二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 東方崩壊譚 ( No.96 )
- 日時: 2018/04/04 21:48
- 名前: 彩都 (ID: AQILp0xC)
東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第六章 第六話 新聞屋、華扇
CHAPTER 1 西へ東へ、華扇よ走れ
はたてとの会話を終わらせ、自分は一人、文の自宅で待機していた、すると、『ただいまぁ』と言って、文が帰ってきた。
「あっ、お帰り」
「えぇ、ただいまです……よし、それじゃあ、さっさと人里に行って、新聞の契約を行いましょう!」
「はいはい……」
自分は文の発言を受け、外に出て、文に胴体を掴んでもらい、人里へと向かう──
「……最終的に」
自分がそう言って、文が首を傾げる。
「最終的に? 何がです?」
「最終的に、契約数は、どれだけ欲しいの?」
「……そうですねぇ? 出来るだけ大量に、という事でしょうね」
「成程、あい分かった」
「えぇ、ちゃんと宜しくお願いしますね?」
「あーい」
自分は文と会話し、ある程度頭の中に詰め込む、さぁ、今日も頑張らなければ……そう思いながら、人里の近くに到着した。
「えーと、華扇くん、まず、この紙を君に渡します」
文はそう言って、ボードに挟んである紙を渡す、何だこの紙は? 読めない文字の羅列だ、そう思ってると、文が説明する。
「まず、契約者の名前を左の項目に、右の項目に契約者の住所を書いて下さい、そして一番右には、新聞の部数を書いて下さい、この場所に書かれた数字の分だけ、新聞をその家に入れるので……分かりました?」
「あ、ある程度は……左の項目に契約者の名前、右の項目に契約者の住所、一番右に契約者の家に入れる新聞の数……でいいんだよね?」
「えぇ、それで大丈夫です、それでは、頑張って下さいね?」
「え、あ、うん……」
話を聞いて、少し面倒だ、と思いながら、自分は人里の中へ進入する──頑張って、部数を集めよう──
「すいませーん、文々。新聞、要りませんかぁ? 文々。新聞、読んでいて、損はないですよぉ?」
自分がそう言いながら、声を荒げていると、一人の自分とほぼ同じ背丈の少年が自分を指指して言う。
「おい、お前」
「は、はい? 何でしょうか?」
「お前、天狗?」
「え、えと、それは企業秘密と言いますか、何と言いますか……?」
自分がしどろもどろしていると、少年が言う。
「お前が人間なら……好きです! 付き合って下さい!」
そう言って、少年は自分に手紙を渡す、自分は少し焦りながら、少年に言う。
「へ、へぇ……私にそれをくれるんだぁ……? でも、新聞も一部でいいから、契約し、購読してくれると、私も嬉しいなぁ……?」
内心『何を言っているんだろう自分は?』と思いながら、少し高音ボイスで少年に言う、すると少年は『分かった! 一部取る!』と大声で言って、自分の手に持っていた紙を奪い、自身の名前、自身の住所、取る部数を書く。
「ふむ、ふむむ……笠瀬 善太(かさらい ぜんた)君ね……場所は、此処ら辺ね、部数は一……有難う! 善太君! 大好き!」
自分は書かれた紙を見て、善太君を首に手を絡ませ、抱き締める、すると善太君は顔を赤くして、『ご、ごめんなさーい!』と自分を押し倒して、走って逃げる。
「……と、とりあえず、一部ゲット、かなぁ……?」
自分はそう思いながら、頭を掻き、安堵する──そして次の相手を待つ間、善太君の手紙を確認する──
「はぁ、誰も来ないや」
自分はそう呟き、周りの人々を見て、『文々。新聞、要りませんかぁ?』と発言してみる。だが、新聞を見てくれるどころか、立ち止まってもくれない。
「……大変だ」
自分は頭を掻いて、呑気に待っていると、一人の青年が『新聞かぁ』と呟く。
「あっ、お兄さん、文々。新聞、どうです? 有益な情報が載っているかも?」
「う、うーん、最近新聞の高騰化であまり見ていないからなぁ、天狗の新聞なら少しは安いかもしれない……なぁ、一ヶ月の金額は?」
「えっ? 一ヶ月の金額? えーと、確か文に手渡された紙があったよな……」
自分はそう呟きながら、ボードの裏を確認する、そしてボードの上に書かれた金額表を青年に見せる。
「はい、これが金額表です」
「ふむ、一ヶ月は安いが、一年になると、普通の新聞屋と変わらんな……一ヶ月を何回も契約するって手段は出来るのかい?」
「い、いえ、流石にそれは出来ませんね……」
「そうか、それは大変だ……でも、物は試しって言うからなぁ……よし、一部だけ、一ヶ月だけ契約しよう!」
青年はそう言って、手に鉄槌打ちをして、『さぁ、契約の紙を渡してくれ!』と言う。
自分は言われた通りに紙を渡し、名前と住所を書かせる──そして紙が帰ってくる。
「えーと、然剛 嬉啌(ぜんごう うれしか)さん、ですね? えーと、一部の購読、と」
「おぅ! そうだぜ!」
「有難うございます……お兄ちゃん!」
自分は少し躊躇った後、高音、猫撫で声で嬉啌さんに言うと、嬉啌さんは顔を赤らめて、『お、おぅ……破壊力が凄い……! 善太君の言う通りだ……!』と言って、自分の目の前から去る。
……善太君の差し金かぁ、何か恐ろしいぜ……自分はそう思いながら、『文の選択も凄いな……』と判断する。
自分と同レベルの身長なら、男は抱き締める、女も抱き締める、逆に身長が高く、大人と思える人には、男性には『お兄ちゃん』と発言、女性には『お姉ちゃん』と発言……この発言、マジで効くとは思っていなかった……自分はそう思いながら、額の汗を拭った──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.97 )
- 日時: 2018/04/11 22:16
- 名前: 彩都 (ID: N7iL3p2q)
「何だか賑やかね、何をしているの?」
そう言って、自分の目の前におかっぱっぽい少女が現れる、自分と同じ位の身長、だが、『雰囲気が違った』、格好が着物で、如何にも優雅な少女だった。
「……え、えと、『文々。新聞』、如何ですか?」
自分がおかっぱっぽい少女に言うと、おかっぱっぽい少女は首を横に振る。
「要らないわ。そんな情報過多ならぬ、情報過小な新聞。それなら人間が作った新聞がまだマシよ」
「えぅっ……さ、流石にそれは言い過ぎじゃないかな? この『文々。新聞』は、天狗が努力して作ったっていうのに……!」
「だからよ? 人間様の新聞を横取りして、人間の新聞屋も商売上がったりよ?」
「た、確かにそうかもしれないけれど……」
自分はそう言って、引き下がる事しか出来なかった、そして自分はおかっぱっぽい少女に向かって、名を聞く。
「そ、そんなに色々と言えるって事は、人間様のお偉いさんって所か? 名を聞こうじゃないか?」
自分がそう言うと、おかっぱっぽい少女は淡々と答える。
「私? 私は稗田阿求(ひえだ の あきゅう)、覚えておきなさい、天狗風情が」
そう言って、おかっぱっぽい少女──基、稗田阿求──は自分の目の前から静かに去った、…………天狗風情、かぁ、自分、一応人間何だけどなぁ?
「……はぁ、稗田阿求が来てから、誰も僕に寄らないぜ……これが稗田の一族の効果かよ?」
自分はそう言って、その場で溜息を吐く、……これ以上、居ても無駄だな、自分はそう判断し、荷物を回収し、文の所に戻ろうとすると、『待って!』と大声が。
自分が静かに振り向くと、そこには可愛い女の子が立っていた、危うく惚れてしまいそうだった。
な、何を考えているんだ自分は? 記憶を取り戻さないといけないだろう、そういう感情は記憶を取り戻してからだ、自分は静かに律し、可愛い女の子に言う。
「え、えーと、何かな? は、早く発言してくれないかな? 僕、時間がないし……」
「あっ、これは失礼しました! 私は本居 小鈴(もとおり こすず)と申します! 先程は阿求ちゃんが申し訳ありません!」
「……阿求ちゃん? という事は、君は稗田阿求の友達か何かか?」
「え、えと……まぁ、親友かもしれません……」
「……それで? どうかしたの? 急に謝って?」
「えっ? あぁ、ほら、少し前に貴女に罵詈雑言を吐いたじゃないですか? だから、私が代わりに謝りに来たんです……」
「そうか、でも、僕はあまり気にしていないから良いよ」
「そ、そうですか!? で、でも、それだと、こっちとして、色々と申し訳ないですし……! あっ、じゃあ、これを受け取って下さい!」
小鈴はそう言って、自分に二枚のチケットを渡した、文字が読めないから、何が何だか分からない。
「……これは?」
「これは私のお店、鈴奈庵(すずなあん)の無料貸し出しチケットです! それ一枚で十冊借りれます! あっ、鈴奈庵というのは私のお店で、本を貸し出す所なんです!」
「……へぇ、成程、此処で君の気持ちを無碍にする事も出来ないから、受け取っておくよ」
「はい! 有難うございます!」
自分は小鈴から鈴奈庵の無料貸し出しチケットを貰い、懐に収納する、すると小鈴が自分に聞いてきた。
「あ、あの! 差し支えなければ名前を教えてくれませんか!?」
「……名前、か……それはまた今度だ、今は名乗る程、強かない」
「そ、そうですか……それでは! 天狗さん!」
「…………」
自分は小鈴にそう言われながら、小鈴に背を向け、立ち去った──僕、人間なんだけどな?
