二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 東方崩壊譚 ( No.64 )
- 日時: 2017/10/15 21:59
- 名前: 彩都 (ID: ZFLyzH3q)
東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第四章 第四話 デンジャラス・アリス・ワールド
CHAPTER 1 アリスの料理は美味しい
アリスに案内されて、数十分が経った、魔理沙の家から結構離れているな、と思うと、急にアリスが立ち止まる。
「到着したわ、此処が私の家よ」
そう言って、アリスは自分の家を見せる、おぉっ、結構広く見えるな、と思う。
「へぇ……綺麗だね、まるでアリスの肌のよう」
「あら? 煽(おだ)てても何も出ないわよ? それじゃあ家の中に入りましょう? 華扇ちゃんだってマスクはキツいだろうし」
「あぁ、そうだね、そうさせてもらうよ」
自分はそう言って、案内されるがままに、アリスの家へとお邪魔する
事にし、室内へと入る。
アリスの家の中はとても綺麗で、魔理沙、霊夢の部屋とは違い、結構広かった。
「此処が……すごく綺麗だねぇ、魔理沙より片付いている」
「そ、そりゃそうでしょ……? だって私は元人間! 魔理沙みたいにだらしなくはないわ!」
「えっ?」
アリスの発言に自分は驚いてしまう、まさかこんなに美しいのに元人間……という事は? 『今のアリスの種族は何なんだ』……? そう思っていると、口に手を置いて、笑うアリス。
「ウフフ、女性に秘密は付き物なのよ? それじゃあ休憩がてらに紅茶でも用意するわね」
アリスはそう言って、人形を使用し、紅茶を飲むティーカップ、ポットを机の上に置き、茶葉も用意する、自分はそんな姿を見て、アリスに言う。
「ねぇ、アリスはどうして人形を浸かって日常の動作をしているんだい? 結構面倒じゃない?」
自分がそう言うと、アリスは頬を掻いて言う。
「まぁ、確かに面倒よ? でも、私は魔法使いになって、まだまだ新米、だからもっと魔法を扱えるようにしておかなくちゃならないからね、だから特訓しているの、『指さえ動かせたら人形を操れる』からね、小さな特訓も大きな特訓になるの」
「へぇ……」
アリスの言葉を聞いて、今の自分では理解出来ないな、と思う、もう少し成長しなきゃ……そう思いながら自分はアリスに案内されて、椅子に座る。
「さて、紅茶を作りましょうっと……華扇ちゃん、紅茶はどうする? 甘いのにする? それともミルクでコクを作り出す? もしくは両方?」
「えっ? ……その前に紅茶を飲んだ事がないんだが?」
自分がそう言うと、アリスは驚愕していた。
「えっ……? それは本当? 魔理沙の家でも、人里でも飲んだ事がない?」
「えっ? あぁ、そうだけど……と言うか紅茶って何? ってレベルなんだけど? 紅『茶』って言うんだから、お茶の一種だとは思うけれど……」
「あぁっ! それはゴメンなさい……紅茶というのは確かにお茶の一種ね、緑茶や普通のお茶より風味が濃くて、お砂糖やミルク──簡単に言えば牛乳ね──を入れて飲むモノよ、色は茶色や赤に近いわね」
「あっ、あぁ、あれかぁ、レミリアの時の……」
自分はレミリアとのお茶会を思い出す、そう言えば自分は飲んでいないから分からないが、確かに霊夢の神社で飲むお茶より色が違った、多分それかもしれない。
「あら? レミリアですって? この前襲ってきたあのレミリア?」
アリスが不思議がるので、自分は説明する。
「うん、実は幻想郷に来た時、自分は紅魔館に行ったんだ、其処でお茶会を……まぁ、自分はお茶会に参加しても、お茶を飲んでいないから……」
自分がそう説明すると、頷いて納得するアリス。
「成程……先日のあの変化の前の出来事、って事ね、よく分かったわ……で、レミリアのあの豹変……『一体どんな事が原因であぁなった』のかしら? 博麗の巫女の格好をしている、という事は華扇ちゃんも博麗の巫女側の存在よね? それならある程度は知っているの?」
「…………」
アリスに話してもいいのだろうか? 自分は少し考えてから、『まぁ、話しても良いか』と考えを至り、アリスに言う。
「……霊夢の考えだけど、『鈴泉・優曇華院・イナバ』という存在がレミリアのような出来事の黒幕なんじゃないかって話は出ているね、でも、僕は……」
「華扇ちゃんの考えは何なの?」
「僕は……『鈴泉・優曇華院・イナバ』じゃないと思う、だって、普通『吸血鬼相手にそんな事をするのか』って考えが……だってフランドールも変化したんだよ? 普通吸血鬼に喧嘩を売るような事をするかなぁ……ってね? 人間か妖怪か、とかは抜きにして、『吸血鬼にそんな事をするとは思えない』んだ……だから僕は違う、と思う」
自分の話を聞いて、自分の前に紅茶を注ぐアリス、アリスは静かに発言する。
「ふぅん……? 確かに華扇ちゃんの言う通り、『吸血鬼相手にそんなことはしない』わよね……あっ、紅茶が出来たから、一回飲んでみたら? 熱いけど」
「……有り難く頂こう」
自分は目の前に置かれた、湯気が出ている紅茶のカップを見、静かに飲む。
……普通のお茶より美味しいな、風味も普通のお茶より濃いし、何より、飲んでいて安心する。
「ウフフ、気に入ったかしら?」
「気に入った? 違うな、好物になった、かな? とても美味しいよ」
「そう? それは良かった、それじゃあ砂糖、ミルクを入れて、個人的に味付けしても良いかもね?」
アリスはそう言って、自分の目の前に砂糖、ミルクを用意する、ふぅむ……どんな味付けにしようか? 自分は砂糖、ミルクを見、少し悩む──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.65 )
- 日時: 2017/10/15 22:00
- 名前: 彩都 (ID: ZFLyzH3q)
「ふむ、それじゃあ砂糖を大さじ一杯、ミルクを一回転して入れようかな」
自分はそう言って、砂糖とミルクを自分の紅茶の中に入れる。
そしてフーフーと紅茶を冷やしてから飲む。
「うん、美味い……! 紅茶、何と素晴らしい飲み物か……!」
自分はそう言って、紅茶に感動する、するとアリスが口に手を置いて笑う。
「ウフフ……華扇ちゃん、貴方やっぱり面白いわね」
「そ、そうかな……?」
自分はそう言って不思議がる、自分はそんなに面白いのか? 自分はそう思いながら時間は刻一刻と過ぎていく──
「あら? もう夕方……? 時が経つのは早いわねぇ」
「えっ? 夕方?」
自分はアリスの発言を聞いて、外を確認する、すると外はオレンジ色と黄色のコントラストだった。
「あぁ、確かに夕方だな……紅茶を飲んで、優雅に過ごしていたなぁ」
「確かにそうね……それじゃあ晩ご飯にでもしますか……」
アリスはそう言って台所に移動する、自分は椅子に座って待機をしていた。
そして数十分で料理は完成、肉料理だった。
「この料理、知ってる?」
「いえ、知りません……」
「そう? これはビーフストロガノフって言うの、昨日暇だから作っていたの、お肉、とても柔らかいわよ」
「へぇ……それでは頂きます……」
自分はそう言って、ビーフストロガノフとかいう料理に手をつける、肉を口に運んで一言、『柔らかい……』だった。
何なんだこのお肉は!? 今迄に食べた事がないぞ……! 早苗の所のご飯と合わせるととても美味しいだろう、と思う、此処に早苗がいないのが悲しい。
「どう? 美味しいかしら? 初めて作ったけど……」
「美味しいですよ! アリスって料理上手なんだなぁ」
「あ、あら? お世辞が上手い子……ほら、まだまだあるし、どんどん食べても良いわよ!」
「あっそう? それなら遠慮なく……」
自分は満足する迄ビーフストロガノフを食べる──そして付け合わせのパンも食べる、パンもそのままでも美味しいが、パンをビーフストロガノフのスープと合わせる事で、より一層美味しく感じた──
ふぅ……結構食べたなぁ、と思い、腹部を擦る、するとアリスが驚いていた。
「うわぁ……鍋のビーフストロガノフの量が半分も……これは明日の朝から仕込まなくては……あっ、華扇ちゃん、話があるんだけど?」
「ん? 話って何?」
自分が不思議そうに返答すると、アリスが本棚から一冊の本を取り出す。
「華扇ちゃんは人形を操りたい、と言っていたわね?」
「えっ? あぁ、そうだな、だってアリスの指捌きは美しいし、自分も美しい指捌きで人形を操りたいしね?」
「そうよね、でも人形はどうするの?」
突然の発言で自分は不思議に思う、いや、人形はアリスから借りる方向だけど……? そう思っているとアリスが首を横に振って言う。
「一応言うけど、私の人形を使わずにね?」
「えっ? それなら僕、人形を操れない……」
「……その為の本よ?」
アリスはそう言って自分に一冊の本を渡す、何だこの本……? そう思っているとアリスが説明する。
「今日から華扇ちゃんはこの本を読んで、人形を作りなさい? 大丈夫、材料は何時も補充しているし、切れる事はないわ、だから安心して人形を作って?」
「えっ? ちょっと待って? も、もしかしてそれって、『本だけを読んで人形を作れ』って事?」
自分が焦り、戸惑うと、アリスは静かに頷く。
「うん、そうよ? まぁたまに教える事はするけれど……人形を操りたければ、自分で作って自分で操るのが普通でしょ? 他人の人形なんか操っても正常に操れるか不安だしね?」
「えっ? いや、確かにそうなんだけれど……」
自分はそう言って、人形を作る難しさを聞く。
「……で、人形って初心者でも作れます?」
「……難しいわね、だから本を読んで特訓を……」
「……!? 初心者じゃ無理って……」
「誰も無理とは言っていないわ?」
「難しいって……それ、ほぼ無理って言っているようなもんじゃんか……?」
「あぁ、もう! そうやって諦めるつもり!? 作る努力もしていないのに?」
「うっ……」
アリスが逆ギレして言う、た、確かにそうだ、自分が本を見て、作って『失敗する』とはアリスは言っていないのだ、失敗してもまだまだ材料はあるのだ、『完成する』迄挑戦するのも良いかもしれない……いや、その前に失敗しても『元に戻』せばいいのか……と考え、アリスに言う。
「……分かったよ、一応は挑戦してみるよ」
自分は机に置かれた本を手に取り、中身を一瞥する……うっ、これも読めない……でも、魔理沙の家から読み方を習ったし、訳を書いている紙もある、時間をかければ何とか解読出来そうだ、そう思っていると、アリスが言う。
「あぁ、そうそう、華扇ちゃんの寝泊まりする場所だけど……こっちに来て?」
「えっ? あっ、はい」
自分はアリスに案内されて、魔理沙の家で寝泊まりした部屋と同様に、何もない部屋に案内される、何もない、と言っても、ベッドはある。
「寝泊まりする場所は此処で良いかしら?」
「えっ? あぁ、いいよ、こんなに物が少なかったら、人形を作るのに集中出来そうだ」
「あら? そうかしら? それじゃあ今日はお休み、寝る時間迄本を読んでても良いわよ?」
「あぁ、そうさせて頂くよ」
アリスはそう言って、部屋のドアを閉める、ベッドがある部屋で一人きり、自分は息を吸っては吐く。
