前に瞬時に移動、其処から八卦炉を掴む腕を掴み、簡単にへし折る。
レミリアの行動に驚いた魔理沙は避ける事さえ出来ずに骨折させられ、悲鳴を上げる。
「ひっ……ぎゃあああ!」
「まっ、魔理沙!?」
アリスが叫ぶ、だがこの距離では自分の能力の範囲内ではないし、能力を使用する事も無理だ。
そして次の標的はアリスだった。
レミリアは高速移動し、アリスの首を右手で掴む、しかも強い力で。
「うっ……!」
「呼吸が出来ないだろう? これが人間、貧弱だな、『呼吸が出来ないと死ぬ』という所が実に弱い、だから人間は弱い、と言われるのだ」
「ぐぅっ……」
アリスは静かに呻いて、自分の手を見る、そしてアリスが言う。
「そっ、そう簡単に……捕まると思って?」
アリスの発言の後、スカートから人形が現れ、レミリアの顔に引っ付く、そしてアリスは渾身の力で左手に拳を作る、するとレミリアの顔面についた人形が爆発する。
自分は数秒の出来事に驚愕を隠しきれない。
「……どうかしら? 私の人形達は?」
「…………」
「返事がないようね、そりゃあ顔を潰されたもの、上手く喋る事は出来ないわよね?」
「…………」
無言のまま刻一刻と時が過ぎる、可笑しい、『どうして無言のまま動かない』のか? レミリアに触れる絶好のチャンス、と思って自分は静かに近づき、右手を前に出して、レミリアに触れようとする、するとアリスが叫ぶ。
「まだ触れちゃダメ!」
その言葉と同時に左手で自分の右手首を掴むレミリア、するとレミリアが言う。
「ククク……この時を狙っていた! 甘いぞガキが……!! 私に一矢報いる事が出来なくてなぁ!」
そう言ってレミリアは自分の右手首を掴む手を手前に引っ張り、腕に移動させて、魔理沙と同じように右手、いや右腕をへし折ろうとする、その時、自分はレミリアが自分の手首を引っ張って、腕に移動させた瞬間の隙を狙って、レミリアの腕を掴んでいたのだ。
そして自分は『元に戻す』能力を使用する──これでレミリアも『元に戻』る……そう思いながら心の中で安堵した──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.60 )
- 日時: 2017/09/17 22:07
- 名前: 彩都 (ID: kEC/cLVA)
「お前こそ、終わりだ、レミリア!」
自分はそう言って能力を発動しようとしたその瞬間、レミリアは『左手を少し回転させ、自分の右手から離れた』のだ、なので、『能力の使用は失敗となった』のだ……! くそっ! 大チャンスを……! 自分は無に……! そう思い、自分は膝から崩れる。
「危なかった……」
レミリアはそう言って『両手を揺らす』、ん? 両手を揺らす? じゃあアリスは……? そう思っていると、自分の隣で胸に手を当て、荒い呼吸をするアリスがいた。
「た、助かったわ……」
「あぁ、よかった……でもどうする? 案外簡単に避けられたな、当の魔理沙はあれだし……勝てなさそう」
「いや、まだ勝てる可能性はあるわ、まだまだ!」
アリスはそう言って、レミリアの方へ走って向かう。
アリスの作戦は何だろうか? そう思いながら自分はアリスを見つめる。
するとアリスは大量にスカートの中から人形を出し、レミリアの方へと向かわせる。
「!? まだ人形が!?」
アリスの行動に驚くレミリア、そしてアリスはレミリアを見ながら指先を器用に動かし、人形達を操っていく。
そして人形達はレミリアの四肢に引っ付く、まさかとは思うがもう一度同じ手でも使うのか? と思うと、アリスは人形達を爆発させる、矢張り同じ手だったか、でもレミリアに同じ手とか通用するのか? そう思っていると、煙の中から服がボロボロのレミリアが現れる。
スカートもボロボロで、スカートの中のドロワーズが丸見えだ。