「……あぁやぁ? いるぅ?」
自分が人里に出て、そう言うと、空中から、ゆっくりと文が現れる。
「はぁい? 呼びましたぁ?」
「え、えぇ、一応はね? でも、暇になったから、此処に戻ってきた」
「ありゃりゃ? それで? 契約者は何人程出来ました?」
「契約者? あぁ、二人だよ」
「おぉー! それは素晴らしいですねぇ! 矢張り華扇くんに任せておけばよかった……!」
拳を作る文、自分は静かに文に言う。
「それにしても、僕に嫌味を言う奴が現れて、そこから先、全然進まなかったわぁ」
「へぇ? 嫌味、ですか……それは一体どんな奴ですか?」
「えっ? あぁ、稗田阿求って奴」
「あっ……華扇くん、君は大変ですねぇ?」
文がそう言って頬を掻く、自分は不思議がって、首を傾げる。
「はぁ? どう言う事だよ?」
「簡単ですよ? 稗田はこの人里で重要な人物の一人です、だから稗田が言う事は大体が正しい、そして稗田は相当な権力を持っている、なので、話を聞かない人はあまり存在しない」
「……成程、つまり稗田が周りの面々に何かを言って、僕の所に行くな、と指図を……?」
「可能性は、拭えません」
「そうか……」
自分は文の発言を受けて、少し頭を垂れる、全く、僕は面倒な相手に絡まれたんだな、自分はそう思いながら、溜息を吐く、すると文が静かに言う。
「……おやつでも食べますか? 気分転換に?」
「いいねぇ? 何を食べるんだい?」
「そんなの決まっているでしょう? 団子です!」
「……団子、好きだねぇ」
自分は冷や汗を掻きながら、内心呆れる──そして文はその場で服を着替え、人里の人間の格好をし、僕と共に人里へ入り、団子屋へと向かう──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.98 )
- 日時: 2018/04/18 22:44
- 名前: 彩都 (ID: CwTdFiZy)
自分と文は団子屋で椅子を見つけ、そこに座る。
「すみませぇん、三色団子四本!」
「あいよぉ!」
文が注文し、すぐに店員が団子四本を持ってくる、そして熱々のお茶を置いて、『ごゆっくりぃ』と言う。
「……はぁ、それにしても、今日は少し疲れた……それで? 目標はどうするの? 僕、早く霊夢のとこに戻りたいんだけど?」
「えっ? そ、そうですねぇ……後何人にしましょうか……?」
文がそんな事を考えていると、店員が団子四本を持ってきて、自分に渡す。
「有難う御座います」
「あら? 君可愛いわね? 新聞売っていた子じゃない? お隣はお姉さん?」
「い、いえ、僕は隣のお姉さんのお手伝いです、兄弟とか姉妹ではないです」
「あら? 結構可愛いのに姉妹じゃないのね?」
「え、えぇ……」
店員さんと少し会話して、店員は店内へ向かう。
……姉妹、かぁ、自分はそう思いながら、矢張りこの格好がダメなんだ、と理解する。
僕は男なのだ、女装している意味がない。
自分はそんな事を思いながら、団子を一口、口に運んだ。
「……うみゃい」
自分はそう言って、恍惚な表情になる、すると文が言う。
「ほう、それはよかったです」
文の発言を聞いて、頷く自分、すると自分の目の前にしたり顔の稗田阿求が現れる。
「あら? 妖怪が呑気に人里の人間とお茶会だなんて? この人里も終わったようね?」
「あっ!? 稗田阿求!? お、お前か……? お前と出会った後、新聞が契約出来なかったんだぞ!?」
「どうして私が原因になるのよ? 私はただ単に、『貴女の新聞は読む意味がない』と言っただけ、それの何が悪い?」
「悪いも何も……酷いじゃないか! 天狗だって頑張って新聞を作っている! 勿論人間よりかは面白くないかもしれない! でも、『人
間の新聞は人間目線、天狗の新聞が天狗目線での記事』だ! 一つの同じ記事でも、人間目線、天狗目線で色々と違う!」
団子の串で指す自分、すると溜息を吐いて稗田阿求は自分を見つめる。
「……はぁ、あほらしいわね? 貴女はバカなの? この人里では『妖怪に畏れて生活している』のよ? 貴女は知らないかもしれないけ
れど、『天狗は妖怪』なのよ? 分かっている?」
自分の発言を反論する稗田阿求、自分は『……そうなの?』と隣の文に言う。
「し、知らなかったんですか!?」
「えっ? あ、あぁまぁ……別に人間と同じ姿形だし、妖怪も人間も一緒なもんだと思ってる」
「…………」
「…………」
稗田阿求、文は自分の発言に唖然とし、驚愕している、そして自分は静かに言う。
「っていうか、僕は『妖怪、人間が握手し、手を取り合うような関係』にしたい、それは難しいかもしれないけれど、お互いがお互いを必
要とする関係にさせたいんだ、まぁ、これは僕の考えだけどね?」
「……無茶を、言うな!」
稗田阿求は自分の発言に睨んで怒りを表す。
「お前みたいな能天気な妖怪がいても、周りの人間はそれを『恐怖』と取るんだ! 寝言も寝て言え! バカも休み休み言え!」
「……稗田阿求、少し質問、良いか?」
自分は静かに発言する、稗田阿求は『何よ?』と首を傾げながら、返答する。
「……僕は、どんな存在だ? 稗田阿求から見て?」
「は、はぁ? そんなの『小さい女の子の天狗の妖怪』でしょ? アンタの事なんか私は見ただけで分かるわ」
そう言う稗田阿求、自分は文を見、文は自分を見、その場で口を手で隠して失笑してしまう。
「フフフ……勘違いしているよ文……フフッ」
「ほ、本当ですね……こりゃ面白い……」
「は、はぁ!? な、何を言っているの? 貴女達? 意味が分からないわ!」
声を荒げる稗田阿求に対し、自分は自己紹介をする。
「僕は華扇、博麗霊夢の博麗神社に住む人間だ、飛行能力はないし、能力もそれ程強くない、ただの一般人だ、そんな人間を妖怪の服を着
ただけで妖怪扱い? おいおい、それは酷いぜ?」
自分がそう言うと、稗田阿求は『華扇……?』と言って、頭を抱える、そして『あー!!』と大声を出した。
「あ、アンタがあの幻想入りして生き残っている人間!?」
「えっ? そう言われてるの? それなら多分そうだろうねぇ?」
自分がそう言って頭を掻く、そして稗田阿求が自分に言う。
「い、いや! 今はそんな事どうでもいいの! 何で貴女が妖怪の格好を!?」
「ま、まぁ、これには深い訳がありまして……だからこんな格好なんです……」
自分は稗田阿求から目を逸らし、文を見る、すると文は団子を三本食べていた。
「ふぅ、美味しかった」
「おい!? 文!? 待って!? お、お前、何本食った!?」
「三本です!」
「僕の分!?」
「誰が二本と言いました? 一本に決まっているでしょう? 契約が少ないのに?」
「こ、コイツ……!」
「……あー、何だか騒がしそうだし、面倒な事に足を突っ込みたくないし、それじゃあ、今日はこの位にしてあげる」
「えっ!? ちょっ!? 稗田阿求!?」
目の前を去る稗田阿求を叫んでも、稗田阿求は止まらない。
自分は『おいおい……』と思いながら、頭を垂れて、持った団子を食べる──団子を食べながら飲むお茶は少し塩味を感じる……自分はそう思いながら、二本団子が食べれなかった事を悲しむ──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.99 )
- 日時: 2018/04/25 22:19
- 名前: 彩都 (ID: npB6/xR8)
「……さて、休憩も致しましたし、夕方の部、配布しましょう!」
「夕方の部? 何それ?」
文の発言に首を傾げる自分、すると文が言う。
「新聞には、朝と夕方、一日二回新聞を配るんです、だから今から夕方の新聞を配るんです」
「成程……」
自分は新聞の話を聞いて、静かに納得する。
「それじゃあ、配りに家に戻りますよ」
「はーい」
自分は文にそう言われ、仕方なく、文の家に戻る事にする──団子……団子……──
「はい、到着しました、それじゃあ、新聞を取ってくるので、少しばかり、待っていて下さい」
「はーい」
自分と文は文の家に移動し、自分は文の家の前で待機する事にした、すると一人の少女、はたてが現れた。
「あっ、はたてだ」
「あっ、ガキだ」
「僕は華扇だ」
「はいはい、知っていますよっと、それで? 今日はどうだった?」
「全然? たった二人しか契約出来なかった……」
「ありゃま? まぁ、でも、初心者にしては上手く行ったんじゃない? それで? 人前で脱いだりした?」
「脱ぐ訳ないだろ」
変な事を言うはたてにツッコミを入れる自分、全く、何て変な事を聞くのだろうか? 自分がそう思っていると、玄関から文が現れる。
「はぁい? お待たせしましたーって、どうして貴女が居るんですか?」
「居ちゃ悪い? 私はこんなに可愛い少年、華扇と会話しにきただけだしぃ?」
「失礼だけど、華扇は私のモノだ、基、博麗の巫女、幻想郷の賢者のモノかもしれませんが? 今は私のモノだ」
「あら? 何時か、何時か奪われる時が来るわよ? いや、『逆に奪われる』可能性もあるわね?」
「……はたて、喧嘩を売りに来たんですか?」
「売っても良いけれど……文、アンタの実力じゃ、私には勝てないんじゃない?」
「ほう? 何と面白い事を? じゃあ、勝った方が負けた奴を記事にするっていうのはどうでしょう? その方が燃えるでしょう?」
「確かに燃える、でも、それじゃあ、つまらない、もう一つ付けても良い?」
「えぇ、良いですよ? 何でも言って下さいよ?」
「そう? じゃあ、言うわね──」
文とはたての言い合いに入れない自分、するとはたてはとんでもない事を自分に言う。
「じゃあ、言うわね──『私が勝ったら、華扇を私に頂戴してくれ』る? それで良いわね?」
「……それじゃあ私が意味がない、そうだなぁ……もしも『私が勝ったら、私の新聞を貴女の購読者に配布して下さい』よ? それなら五分五分です」
「ちょ、ちょっと!? はたてもはたてだよ!? 何で僕が賭けの対象に!?」
二人の発言に自分がツッコミを入れると、二人は冷酷な目で自分に言う。
「華扇は黙ってて」
「華扇くん、シャラップ!」
「え、えぇっ……?」
自分は二人の姿を見て、はぁ、と溜息を吐いた──
「それじゃあ、先に弾幕に被弾したモノの負け、でいい?」
「えぇ、いいですよ」
「私もいいわよ」
「よし、じゃあ、試合開始……」
「おりゃああ!!」
「負けないわよぉ!」