さぁ、まずは解読から始めないとな……自分はそう思いながらベッドに座り、訳が書いてある紙と共にアリスから借りた本を解読する──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.66 )
- 日時: 2017/10/15 22:00
- 名前: 彩都 (ID: ZFLyzH3q)
「ふむ、ふむむ……」
自分は本の文字を解読する為に必死に躍起になっていた。
そして何とか一ページ目の解読に成功する、残りどれだけだろう? 自分はそう思いながら寝転がる。
「結構時間を食ってしまったな……もう少し早く解読出来るように文字に慣れなければ……」
自分はそう呟いて、左腕を両目の上に乗せる、今日は疲れたな、もう寝よう。
自分はそう考えて、ベッドに潜り込み、目を閉じ、寝息を立てる──明日こそ、もっと早く文字の解読が出来たら良いなぁ……そう思いながら自分は睡魔に襲われる──
そして翌日。
「起きなさーい!」
いきなりのアリスの大声で自分はすぐさま起きる、と言うか、アリスってあんなに大声が出せるのか……自分はそう思い、髪の毛を整えてから、部屋を出る。
部屋を出ると、とても美味しい匂いが自分の鼻を突き抜けた、朝ご飯、どんなのだろうなぁ? と思いながら自分は机に向かって、椅子に座る。
すると目の前に斜めに切った茶色の物体があった、更にその茶色の物体の近くには『ジャム』と書かれている。
「何だこれ……? ジャム? 初めて見たなぁ」
「あら? ジャムを知らないの? じゃあパンも?」
「あ、あぁ……朝はご飯だし……」
アリスの言葉に返答すると、アリスが説明する。
「えーと……この斜めに切った茶色の物体はパンって言うの、とても美味しいわよ、そしてそのパンに味を付けるのがジャムという食べ物よ」
「へぇ……」
自分はアリスの説明を聞いて、パンという物に手を付け、一口味見する
。
すると口の中に小麦の味が広がった、何だこれは……? とても美味しい! 昨日食べたビーフストロガノフの様に美味しい……! そう思っていると、アリスが微笑む。
「どう? 味の感想は?」
「と、とても美味しい! 初めて食べたよ!」
「あら? それは嬉しいわね、それでは、ジャムをつけて、食べてみて?」
アリスは自分からパンを取って、ジャムをつける、そして自分の口に突っ込む。
「わぷぅ……甘い! 美味い! 何だこれ!? 初めての感覚だ!」
自分はジャムを付けたパンに驚愕する、こんな美味しい物がこの世にあったなんて……! 自分はそう思い、アリスに言う。
「こ、このパン……何という名前のパンなんだ?」
「それ? それは『フランスパン』という物よ──因みにジャムは手作りよ」
「へぇ、フランスパン、ねぇ……」
自分はそう言って、フランスパンに感銘を受けた。
アリスの家は凄いなぁ、こんなに美味しい物を食べて過ごしているなんて……何だか憧れてしまう。
そう思っていると、アリスがニコニコしながら自分を見る。
「ど、どうしたの……? 僕の顔に何かついている?」
自分がそう聞くと、アリスは首を横に振って返答する。
「いいや? 華扇ちゃんを見ていると食いっぷりが凄いなぁって……それ
程私の料理が美味しいかしら?」
「お、美味しいさ! 霊夢や魔理沙よりもとても美味しいさ! ……でも、早苗の料理も案外美味しいんだよなぁ……甲乙付け難い……」
自分の言葉を聞いて、微笑むアリス、とても嬉しそうだった。
そして自分とアリスは朝ご飯を食べて、栄養をつける──自分は一つ一つを噛みしめて、食べていく──
そして朝ご飯を食べ終わって、自分は満腹になる。
「とても食べたわねぇ? 相当お腹膨らんでいるわね、これじゃあ妊婦さんに間違いなしね?」
「えっ? えぇ、そうだなぁ……」
まぁだ、僕の事を『女』だと勘違いしている、いい加減性別を明かさないとなぁ……そう考えて、自分はアリスを呼ぶ。
「あ、アリス、少し話良いかな?」
「えっ? どうしたの華扇ちゃん?」
「えっと……実は僕の性別の事だ──」
自分が言葉を発そうとした瞬間、アリスが大声で両手を叩く。
「あっ! 人里に買い出しに行かなきゃ……ごめんね華扇ちゃん? 私、買い物に行くから、部屋で魔法の特訓をしていてね?」
「えっ? あぁ、分かった……」
アリスはそう言って、家を出て行ってしまった、あーあ、性別の事が言えなかった……自分はそう思いながら溜息を吐き、静かに寝て過ごした部屋に戻る──
えーと、まず、此処の文字は此処の文字となるから……自分は一人静かに魔法の本に書かれている事を解読する。
この作業が中々に大変なのである、何故なら、『似ている文字が多過ぎる』からである、少しでも見間違えないように三回は確認しないといけない。
だからこそ、面倒なのである。この作業が面倒なので、時間を食うのである。
昨日は寝る前に一ページ解読出来たから、少しは楽になるかもしれないが……そもそもとして、魔法の本に書かれている文字は何度見ても、覚える事が出来ないのだ。
それ程迄に魔法の本に書かれている文字は難しいのだ。
そして何とか二ページ目終了、はぁ……結構疲れたなぁ、一ページ目であんなに疲れたのだ、二ページ目でも相当疲れる、何で魔法の本を書いた一は普通の人間に読めるように訳した本を出さないのか? いや、普通にそう言うのが出回ったら、誰でも魔法が使えるようになってしまうのか、それを阻止する為にこんな小難しい本になった、と考えるのが妥当か、と考える。
いや、それにしても、もっと簡単な文字にしてほしかったな、と思う。
さぁて、こんな事に時間を費やしてはダメだ、三ページ目に目を通すか、自分はそう思いながら三ページ目に目を通す──あぁ、三ページ目も難しい──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.67 )
- 日時: 2017/10/15 22:01
- 名前: 彩都 (ID: ZFLyzH3q)
自分が三ページ目に目を通して、解読をしようとした瞬間だった、玄関が開く音が聞こえる、そして玄関から『ただいまぁ』とアリスの声が聞こえた。
自分はアリスを迎え入れるべく、部屋を出る。
「あっ! お帰り……って凄い荷物だなぁ……」
自分はそう言って、人形一体に一つの大きな袋を持たせているアリスを見る。
「あ、アハハ……華扇ちゃんがよく食べるからね? 華扇ちゃんの胃を満足させるにはこれ位買わないとねぇ?」
「な、何かすんません……」
自分はそう言って、冷や汗を掻きながら謝る、するとアリスが両手を振って返答する。
「うぅん! 謝らなくても良いわよ! よく食べるって事は元気な証拠なんだから!」
「あ、あぁ、そうだな……」
多分男だから女の子であるアリスよりよく食べるんだと思います、自分はそう思いながら人形から荷物を受け取る。
「少しは手伝うよ」
「えっ? いいの? 有難う!」
そう言ってアリスは笑顔になる、うっ……案外可愛いなアリスって……自分はそう思いながらアリスの顔を見ないように荷物を運んでいく。
「……ていうか、こんな所に置いていいの? だって棚に収納するだけだなんて……」
自分がそう言うと、アリスが魔法の森について説明する。
「えーとねぇ、此処、魔法の森ってのは、あまり太陽が入らないから、暗くて、じめじめしているの、だから湿気に気を付けてさえいれば、涼しいわ、なので、湿気を吸収する物を入れておけば棚での管理でもセーフなのよ」
「な、成程なぁ……」
自分はそう言って、魔法の森について、また新たな情報を得た。
「それじゃあ僕は魔法の本を読むよ」
「えぇ、頑張ってね?」
アリスはそう言って、手を振る、あぁ、頑張るよ、自分はそう思いながら部屋に向かい、本の解読を始める──
……ふむ、成程、自分はそう思いながら静かに魔法の本を解読していく。
結構難しいが、分かる文字と魔法の本の文字が合うと少し嬉しい、さぁ、頑張って進めなければ……そう思っていると、窓がノックされ、自分は首を傾げる。
一体誰だ? 窓をノックするとは? 普通は部屋のドアをノックすべきだろう、と考える自分、そして自分は窓を開放させる、だが誰もいない。
「……? 何だぁ? ルーミアの悪戯かなぁ?」
自分がそう思い、窓を閉めようとすると、下から魔理沙が現れ、自分を驚かす。
「わぁっ!」
「うわぁっ!? な、何だ魔理沙か……いきなり驚かすなよ……」
「ふっ、悪い悪い、で、調子はどうだ?」
「調子? それはどうだろう? 今はアリスの魔法を使う為に魔法の本を解読している途中だ」
「お前……ずっと解読してばっかだな」
「あ、アハハ……」
魔理沙の発言に自分は反論出来なかった、すると自分の部屋の戸からアリスの声が聞こえた。
「華扇ちゃぁん? どうしたのぉ?」
「えっ!?」
まさかのアリスに自分は戸惑う、そして魔理沙は自分の部屋に侵入する。
「おぉー! アリスじゃないかぁ! 何だ、今日は部屋の中に籠もっているのかー」
「あっ! この声は魔理沙ね! 玄関から入ってきなさいって!」
戸を境に会話する二人を見て、自分は戸を開けて、会話をスムーズにさせる。
「あっ! 何開けてんだ!?」
「こらぁ! 魔理沙ぁ! 普通に入ってきてって何度言えば……」
「ま、待て待て! 今回はそういう話をしに来た訳じゃない! 華扇の様子を見に来ただけだ! だからすぐに帰るって!」
「本当にぃ? そうなの華扇ちゃん?」
急に話が降られ、自分は少し戸惑ってしまう。
「さ、さぁ……? 僕は魔理沙と少し会話しただけだからなぁ? まさか僕に会いに来たとは……」
「へぇ……? 魔理沙、まさか華扇ちゃんと会いに来たっていうのは大嘘……?」
「ま、待て! 華扇! それは酷いぜ! 最初に言ったぜ? 『華扇、調子はどうだ?』って!」
「果たして何の事かなぁ? 僕には分からないやぁ?」
「ふぅん……? 魔理沙、華扇ちゃんの邪魔をしにきたのね……! 流石
にそれは酷いわ……! 華扇ちゃんだって頑張っているのに……!」
戸惑う魔理沙を見て、自分は心の中でほくそ笑む、へっへっへっ……今迄の仕返しよ、そう思いながら自分はアリスに怒られる魔理沙を見つめる。
「おい! 華扇! 助けてくれ! なぁ!?」
「何で僕が君を助けないといけないんでしょうか? 僕は魔法の本を読んでいる、というのに……特訓の邪魔だから帰ってくれないか?」
「おいおい、華扇よ、私は見損なったよ、お前がそんな薄情な奴だったなんて!」
「そんな事より華扇ちゃんの邪魔をしたって自覚は?」
完全に板挟み状態っぽくなる魔理沙を見て、にやけが止まらない、うーん、やり返しって案外気持ちがいいね。
「ぐっ……此処は逃げるが得策! じゃあな! また来るからなぁ!」
魔理沙はアリスの家を窓から脱出し、箒に乗って、上空に逃げる、中々に逃げ足が早い……! もう少しほくそ笑む事が出来たのに……! 自分はそう思いながらアリスに言う。
「ま、まぁ、もう帰ったんだし、さっさと窓を閉めよう? ぼ、僕の呼吸器官が死んじゃう……」
「あっ、そうね、それは忘れていたわ」
アリスはそう言って、急いで窓を閉める、これで何とか寿命は大丈夫だな、と思う、するとアリスが言う。
「それじゃあ華扇ちゃん、頑張って魔法を修得してね? それじゃあ私は部屋を出るから」
「あぁ、分かった」