「な、中々に強い爆発だな……でも私にはあまり通用しなかった──」
その瞬間、レミリアは急に右の方へと移動する、自分達はレミリアが『左の方向へと吹き飛んだ』と認識していたが、レミリアの中では『右に移動した』と認識していたのだろう、レミリアが突然の出来事に叫ぶ。
「なっ……っっ!? 何故私が『右に移動した』のだ!? 移動していないぞ!?」
「なぁに言ってんだお前……『頭を確認して見ろ』よ?」
不意に聞き慣れた声が聞こえる、自分は右の方向を見て驚く。
聞き慣れた声は魔理沙だった、そして左手を地面に着く迄下げて、息を切らしている、それはどうしてだろうか? そう思い、自分は魔理沙に言う。
「ま、魔理沙……どうして左手を地面に着く迄下げているの? ていうか何で息切れを……?」
「あぁ? んなもん簡単じゃねぇか……レミリアをよく見て見ろよ」
「えっ? レミリアを……? 急にどうし──あ」
自分は魔理沙の言われるがままにレミリアを見る、すると自分は『魔理沙が左手を地面に着く迄下げて、息切れしている』理由が分かった。
何故左手を地面に着く迄下げているのか? それは案外簡単な問題だった、レミリアの頭に『箒の柄が刺さっている』からだ、そう、魔理沙は『左手で思いっきり箒を投げた』のだ、そして息切れしているのは体力を消費した、という事、魔理沙……君って奴は……隙を突く為に自らを犠牲にして……と、自分は感心する。
そして自分は走ってレミリアの方へと移動する。
「レミリア、これで終わりだぁ!」
「くっ……! こんなモノ……こんなモノぉ!」
レミリアはそう言って頭に刺さった箒を抜こうとする、だが中々抜けない、それ所か『逆に深く刺さっていく』のだ、すると魔理沙がニヤリ、と笑う。
「甘いぜレミリア……! お前の力だと簡単に抜ける事位理解してらぁ……だから少しばかりの『小細工』をさせてもらったぜ?」
「こ、『小細工』だと……!?」
魔理沙の発言に驚愕するレミリア、そして魔理沙が淡々と述べる。
「私は魔法使いだ、だからこそ、『小細工』は大量にしておくもんだ、では今のお前にした小細工とは何か? 答は簡単だ、『箒の中に八卦炉を仕込んだ』んだよ! これで箒は八卦炉の力を得、奥へ奥へと突き刺さる! これで終わりだ、レミリア……」
魔理沙がそう言って、自らの右手に包帯を巻く、そしてレミリアは叫ぶ。
「くっ、……くそぉぉぉ!!」
レミリアが叫ぶ中、自分はレミリアの顔面に向かって『元に戻す』能力を使用した──これで……何もかも終わりだぁ!
「本当にいいのか?」
「いいよいいよ、右腕の骨折位私が原因だし」
「いや、右手で戻せるけど?」
「戻しても無駄だ、骨折の痛みは忘れたくないからな」
「ふぅん……変なの」
「変なのって……それはお前の事だろ? お前は巫女じゃないのにそんな巫女装束なんか来て……」
「う、う、う、煩いなぁ! 僕だって霊夢みたいな巫女になるんだよ! ──いや、巫覡(ふげき)か──さぁて、終わったね、レミリアの事」
「いきなり話が変わった……まぁ、良いが、確かにレミリアは終わったな」
自分と魔理沙がそう言って、箒に頭を刺したままのレミリアを見る。
さぁ、箒の中の八卦炉を止めて、箒を抜いて、能力を使用しないとな……自分はそう思い、魔理沙に言う。
「さぁ、魔理沙、さっさと箒の中の八卦炉を止めてよ?」
「えっ? あぁ、そうだな、忘れてた」
魔理沙はそう言って、箒に近づき、八卦炉の電源を落とし、箒の進行が止まる、そして自分と魔理沙、アリスと共に壁に刺さる箒を抜き取る。
そして頭から箒を抜き取って、レミリアを見つめる。
右手の能力を二回使用すれば、レミリアは元に戻る……自分はそう思いながら深呼吸し、箒を抜いた穴から、自分の能力を使用する──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.61 )