僕は文とはたての弾幕勝負(ごっこ)に溜息を吐きながら、審判となった、そして自分は隠れて、視界良好な場所で弾幕を確認していた。
「……二人共凄いなぁ、僕も弾幕を撃ってみたいぜ……どうやって撃つんだろうか?」
自分はそう思いながら、指先を見ながら、玉を出す感じで弾幕を出そうとするが、そもそも弾幕を出す事が出来なかった。
「…………悲しいぜ」
自分はそう呟いて、面倒になったので、目の前を確認し、勝敗を考える。
その前に新聞配達をしなきゃいけないんじゃなかったっけ? 自分はそう思いながら、その場で頭を掻いて、早く弾幕勝負が終わらないか、を待つ、だが、中々弾幕勝負は終わらない、そして自分が息を吸った時だった、『きゃあ!』と、可愛い声がした、一体誰が被弾したのか? 自分が顔を上げると、被弾した相手は『文』だった。
「はい、私ぐらいのレベルになると、これ位簡単よ!」
「う、うぐぐ……」
文はそう言って、地面に膝を突き、静かにはたてを睨んでいた、ま、まさかはたてが勝つなんて……いや、逆に文が負けるなんて、想定していなかった、自分はそう思いながら、文を見る。
「あ、文……」
「あ、あややややや……少しだけ、少しだけ弱気で行ってしまいましたねぇ?」
文はそう言って、口の端を歪ませ、弾幕を一個、はたてに向かって放つ、まさかの弾幕攻撃にはたては避ける事が出来ずに顔面で受ける。
「あでっ! て、てめぇ!? 文!? 勝負は着いたんだから、弾幕を放つのはアウト!」
「あーっはっはっ! 『足下を掬われる』っていうのはこう言う事ですよ、はたて!」
その場で笑う文に対し、はたては『巫山戯んなー!』と叫んで、弾幕を放つ、文は右へ左へと弾幕を避けていく。
……はぁ、コイツ等ぁ? 自分はそう思いながら、溜息を吐いて、二人を見た──本当、コイツ等は言い合いして、険悪なムード出しているけど、本当は仲良しなんじゃないか? 自分はそう思いながら、鼻で笑った──そして自分は『今日の僕の所有者は一体どっちになるんだろう?』と考える──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.100 )
- 日時: 2018/04/25 22:19
- 名前: 彩都 (ID: npB6/xR8)
「はーっはっはー! これで華扇も私のモノ! これで私の新聞も商売上がったりよー!」
「そ、それはどうでしょうねぇ!? 私だけでもまだ二人! だからまだまだですよ!?」
「分かってますよーっだ! それでも、私の新聞だから大丈夫!」
「だ、大丈夫ですかねぇ……?」
焦る文を見ながら、自分は文に言う。
「ねぇ、文?」
「はい? どうかしたんですか?」
「どうかしたのもどうかしているけれど、その前の問題、『今日の僕の所有者は誰になる』のさ? それを明確に聞いておきたくて……」
「…………」
文はその場で無言になり、目線を自分から逸らす、文? 自分はそう思いながら、文を見つめる、するとはたてが言う。
「んー? 所有者問題? 大丈夫よ、今日は文のモノ、だけど明日から私のモノ、OK?」
「え、えぇっ……?」
結構面倒な内容だった、自分はそう思いながら、溜息を吐く。
「な、何だよその面倒な内容は?」
「何処が面倒よ? どこも面倒じゃないわよ?」
「いや、僕からしたら面倒なんだけど?」
「そう感じるだけよ、相手が天狗だからじゃない?」
「あぁ、その手があるね、いや、ねぇわ! お前等が天狗であっても、天狗じゃなくても、面倒だわ! 何だこの不毛な会話は!?」
「あっはっはっー、天狗って、相当面倒な妖怪ってのが分かったかしらー?」
「あぁ、ある程度はな! それじゃあ、文! さっさと新聞を運びに行こうぜ? ってか、さっさと晩御飯が食べたい」
「えぇー? 私は食べたくないですよぉ? だって、お腹一杯ですしぃ? 食べるなら、一人で食べて──」
「元はといえば、団子を三串も食べたお前が原因だぁ!?」
「まぁ、そりゃそうでしょうね」
「おいこら犯人……という事で、今から新聞を運びに行くよはたて? それじゃあ、また明日」
「えぇ、また明日……華扇、アンタ相当文に振り回されてるわね……」
自分ははたてと分かれて、文と一緒に人里へ向かう──その時にはたてが小声で何か言ったが、自分には聞き取れなかった、妖怪用語? もしくは天狗専用の言語か? それは分からない──
「……はぁ、面倒だった……」
自分は文とはたての弾幕勝負を見ながら、思った感想を文に述べた。
「アハハ……見て、撃つには楽しいかもしれませんが、他人──特に弾幕を放てない華扇くん──には楽しめない場合がありますもんね?」
「そりゃそうだよ? ってか、弾幕をどうやって出すのかも分からないから、撃ち方も出し方も分からないし、楽しめない」
「あぁ、確かに華扇くんは弾幕を撃っていませんねぇ? 撃てないんですか?」
「多分撃てない……どれだけ手に集中しても、何か出る雰囲気さえない」
「おぅ……それは中々に大変ですねぇ、後で少しだけ弾幕の放ち方を教えましょう」
「有難う、文」
自分はそう言って、感謝する、これで弾幕を放つ事も出来る……! 自分はそう思いながら、安堵する──
そして自分は人里に到着し、文は団子屋に来た時と同じ格好をし、新聞片手に歩き始める。
「えーと、まず、一件目は『橋崎(はしざき)』さんのお宅」
そう言って、文は橋崎さんとやらに新聞を投函する。
「二件目は『辿呂井(たどろい)』さんのお宅、辿呂井さんのお宅は投函する場所がないから、家の入り口に挟んで下さい」
「はーい」
「それで、次、三件目は『科海(かかい)』さんのお宅、戸に呼び鈴があるので、呼び鈴を押して、『新聞屋でーす!』と叫んで下さい」
「はい」
「科海さーん! 新聞でーす!」
「あーい」
小さな声で男性の声がし、少し待つ、すると大きな体を持った男性が現れ、戸を開ける。
「はぁい、あっ、射命丸さんだぁ」
「こんにちわです、科海さん!」
「アハハ、射命丸さんは今日も元気だなぁ? あれっ? この小さいのは?」
「あぁ、博麗の方の子です、私が今、一時的に引き取っているんです」
「成程、親代わりみたいなもんか」
「ばっ! バカな事を言わないで下さい! 私はまだ少女! 親代わりになれませんって!」
「あ、あの……華扇、と申します……」
自分は二人の会話を切って、自己紹介をする、すると科海さんは自信の頭を撫でて、『よしよし』と言う。
「私は科海、科海、学陸(かかい がくりく)と言う、覚えてくれたまえ、因みに私は妖怪、『音を聞き分ける程度の能力』を持つ弱い妖怪だ、だけれど、一般の人間よりかは力がある、華扇『君』?」
「……えっ? 華扇……『君』?」
自分は一発で性別が看破された事に驚愕する。
「おいおい? 今さっき言ったろ? 『音を聞き分ける程度の能力』って? 男と女の『音の違い』を『聞き分けた』だけだ、おっと、そう言えば君は博麗の巫女だったな? どうも私の事は話さないでおくれよ? 別段人間と戦いたい訳じゃないからね?」
「あっ、はい、分かりました」
「それじゃあ、科海さん、私達はこれ位で、次の所に向かいますね」
「あぁ、頑張ってくれよ、射命丸さん?」
自分と文はそう言って、頭を下げる、科海さんもにこにこ笑顔で見送ってくれた。
「さぁ、後少しの新聞配達、頑張りましょう!」
「あぁ、そうだなぁ……」
自分は文の発言に返答し、ゆっくりと人里を歩いて、他の家に新聞を届ける──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.101 )
- 日時: 2018/05/02 22:02
- 名前: 彩都 (ID: DT92EPoE)
東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第六章 第六話 新聞屋、華扇
CHAPTER 2 はたての華麗なる朝
自分と文はまだ夕方の新聞を投函していた、案外人里は広いので、歩いて投函するのは少々骨が折れた。
「……はぁ、人里って広いなぁ」
「まぁ、未だに華扇くんみたいな外来人が来ている訳ですし──正確には無意識の『幻想入り』、ですが──そりゃ、人が増えますよぉ? この前なんかは『サッカー』が流行りましたし?」
「『サッカー』? サッカーって、あのサッカー? 白黒の玉を蹴り合うあれ?」
「そうですそうです、人里の子達はもう、皆夢中になっておりましたよ?」
「へぇ……」
そうなのか、それはそれで、面白い事を知った、自分はそう思いながら、『それで? 次に投函する場所は?』と言う。
「次、ですか? 次はもう少し先に『果前(はてまえ)』さんという家があります、そこに投函です」
「そうか……そう言えば、後何件投函するの?」
「えっ? あぁ、後数件位ですかねぇ?」
「ほう? 案外簡単に終わりそうだね?」
「えぇ、後少しですしね?」
文は自分に微笑んで、先に走って、『果前』さんの家に新聞を投函する──さぁ、自分ももう少し頑張らないとなぁ? 自分はそう思いながら、文の後を追う──
「ふぅ! これで完了完璧コンプリートです!!」
文はそう言って、両手を上げて、息を漏らす、自分は『おめでとう』と呟く。
「いやぁ、今日も頑張りましたぁ! さぁ、華扇くん、さっさと帰ってご飯ですよ?」
「あっ、はい」
自分はやっとご飯が食べられる、と思い、安堵する、団子一本三個だけでは腹の足しにはならないからだ、自分はさぁ、今日はどんなご飯を食べようか? と思いながら、人里を出、文に捕まって、移動した──
「さぁ、到着っと」
文と自分は天狗の料理屋の前に降り立つ、そして入店すると目の前に、自分と文を襲ったあの白浪天狗が立っていた。
「あっ」
「あっ」
お互い同じ声調、同じ発音をし、その場で固まる。
「んー? どうかしたんですかぁ? ……って、あっ、あの白浪天狗!? どうして此処に!?」
そう言って、文が驚く、これで三人──文と白浪天狗を『人』と数えてもいいかは別として──が驚いた、そしてゆっくりと白浪天狗が言う。
「お前……!? あの時は恥をかいた! でも、今は違う! 今は『周りに仲間がいない』! だからお前を後で痛めつける!」
そう言って、白浪天狗は料理を注文する。
「…………」
「…………」
自分と文はその場で無言で立ち続けていた──そして我に返って、動き始める──
「さぁ、どうしますか?」
「さっさと飯を食って逃げる」