自分はそう言って、部屋から出るアリスを見つめる──今日はどんな晩ご飯になるだろう? と少し気が早い事を考えて、自分は魔法の本の解読を再開する──さぁ、頑張らないとなぁ? そう思いながら自分は深呼吸をし、気持ちを落ち着かせる、今日は何処迄解読出来るだろうか? それは自分には分からない──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.68 )
- 日時: 2017/10/15 22:01
- 名前: 彩都 (ID: ZFLyzH3q)
魔法の本の解読をして、何時間が経っただろうか? 何時の間にか、解読出来たページは五ページ目に突入していた、そして窓を確認すると、少し薄暗かった──それは元々だが。
結構進んだな、と思い、自分は欠伸をする、ふぅ……結構疲れたなぁ、そう思っていると、アリスの声が聞こえる。
どうやらご飯のようで、自分はアリスの作る晩ご飯に少しうきうきしていた、そして自分は急いでアリスがいる机に向かう。
「ふぅ……今日はどんな料理だろう?」
「今日? 今日はねぇ、『ピッツァ』という料理と『パスタ』っていう料理よ」
「へぇ……ピッツァにパスタかぁ……どれも美味しそうだぁ……」
自分はゴクリ、と唾を飲み込んでから、パスタを食べる、な、何だこれは……!? とても美味しい! 今迄に食べた事のない感覚に口の中が包まれる、ふあぁ……! これが……パスタ! そして次にピッツァを食べてみる。
……ふむ、美味しい、あれだな、霊夢の所で食べた猫まんまっぽい感じだ、とても美味しい……ん? 何だこのよく伸びる何かは? そう思っていると、アリスが説明する。
「あぁ、その黄色いの? その黄色いのは『チーズ』という食べ物よ、そういう物に掛けて頂くの」
「へぇ……アリスは何でも物知りなんだなぁ」
「い、いや……それは華扇ちゃんが知らなさ過ぎるだけよ……」
アリスはそう言って呆れる……ってか、自分の事を話していなかったな
、自分はそう思い、アリスに言う。
「いや、知らなさ過ぎるんじゃないんだ、だって『記憶喪失』だもん、知らないのは当然さ」
「……えっ?」
自分の発言にアリスは驚く、そして自分の頭を掴んで、近づいてから言う。
「そ、それって本当!? 本当に記憶喪失なの!?」
「えっ? あぁ、そうだよ、自分は記憶を取り戻す為に強くなろうとしているんだ」
「な、成程……だから私の家に喜んできた、という事ね?」
アリスが座って、横目で自分を見る、アリスの発言に自分は静かに頷く。
「最初は魔理沙の魔法を修得して、自分も使えるようにしたいんだけど……まさかアリスに誘われるとは思わなくてね、でも、アリスだってその人形を操る魔法がある、だからそれも修得する為に此処に来たって訳さ、使える道具は全て使って、行動したいからね?」
自分がそう言うと、口の端を歪ませるアリス。
「へぇ……つまり、私は華扇ちゃんの手の上で踊らされていたって事ね?」
「最悪言えばそうなるね、でも、逆に君だって『僕を君の手の平の上で踊らせた』んだろう? もしも『魔法の調子はどうだ? 戦って確認してみましょう?』とか言えば、自分の戦闘データが取れるしねぇ? たった一回でデータとか、取れる筈が無いからねぇ?」
「……何処迄洞察力が凄いのかしらね?」
そう言うアリスに自分は微笑んで言う。
「さぁ? 何処迄だろうねぇ? でも、今はそんな談笑をしている場合ではないと思うぜ? アリスのせっかく作った料理が冷えちまう」
自分はそう言って、ピッツァを食べていく、そしてアリスが小声で言う。
「……全く、話を逸らすのが上手いんだから……」
「うぅん、このピッツァっての、美味しいなぁ」
自分はアリスの言葉を遮って、ピッツァの美味さに酔いしれる──
「ふぅ……食べた食べたぁ……それじゃあ部屋に籠もるね」
自分はそう言って席を立つ、するとアリスが自分の左腕を掴んで言う。
「待って? 今日の昼、魔理沙が来た時みたいに、誰かが来たら、私を呼んでね? 魔法の森はあまり人が寄らないけれど、一応はって事で」
「……あぁ、分かった」
自分は静かに頷いて、アリスに言う、そして自分は部屋に戻って、解読を再開する。
「えーと、此処の文字がこうなっているんだから……うーん、ご飯を食べたから、安心して、少し記憶が飛んでいる……何故そうなる……?」
自分はそう呟いて、頭を掴む、全く、ダメダメな脳味噌だな……自分はそう思いながら、ベッドに寝転がる。
「はぁ……果たして残り二日で魔法を修得する事が出来るだろうかか……? いやいや、こんな弱気になるなんて……相当精神がやられているのかぁ……?」
自分は一人ごちながら、溜息を吐く、全く……無理ならやらなきゃ良かった、こんなにも魔法を修得するのが難しいだなんて……誰も考えちゃい無いよ、あぁ、自分は甘い考えしかしていないんだなぁ、と思う。
外はもう真っ暗だし……寝ようかなぁ? と考え、自分は部屋を消灯する。
……こんなに暗いのか、と思い、自分の部屋を見つめる、夜はこんなにも暗くなってしまうのか、何時もは消灯せずに過ごしているからな、消灯するなんて朝、昼程度だ。
寝よう、そして明日の自分に全部投げてしまおう、自分はそう思いながらベッドにダイブし寝転がる。
ベッドだけが気持ちいいなぁ、と思いながら目を閉じる。
さぁ、明日はどんなご飯になるだろうか? それは分からないが、今日、昨日みたいに美味しい料理が出るだろう、自分はそう思いながら大きく息を漏らす。
「はぁ……さよなら、今日、初めまして、明日──」
自分はそう呟いて、『明日』という見知らぬモノに思いを寄せる──さぁ、『明日』はどんな日になるだろうか? それは寝て、起きてみないと分からない──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.69 )
- 日時: 2017/11/19 22:03
- 名前: 彩都 (ID: GbhM/jTP)
東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第四章 第四話 デンジャラス・アリス・ワールド
CHAPTER 2 暴走するアリス
「……あっ」
自分は声を出して起床する、もう朝か、と思い、自分は起き上がる。
すると部屋の外から何かのモノを切る音が聞こえる、あぁ、アリスがご飯を作っているのか、と思い、自分は起き上がる。
「ふぅ……何とも良い目覚め、かもしれないな、さぁ、今日も急いで魔法の解読を行わなくては……」
と、呟いた瞬間、自分の部屋がノックされた。
「華扇ちゃぁん? 起きてるぅ?」
「あっ、はい、、起きていますよ?」
「そう? もう朝ご飯だから食べに来てぇ?」
「分かりましたぁ!」
ふむ、珍しいな、アリスが起こしに来るとは……という事は結構な時間、自分は寝ていた、という事になる。
まぁ、そんな事はどうでもいいや、自分はそう判断し、ベッドから出て、体を伸ばす。
うぅーん、それにしても今日はどんなご飯なんだろうか? 少し期待しながら部屋を出る。
目の前で香るは小麦の焼けた匂い、これは……と思っていると、エプロン姿のアリスが現れた。
「お早う、華扇ちゃん? 良い目覚めかしら?」
「えぇ、一応は……この匂いでもっと良い目覚めになりましたよ」
「あら? 嬉しい事を言うわね? 今日は質素に食パンよ」
アリスがそう言うと、自分は首を傾げる。
「食パン……?」
「うん、食パン、知らない?」
「え、えぇ……フランスパンの下位互換?」
「ちょ、ちょっと違うわね……食パンっていうのは、四角いパンの事を指すの……まぁ、見れば分かるわ」
そう言って、アリスは自分を食卓の前に移動させる、そして自分は食パンを視認する。
「へぇこれが食パン……アリスの料理より不味そう」
「アハハ……でも、一口食べてみて?」
そう言って、アリスに言われるがまま、食パンを持った上海人形が自分の口へと飛んで、自分に食パンを食べさせる。
そして一口齧る……さくり、と口の中で音がする、次に小麦の味が口の中で広がって、とても美味しい。
「こ、これは……!!」
自分が感動していると、アリスが続けて言う。
「それが『トースト』っていう、食パンを焼いたモノよ、次にジャムを乗せて……」
自分から齧りかけの食パンを奪い、ナイフに机の上のジャムというモノを乗せて、食パンに塗る、その塗ったモノを上海人形に渡し、上海人形は自分の口に食パンを投入する。
な、何だこれは……!? 口の中でジャムというモノの甘さが広がって
、リンゴの風味、リンゴの甘さを感じる……! 自分がジャムを塗った食パンに感動していると、アリスが微笑む。
「それはリンゴのジャムよ? っと、リンゴは分かる?」
「えーと……霊夢の差し入れの中に入ってた大きい赤い奴でしょ?」
「えぇ、それを潰して鍋の中でお砂糖とじっくり煮込んで作るの、それがジャムよ」
「へぇ……」
自分はジャムの作り方を知って、成程と思う。
そしてアリスが言う。
「それじゃあ朝ご飯にしましょうか?」
「うん、そうだね……ってか、もう僕は食べているけどね?」
「そ、そうね……」
アリスは頬を掻いて、呆れた表情をする、そして自分とアリスは朝ご飯を楽しむ──
「ふぅ……美味しかったぁ」
自分はそう言って、腹部を擦る、腹部は少し膨らんでいた、そんな自分を見て、アリスは言う。
「華扇ちゃん、自分の部屋で休んできたら?」
「あ、あぁ、そうするよ……」
自分はアリスの発言に賛同し、自分の部屋へと戻る、ふぅ……食パンって美味いんだな、自分はそう思いながら、地べたに座って、溜息を吐く。
……こんな状況で本当に『魔法』なんて覚えられるのだろうか? まず魔理沙の分もこなしていないのに……これじゃあ完全に『魔法』なんて修得出来る気なんて無いように感じる……いや、今からでも遅くはないが、実際は遅いんだよなぁ……自分はそう思いながら、溜息を吐く。
「……はぁ、溜息しか出ないなぁ……果たして僕は『魔法』なんて修得出来るのだろうか……?」
自分はそう呟いて、ベッドに移動し、寝転がる。
もういいや、今はそんな事を考えている場合ではない、今はお腹の事を考えなければ……自分はそう判断し、布団にくるまって、睡眠をとる──寝たらお腹の張りも消えるよね? そう思いながら目を閉じる──
「…………ん?」
変な感覚がする、どうしてだろう? 『右腕が冷たく感じる』のだが……? 自分はそう思いながら目が醒める、そして顔を上げて右腕を確認し、驚愕する。
それもその筈、右腕は『手錠で身動きが取れない』からだ、左手で右手を助けようにも、『左手も手錠で身動きが取れなく』なっていた。
い、一体何が起きているんだ……? 自分はそう思い、窓を確認する
、外から見える光景は『真っ暗』だった、という事は今は夜、という事、でも、何で自分は『両手を手錠で縛られている』のだろうか? そう思い、起き上がろうとするが、起き上がれない、足を動かそうにも動かせない、不思議に思い、自分は頭を動かして左右の足を確認する、すると『両足にも手錠があり、動かせ』なかった。
いや、足だから、『手』錠ではなく、『足』枷か? 等と巫山戯た考えをする自分。
でも、どうして自分は両手両足を縛られているのだろうか? 顎に手を当てられないもどかしさを覚えながら、自分は『この状況になった』かを考える──僕、悪い事していないよね?