- 日時: 2017/09/17 22:08
- 名前: 彩都 (ID: kEC/cLVA)
「…………」
自分はまず、箒によって押された脳内を『元に戻』し、次に親指と小指で穴に触れ、二度目の能力発動、これで脳内は綺麗さっぱり元に戻った
。
次にレミリアの左手に触れ、能力を使用、これで全部全部終わった筈だ……そう思っていると、部屋の出入口から咲夜が現れる。
「こら! 無断でお嬢様の部屋に入らない!」
「咲夜、少しだけ話がしたい」
自分はそう言って、レミリアの事を聞き出そうとする、すると咲夜が自分に言う。
「……分かったわ、でも無断でお嬢様の部屋に入らない事、良いわね?」
「今回は仕方なかったんだよ、なぁ?」
「でもこの部屋に侵入したのはお前なんだよなぁ、華扇」
「そうね、この部屋に侵入する事を提案したのは華扇ちゃんね」
「…………慈悲はないってか」
自分はそう言って、咲夜の前に移動する。
「今は僕の話を聞いて答えてほしい、急を要するかもしれないからね」
「えっ? 急を要する?」
「まぁ、話を聞いたら分かるよ……では、言うよ? 最近レミリアに異変はあった?」
「……あったわ、最近急に『幻想郷を支配したい』とか言ってきて……」
「そうか……矢張りフランドールの時と同じなのかもしれない……」
自分がそう言うと、咲夜が驚く。
「えっ? フランドール様と同じ? それはどういう──」
「実は『目が赤くなっていた』んだ、『フランドールが暴れた時の様に』ね……」
「……成程、それで話は終わりかしら?」
「まぁ、基本的には、また話を聞くかもしれない事は理解してくれ」
「面倒だけど分かったわ、それでは華扇、ちょっと来て?」
「えっ? 何で?」
「無断で館に侵入した罰と壁を壊した罰と、勝手にお嬢様の部屋に入った罰」
「待て待て、最後のはレミリアを止める為には仕方のなかった事だ、許せよ、最後位」
「無理よ、それが『罰』だから」
「……魔理沙ぁ、アリスぅ、助けてぇ!」
自分がそう叫ぶと、アリスと魔理沙は談笑していた。
「そういや昨日霊夢がさー」
「ウフフ、巫女なのに面白ーい」
「…………本当に慈悲はないんだな」
自分はそう呟いて、咲夜に引っ張られる──僕は何処へ連れて行かれるのやら? 自分はそう思い、溜息を吐く──
…………さて、僕は何処にいるでしょう? 答は簡単だ、お風呂場である、自分は布を股間に当てて、周りをきょろきょろと確認する。
鏡がある、鏡の近くにはシャワー、シャワーの近くにはシャンプー、リンス、石鹸が。
大きな湯船もあり、湯船には湯が張っている、おまけに湯気が出ている、此処は前に咲夜と入った事がある──と言えば語弊があるかもしれないが、事実である──お風呂だった。
「ほら、さっさと体を洗いなさい?」
そう言って背後から咲夜が現れる、咲夜の声に一挙手一投足しそうになる。
「え、えーと咲夜さん? 付かぬ事、あらぬ事を伺いますが、『何故お風呂なんでしょう』か?」
「簡単じゃない、『裸の付き合い』よ……それに色々と話が出来るでしょう、二人きりなら……」
「まぁ、そうなんだけど……畜生、結局湖入ったから風呂に入る運命だったのか、一人で入りたかった……」
「何か言った?」
「いえ、何でもないです、咲夜様と入れる事は至上の喜びで御座います」
「宜しい、それでは背中を流すから座って?」
「はい」
自分は為されるがまま、移動し、座って石鹸を咲夜に渡す、そして咲夜はタオルを濡らして石鹸をタオルで擦り、泡を出す。
「……実はお嬢様があんな感じになったのは数時間前の事なの」
「!?」
いきなりの咲夜の発言に自分はその場で立ち上がり、咲夜の顔を掴んで言う。
「そ、そいつは何者だ!?」