自分は文にそう言う、今は料理を注文し、イスに座って、待機している所だった。
「それがいいですよねぇ? 戦うより安全ですし」
「そうだそうだ」
「でも、相手がそれで喜びますか? 『敵前逃亡だぁ!』とか言われそうですしねぇ?」
「そっそっ、そう言う事、だから、どうしよう?」
自分が首を傾げ、考えていると、『あっ、華扇に文じゃん?』と言って、はたてが現れる。
「およよ? はたてじゃんか? どうしたの? 僕の手助け?」
「はぁ? アンタ、何を言っているの?」
「え、えと、実は……白浪天狗に喧嘩を売られて……どう対処しようかなぁ? っていう作戦会議」
「アンタの能力で倒せば?」
「生憎僕は弾幕を使えない、だから勝つ方法は低い」
「あんな能力を持っておいて?」
「うん、一応、『危険な時に使う』能力だからね、基本的には使わない」
「いや、使いなさいよ? 攻撃されたら、使うんでしょ?」
「正解」
自分はそう言って、はたてに溜息を吐く。
「出来るだけ戦いたくないんだ、だって、此処は『君達天狗の本拠地』だ、つまり僕はアウェーなんだ、だからこそ、『威圧され負ける』可能性もある」
「……知らない、アンタの勝手にするしかないわ」
「そう、か……」
自分ははたてにそう言われ、首を垂れる、こういう意見もあるのか……そう思いながら、どうしようか、そう考えていると、文と自分を呼ぶ声が聞こえた、さぁ、さっさとご飯を食べよう、そう思いながら文と共に料理を受け取りに行く──
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
自分、文、はたて、白浪天狗の四人──僕以外は妖怪、天狗なので、一人と三体が正しいかもしれない──は四人が座れる席で四人で座っていた、いや、席の使い方は正しいかもしれないが! どうして『敵と一緒にご飯を食べている』んだよ!? 自分は内心ツッコんで、溜息を吐く。
いや、『自分が逃げないように』って話だけど、逃げる訳ないだろ? 家に籠もるだけだし? 自分は溜息を吐いて、自分以外のお皿を見る。
白浪天狗はおかずばっか食べ、ご飯はあまり食べていない、その逆、文はご飯ばっか食べ、おかずはあまり食べていない、はたてはご飯、おかずをバランスよく食べている、自分は適当に食べているので、毎食毎食違う。
……それにしても、何とのんびりな食事風景なのだ? もしも他の天狗が見たら、四人仲良くご飯を食べている、と思われるのだろうか? 自分はそう思いながら、頬を掻いた──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.102 )
- 日時: 2018/05/09 22:19
- 名前: 彩都 (ID: 9ihy0/Vy)
「おい、何だよ? じろじろ見やがって?」
そう言って、白狼天狗が自分を睨む。
「い、いや? 何でも?」
自分はそう言って、急いでご飯の器に目をやる、な、何と食べづらい空気なのだろう? なのに、何で文とはたては暢気に食べられるんだよ!? 自分はそう思いながら、『メンタルが強いのか……?』と思う、そして幾らか時間が過ぎ去り、四人共ご飯を食べ、休憩していた。
「はぁ……食べ終わったぁ……」
「おいこら巫女よ! 飯が食い終わったんなら、バトルだ! 戦闘だ! 弾幕ごっこだ! さぁ、急げ!」
「え、えぇっ……? い、いや流石にきついっす? だって、すぐに動いたら吐きそうになる……」
自分は自身の腕を掴む白狼天狗に向かって、もう片方の手で口を隠し、吐きそうなポーズを訴える。
「あぁっ!? ……ったく、しゃねぇなぁ? 何で人間の肉体はこんなに弱いんだ?」
「それは妖怪より脆弱で、微弱で、最弱だからです」
自分と白狼天狗の間に入る文、文は人差し指を立てて説明する。
「まず、妖怪が『存在』出来るのは、『人間』が居るからなんですよ? 白狼天狗?」
「はい? それはどう言う事です? 弱い人間なんだから、駆逐しても良いじゃないっすか? だって、此処は『妖怪の森』、普通一般の人間は入ってはいけないんですから?」
「じゃあ、人間である守谷神社の巫女はどうなるんです?」
鋭い正論に白狼天狗は口の端を歪ませ、反論する。
「そ、そもそもその巫女は『人間ではない』んですよ! だって、アイツは『現人神』と呼ばれる『神』なんですから!」
「でも、『元々は人間でした』よね? そもそも『現人神』と呼ばれたのは、この『幻想郷に来てから』、ですし? だから『人間時代はそんな事を言われていません』よ?」
「そ、それは……!?」
焦る白狼天狗、自分が『諦めなよ』と言おうとした時だった、はたてが白狼天狗の肩を掴んで微笑む。
「だめだめ? 文に反論し、論破しよう、だなんて? アイツは案外口が回るのよ? 論破なんて『ほぼほぼ不可能』と考えておきなさい? 白狼風情が?」
「ひっ!?」
いきなり声が低くなり、恐怖を覚える白狼天狗に自身も少し恐れてしまう、すると静かに文が言う。
「はぁい? これが『畏れ』です、妖怪は人間が『畏れる』事で生きる事が出来ます、そして人間が『お前なんか怖くない!』と『精神的に否定』する事で妖怪はその『存在意義』が揺れます、そしてその『存在意義』を失った時、『妖怪の死』です、つまり、『妖怪が人間を恐怖の渦に沈めておかないと、妖怪は死んでしまう』という事ですね?」
「お、おぅ……」
「な、成程……」
自分と白狼天狗はそう言って、内心驚く、まさか妖怪がそんなに脆い存在だったとは……これからもう少し優しく生きなければな、と思う、すると文がもっと分かりやすく言う。
「まぁ、簡単に言えば、『妖怪の心は壁によって守られています』が、その壁は『人間の恐怖心』から出来ている物、なのでもしも『人間の恐怖心』がなくなったら、『妖怪の心を守っている壁が消滅し、むき出しになって』しまう、そしてそのむき出しの心がずっと晒されていると、心を消費してしまい、何時の間にか妖怪としての存在が消えてしまうのです……逆に私達は『人間に畏れられている』からこそ、『此処に存在している』のですよ、分かりましたか? 白狼天狗さん?」
「は、はい……」
「関係ないけど、案外為になったな……」
「えっ? いや、華扇くんには説明していないんですがねぇ……まぁ、いいですか、妖怪について、まだまだ素人ですし……」
「えへへ……まぁ、レミリアやフランドールを倒しても、まだまだ知らない事は多いんだなぁ」
「は、はぁ……何か、初歩的な話をされた気分だ……」
白狼天狗はそう言って、その場で溜息を吐く、そして自分の首根っこを掴んで、言葉を発す。
「おい? 話を聞いて、時間を食ったろ? これで時間を消費した、さぁ、さっさと戦おうぜ?」
「え、えぇっ……? いや、もう少しゆっくりしろよ? せっかちだなぁ?」
「なっ!? せっかちだと!? せっかちなのは人間の方だろ!? 少ない寿命で色々な事をし過ぎだっつーの!」
「なっ!? それは仕方ないだろ!? 限られた生命の時間の中で何をするか、何をすればいいのか、それを考えたり、行動したりする時間が必要だ! だからせっかちに動いているんだ!! 妖怪は人間より長生きだろ!? だから僕を急かすなよ!?」
「何だと!? それが分かっているのなら、さっさと戦って、勝敗を喫しよう!」
「だから少しは休憩しろって言ってんだろ!?」
「それじゃあ、お前の発言に矛盾するぞ!?」
「矛盾とかどうでも良いだろ!?」
「あーはいはい、それじゃあ十分後に戦おう? それでいいな二人共?」
そう言うはたてに対し、自分と白狼天狗が『勝手に決めるなよ!?』と同時に叫ぶ。
すると文が、『お前らいい加減にしろ!』と怒鳴り、自分と白狼天狗の頭に拳骨を落とす、そして自分と白狼天狗の首根っこを掴んで、店の外に引きずる。
そんな様子を見ながら、はたては『流石幻想郷最速……手が出るのも『最速』……』と小声で呟いた──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.103 )
- 日時: 2018/05/16 21:27
- 名前: 彩都 (ID: dSN9v.nR)
「あ、頭が痛い……」
自分はそう呟いて、頭を擦る、背中には土の冷たい感覚が分かる、その隣に白狼天狗もいた。
「わ、私も痛いよ……」
「店の中で喧嘩するからでしょう? 他の天狗の迷惑も考えなさいよ?」
そう言って自分と白狼天狗の顔を覗く文、そしてはたてが店から出てきて、自分達に言う。
「そこで寝転がっている間にもう十分が過ぎたわ、戦うなら、急ぎなさいよ?」
「はぁ、もう十分か……」
「へへっ、やっと戦える! あの時の屈辱、晴らしてやるぜ!」
白狼天狗はそう言って、勢いよく立ち上がり、地面の自分を指指す、あーあー、元気な妖怪だ、自分はそう思いながら、頭を擦り、ゆっくりと立ち上がる。
「それじゃあ、大まかなルールとして、『相手に『参った』と言わせた者の勝利』とする、良いわね二人共?」
「あぁ、いいぜ? 他にルールは?」
「他のルールはない、『相手に『参った』と言わせた者の勝利』のみ、がルールよ」
「OK、分かった」
「私も分かったぜ? それじゃあ、私が勝つ!」
「いや、今度も僕だ!」
自分と白狼天狗はそう言って、お互いを睨み合う、そして自分は右手に集中して、白狼天狗の動きを知ろうとする。
「それでは……試合開始!」
はたての発言を受けて、一気に白狼天狗が動き始める、だが、自分は白狼天狗の動きを目で追う事は出来なかった。
「遅い!」
白狼天狗がそう言って、自分に弾幕を放つ、自分はその弾幕を何とか下に下げて避けるが、目の前に白狼天狗が現れ、足先で自分の顎を蹴り上げる。
そして自分の体は大きく反ったような姿になる、その姿を見て、白狼天狗は胴体に何発も攻撃を仕掛け、全部命中させる、自分はあまりの威力に、後方に飛ばされ、木の幹に背中をぶつける。
「いっつー……」
自分は手の甲で口を拭い、静かに立ち上がって、息を荒くする。
「な、中々に強いなぁ、白狼天狗よ? だけど……此処は僕が勝たなきゃ、意味がない!」
自分はそう言って、右手で痛い所に触れて、痛みを『元に戻』し、何事もなかった事にする。
「……厄介な能力だな、その右手……」
「へへっ! いい能力だろ? この能力で色々な人を守れた、色々な妖怪も守れた、特別な右手だ、だから、そう簡単には手放せない右手だな?」