- Re: 東方崩壊譚 ( No.70 )
- 日時: 2017/11/19 22:03
- 名前: 彩都 (ID: GbhM/jTP)
……ダメだ、さっぱり分からない、一体どうして自分は縛られているのか、そもそも理解不明だった。
すると部屋の中にアリスが入ってくる、部屋は真っ暗なので、蝋燭を灯して部屋に入ってくる。
「あら? お目覚め?」
「あら? お目覚め? じゃないよ! どういう事だ!? アリス!? 寝ている間に何をした!?」
「んー? 何をしたって? 普通に華扇ちゃんの手首、足首を縛っただけですが?」
「何で縛ったんだよ!? 縛られるような事はしていない!」
「うん、そりゃそうね」
えっ……? あの、話、通じてます? 自分はそう思いながら静かに溜息を吐く。
「そりゃそうねって……じゃあ早く手錠を外して?」
「それは無理」
「即答すんなよ……」
自分はそう言って、アリスに呆れる、するとアリスが言う。
「無理な理由はあるわ、だって、『今から私は華扇ちゃんを襲う』んだもん」
「……はい?」
この子頭大丈夫? 自分はそう思いながら溜息を吐く。
「あ、あんた……それ、『本気で言っている』のか?」
「えぇ、本気よ? それがどうかしたの?」
「…………」
逃げたい、はっきり言って逃げたい、でも此処は魔法の森、自分はマスクをしないと行動が出来ない、だから逃げられない、魔理沙の家に逃げようとも、今は寝ているかもしれないし──その前に夜の時間は分からないが──その前にその身近な道でも、自分はマスクをしないといけないから、逃げられない……ってか、その前に可笑しくない? 朝のアリスはあんなに優しかったのに、今では……と、自分は考えて、大きな賭けを行ってみる。
「ね、ねぇ、アリス、僕は君の綺麗な顔が見たいなぁ、だから電気を点けて、顔を近づけてくれないか?」
もしも電気を点け、アリスの瞳を確認する事が出来たら上々、そしてアリスの瞳の色が『赤』色になっていたら、もっと上々、自分の右手で『元に戻』さなければならない対象になる……! 自分のこの賭け、アリスはどう取るだろうか? そう思っていると、アリスは静かに言う。
「えぇ、良いわよ?」
アリスは左手で部屋の電気を点けた、よし、これでアリスの顔が確認出来る……! 自分はそう思いながらアリスの顔を覗くように見つめる──
だが、電気を照らしてもアリスの顔は陰になっており、瞳の色は確認出来なかった。
「ね、ねぇ、アリス、僕に顔を近づけてくれないか? 顔に陰が入って見えないんだが?」
「あら? そうなの? それは申し訳ないわね」
アリスはそう言って、自分に顔を近づけて、前髪を上に上げる、よ、よし、これで何とかアリスの瞳が理解出来る! 自分はそう思い、アリスの瞳を確認する──アリスの瞳は……クロだ。
アリスの瞳は赤かった、という事はフランドール、レミリア同様、『操られている』事が理解出来た。
後は右手でアリスの事を触れなくては! と思い、右手を動かすが、手錠が腕にハマっていて、動かない。
「はいはい、落ち着いて華扇ちゃん? 今からとても『気持ち良く』なるんだから……」
き、『気持ち良く』? アリスは何を言っているのだろうか? 自分は意味が分からないまま、アリスを見つめる。
「それじゃあ、電気は消しましょう」
アリスはそう言って、指先を動かし、部屋の外から上海人形を呼び出し、部屋の電気を消した、これでアリスが何をしようとしている事が分からなくなってしまった。
い、一体どうすればいい? とりあえず、アリスを触れられるようにしなければ……自分はそう考えて、右手を確認する、少しずつ暗闇に目が慣れ、近くのモノが視認出来るようになった、だが、現実は非常だった。
縄は手首付近にあるのではなく、前腕部分にあり、手錠も右手の範囲では届かない場所に存在していた。
……万事休す、完全に詰んだ! 自分はそう思いながら、内心涙目になる。
すると何やら服が擦れる音がした、何だろう? 自分の肌では感じる事がないので、自分の服ではない、と考え、『厭な予感』がとてもした、バリバリ感じる、まるで静電気レベルで! ま、まさか……『アリスが脱いでいる』……!? ば、バカな!? 何をバカな事を考えているんだ僕は……全く、こういう状況で慣れないのは分かるが、流石に『服が擦れただけでアリスが裸になっている』なんて考えるなんて……人間失格だな、自分はそう考えて、左手を動かす、だが左手も右手同様、動かない。
「もう、落ち着いてって言っているのに……」
アリスはそう言って、蝋燭を灯したモノを手に持って、自分に近づく。
蝋燭の灯りって何だか安心するな、そう思い、蝋燭の光でアリスの体を見る。
するとアリスの体は『下着姿』だった、自分は耐えきれずに鼻血を出す、うっそだろ!? 何でこう言う時に限って『厭な予感』ってのは当たるんだ!? 自分はそう思いながらアリスに言う。
「へい、失礼、何で下着姿なんですか?」
「そんなの簡単よ、私は華扇ちゃんを愛しているからよ?」
「そうかそうか、では何で下着姿なんですか?」
「えっ? 通じていない? いや、だから私は君を愛したいの、だか肌と肌を合わせて……」
「通じていないのはこっちの台詞だぁ!? 何で愛されないといけないんだ!? しかも裸で! もっと他の方法があるでしょうよ!」
自分がアリスにそう言うと、アリスはキョトンとする。
「もっと、他の方法……?」
あっ、ダメだこりゃ、自分はそう思いながら頭に手を置きたい衝動に駆られる──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.71 )
- 日時: 2017/11/19 22:04
- 名前: 彩都 (ID: GbhM/jTP)
「だ、ダメだこりゃ……この女、僕の手では負えないかもしれない……」
自分はそう言って、内心絶望する。
この空間を脱出したい、一体どうすればいいのか? そう思っていると、アリスが自分の腰に座ってきた。
「ウフフ……そんなに暴れなくてもいいのよ? 全部私に任せて?」
「任せたくない!! 任せたら何か厭な予感がする! 待って! アリス! 本当に待って!」
自分がそう言うと、アリスはじーと自分を見て、呟く。
「どうして待たないといけないの?」
「えっ? そ、そりゃあ……僕とアリスが出会ってたった数日! だからこういう関係ってのは、もっと、もっと信頼されるような間柄だったり、もっと仲良くなったり、内密になった方がいいと思うというか……」
「そんなんでね」
ふと、自分の発言の後にアリスが言う、一体何を言うつもりなのだろうか? そう思っていると、アリスが怒鳴る。
「そんなんでね、信頼されるような間柄になったりもっと仲良くなれるかっての!? 女は黙って実力行使! 『自分の体』という武器を使って相手を落とさないといけないの! 華扇ちゃんも自分の体の事を分かってる? 華扇ちゃんみたいな貧相で貧乳で、可愛い『女の子』は、私みたいに襲わないと出来るモノも出来ないのよ!?」
「…………」
あぁ、そうか、この人、自分の事、『女』だと思っているのか……そう言えばそうだった、自分は魔理沙から『性別は言うな』とか何とか言われていた事を、それを今言うべきか? と考えて、少し思慮する、その間にアリスはまだ言葉を続ける。
「分かる華扇ちゃん!? 貴方の力はまだまだ幼いの! その見た目だと同年代の少年しか襲えないわよ!? 分かってるの!? 欲しい人がいたら、それは力ずくでも良いから手に入れないといけないのよ!? さぁ、華扇ちゃん、分かったかしら!?」
さて、一体どうしようか? 今はもう魔理沙はいないし、もうバラしても良いかもしれない……でも、此処で『僕は男だ!』と申しても……『見た目で女でしょ?』って言われるのがオチだろう……ではどうするか? 簡単に言えば、脱いで、裸を見せたらいいかもしれない、だけれど、裸になるのって案外恥ずかしい、だから全裸にはなりたくないのだが……此処は背に腹を変えられない。
でも、もしも全裸になっても『女の子でしょ?』と言われそうだな、『性別転換の魔法を使っているの?』とか言われてさ? 魔理沙ならやりそうだし? とか言われて……あっ、詰んでんじゃね? こりゃ意味なくね? 万事休す通り越して、背水の陣じゃん? ヤバいヤバい……これじゃあ完全に詰んでいるルートになってしまう! で、では、自分はどうするべきなのだろうか? と考える。
性別を言っても意味がない、裸になっても意味がない、では何が意味があるのか? 必死に考える、一体どうすればいいのだろうか……と、考えて、『低音ボイスを出せばいい』のでは? と考える、もしも低音ボイスを出せば、男っぽい声になる筈、だから認められる筈! でも、そんなの、簡単に成功するだろうか? 其処が心配だった。
う、うーん、成功率が低そうだし、次の可能性も考えなければならないかもしれない……自分は心の奥底でそんな事を考えながらアリスを見つめ、発言する。
「ねぇ、アリス」
「ん? 何、華扇ちゃん?」
「僕の事、どう思っている?」
此処で話題を作って、性別の事を言えばいいか、と考える。
「えっ? そりゃ、可愛くて、お腹一杯料理を食べて、可愛くて、優しくて、可愛くて、勉強家で、可愛くて、愛おしい『女の子』だよね?」
「…………」
無言状態で自分は何を言うか、頭の中で整理して、アリスに言う。
「それじゃあ最後に聞くよ、『本当に僕を女の子として見ている』かい?」
「……えっ? そりゃそうよ、こんなに可愛い『女の子』はこの世に魔理沙ぐらいしかいないし……」
「……そうか」
自分はアリスの発言を受けて、性別を言う事にした、自分は心の中でアリスに謝る。
今迄ごめん、騙していたよ、君の事……本当に済まない、だけれど、隠しておかないと魔理沙の攻撃が怖くて……自分は心の中で何回か謝った後、アリスに言う。
「一応言っておくね」
「? 何を?」
「いや、だから、僕の性別──僕の性別は男だ、華扇は男、それを分かって欲しい」
「……へっ?」
「そう言う反応するよねぇ? だろうねぇ? 僕だって今のアリスと同じ気持ちだよ、『こんなに可愛い女の子っぽい見た目の存在が実は男の子』だったなんてさぁ? という事だ、僕は実は男、だからアリスの料理をあんなに食べる事が出来る、男の子って基本的に大食漢だからねぇ?」
「えっ……えぇっ!? 嘘でしょ!? 本当に男の子!?」
「う、うん、本当に男の子だよぉ? 体を触れば分かるけど、結構筋肉あるんだぜ? アリスみたいに柔じゃないしさぁ?」
自分がそう言うと、アリスは自分の腕や腹部の筋肉を触って、判断する。
「ほ、本当に男……? じゃ、じゃあ、華扇『ちゃん』じゃなくて、華扇『君』……? って事?」
「まぁ、そうだねぇ」
自分がそう言うと、アリスは衝撃的な顔をして、頭を抱える。
僕だって頭を抱えたい、でも抱える事は出来ない、それは何故か? それは『両手が拘束されている』からだ──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.72 )