「お、落ち着きなさいよ……私もあまり見ていないから分からないけれど……大まかに言えば、私は門番からその人を渡されたのよ、『この人がレミリア様に会いたがってます』って、そして私は渋々お嬢様にその人物を案内したのよ、そしてレミリアお嬢様に会うや否や、いきなり『レミリアお嬢様と二人になりたい』と言って、私は……そこからお嬢様の性格が変わった、『幻想郷を支配したい』と言う性格にね──」
「ん? ちょっと待って? じゃあその人物はレミリアの性格を可笑しくした後、どうなったの?」
自分が咲夜の回想に横槍を入れると、首を横に振って返答する。
「さぁ……? 私が確認した時にはもう消えていたわ……」
「そんな……」
もう少しで正体が掴める、と思ったのに……するととある事を思い出す自分、自分はその事について、聞いてみる事にした。
「あ、あのさぁ? その人物って『鈴泉・優曇華院・イナバ』って奴じゃなかった?」
「いえ……? それは分からないわ、ご免なさい……私は知るのはこれだけ」
「……そっか」
自分はそう言って、背中を流して貰う為に椅子に座る。
まさか証拠が此処で消えるとは……結構不覚だなぁ、自分はそう思いながら静かに咲夜に背中を流してもらう──
そして自分と咲夜は背中を合わせて湯船に入る……ってかこの描写、この場面、何処かでもう体験している気がするのはどうしてだろう? まぁ、いいか、自分はそう思いながら湯船の気持ちよさを体験する。
やっぱりお風呂は良いなぁ、自分はそう思いながら安堵の溜息を吐く──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.62 )
- 日時: 2017/09/17 22:09
- 名前: 彩都 (ID: kEC/cLVA)
「さて、それじゃあもう上がるわ」
そう言って咲夜が立ち上がる、自分は咲夜に凭れていた所為でそのまま背中から湯船に上半身を浸からせてしまう。
「あががががっ!?」
「あっ」
自分の悲鳴を聞いて、ハッとする咲夜、そして咲夜は自分を起こし、お湯を口から出させる。
「ハァハァ……まさか背中からダイブするとは……人生で初めてだ」
「ご、ご免なさい……うっかり貴方の存在を忘れていたわ」
「うん? 僕は忘れる程の存在なのか?」
「えぇ」
「……僕も出よう」
「あら? もういいの?」
「あぁ、もう十分に浸かったからね」
「あらそう? それじゃあさっさと出ましょう?」
「あぁ、そうだな……」
そう言って自分と咲夜は湯船を出た──そして脱衣所で体を拭き、服を着ようとする、すると咲夜は拳を作り、口に当てて笑う、い、いきなりどうしたのだろう?
「やっぱり男の子なんだね」
「は、はぁ……? いきなりどうしたんだよ? そりゃ僕は男ですけれど?」
「そうじゃないわよ、だってチラチラ私の裸や下着を横目で見ていたじゃない、気付いているわよ?」
「…………」
「あら? どうして無言で私を見ないの」
……図星だからに決まっているじゃないか、自分はそう思いながら、巫女装束を着用していく。
「ねぇねぇ? 何で見ていたのかなぁ? 何でだろう?」
「…………」
「無言で接するのは悲しいなぁ?」
「…………服を着替え終わったので、魔理沙達の所に戻りま」
「待ちなさい? 私はまだ『罰』を与えていないんだけど?」
「……逃げます」
自分はそう言って脱衣所を出る、走って走って走りまくる。
そしてレミリアの部屋のドアを開ける、すると目の前に玉座に座り、頬杖を掻くレミリアがいた。
「た、助かった……レミリア! 咲夜を止めてくれ! 咲夜は僕を襲おうと!」
「……今、話しかけないでくれる? 今迄の行動に自己嫌悪中だから」
「あっ、はい」
自分はそう言うと、走って咲夜が現れる。
「待ちなさい! って、お嬢様!? 元に戻った!?」