「……だから何だ? 私にとっては、ただの目障りな人間が持っている、ただの右手だ──能力が発動出来る、な?」
「……誉めているのか、貶しているのか、分からないなぁ、君の発言は?」
自分はそう言って、息を漏らし、口の端を歪ませる、まさか今さっきの弾幕は『目眩まし』の弾幕だったか……弾幕を放ち、視界を遮って、弾幕の後ろに移動して、避けたと思ったら、本体の攻撃が……ってか? あーあ、中々に考えられているなぁ? 結構困るなぁ? 自分はそう思いながら、弾幕は避けずに、右手で消すしかないな、と判断する。
「……ふむ、それでは試合再開」
はたてがそう言って、再度白狼天狗が動き出す、そして大きく足を上げて、大きく足を戻す、すると足と地面が擦れ、少しだけ煙幕っぽいのが出来る、それを何度も繰り返す事で、自分の目の前に完全な砂埃の舞が起きる。
まさか、目眩ましの続きか……と思っていると、『砂埃の舞の中から弾幕が現れ』た、まさか、弾幕を!? 自分はそう思いながら横に避ける、すると、『ふふふ』と聞こえ、自分の首を腕で締め上げる。
「ぐあぁ!?」
まさかの行動に自分は呻き声を上げる事しか出来なかった。
「ふふふ……これで人間共々終了だ!」
「ぐ、ぐぅ……」
「……はたて? これは記事になるチャンスでは?」
「お前は鬼か?」
「天狗です」
「う、うん……」
自分の事を見ながら会話をするはたてと文、何だろう? この会話、凄く腹が立つ。
「ほぅ? 中々に気絶しないな? 人間の力より我ら妖怪の力が強い、というのに?」
「……だから何だよ? これ位の苦しみは、何度も経験している……」
自分はそう言って、『動ける右手』を動かし、自分の首を絞めている白狼天狗の腕に触れ、能力を発動する。
「これで回避だ!」
自分はそう言って、『首を絞められる』前迄『元に戻』し、振り返って、白狼天狗を見る。
「く、くそっ……」
苛つきを見せる白狼天狗に対し、自分は走って、白狼天狗の顔面を右手で掴み、地面に押し倒し、発言する。
「もしも……もしもだ、僕の能力が『記憶』に迄、使用出来たら、どうする?」
「は、はぁ? どう言う事だよ? 意味が分からないぞ?」
「そんなの簡単だよ? 『僕が能力を発動する、すると君は『記憶を元に戻されて、僕と出会っていない』記憶迄元に戻される』って事だ、つまり、『今の記憶が消滅する』って事だな?」
「は、はぁっ!? ふ、巫山戯るな!? そんな事をするんじゃない!」
「いや? もう遅い?」
自分はそう言って、右手の能力を使用する、暴れる白狼天狗を頭を押さえながら、制止させるのは、案外面倒だな、自分はそう思いながら、右手の能力を使用しながら、白狼天狗の頭を押さえつける──
「……ん? 此処は?」
白狼天狗が目覚める、そして起き上がって、談笑している三人組、自分、文、はたての三人に言う。
「あの……すいません? 私、どうして寝ていたんですか?」
「さぁ? どうしてでしょうねぇ? 私達、此処で雑談していただけですし? ってか、今さっき、室内から室外に出たばっかなので、貴方が倒れていた事を知りません」
「あっ、そうなんですか、それは失礼しました」
白狼天狗はそう言って、宙に浮いて、移動を開始する──そして白狼天狗が去ったのを確認して、文とはたてが自分の両手を上げて、発言する。
「勝利ー」
「かおー」
「い、いえーい?」
自分は『どういう状況だ?』と思いながら、少し顔を赤らめて、『有難う……』と呟いた──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.104 )
- 日時: 2018/05/23 21:57
- 名前: 彩都 (ID: exZtdiuL)
「な、何とか勝って、安心だ……」
自分はそう呟いて、肩を降ろす。
「あはは……確かに、でも、まさか『記憶を消す』っていう、暴挙には驚いた」
「確かに」
文、はたてが言う、確かに自分の能力で『記憶迄元に戻す』とか、やった事がないから、驚いた、本当に驚いた。
まぁ、これはこれで、良い発見だ、自分はそう思い、右手を拳にし、虚空を見つめた──
「何とか勝ったなぁ」
自分はそう呟きながら、場所を移動し、文の家で口を尖らせていた。
「確かに、それにしても、中々格好良かったですよ? まるで記事にしたい位です」
「おいおい? それは恥ずかしいよ?」
自分はそう言って、布団に寝転がって、文に言う、そして続けて文に言う。
「というか、そこ迄記事にする気? 僕には考えられないや?」
「そうですかぁ? 私達天狗はあまり記事にするようなネタがないので、毎日探しているんですよぉ? だから新聞は何時も薄い……もう少し分厚くしたいんですがねぇ? ぜぇんぜん、ネタがない」
「それはそれで大変だなぁ? でも、僕はネタを提供しないぞぉ?」
「あやややや? それは悲しいですねぇ? じゃあ、こう言う事があっても?」
文はそう言って、服のボタンを外し、下着が露わになる、スカートのホックも外してあり、下の方の下着もちらりと見えていた。
「あ、文!?」
驚く自分に文はにやにやと笑いながら、寝転がった自分に乗りかかるように四つん這いで自分を見つめる。
「あ、文、さん……?」
ドギマギしながら返答する自分、自分は服を脱いだ文から目線を外したり、見たりする、うぅっ……ドキドキしながら、『早く、この状況よ、消えろぉ!』と、思う。
「んー? どうかしたんですかぁ? 恥ずかしいんですかぁ? やっぱり男の子なんですねぇ?」
にやにやと笑う文に対し、自分は顔を赤らめながら言う。
「え、えーと……文は……僕に何がしたいの?」
自分の発言を受けて、文が『そうですねぇ?』と、顎に人差し指を当てながら、発言する。
「そうですねぇ? もしも、もしもですよ? 『私と華扇くん、その二人の赤ちゃんが出来たら』って? 人間と鴉天狗の赤ちゃんって、聞いた事がないですからねぇ?」
「……はい? えっ? ちょっ? 文、さん!?」
そう言って文が自分の懐に手を這わせる、ぞくり、ぞくぞくと虫酸が走るような感覚を覚え、自分が両手で文の手を止める。
「まぁ、待て! 色々な意味で待て!」
「あややぁ? それはどうしてですぅ? もしかして、私と華扇くんの赤ちゃんを作りたくないと?」
「作る以前の問題だ! 僕は人間だぞ!? 鴉天狗も妖怪だろ!? 人間と妖怪の子って……? 僕はそんな存在、知らないぞ!?」
大声を出して、荒げる自分に対し、文が、『確かにそれもそうですねぇ』と、発言する、だが、文が『でも、半人半妖の存在は居ますよ?』と、発言する。
「は、はぁ? だ、誰だよ? そんな奴、自分は知らないぞ?」
「そりゃそうでしょうねぇ? 多分会っていないでしょうし? 説明しても分からないでしょうねぇ?」
首を傾げる文に自分が、『それでも教えてよ?』と、言う。
「仕方ないですねぇ? まず、一人目、人里にいる『上白沢 慧音(かみしらさわ けいね)』、寺子屋の教師をしています──半人半妖ですが、彼女の場合、『後天性』ですがね──、そしてもう一人は『香霖堂』店主、『森近 霖之助(もりちか りんのすけ)』、何時か『香霖堂』に行ってみてはどうでしょう? 自身の知っているモノもあるかもしれません?」
「はぁ? どう言う事? 『香霖堂』に何がある、というのさ?」
首を傾げる自分に文は説明する。
「『香霖堂』には、『外の世界のモノが流れ着いている』場合があるんです、それらを売っていたり、扱っていたり……だから、外の世界から来た、と思われる華扇くんも、外の世界のモノに触れると、記憶を取り戻すかもしれませんよ?」
「『香霖堂』、か……」
自分はそう言って、左手で顎に手を当てて、何時かは行こう、と考える、もしも『香霖堂』に自分の記憶を取り戻す何かを見つけられるかもしれない……自分はそう思いながら、『香霖堂』か、と、心の中でメモをする。
「さて、話も終了しましたし、私と赤ちゃんを作りましょう!」
「作りません!!」
自分は涙目になりながら、元気な笑顔の文にツッコミを入れ、急いで足下の布団を手に取り、『僕はもう寝る! お休みなさい! 文さん!!』と、言って、寝る事を考える。
い、色々な意味で危ない! 僕の中の『大事な何か』が消えそうだ! 自分はそう思いながら、『何とか回避出来た……?』と、思った。
隣で文が、『ぶぅ、少し位良いじゃないですかぁ? 男日照りなんですからぁ! 少し位遊んでくれてもぉ! 君みたいな幼い少年を襲いたいですよぉ!』と、叫ぶ。
も、もしも、あの状況を受け入れていたら……中々に恐ろしい気がする……自分はそう考えながら安堵する。
そして文はそのままぶーぶー言いながら、電気を消し、寝る事にした。
こ、これで、安心だ、これで文も寝る……自分は溜息を漏らしながら、寝る事にした──さぁ、快眠を、安眠を取ろう。
- Re: 東方崩壊譚 ( No.105 )
- 日時: 2018/05/30 22:45
- 名前: 彩都 (ID: zbxAunUZ)
「起きなさい?」
そう言って、下半身に何か圧迫感を覚え、自分は静かに目が覚めた、布団を被っているので、目の前は真っ暗、だけど、声は聞こえる、一体誰だろう? そう思い、布団を、どけた。
すると自分の目の前に仁王立ちで腰に手を当てるパジャマ姿のはたてが立っていた。
はたては自分の太股を踏んで、自分を起こしていた。
「……はぁ?」
自分はそう思いながら、起き上がって、横を確認、壁に掛かっている時計を見ると、時間は夜の十一時五十分を指していた。
「……はぁ?」
二度目の発言にはたてが言う。
「何がはぁ、よ? 態々私が起こして、呼びに来たのに、何よ?」
「起こして呼びに来た……?」
理解が出来ない自分にはたてが言う。
「ほら、昨日一昨日言ったじゃない? 『貴方を借りる』って? 日付が変わる丁度に奪いに来たの」
「……何つー行動力だ」
「煩いわね? さっさと動きなさい!!」
はたては自分の太股を踏んで、起こす、あぎゃう!? と、叫ぶ、だが、はたてが黙れって! と、小声で言い、自身の口を手で塞ぐ。
「さぁ、私の家に来なさい?」
「……はい」
自分は仕方なく、溜息を吐きながら頷いて返答する、天狗って、こんなにも横暴なのか……自分はそう思いながら、布団を畳み、はたてと一緒に文の家を出て、はたての家へと向かう──
「…………」
「ん? どうしたの?」
「い、いや、あ、あの……これ、はたての家?」