- 日時: 2017/11/19 22:05
- 名前: 彩都 (ID: GbhM/jTP)
「あ、アリス……?」
頭を抱えて停止するアリスに対し、上海人形も心配の色を出す。
い、一体どうしたのだろうか……? 自分がそう思っていると、アリスはいきなり動き出し、這うように自分に近づいて、自分を抱き締める。
「ほ、本当に男なの? じゃあ何で私の前で性別を言わなかったの?」
「え、えと……本当に言っても良いの? 怒らない?」
不思議そうに言う自分に対し、アリスは抱き締めながら自分に言う。
「お、怒らないわよ!」
「そ、そう……? で、でも、アリス、胸が当たって……」
「それ位良いわよ、こんなに可愛いんだから!」
そう言う問題なのか、と心の中で焦りながら自分は本題に戻る。
「えーと……実は魔理沙が『勘違いさせているのなら、ずっと勘違いさせておけ、だからバレる迄女の振りをしろ』って魔理沙が……」
自分がそう言うと、『ふぅん、魔理沙がぁ』とアリスが呟く。
「全く……あの子ったら、本当に秘匿主義ねぇ……それじゃあ、今日から君は監禁されて過ごしてね?」
「……はぁっ!?」
いきなりの発言に自分は驚愕してしまう、そして自分はアリスに言う。
「ば、バカ言うな! さっさと僕を脱出させてくれよ!」
「何で? 男だからダメよ、最悪君の性欲が暴走して私を襲うかもしれないし?」
「ふっ、巫山戯るな! 何で……! ってか、その前に襲ってませんよね、この数日間?」
「男はそんな日数を簡単に耐えられるのよ? 十日間を越えてからが問題よ?」
問題なのは今の僕の状況なのですがねぇ!? 自分はそう思いながらアリスに言う。
「い、いや、仮に性欲が溜まっても、右手で処理出来るし、ねぇ……?」
自分はそう言って、右手をグー、パーを繰り返して言う。
「えっ? 華扇『君』は自分で処理出来るの?」
「う、うん……」
そりゃそうだ、自分の右手には『右手首から下にしか宿っていない能力』である、『元に戻す』能力がある、口の中に親指さえ突っ込んで能力を使用したら、大体は大丈夫だとは思うが……その前に『欲求』に対し、能力を使用した事がないので、実際はどうか分からない。
「だから大丈夫だから外してよ?」
「それは無理、念の為ってのもあるし……だから私の信頼を得る迄、ずっと手錠、足枷をつけて、ベッドの上で寝転んでいてね?」
「えぇっ……」
自分はそう言って、嘆息する──嘘でしょ? 早く手錠、足枷を外して欲しいんだけど……? 自分はそう思いながら自分の部屋を出ようとする下着姿のアリスを目で追いかけたが、アリスは自分の視線に気づかずに自分の部屋を出た──矢張り解放してもらえないのか、と自分は思い、寝る事を考える──
そして翌朝。
「……ん? 此処は……?」
自分はそう言って目が醒める、すると急に寒気がした。
あぁそうか、自分は布団を被らずに寝たのか、と思いだし、嘆息する。
「はぁ……肌寒いなぁ」
自分はそんな事を言いながら、腕の事を考える、このまま血が上に上がらない気がするが、寝ているので、多分水平上になっているのだろう、と考えて、自分はもう一度嘆息する。
「あーもう、寒いし、寝ても、暖かくないし、腕、足は拘束されているし……本の解読さえも出来ない……」
そんな事を言っても、この状況が改善される訳でもないし、これから一体どうすればいいのだろうか? と考える。
すると急に股間に刺激が走った。
「あっ……あぁっ!」
自分は叫んで、この『状況』を理解した、男で女でも、『尿意、便意』は耐えきる事は出来ないだろう。
そう、今の自分は『トイレに行きたい』状況に陥ったのである! ヤバい、この状況、完全にヤバい! こんな年──年齢が分からないから、何歳かは分からないが──になって『お漏らし』ぃ? ……もしも魔理沙にバレたら、笑われる、というか、霊夢にもバレたらヤバいだろうなぁ……と考えて、自分は一つの可能性を思いついた。
それは『紫』の存在である。
紫さえ言えば、自分はこの状況、脱出出来るでは? と考える。
そして自分は心の奥底で紫を呼ぼうとする。
だが、そう簡単に現れない。
……これ、ヤバくね? だって、此処で我慢出来ずに出しちゃうの? ダメじゃん? それは人間としてのプライドが許さない、自分はそう思いながら、打開策を考える。
ていうか、その前に打開策の一つとして、『アリスを呼ぶ』ってのがあるじゃないか! 自分はそう考えて、大声で叫ぶ。
「あ、アリスぅ!」
……返事がない、うっそだろ……? 自分はそう思いながら冷や汗を掻く。
というか、我慢のし過ぎで、汗が……目の前が虚ろに……自分がそう思っていると、自分の部屋を空けて、アリスが現れる。
「急に叫んで……どうしたの?」
「あ、アリスぅ! 良かったぁ!」
アリスが起きていて良かった! 自分はそう思いながらアリスに言う。
「トイレに行かせて?」
「尿瓶があるわよ?」
「…………」
アリスはそう言って、自分の前に真っ黒に塗られた尿瓶を渡す、そして左手の手錠を外し、左手を解放させる。
自分はアリスを部屋から出させた後、左手で頑張って尿瓶に股間を突っ込んで、排尿する。
うぅっ……漏らすより恥ずかしい気がする……自分はそんな事を思いながら、排尿を終えて、股間を隠してから、アリスを呼ぶ。
そしてアリスは尿瓶を回収し、また左手に手錠を施し、部屋を去る──尿瓶、相当恥ずかしいな、そう思いながら静かに溜息を吐く──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.73 )
- 日時: 2017/11/19 22:05
- 名前: 彩都 (ID: GbhM/jTP)
「……はぁ、暇だなぁ……」
そんな事を呟きながら、自分の口に一本丸々フランスパンを突っ込むアリス。
「美味しい?」
「うん、色々可笑しくない? 何で僕の口に一本丸々でフランスパンを突っ込むんだ? 僕は何か悪い事をしたかフランスパンに?」
「いいえ? 調理するの面倒だったから……」
「かといって、そのままを口の中に突っ込むのもどうかと思いますけどねぇ!?」
「良いじゃない、咀嚼しているんだし?」
「口に突っ込んでいるんだから、喋る為にも咀嚼しないとダメだろう!? あぁ、パンばっかで喉が渇くぜ……」
自分がそう言うと、フランスパンを抜き取り、水を口の中に流す。
「うん、ごきゅごきゅ、そうじゃないよね? ごきゅごきゅ……美味しいけれど」
「そう? 良かったじゃない? 流石に味気ないモノばかりだし、砂糖水を用意したわ」
「蟻に襲われるじゃねぇか僕の口周り!」
自分がそう言うとアリスは笑顔で言う。
「いいじゃない、蟻ごとき? どうせ下等生物なのに?」
「そ、そうかもしれないけれど……」
何だろう、今のアリスと会話していると、ツッコミしないと話が進まない気がしてきた……自分はそう思いながらアリスに聞いてみる。
「ね、ねぇアリ……」
「何よ?」
自分が喋ろうとすると、食いかけのフランスパンを口に突っ込まれる僕、自分は咀嚼しながらアリスに言う。
「待てやこら! 喋ろうとしている時に口にフランスパンを突っ込まない!」
「あっ? 今のは『ツッコミ』と『突っ込む』と掛けたの?」
「掛けてねぇよ!」
何か会話するのにも疲れてくる……自分はそう思いながら、フランスパンを食べるか、と考え、ゆっくりとフランスパンを咀嚼する──そして、フランスパンを食べ、数分が経った、自分はもむもむと口を動かして、自分の口からフランスパンを離した時に自分は少し前、パンを口の中に突っ込まれて、言えなかった事をアリスに言う。
「ねぇ、アリス?」
「何?」
素っ気ない態度で返される返答に対し、自分は静かにアリスに言う。
「アリスの瞳って……『赤い』ね?」
核心を突こう、自分はそう思いながら『瞳が赤い』事を追求する。
するとアリスは静かに返答する。
「あら? 私の瞳って『赤い』かしら?」
「赤いよ赤い、とても赤い、そうだ、前に襲った紅い吸血鬼のレミリアのように『紅い』ぜ?」
「……そう? 後で鏡で目を確認しないとね? 充血しているかもしれないわ」
充血する訳ねぇだろ、僕は三回も見ているんだ、フランドール、ルーミア、レミリアの三回、だから違う筈がない、アリス……! 自分はもっと深く進む為に話を広げる。
「ね、ねぇアリス? 目が充血しているってのも理解出来るが……『目が紅くなる前に誰かと会わなかった』……?」
自分の言葉を聞いて、アリスはその場で腕を組んで考える──もしも此処で鈴泉・優曇華院・イナバと出会っていれば……鈴泉・優曇華院・イナバが犯人だと思う! でも、何故だろう? 本能が告げている、『鈴泉・優曇華院・イナバは犯人ではない』と……。
可笑しいだろ? だって、『鈴泉・優曇華院・イナバが犯人だ』と霊夢が言っている! なのに本能は違う、と告げている……これは一体どういう事だろうか? 自分がそんな事を思っていると、アリスが顎に人差し指を当てて思い出す、そして苦し紛れにアリスは言う。
「う、うーん……思い出せないわ、買い物に行っている時でも、店員さん以外出会わなかったわ……」
「そ、そうか……それなら良かった、もしも目に何かかけられたのかな? と思ってね……」
さりげなく自信のフォローを入れる、これでバレる事はないな、自分はそう考えて、フランスパンを食べ始める──そして何とか長いフランスパンを食べきった。
「ふ、ふぅ……長くて太くて、大きかった……」
「おめでとう華扇『君』、これで君もフランスパンマスターへ一歩踏み出した!」
「どんなマスターだよ!? もっと栄誉あるマスターにしてくれ!」
そう言う自分に対し、アリスは必死に悩んで思いつく。
「あっ! じゃあパンマスター!」
「えっ? 普通じゃない?」
「うっ……確かに……」
アリスはそう言って、頭を垂れる、そして静かに立ち上がって自分に言う。
「それじゃあ、トイレも済ませた、食事も済ませたし……私はこの部屋を去るわね」
「えっ? 何で!? 去る前にさっさと手錠、足枷を外せよ!?」
「だからそれは無理だって? だって君は『女』として、私を騙したから……!」
「だ、騙すつもりはなかったんだって! だけれど、言うタイミングが……」
自分がしょんぼりしてそう言うと、アリスは冷酷に言う。
「『言うタイミングがない』? そんなの幾らでもあるじゃない? 此処に来る途中だとか、食事中だとか……」
た、確かにそう言われるとそうだが……でも、魔理沙に口止めされていたって事を考えて欲しい、自分がそう思っていると、アリスは自分の部屋を出てしまう。
あぁ、何も言えずに去ってしまった……自分はそう思いなら、深い深い溜息を吐く。
このまま手錠、足枷のまま、自分は生きる、と考えると、何だか悲しく感じてしまうな……自分はそう思いながらもう一度大きな溜息を吐いた──誰か、助けに来て、くれないかなぁ?