「……えぇ、元に戻ったわ、その事に対して、華扇、感謝をするわ」
「あっ、うん」
「でも、まさか私が不覚に操られると……幻想郷はどうなっているのかしら?」
「さぁね? でも、僕が居るから安心してほしいね、どんな事でも『元に戻』せば大丈夫だし」
自分がそう言うと、レミリアは静かに自分に言う。
「……でも、その能力が『寿命を削っての発動』なら、気をつけた方がいいわよ」
「いいよ、寿命なんか、気にせず使う、だって自分はこの幻想郷が好きだ、幻想郷の為なら命だって捨てる」
「……そう、でも今日はもう気分が優れないから帰ってくれる? 良いおもてなしと謝罪が出来なくて済まないわね」
「別に? レミリアが元に戻って僕は嬉しいよ」
「えぇ、そうね、でも私の人格を操った存在を木っ端微塵にする迄私は元に戻れないかもね?」
「おいおい、僕の能力を使いたくなるような発言はよしてくれよ……それじゃあ魔理沙、アリス、帰ろうか」
「まぁ、帰ってくれって言われたから帰るが……レミリア、お前気をつけろよ?」
「……貴方に助言される日が来るとは……紅魔館の主、唯一の失態かもしれない」
「それじゃあ二人共帰りましょう? これ以上居ても彼女の気分を損ねるだけ」
「確かに、それじゃあレミリア」
「えぇ、さよなら三人共」
自分はそう言って、紅魔館を離れる──ふぅ、終わった終わった……後は魔理沙の本の魔法を覚えるだけ──
帰宅途中、自分はアリスに話しかけられる。
「ねぇねぇ、華扇ちゃん、今度は私の所で魔法を特訓しない? 人形を操る魔法も覚えられるわよ?」
「それは面白そうだなぁ、一週間って言っているし、まだまだ時間はあるよね」
「おいおい、スカウトかよ」
「いや? それは違うわ、勧誘ね」
「いや、スカウトとほぼ一緒な気がする……」
「まぁ、何はともあれ、華扇ちゃんが私の家に来るとなると、毎日が楽しくなりそうね」
「アハハ、それは嬉しいなぁ」
自分はそう言って、アイスの家に行ける事を喜ぶ。
これで色々な魔法が覚えられる……! 一回アリスの人形を操ってみたい、と思っていたんだよなぁ、結構人形を操るって面白そうだしね、自分はそう思い、アリスに言う。
「個人的に人形を操る術(すべ)が知りたいなぁ、だって、どうやって操っているか分からないし、大量に人形を操れるし」
「はっ、どうせアリスの人形は他の奴が操ってるって」
そう言う魔理沙に対し、頬を掻くアリス。
「だから一人なんだけどなぁ……それじゃあ華扇ちゃん、魔理沙の家の前で待っているから支度してね?」
「あぁ、分かった」
自分はそう言って、頷く、すると魔法の森の入り口が見える、自分は懐からマスクを取り出し、口にセットする。
さぁ、魔理沙の家に行って支度しないとなぁ……そう思いながら魔理沙の家に向かい、支度をする──そして魔理沙の家に到着する、ふぅ、魔法の森の入り口から相当遠いなぁ、と思いつつ、自分は魔理沙に借りている一室から荷物を取りに行く、あっ、服も取り入れないと……自分は服を取り入れて、荷物を一纏めにし、部屋を出る、次に玄関のドアを開け、魔理沙の家を出る。
「よし、たった数日間だったが、楽しかったぜ? ちゃんと日にちの事を考えろよ?」
「分かってるよ、それじゃあアリスの家に向かうか」
自分がそう言うと、アリスが頷く。
「えぇ、そうね、それじゃあ魔理沙、魔法の成果を見せる為に数日後、来てほしいわ」
「あぁ、分かった、それじゃあ、ちゃんとアリスの所でも魔法を使える様に特訓しろよ?」
「わぁってる、それじゃあアリスの家に行こう」
自分はそう言ってアリスの後ろをついて行く──アリスの家ではどんな魔法を教えてもらえるだろうか? 自分は総思いながら一歩一歩を進んでいく──
第三章 完
第三話 完
CHAPTER 3 終了
第四章 第四話 CHAPTER 1 に続く──