唖然とした自分がそう言って、目の前の建物に指を指す、はたては『えぇ、そうよ』と、言う。
「は、はぁ……」
自分は目の前の建物に驚愕しながら、顔を上げる、目の前の建物は『豪華』だった、とても大きい。
軽く五階はありそうな雰囲気だった。
「で、でかい建物だ……」
「そう? 大天狗様はもっと大きい家よ?」
「えっ? そうなの?」
自分は思った事を口にすると、はたてが静かに返答する、へぇ、そうだったのか、自分はそう思いながら、家の中に入るはたての後ろをついて行く。
「それじゃあ、今日の所はもう寝ましょう、今から寝床に案内するから」
「あぁ、有難う、はたて」
自分はそう言って、はたての家の中に入って、周りをきょろきょろしながらはたての言葉に返答する。
うーん、それにしても広いなぁ? それにしても大きいなぁ? 自分はそう思いながら、『はぁ、凄い』と、感嘆の声を出していた。
「……そ、そんなに凄いかしら……?」
首を傾げて言うはたてに対し、自分は『あぁ、とても凄いよ! 今迄の家の中で一番!』と、返答する、すると、『あんた、色々な家に入ったって事?』と、はたてが首を傾げる。
「あ、あぁ……博麗神社、魔理沙の家、アリスの家、守谷神社の家、文の家、そして、此処の家」
「へぇ……いや、前者はあんた、博麗なんだから、普通よね……?」
「えっ? あぁ、そうか」
「ってか、それにしても、色々な家に行っているのね? 特に守谷神社に行っているとは思わなかったわ」
「そ、そう? まぁ、早苗に言い寄られて、行っただけなんだけどね?」
「へぇ? それで、どうしてそんなに色々な家に向かっているの?」
「えーと……大まかに言えば、『記憶を取り戻す』為に、だよ」
「『記憶を取り戻す』為? それはどう言う事?」
首を傾げるはたて、自分はその場で顔を赤らめながら言う。
「そ、その……色々な家に向かって、色々な刺激を受けたら、記憶も元に戻るかなぁ……と」
「はぁん? つまり、刺激を求めているって事ね?」
「そう解釈すればいいよ」
自分はそう言って、静かに頷く、するとはたては急に立ち止まって、ドアの前に立ち、ドアノブを捻って、部屋の中に入る、どうやら、目的地には着いたようで、自分も部屋の中に入る。
「おぉー! やっぱり寝室も広いなぁ?」
自分がそう言って、真っ暗闇の室内の広さに驚愕する、やっぱりはたての家は広いなぁ? そう思っていると、はたてが『それじゃあ、あんたはそこで寝てね?』と、言う。
「そこ?」
「そう、地面に」
「地面……?」
自分がそう言って、はたてが指指す方向を見る、そこには枕しかなかった、その枕でさえ、おもちゃのように見えた。
「あんたはそれぐらいが充分でしょ?」
「何処がだぁ!? 僕は人間だぞ!? こんな劣悪な環境で寝かせるなぁ!?」
自分がそう言って、はたてに抗議する、するとはたてが単と言う。
「へっ? あんた、文に誘拐された奴隷じゃないの?」
「奴隷じゃないです! お手伝いしに此処に来たんだ!」
「あら、そうなの? じゃあ、どうしよう? 私と一緒にベッドで寝る?」
「……い、いや、それはちょっと……だって、男と女、だし……?」
はたての言葉に目が泳ぐ自分、するとはたてが『煩いわねぇ? 今は夜中、貸せる部屋もないし……』と、言い、自分は万事休すか……と、思う。
「あーはいはい、分かりましたよぉ? 一緒に寝ればいいんでしょう? で、でも、離れよう!」
「それ位分かっているわよ!? それじゃあ、寝るわよ!?」
「あっ、うん」
はたてがそう言って、ベッドの中に入る、自分もベッドの端に入る、するとベッドから、はたての可憐な匂いがして、ドキドキしてしまう。
な、何も考えるな! 自分はそう思いながら、目を閉じ、深呼吸をする。
そして自分とはたては一緒のベッドで、一緒に睡眠する──そしてチチチ、と、鳥の囀る音が聞こえる、自分は目を擦りながら、ベッドの上で起床する。
そして隣のはたてを見て、『何ではたてがいるんだろう? ……寝る前にはたてを襲ったのか!?』と、少し焦ったが、ゆっくりと昨日の出来事を思い出し、『そう言えば、はたてに連れてこられたんだっけ?』と、思い出して安堵する──それにしても、もう朝か、自分はそう思いながら、背中を伸ばした──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.106 )
- 日時: 2018/06/06 21:56
- 名前: 彩都 (ID: O7xH2wYh)
東方崩壊譚(とうほうほうかいたん) 第六章 第六話 新聞屋、華扇
CHAPTER 3 さよなら妖怪の山
「…………」
自分はベッドに座って、外を見ていた、燦々と輝く太陽を見ながら、『朝だ』と、思っていた。
すると、布団の中が動いて、『んんっ……』と、はたてが声にならない可愛い声を出す、自分はそんな声を聞いて、『はたてもそう言う声が出せるんだ』と、思う。
そして、もう一回声にならない可愛い声を出して、はたてが目を覚ます。
「……んっ」
「お早う」
「……お早う?」
不思議そうにそう言って、はたてが起きあがる、そしてベッドから出て、体を、背筋を伸ばす。
「ふあーぁ……よく寝たぁ」
「そうか、僕もよく寝れた」
「そう? まぁ、そんなんどうでもいいわ、あんたは部屋を出て、廊下で待ってて?」
いきなりの発言で自分は首を傾げて、はたてに問う。
「は、はい? そ、それはどうして……?」
自分がそう言うと、はたてが顔を赤くしながら自分に言う。
「ふ、服を着替えるからよ! 流石に下着を男であるあんたに見せたくないし! ってか、あんたが欲情する可能性も考えてねぇ!」
「……人間が妖怪に欲情するのか……」
自分は内心呆れながら、仕方なく、部屋を出る事にした。
それにしても、広い屋敷だ、今迄見た部屋の、家の中で一番広いだろう──文は抜きにして──それにしても、こんな豪華な家、一人で住んでいるんだろうか? そんな不思議さが頭の中を一杯にする。
すると、『偉い』と、言って、はたてが現れた。
「流石博麗の人間だ、ちゃんと言いつけを守っている、犬みたい」
「犬じゃない、人間だ!」
「はいはい、知ってますよーっだ」
「……コイツぅ!」
自分は眼を細め、はたてを睨む、コイツ、完全におちょくっているのか? もしくは僕を下に見ているのか? それは分からないが、無性に腹立つ。
「それで? 今からどうするの? 何をすればいい?」
自分がそう言うと、はたてが顎に手を当てて考えて、自分に言う。
「うーん、どうしましょうかねぇ? 個人的にはネタ探し、なんだけど、流石にお腹も減っているしなぁ? どうしましょう?」
「じゃあ、ご飯を食べようよ? 僕、お腹ぺこぺこだよぉ」
「あら? そうなの?」
「そうなのさ」
「じゃあ、ご飯にしましょうか」
「さんせーい」
自分はそう言って右手を上に上げる、さぁ、朝ご飯だ! 自分はそう思いながら、内心喜んだ──朝ご飯は一体どんなんだろう? わくわくしながら自分ははたての後ろをついて行く──
「さぁ、ご飯でも食べようか」
そう言って、はたてが台所に立って、冷蔵庫を見る。冷蔵庫には『NITORI製造』と、書かれていた。
「ね、ねぇ、はたて?」
「んー? 何よ?」
「この、何とか製造、何て書いてるの?」
「せ、製造? あ、あぁ、『NITORI(にとり)製造』ね」
「にとり……? にとりってあの、にとり? 河童の? 青い格好の?」
「そうそう、って、あんたよく知っているわね?」
「あ、あはは……まぁ、少し面識がありましてぇ?」
自分はそう言って、頬を掻く、そしてはたてが冷蔵庫を開けて、中身を確認する、冷蔵庫の中は『空っぽ』だった。
「…………」
「…………」
お互い無言になる。
「……そう言えば、昨日、冷蔵庫を見て、何もなかったから、食堂に向かったんだっけ……」
「そうなんだ……」
頭を垂らしながらはたてが言う、そんな裏話があったとは、自分はそんなの知らなかった。
「……はぁ、仕方ない、食堂に、向かいましょう?」
「そ、そうですか……まぁ、自分は今から食材を買って、はたての手料理が食べたいところだが、食堂に向かうのなら、手料理は食べれないなぁ?」
「はぁ? あんた、妖怪の手料理でも食べたいの? 毒でも入っていても?」
「その場合は右手を口に突っ込んで、能力を使用するさ」
「……あんたの右手、地味に便利ね……」
「えへへ? 案外便利だろぉ? これが右手の能力、『元に戻す』能力さ」
「……念写より地味に便利ね」
はたてはそう言って、シンクにお尻を乗せて、腕を組んで、自分の話を聞き、呆れる。
「さて、それじゃあ、さっさと食堂に向かいましょうか? 早く行かないと定食がなくなっちゃう」
「あー、それもそうだね、さっさと急ごう」
「えぇ」
自分とはたてはそう言って、急いで家を出て、食堂へと向かう──はたてが宙に浮く中、自分は浮けないので、はたてに自分の体を掴んでもらい、移動する、せ、背中に柔らかい物が……! 自分はそう思いながら、悶々し、顔を赤らめた──
「はい、到着っと」
そう言って、はたてが自分を地に足を着ける、久しぶりに地に足を着けて安堵する反面、『もう、背中に柔らかい物を当てられないのか』と、少ししょんぼりする。
そして食堂へ向かおうとすると、『あー!!』と、大声が聞こえた、因みに聞いた事がある声だった。
「あー!! どうして華扇くんが此処に!?」
驚く声を聞いて、自分は顔を向ける、するとそこには文が自分を指指して睨んでいた。
「……あっ」
自分はそう言って、バレたと思った、すると自分の前にはたてが立って、口の端を歪ませながら、『どうしたの?』と、文に言う。
「どうしたもこうしたもない! どうして華扇くんがはたての所に!? 今日の朝、相当捜したのにぃ!」
そう言って、地団駄を踏む文、そ、そうだったのか、と、自分は少し後悔をする、心配をかけたのは悪かったなぁ? 自分はそう思いながら、お腹を擦る──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.107 )
- 日時: 2018/06/13 23:35
- 名前: 彩都 (ID: UIQja7kt)
「ふふふ? 今の華扇の所持者は私! 姫海棠はたて様よぉ!」
そう言って、ケータイを扇子代わりに口に近づけ、高笑いするはたてを見て、文が『ぐぬぬ……』と、喧嘩を売りそうな顔をしていた。