- Re: 東方崩壊譚 ( No.74 )
- 日時: 2017/12/17 22:05
- 名前: 彩都 (ID: A4fkHVpn)
東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第四章 第四話 デンジャラス・アリス・ワールド
CHAPTER 3 救世主X
「…………」
僕がフランスパンを食べて、数分、数十分が経った、自分はごろごろしながら時間を潰していた。
すると、自分の窓をノックする存在が現れた。
誰だろう? と思い、自分は『入って良いですよ』と叫ぶ。
そして、窓を上に上げて、魔理沙が侵入してきた。
「あれっ? 華扇、お前は何をしているんだ? 緊縛ごっこ?」
魔理沙が登場した事により、自分は心の奥底で安堵した、魔理沙よ、来てくれて助かった、さぁ、手錠、足枷を壊してもらおう、自分はそう思い、魔理沙に話しかける。
「ね、ねぇ、魔理沙? この手錠と足枷を外してくれない? 実はアリスにやられちゃって……」
「お前は何をされたんだ何を……? まぁ、いいけれど……」
魔理沙はそう言って、八卦炉を取り出し、手錠にビームを放とうとする、自分は急いで手錠を上に上げて、そのビームを回避する。
「ちょっと待てぇぇぇ!! 待って! 色々と待って! 死ぬ! 僕の腕が死ぬ! 少しは加減を考えろ!」
「おいおい? それが人に頼む態度か? 助けようとしているのに、そんな言い方はないだろう?」
そんな事を言う魔理沙に対し、自分は静かに魔理沙を睨む。
「……そう言う意味じゃないよ、人を助けるには、もう少し他の方法があるでしょって事……そんな光線めいたモノで助けては欲しくないな、そうだなぁ……刃物でこの手錠を切ってよ?」
「何という我侭な……わぁったよ、それでいいんだな?」
「あぁ、そうだね」
自分はそう言って強く頷く、すると魔理沙は八卦炉を少しいじって、光る刃のようなモノを出す、そしてその刃は素早く前後へと動く、一体これは何なんだろう? 自分はそう思いながら、右腕の手錠を八卦炉から出た刃で切っていく。
そして右手の手錠を切った、こ、これで自分の右手は自由だ! 自分はそう思いながら、右手を下に下げ、手錠を手首付近に落とし、右手で手錠を触れ、能力を使用し、『手錠を手につけられる』前迄『元に戻』した、これで右手は脱出可能となった。
「ほっ、これで右手の能力は何時でも使用可能だ……本当に助かったぜ魔理沙」
自分が魔理沙に感謝すると、魔理沙は首を傾げながら自分に聞く。
「んで? 昨日一昨日は何もなかったのに、何でお前は両手両足に手錠足枷をされているんだ? 説明をくれ?」
「あ、あぁ、分かったよ……でも、その前に自由が欲しいや」
自分はそう言って、右手で左手の手錠に触れ、能力を使用、右腕と同じく、『手錠を手につけられる』前迄『元に戻』し、左手を自由にする、そして最後に起きあがって、両足の足枷にも、右手で触れて、『足枷を足につけられる』前迄『元に戻』す──ふぅ、これで脱出完了……これでやっと寝返りが打てるなぁ、自分はそう思いながら、ベッドの上で胡座を掻いて、体を伸ばす。
「…………」
「あぁ、ごめん……つい、体を動かせる喜びに浸っていた……」
「全くだ、一体何が起きたんだ……?」
不思議そうに言う魔理沙に対し、自分は静かに説明する。
「え、えーと、フランドール、レミリアみたいに、『誰かにアリスは操られていた』、という事だね、そして自分が暴れるから、手錠、足枷を……」
自分が結構アバウトな解釈で説明すると、魔理沙は顎に手を当てて考える。
「成程、あのアリスが、か……なぁ、華扇、この『異変』──でいいのか、分からないが──『何』かが、可笑しくないか?」
「可笑しい? それはどういう事?」
「だって? そうとしか『考えられない』んだぜ?」
「『考えられない』……?」
魔理沙の発言に自分は首を静かに傾げる、すると魔理沙は静かに説明する。
「だってさ? 吸血鬼であるレミリア、フランドールには、何か『因縁』があって、そう言う行動をとる、というのなら分かる……だが、それ以外にアリスが入っているっていうのが可笑しいんだ、そう言えば、レミリア、フランドール、アリス以外に操られたのって居る?」
「えーと、レミリア、フランドール、アリス、ルーミアの四人だな……」
「そうか、それじゃあ、この、『肉体操作異変』、『無差別に起きている』可能性が高い……!」
魔理沙の発言に、自分は『本当にそうなのだろうか?』と、小さな疑問を持つ、何かしらの行動があって、相手の肉体を操作するっていうのなら、分かるんだけど、流石に『無差別に起きている』可能性は低いと思う……自分はそう思いながら魔理沙に返答する。
「流石にそれはどうだろう? 僕の考えだと、それは『有り得ない』と思うんだよなぁ……」
「ほう? そうかぁ? まぁ、まだ断定は出来ないし、どちらの意見でも、正解はないけれどな……」
魔理沙はそう言って、腕を組む、本当にこの『肉体操作異変』の犯人は誰なんだろう? もしかして本当に鈴泉・優曇華院・イナバって奴なのか……? でも、『それは違う』と本能が告げている──でも、『何故、違うのか?』と問われたら、返答する方法がないのは確かだった。
一体『肉体操作異変』の真犯人は誰なのだろうか? 自分はそう思いながら腕を組んだ──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.75 )
- 日時: 2017/12/17 22:07
- 名前: 彩都 (ID: A4fkHVpn)
真犯人は誰なのだろうか? そんな事を考えていると、魔理沙が言う。
「もしかして……」
「? どうしたの?」
魔理沙の発言を聞いて、自分は首を傾げる、すると魔理沙が自分を指して言う。
「もしかして華扇、お前みたいな『外来人が起こしている』んじゃないか……? それなら無差別の理由も分かる!」
「え、えぇ……? 流石にそれは無理があるよ? ってか、外来人は好きで幻想郷に来ている訳じゃないでしょ……?」
「ん? あぁ、それもあるなぁ……じゃあ、一体……?」
魔理沙はそう言って、顎に手を当てて考え始める──全く、自分が犯人だと思ったじゃないか……自分はそう思いながら胸に手を当てて、安堵する。
だが、魔理沙の考えも悪くはないと思う、実際紫が呼んでいる、という可能性もなくはない。
というか、一番怪しいのは八雲紫なんだよなぁ……自分はそう思いながら、その場で溜息を吐く。
さて、今此処で犯人探しをしていても意味がない、まずは脱出でもしようかな? 自分はそう考えて、ベッドを部屋の前に移動させる。
「んしょ、んしょ」
「ん? 華扇、お前は何をやっているんだ? 新しい遊びかぁ?」
「ち、違うよ……扉は内開き、外開きがあるからね、簡単に扉を開けられないようにしないとね?」
自分がそう言うと、魔理沙は不思議な表情をする。
「う、うん……? 華扇、言っている意味が分からない、もう少し説明が欲しい」
「えっ? あぁ、簡単に言えばこのドアは『内開き』なんだよ、内開きってのは基本的に外国でしか行わないんだ、日本は靴を脱ぐ文化があるから、内開きのドアにすると靴が邪魔になってしまうからね? だから『外開き』なんだ、因みに内開きの場合、こうやって『ベッドみたいに重い物を置いてしまえば、簡単には開かない』んだ、だから此処にベッドを置いて、簡単には開けないようにするんだ、もしも開いてしまったら、脱出が失敗になってしまうからね」
「な、成程……ってか、そこ迄扉について考えた事がなかったな……」
自分の説明を聞いて、魔理沙は納得する、そして自分は魔理沙に言う。
「そう? 今度から気を付けた方がいいよ、もしも犯罪者が襲ってきたら、自分の身は自分で守らないとね?」
「いや、魔法の森に入る犯罪者はいねぇと思うがな……」
「た、確かにね……」
自分は魔理沙のツッコミを受けて、『確かにそうだな』と頷いてしまう。
そして自分はベッドを扉の前にゆっくりと移動させて、移動を完了させる。
「よし、これで、脱出する事が出来るぞ? もしも僕が脱出した事をアリスが知ったら、驚くだろうなぁ……」
自分がそう呟くと、魔理沙が言う。
「うっせぇ、つべこべ言わずにさっさと脱出するならさっさと脱出しよう、私だって忙しいんだ」
「あーはいはい……」
魔理沙の言葉を聞いて、仕方なく、脱出する事を考える、先に魔理沙が部屋から窓に移動し、窓から外に出て、何とか脱出する、そして箒に乗って、宙に浮きながら自分に言う。
「私の準備は出来た、後はお前が私の箒の先を掴んで、脱出、という形だ、そっちの方がいいだろ? 空中で脱出なんてさぁ?」
「確かに、少しだけ憧れるね」
自分はそう言って、魔理沙の箒の柄の先を掴んで、アリスの部屋から脱出する、ふむ、何とか脱出出来た……さよならアリスの部屋、自分はそう思いながら、空中でアリスの家を見つめる──
そして自分と魔理沙は『霧雨魔法店』に向かい、『霧雨魔法店』に入って、お互いを見つめながら無言状態を貫いていた。
一体何を切り出そうか? 自分がそう考えていると、ゆっくりと魔理沙が口を開いた。
「…………可笑しい、華扇、『何か可笑しい』と思わないか?」
「『可笑しい』? 可笑しいとは何がだ? 今迄の無言空間が、か?」
「違う、はっきりと言って、『何故脱出出来たんだ?』という意味で、だ……だって、『ベッドを動かす』なんて言う『音が鳴る』行為に対し、『家の持ち主であるアリスが気付かない筈がない』だろう?」