「…………」
自分はそんな様子を確認していた、全く、呆れたものだ、どうしてこうやって、言い合いが出来るのだろうか? いや、まぁ、一番悪いのははたてなんだろうけれど、自分はそう思いながら、腹部を擦る、すると、自分のお腹から、『ぐきゅるるる……』と、可愛い可愛い音が聞こえた。
「…………」
「…………」
「…………」
三人が無言で硬直する、何故無言なのか? それは、『誰がお腹を鳴らしたか』である、自分が言うのは恥ずかしいし、逆に、はたてか文、どちらかが鳴らしたと分かれば、煽る事が出来るからだ、だから、迂闊に口を滑らせる事は禁止なのだ。
「……あ、あんた、なぁに、お腹鳴らしているのぉ!? まぁーったく! 汚い女ねぇ!」
「なっ!? わ、私じゃないですよ! 実は貴方なんじゃないんですかぁ!?」
「そ、そうだそうだ! 文かはたて、どっちかだろぉ!? 僕は右手の能力で食欲でさえ操れるし! うん! きっとはたてか文のどっちかだな!?」
自分は自分で何を滑らせているのだろうか? そう思いながら、言い合いを続けていると、急に『ぐきゅるるる……』と、『二つの音』が聞こえた。
「…………」
「…………」
「…………」
この音は、何だろうか? 最初は自分だった、でも、『二つの音』が鳴った時は自分はお腹が鳴っていない、という事は……? 『文とはたての胃が鳴った音』という事になる、何だ、二人共お腹が減っているじゃないか! 自分はそう思いながら、二人に言う。
「……食堂、入ろうか?」
「はい」
「はい……」
自分の発言を受けて、文、はたてが頭を垂れ、先に食堂へと入る──自分も後から食堂へと入る──
「へいらっしゃい!」
元気に言う天狗のお姉さん、自分とはたて、文は適当に『A定食』を注文する。
「……はぁ、それで? どうしてはたてが華扇くんを誘拐して?」
そう言う文に対し、はたては反論する。
「はぁ!? 何よそれ!? 私が華扇を誘拐したって!?」
「そりゃそうでしょうよ? 『寝ている間に消滅』だなんて、誘拐以外の何物でもないでしょうよ? それとも何ですか? 『神隠しにあったから、はたてが助けた』とでも?」
「うぐっ……」
顔をひきつらせるはたてに、天狗のお姉さんが『『A定食』出来ましたぁ!』と、元気に言う、なので、僕達三人は『A定食』を取りに行った。
「へぇ、今日は唐揚げかぁ」
「成程成程、鳥ではなく、豚の唐揚げですか」
「そうか、鳥の唐揚げだと、共食……げふんげふん」
共食いと言おうとしたら、はたて、文が自分の事を睨んだので、急いで無かった事にする、すると天狗のお姉さんが『ちょっと待って!?』と、自分を呼び止める。
「はい、一個サービス! 君、可愛いからサービスだよ!」
「あ、有難うございます」
自分は頬を赤くして、内心喜ぶ、可愛いというのは、こう言う所で使えばいいのか、段々と自分の姿の利点が分かってきたぞ? 自分はそう思いながら、頭を下げて、唐揚げが一個多い『A定食』をはたて、文の所へと運ぶ。
「ふぅ、じゃあ、食べよう」
「そうね、食べてから話し合いでもしましょうか」
「それもそうですねぇ?」
口の端を歪ませる文、それに対し、髪を後ろに靡(なび)かせ、移動させるはたて、何だろう? はたての髪を後ろにするシーン、何だかエロく感じた、どうしてだろうか? って、食事中に何を考えているんだ自分は? 自分はそう思いながら、目の前の食事に注目する──
「はむはむ、はふはふ」
豚の唐揚げを食べている途中、文が言う。
「そーいえば、華扇くんは一体何の料理が好きなんですか?」
「えっ?」
いきなりの質問に自分は食べる手、口を止めてしまう、別段好きな料理はないんだけど……まぁ、言えるのなら、『美味しい料理』かなぁ? だから、好きな料理はないな、そう思いながら、返答しようとすると、文が言う。
「でも、流石に適当に返答されると、ぶっ殺すよ?」
「…………唐揚げです」
「唐揚げ? 何の?」
「…………鳥」
「成程、まぁ、男の子ですしね? 唐揚げは無敵ですねぇ」
「でも華扇? 鳥の唐揚げは場合によっては、私たちみたいな鴉天狗、鳥の妖怪に攻撃されるから、気をつけた方がいいわよ?」
「あぁー、それもあるなぁ」
ってか、話を振ったのは文が悪い気がする、自分はそう思いながら、謝る事にする。
そして自分は先に定食を食べ終わり、残りは二人を待つだけだった。
「…………」
無言で目を閉じ、頭の後ろに手を組んで、待機する自分に、『ふぅ、食べ終わりました』と、はたて、文が同着で言う。
「……真似しないでくださいよ?」
「それはこっちのセリフ、ですけど?」
そう言って、険悪なムードを出す二人に自分は内心呆れる。
「あぁ、もう、そう言うのは、室外でやれよ……」
と、自分の発言を聞いて、二人はお皿とおぼんを返却口に直し、先に室外へと向かう二人。
じ、自分は間違っていないよな……? 自分は内心そう思いながら、二人の後を追うように、おぼんを返却口に置いた──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.108 )
- 日時: 2018/06/27 22:33
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「さぁ、誘拐した華扇くんを返してもらいましょうか!?」
「だから、誘拐していないっての、ちょっと借りただけじゃない、深夜に
?」
「それは誘拐というんですよ!」
「違うわ、拝借よ?」
食堂内迄声が響く言い合いをする二人に自分は内心呆れながら、食堂を出、二人の前に立つ。
はぁ、面倒な二人だ、そう思いながら、自分は肩を落とす。
「はいはい、もう、分かったから、ねぇ、はたても良いでしょ? 少しばかり遊んだからさぁ?」
自分がそう言うと、はたてが『自分を睨んで』発言する、その時の瞳の色は『赤』かった。
「!?」
「あん? 華扇、あんたも私に指図するつもりなの?」
「なっ……!? ど、どう言う事だ!? はたて!? 君の瞳は……君の瞳はぁ!?」
自分が声を荒げると、『はぁ?』と、言いたげな表情で文もはたてを確認する、すると文は『なっ……!? 何ではたて迄も……!?』と、驚愕していた。
「ど、どうしたんだその目は? はたてらしくないぞ?」
自分は冷静を装ってはたてに発言する、するとはたてが『別に普通の目だけど?』と、普通に返答する。
へっ? じゃあ何だ? 自分が可笑しいってか? 自分はそう思いながら、右手の能力を発動させる。
「あら? どうしたの華扇? 右手の能力を使用してぇ?」
「あぁっ? これは君に能力を使用するっていう合図だよ?」
「合図? どうして? 何で合図が必要なの?」
「それは簡単な事だよ、『君を救いたい』からだ」
「私を救う? 何を言って? 『巣食う』の間違いじゃないかしら?」
「……『言う単語は一緒』かもしれないが、『漢字にすると末恐ろしい』ね……!」
自分はそう言って、鼻で息を漏らし、横目で文を見る。
「……コホン! 確かに私達天狗は新聞を作ります、その時に『文字』というのは、『『写真』で伝えるよりも幾分かは理解させられる『道具』』ですからね……はたて、貴方のその使い方、嫌いじゃないわよ?」
「あらどーも致しまして?」
はたてはそう言って、静かに口の端を歪ませた、そしてはたてはスカート、腰か分からないが、携帯を取り出し、目を細めて、呟いた。
「『これ』はどうかしら?」
はたてがそう言った瞬間、『携帯が光を放った』、自分と文は急いで片手の腕で顔を、目を覆うが、『その行為』が失敗だった、自分が片手で顔を覆った瞬間、『胴体に腕が巻かれる感覚』を覚え、そして『地に足を離す感覚』も覚えた、まさかの出来事だった、まさか『右手の能力を扱える僕自身を文から離した』のか、と、思った。『文から自分を離せば作戦会議をたてられなくする事も可能』だ! くそっ! 失策、失敗、大失敗! 自分はそう思いながら、胴体を包む腕に右手の能力を使用しようとしたが、はたては『自分の右手前腕を掴んで』おり、『貴方の能力、そう簡単には使わせないわ?』と、自分の耳元に呟いた。
「…………」
万事休す、完全に万事休すだった、これじゃあ、勝てる相手も勝てない、いや、そもそもはたてレベルの存在に自分が勝てるとでも? って、今はそんな事を考えている場合ではない! 自分はそう判断し、その場で息を吸い込んだ。
「あら? 深呼吸? でもね? 『深呼吸しても無駄』よ?」
「えっ──?」
はたての言葉を聞いて、自分はは不思議がったが、『その不思議もすぐに解消され』た。
はたては、はたては『自分を離した』のである、落下、空中落下、自分を遮るモノは『見える範囲ではない』、見えない範囲を言うなら、『空気抵抗』だけが幸いだ。
「えっ……!? えぇーっ!? ちょっ!? だ、誰か助けっ!?」
「今行きます!」
自分の叫び声に文が反応するが、文は自分の少し手前で急に立ち止まった。
「文? 『私の事を忘れた』のかしら?」
そう言って、文の目の前に仁王立ち──立ってはいないが──したはたてが現れる、そしてはたてはその場で文の手首を掴んで、ケラケラと笑う。
「うふふ? 文? 華扇を救えなくて残念かしら? でも、『私達の間に華扇って言う存在は要らない』の、私は文、貴方が跪く姿が見たいの! だからねぇ? 『人間一人死んで、絶望する貴方』を、見・せ・て?」
「──! 貴女……!!」
そう叫ぶ文、だが、降下は急に止められない、止まらない、自分はそのまま『地面に頭をぶつけて、倒れ込んでしまう』、するとゆっくりと自分の頭から赤い鮮血が現れる。
「あぁっ……頭が痛い……暖かい……」
そう呟く自分に文は『はたて!! 貴女は……!?』と、完全に怒っている。
「あら? どうしたの? 私はただ単に『華扇から手を離した』だけ、宙に浮かない華扇が悪いの? ただの人間が、『浮かない』のがねぇ!?」
「はたて! 華扇くんは『この幻想郷に来て、まだ間もない存在』ですよ!? 守谷の巫女や、紅魔館のメイドとは違うんです! 二人の、『幻想郷に滞在している時間』が違う! だから華扇くんは──!」
「はぁ? だから? じゃあ、何よ? 魔法使いや博麗の巫女はどうなるのよ? アイツ等も『人間』じゃない?」
「そ、それはそうですけど……! 博麗の巫女は能力! 魔法使いは努力です! そして、お互いを持っていないのが華扇くんです!」