「……あっ、確かにそう言われてみれば……」
自分は魔理沙にそう言われ、『確かに』と納得する、確かに『ベッドを動かす』という『音が鳴る』行為をしたってのに、部屋の持ち主で、なおかつ主である『アリスが気付かない筈がない』……これはどういう事なのだろうか? 自分がそう思っていると、魔理沙が静かに口を開く。
「私は静かに考えた、そして一つの結論が思いついた、それは……『アリスは外出中』という事だ、そうでないと『物音を立てたのに反応がない』という説明が出来ない!」
「……」
確かに魔理沙の説明は十分に正解に近い筈、でも、逆に考えて、『深い眠りについている』という可能性もある、自分は魔理沙に反論してみる。
「ま、待って!? 魔理沙、逆に『深い眠りについている』っていう可能性はあるかもしれないよ!?」
「ある訳ないだろ? だって、それでも耳が良い人は起きると思うし? 更にベッドを動かすなんて、結構大きい音だったんだぞ? だからその理論は有り得ないと思う」
うぅっ……まさかの正論で返された……自分はそう思いながら魔理沙に言う。
「じゃ、じゃあ僕達は『アリスがいない時間に抜け出した』って事……?」
「……今の所はそうなるな……」
魔理沙はそう言って腕を組む──ふむ、そうだったのか、じゃあベッドを動かす意味はなかったかもしれない──僕はそう思いながら、『これからどうする』か? を考える──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.76 )
- 日時: 2017/12/17 22:08
- 名前: 彩都 (ID: A4fkHVpn)
「そ、それにしてもこれからどうするの? アリスを待って、その後奇襲作戦でもするの? もしくは他の所で戦うの?」
自分の発言を受けて、魔理沙は顎に手を当てながら返答する。
「まぁ、待てよ? そう急かさんなって……まず、『アリスが外出中』という事なら、『色々と事前準備が出来る』じゃないか?」
そう言う魔理沙はあくどい顔をしていた、うっわ、極悪人がしそうな顔だな、自分はそう思いながら魔理沙に言う。
「で、でも『色々と事前準備が出来る』と言っても、一体『何をする』っていうのさ?」
「ん? 『何をする』って? フフ、そんなの簡単じゃないか? これだよ、これ」
魔理沙はそう言って、帽子の中から何個かの丸いお菓子を取り出した、そして自分に言う。
「なぁ、華扇……少し外に出て、空気を吸おう──あぁ、お前はマスクが必要だったな」
「えっ? 外に? まぁ、良いけれど……」
自分は静かに頷いて、口にマスクを装着し、魔理沙の家を出る、次に魔理沙の背について行く。
そして到着したのは、家の裏だった、すると魔理沙が言う。
「よし、華扇の場所は風下だな、セーフセーフ……」
「い、一体何を行うって言うのさ……?」
自分が不思議そうに言うと、魔理沙がにやにや笑いながら言う。
「んー? この丸薬を使う為だよ!」
魔理沙はそう言って、手に持った丸いお菓子を自分の足下に投げる──すると丸いお菓子は地面にぶつかった瞬間割れて、中からピンク色の煙を吐き出した。
自分は目を閉じ、後方に回避しようとしたが、風が自分の所に来て、煙が自分の目に当たる。
「い、一体何なんだよ魔理──」
自分がそう言った瞬間、目にとんでもない痛みと涙が溢れ出る、な、何だこれ……? 本当に何だこれ? 自分がそう思っていると、魔理沙が『やりぃ』と言う。
「な、何が『やりぃ』だ!? 目が、目が痛いよぉ!」
「アハハハ! あー、実験は成功したようだなぁ……済まんな華扇、さぁ、右手で両目を触れて、『元に戻』せよ? 話はそれからだ」
「えぇ……」
魔理沙の行動に自分は困惑しながら何とか右手で両目を覆い、触れながら、『元に戻』した、そして自分は両目を押さえながら魔理沙の許へと向かう。
「……はぁ、んで、一体それは何なんだよ魔理沙ぁ?」
「んー? これかぁ? これは『催涙弾』だ、地面に当て、割る事により、中から煙が出る、そしてその煙に当たると……後は分かるな?」
「僕みたいな症状になる、と?」
「うん、正解」
魔理沙の発言を受けて、自分は右手で『催涙弾』を奪い、魔理沙の胸元に当てる、すると『催涙弾』は割れ、中から出た煙が魔理沙の顔を包んだ。
「ぐぉっ!? こ、これが『催涙弾』……! 中々に刺激的だな……!」
「うるせぇ! それが僕の目の苦しみだぁ!!」
自分はそう言って、魔理沙を指指す、そして魔理沙は地面に寝転がり、『催涙弾』で苦しんだ後、ゆっくりと立ち上がり、涙を流しながら自分に言う。
「……とまぁ、こんな感じで『催涙弾』は使うんだ、覚えておけよ?」
「しかと覚えたよ……んで、これがどうしたのさ?」
「ん? だからお前が、アリスに、これを、投げる、そして、アリス、苦しむ、お前も苦しむ」
「何で僕も含まれているんだよ!?」
「ん? そんなの決まっているだろ? 風下の所為で」
「えぇっ……出来るだけ風上に立っておく事を考えておくよ……」
自分はそう言って頭を垂れる、続けて魔理沙が言う。
「まぁ、私も元のアリスに戻ってもらわないと困るからなぁ……ってか、何時性格が変わったんだ……? 私が接していた時、性格が変わったような感覚はなかったが……」
「もしかして、僕がアリスの家に来てからかもね?」
「あぁっ? 何でそうなるんだよ? それよりも前かもしれないってのに……」
魔理沙がそう言うと、『確かにそうかもしれない』と思う、でも、何か違う気がするんだよなぁ……自分がそう思っていると、魔理沙が言う。
「まぁ、性格が変わっちまったもんは仕方ねぇ、私達が頑張って、アリスを『元に戻』すだけだろうからなぁ……?」
魔理沙はそう言って、自分を横目で見る、な、何なんだ魔理沙のその目は……? 自分はそう思いながら細目で魔理沙を見返す──
そして自分と魔理沙は『霧雨魔法店』に戻り、作戦会議を行う。
「で、アリスにこの『催涙弾』を投げる、とでも?」
「正解っちゃ正解だな、でも、それだけじゃ難しいんだ、だってアリスは『爆発する人形』を持っている、投げている最中にアリスが『催涙弾』って事を察したら、人形を飛ばして、爆発させるだろ? だから催涙弾は『爆発する人形』が無くなった後の、だめ押しに使おうと思う、だからお前は人形の攻撃に対し、あまり『元に戻』すな? 『爆発する人形』も『元に戻』ったら困るからな……だから出来るだけ人形の攻撃は避けろ、いいな?」
「あ、あぁ、分かった……出来る限り、魔理沙が言った事をやってみるよ……」
魔理沙の説明を受けて、自分は静かに頷く、出来るだけ右手の能力は使わずに人形の攻撃を避けろ、か……自分が出来るか? と言われたら……少し難しいなぁ。
自分はそう思いながら魔理沙の話を聞き続ける──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.77 )
- 日時: 2017/12/17 22:10
- 名前: 彩都 (ID: A4fkHVpn)
「んで、どうするの? 何時動き出す?」
自分が魔理沙にそう言うと、魔理沙は顎に手を当てて、静かになって考える、そして魔理沙は時計を見て、頷いて、自分に言う。
「ふむ、私達が脱出したのが三十分程前、と考えると、もうアリスは帰ってきているかもしれない、だから今から行こう……と言いたい所だが、私の準備がまだなんだ、出来ればもう少し『催涙弾』が欲しいし、『痺れ弾』も持てればいいのだが、今、『痺れ弾』の在庫がないし……困った困った」
「困ったのは魔理沙だけじゃないか! 流石に魔理沙に合わせて行動すると日が暮れそうなんだけど……?」
自分がそう言うと、魔理沙は帽子を掴んで、不機嫌になる。
「あーもう、分かったよ、今から行けばいいんだろ、今から!」
「さっすが? そうでなくちゃ」
自分はそう言って、サムズアップする、次に自分と魔理沙は箒に乗って、アリスの家に向かう──ちゃんとマスクもしないとね。
そして箒で飛んで、アリスの家へと向かう、ってか、アリスと魔理沙の家って案外近いんだな、と思いながら、アリスが家にいる事を願う。
そんな事を思っていると、何時の間にかアリスの家に到着する、次に魔理沙はアリスの家の前に着陸する。
「はい、到着……後は家の中にアリスが居るかどうかだな……」
「そうだね……」
自分はそう思い、唾を飲み込んだ、そして自分がアリスの家の前に立ち、ノックしようとすると、魔理沙が殴ってそれを止める。
「バカ! お前が脱出している事に気が付かれたら、元も子もないだろ!?」
「あっ、そっか……」
自分は魔理沙の説明を受け、『そう言えばそうだ』と思う、しまった、もしも魔理沙がいなかったら、自分はまたアリスに酷い事をされるかもしれない──それを理解し、魔理沙にノックを任せる。
「それじゃあ魔理沙、ノック宜しく」
「あぁ、分かった、お前はどっか分からない所に隠れてろ」
「うん、分かった」
自分は魔理沙の発言を受け、魔理沙から少し離れて、物陰に隠れる、そして魔理沙が玄関前で深呼吸し、ノックをする。
「おぅい? アリスー? 居るんだろー? 返事しろー?」
「…………」
どうか、アリスよ、部屋の中に、家の中にいてくれ! 自分は両手を合わせ、無言で願っていると、魔理沙が頭を掻く、一体どうしたのだろう? 自分はそう思い、物陰から表に出て、魔理沙に言う。
「魔理沙、どうしたの?」
「ん? って、隠れてろって言ったろ? 全く……ん、いや、アリスの返事がないなぁ、と思ってな……不思議だ、そんなに長く外出しているのか……? でも、アリスは基本的に人形を作っているから、普段外出しない筈だが……?」
魔理沙が顎に手を当てて考えていると、『あっ!』と叫んだ、魔理沙の叫び声に自分は驚いてしまい、尻餅をつく。
「うわっ!? な、何なんだよ……魔理沙ぁ?」
自分は魔理沙にそう言うと、魔理沙は驚愕した表情で自分に言う。
「おい、華扇! 急いで部屋に入るぞ! そしてカレンダーを探すぞ!」
「か、カレンダー? 誰が可憐なの?」
「可憐じゃない! カレンダー! 日にちを知る道具だ! と、とりあえず、アリスの家の中に入るぞ!」
魔理沙はそう言って、アリスの玄関に手をかける、すると鍵はかけておらず、簡単に開いた、そして魔理沙は走って家の中に入り、周りを隈無く探す、自分も魔理沙と同様、アリスの家に入って、律儀に玄関を閉じ、周りを見回す。
え、えーと、魔理沙の言う『カレンダー』ってのを探すんだよな……? 自分はそう思いながらきょろきょろと周りを確認する、すると魔理沙が再度大きな声を出す。
「あっ!?」
「こ、今度は何なんだよ!?」
自分は叫んで魔理沙の声がした場所に向かう、すると魔理沙は驚愕した表情を見せる。
「あ、あぁ……くっそ! 遅かった……!」
魔理沙はそう言ってその場で四つん這いになる、一体何なのだろうか? 自分はそう思い、壁に掛かった『カレンダー』を確認する。
赤い丸が書いてある日にちより前は×のマークがあり、赤い丸が書いてある日にちより後は何も書かれていない……これは一体何を示すのだろうか? そう思って赤い丸が書いてある日にちを見つめる、すると其処には『人里へ人形劇』と書いてあった、何だ、『人里へ人形劇』かぁ……えっ? 待って? 『今、何て書いてあった』……? 『人里へ人形劇』……? それって『性格が変わっているアリスが人里へ人形劇をする』って事だよな……? それ、『人里の人、ヤバくないか』……? 自分はそう思い、四つん這いで後悔している魔理沙の気持ちを理解した。
そうか、魔理沙が四つん這いになっているのはそう言う意味か……! い、今からでも人里に向かわなければ! 自分がそう思って一歩を踏み出すと、『玄関でドアノブが捻られる音』が聞こえた。
「ふぅ……今日も疲れたわねぇ、さぁ、華扇『君』は元気かな──」
そう言って、アリスの家の中に唯一の住居者であり、家主である『アリスが入って』くる、そしてアリスとカレンダー前の自分は視線が合ってしまった、するとアリスは目を見開いて、自分を見、手に持った十字に封されている本を落としてしまう。
「な、何で……何で貴方は『脱出している』の……!? あの手錠、あの足枷があるのに!?」
「──クッ!」
しまった、まさかアリスは自分達がアリスの家に入る迄『外出中だった』のか! 自分はそう思い、もう少し隠れておけば良かったな、と思う。
そして自分は何時でも右手を使えるように、体の右側を前に出す──今はまだ魔理沙に気付いていないから良いが、魔理沙に気付いたら、魔理沙に攻撃がかかる──それだけは阻止しなくては! 自分はそう思いながらアリスを見つめる──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.78 )
- 日時: 2017/12/17 22:11
- 名前: 彩都 (ID: A4fkHVpn)
「…………」
自分は右側を前に出しながら呼吸をする、アリスがどの動きをするのか? アリスがどの行動をするのか? それは自分には分からない、だから右側を前に出して、右手の能力、『元に戻す』能力を何時でも発動出来るようにしなければ……! そう思いながら自分はアリスの方へ、一歩踏み出し、アリスに近づく。
「な、何で……何で貴方は脱出出来たの!? あんな手錠、足枷が頑丈なのに!?」
「そんなの決まってるだろ? 『僕の運命』は『手錠、足枷から脱出させる』を選択したんだ! これで……もう怖くない!」
自分はそう言って、また一歩、前に進む、自分は『早くアリスに触れたい』と思いながら自分とアリスの真ん中の机が邪魔だ、と思う、自分がそんな事を思っていると、アリスは机を足で蹴って、空中に浮かせる。
「そう……じゃあ、『私の運命』で『もっと強固な手錠、足枷にしろ』を選択させてもらうわ! 行きなさい、人形よ!」
アリスはそう言って、何処からか分からない場所から、人形を三体程出現させ、宙に浮いた机の下を人形で通り抜ける、くそっ、まさかそう言う手で来るとは……! 自分はそう思いながら、『人形の間を通り抜ける』事を考え、走ってアリスの方へと走る。
「!? まさか人形の間を一気に通り抜ける気!? でも、そんなのはさせないわよ!」
アリスはそう言って、『四体目の人形を呼び出して、自分の頭上に移動させ、自分の頭上で爆発』させた、自分は爆風を受け、地面に倒れ込む。
くっそ……後少し、後少しでアリスの体に触れられたのに……! 自分はそう思いながら、頭上、背中の上が熱い事を理解する。
いや、此処で諦める訳には行かない! まだ、まだ『自分は生きている』のだ、自分はそう思いながら、右手を強く握りしめる。
「あら? あの爆風でもう終了? やっぱり私の方が一歩上手だったわね──」
「ま、まだ諦めない! 僕は……まだ動ける!!」
自分はそう叫んで、左手で体を支えながら、前へ押す、体を前へ押すのと同時に足で踏み込んで、走るように前に移動する。
そして自分は少しでも前に進めた、と思い、顔を上げる。
すると、目の前に膝迄長い純白の『何か』が視認出来た、ん? これって確か『ドロワーズ』とか言うもんだったな、確かドロワーズの分類って、『下着』……ん? 『下着』? どういう事なのだろうか? 自分はそう思い、横目で周りを確認する、すると『自分が今居る場所はアリスのスカートの中』だった事を理解する。
「ちょっ!? 早く離れなさいってば!?」
叫び、自分の頭を叩くアリスに対し、自分はこの状況を少しずつ理解していき、一気に鼻血を出してしまい、体が仰け反ってしまう。
「ひゃっ!? 何!? 何か生暖かいモノが、股間、ドロワーズに……!?」
焦るアリスを余所に、鼻血を出しながら自分は思う、『そう言えば、このスカートの中、『ドロワーズが膝迄』なんだよな? じゃあ、『膝から足先迄、どうなっている』のだろうか?』と考えて、自分は目を見開いて、アリスの足を確認する。
すると、アリスの膝から足先迄は、『生足』だった、かろうじて、靴下は履いていても、それは『足首迄の短い靴下』だった、自分は急いでアリスの膝から足先迄の部分──弁慶の泣き所だ──を掴み、思う。
今迄フランドール、ルーミア、レミリアの場合、主に『上半身』に触れてきた、でも、『下半身に触れる』事はなかった、だからこれは『賭け』だ、『下半身に触れて、能力を発動しても、『元に戻』るのだろうか、という『賭け』』だった。
「うぉぉ! 頼む能力よ! アリスを……『元に戻』してくれぇ!!」
自分は能力を発動した、そして数秒が経った。
「…………?」
「…………?」
自分とアリスは無言状態で止まっていた、そして自分は鼻血を出し過ぎて、その場で倒れてしまう、『賭け』は……『失敗』だった──
「……? 此処は、何処だ?」
自分はそう言って、誰かに膝枕されているのに気付いた、そして膝枕をしている存在が喋る。
「あっ、起きた」
その声はアリスだった、そして自分は起き上がって、右手を前に出す。
「ま、待って! 落ち着いて!?」
アリスはそう言って両手を前に差し出す、自分は不思議がりながらアリスの瞳の色を確認する、するとアリスの瞳の色は『紅く』なかった、という事は、『賭け』は成功したのか……? 自分はそう思うと、その場で尻餅をついた。
「はは……アリス、君は元に戻ったのかい?」
「え、えぇ……何かごめんなさいね、監禁したり、手錠とかしたり……」
「いや、いいよ、もう過ぎ去った事だしさ?」
自分はそう言って、頭を下げるアリスに続けて言う。
「そ、それで……僕の性別分かる?」
「え、えっと……ごめんなさいね、今迄『女の子』って勘違いしていて……ごめんね、華扇『君』」
「よ、良かった……性別の事も覚えていて……」
自分はそう言って、安堵する、そして何時の間にか、自分の隣にいる魔理沙を見る。
「それにしても、鼻血を出して倒れるって、どんな状況だよ……?」
「あ、あぁ……」
自分が顔を赤らめると、アリスも顔を赤らめる、そして魔理沙が立ち上がって、自分に言う。
「さて、華扇、早く博麗神社に戻ろうぜ? 霊夢が寂しくて泣いているかもしれないぜ?」
「まさか? 霊夢に限って、それはないよ……」
自分はそう言って、立ち上がって、魔理沙に引っ張られる、そして自分がアリスの家に出る前に振り返って、アリスに言う。
「あっ、言い忘れてたや……アリス」
「えっ!? な、何かしら!?」
いきなり自身の名前が言われ、戸惑うアリス、そんなアリスに向かって、自分は言う。
「アリスの料理、美味しかったぜ? 何時か、此処に寄ったら、また、僕に料理を提供してくれよ?」
「え……えぇ!」
アリスは元気よく返答し、自分はアリスに手を振った。
そして自分は口にマスクをし、魔理沙の箒を掴んで、博麗神社へと向かった──懐かしの博麗神社、自分は『霊夢は元気かなぁ?』と思いながら、前を見つめた──
第四章 完
第四話 完
CHAPTER 3 終了
第五章 第五話 CHAPTER 1 に続く──