「だから何? じゃあ、のほほん、と、此処で時間を潰しているより、博麗の巫女や魔法使い、守谷の巫女にでも、空中浮遊を習っておきなさいよ?」
「うっぐ!?」
はたての正論を受けて、心にぐさぐさ突き刺さるブーメラン、そして文は『た、確かに……』と、言って、白目を剥いていた──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.109 )
- 日時: 2018/06/27 22:33
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「で、でも……!」
文は静かにはたてを見つめ、発言し返す。
「でも……華扇くんの能力はとても優れた能力です! それは今の貴女よりかは、ね!」
文はそう言って、はたての胴体に蹴りを入れた、まさかの攻撃に受け身も取らずに、はたては蹴りを受けた。
「ぐはっ!?」
「へへっ? 手だけで、足がお留守ですよ?」
そう言って口を歪ませ笑う文に、はたては『くそっ』と、小さく呟く。
「……とりあえずは避難をさせましょうか」
文はそう呟いて自分の前に移動し、陰に自分を引っ張って、涼ませる、そして右手を血が出ている場所に置いて、能力の発動を促し、能力を発動させ、頭の痛み、出血を『元に戻』す。
「あ、有難う、文……」
「いえいえ? これは巻き込んでしまった私の謝罪代わりですから?」
文はそう言って、自分に振り向いて、はたてを睨む、そんな文の背中は広く感じられた。
「……さぁ、さっさと倒しましょう」
文はその場で深呼吸し、一気に高速移動し、はたての前に登場する、するとはたては『速いけど……攻撃力はどうかしら?』と、言って、文の腹部に弾幕を放つ。
「!?」
まさかの弾幕に文は少々驚いて、そのまま弾幕攻撃を受けてしまう、だが、攻撃を受けた所で、あんまりダメージはないので、気にせずに『甘いですよ!』と、叫び、はたての胴体にタックルし、地面に激突させる。
「うっ……案外痛いわね、でも、こんなの、簡単に逃げられ──」
「果たして、それは可能なんでしょうか?」
文は口の端を歪ませて、鼻で笑う、はぁ? と、怪訝な顔をするはたてだが、『はたては自身の体が動かない』事に少し焦った、『ど、どうして私の体が動かない!?』と、叫ぶはたてに対して、自分は立ち上がって、はたての顔面近くに立つ。
「ははっ、そりゃそうでしょうよ? だって、はたての『後頭部、何処に当たっている』のさ?」
「こ、後頭部……?」
首を傾げたいが動かないはたて、そして自分は静かに説明する。
「だって、はたてが頭をぶつけた場所ってさぁ? 『建物と地面の境目』だぜ? 多分コンクリートか何かに頭をぶつけたんだ、そりゃ、体が痺れるさ、『肘に物をぶつけた時』みたいに……ねぇ?」
「えっ……えっ?」
自分の発言に衝撃を隠せないはたて、そして自分ははたての顔面に右手を置いて、息を漏らした後、発言する。
「……はぁ、中々に面倒な相手だったぜ……でも、強いなぁ、はたては? やっぱり妖怪だ」
自分はそう言った後、右手の能力を発動し、はたてを元の人格へと戻した──
「……? 此処は?」
そう言って、はたてが起きあがる、自分と文は陰に隠れて涼しんでいた。
「あっ、起きた」
「本当ですね? ですが、本当に人格が戻っているか、確認せねば……」
「いや? 流石に右手の能力を発動したから大丈夫だと思うけど……?」
「そうですかねぇ……?」
「ちょ、ちょっと、待って? 二人共、一体何の話──」
はたてが自分達にそう言うと、頭を片手で抱えて、『えっ? えっ?』と、戸惑っていた、どうやら、記憶がある程度は復活したようで。
「え、えっと……何この記憶? 何で私が貴方達を攻撃して……」
「それが前に文が起きていた事だよ」
「そ、そうです、恥ずかしながら、アハハ……」
顔を赤らめ、そっぽを向き、笑う文、そんな文に対し、『そうだったの……』と、呟くはたて。
「何か……やった覚えがないけど、記憶はあるのは不思議ね……二人共、攻撃してごめんなさい……」
「謝らなくてもいいよ? どうせ、僕の右手が活躍するだけだしさぁ? 被害は最小限に抑えられて、安心した」
「そ、そう……ごめんね、華扇?」
「いいっていいってぇ?」
「ごめんね、文も……」
「謝られても困りますよ? 貴方は私のライバル、スポイラーなんですから?」
「……ははっ、そうだよね? よし! それじゃあ、謝った事だし、華扇に少しだけこの『妖怪の山』を案内しましょうか!」
「いや、早苗にそれは少し受けたから、要らないや……」
「な、何ですって!? あの青白巫女に!?」
衝撃を受けるはたてを見て、自分はその場で『うん』と、返答する──青白巫女っていう、言い方よ? 自分はそう思いながら、後頭部を掻いた──
「……さて、それじゃあ、霊夢の所に戻りましょうか?」
はたてが帰った後、ふと、文が言った、えっ? もう、霊夢の所に? 自分はそう思いながら、文に言い返す。
「えっ? もう、いいの? 僕はまだ大丈夫だけど……」
「流石にあんな事があったんです、こちらとしては、もう迷惑もかけたくないですし……逆に貴方に喧嘩を売る輩も現れるかもしれませんし……」
「……成程」
自分は文の発言を受けて、確かにそれもそうだ、と、納得する。
だが、今から帰るのは流石に、時間的にもう遅い、だから、明日に帰ろうかな? 自分は文に提案する。
「流石にもう夕方だし、明日にしない? 明日の朝早く、霊夢を驚かせるんだ!」
「んー? 博麗の巫女を驚かせる、ですか……確かに驚かせる事も出来たら、新聞のスクープにもなりそうですしねぇ? いいですねぇ! そうしましょう!」
「有難う文!」
自分は文に感謝した、でも、流石に霊夢を驚かせる事をスクープにするのは、どうかと思うが……自分はそう思いながら、『それじゃあ、帰る為の準備をしないとね』と、発言した──
- Re: 東方崩壊譚 ( No.110 )
- 日時: 2018/06/27 22:34
- 名前: 彩都 (ID: ???)
自分は文の家に向かって、博麗神社に帰る準備を行う為に文と一緒に文の家へと向かった。
「えーと、いうて、あまり支度する事はないんだよなぁ? だって、もう、服は着替えたしさ?」
「あぁ、確かに? じゃあ、支度する事はないって事ですね?」
「ですね」
自分はそう言って、お互いその場で大笑いしてしまう、まぁ、あると思っていたけどなかったんだ、笑うしかない。
「いやー! やる事もないですかぁ! じゃ、どうします?」
「どうしますって……自由行動にしようか? 少しだけ一人になりたいしさ?」
「そうですか、分かりました、でも、この家の番号、忘れないで下さいね?」
「あいあいさー」
自分はそう言って、文の家を出る。そして、階段を下りようとすると、『待ちなさい?』と、聞き慣れた声がした。
文の玄関、ドアの所から、『スキマ』を開けて、八雲紫が顔を覗いていた。
「おはよう、かお君?」
「……お早う? もう夕方なのに? ってっか、かお君って……?」
「あら? 貴方の見た目通りの名前を名付けたってのに? その言い方はないわね?」
「おいおい? 僕はそんな可愛い名前じゃないだろ?」
「えぇ、そうね? ……で、どう? この『幻想郷』は?」
「……急にどうした? まぁ、楽しい所だよ、怖い所でもあるけれど……」
「そう? それは嬉しいわ? ……でも、その『楽しい所』って部分が削れて、『もう、元の世界に戻りたい!』って、ならないように、言わないようにね?」
「えっ? どういう事だよ?」
自分が紫に言い返すが、紫は淡々と述べた。
「アンタ、『もうじき運命の選択を選ばないといけない』わ、それはそれは、『苦渋の決断』って奴になるかもしれないわ?」
「……アンタ、何が言いたいんだ?」
「簡単よ? 私は貴方に賭けるわ、『幻想郷』を崩壊させるか、『幻想郷』の住人一人を『消す』か……」
「……『消す』? 崩壊? な、何を言っているんだよ? 僕が、『幻想郷』を崩壊させるって?」
「そうは言っていないわ、でも、そうなるかもしれないわね? 貴方の今後の行動次第で、『この『幻想郷』の崩壊は決まる』わ、勿論今さっき言った、『幻想郷』を崩壊させるか、『幻想郷』の住人一人を『消す』かって話題にもなるわ」
「……じゃあ、『両方阻止してやる』よ、それなら文句ないだろ?」
「あら? 大胆不敵、前代未聞、破天荒なやり方をするのね? それじゃあ、そのやり方に全てを期待するわね?」
「勝手にしてろ? 紫、お前が言った言葉、全て、僕がひっくり返してやる、僕は、『幻想郷』を崩壊させないし、『幻想郷』の住人を一人たりとも『消させはしない』ぞ!」
自分は紫にそう言うと、『……楽しみにしているわ、『未来の貴方』に』と、呟いて、『スキマ』の中に消える。
「…………」
自分は家の前のドアを見つめ、強く右手で拳を作った、紫が言った話を、全てぶっ壊す! 自分はそう思いながら、文の家に戻って、外に出る事を諦める──紫と会話していると、疲れてしまったから、諦めた──
そして時間は過ぎ、夜になった、文の手料理を食べた自分は満足し、その場で寝転がっていた。
すると、文が布団を用意してくれて、すぐさま布団に寝転がって、僕は寝た、文は『自由ですねぇ』と、溜息を吐いていた──そして翌日になった、自分は文に叩き起こされて、半分寝惚け眼で起床する。
そして自分は文に胴体を掴まされ、空中で浮遊しながら霊夢の所、博麗神社へと向かう。
「眠いですねぇ」
「うん……ふあーあ」
「んー、本当に眠そうですねぇ? もう少し後に起こせばよかったかな?」
「いや、別にいいよ? どうせ朝早くに行けているんだから?」
「何とクレイジーな……」
「はははっ! まぁ、いいって事よ!」
自分は文に元気に返答し、そして、自分は博麗神社へと到着した。
「よし、後は霊夢にタックルして、驚かせる!」
「うーん、成功するでしょうか? あの博麗の巫女の直感は凄いですからねぇ?」
「おいおい? やる前から戦々恐々するなよ? やってから戦々恐々しようぜ?」
「……ってか、何で記憶ないのにそんな言葉を知っているんですか? 戦々恐々って?」
「……さぁ?」
文の発言に自分は首を傾げ、返答する、そして自分は階段を使って上るが、体力が切れてしまう、なので、文に最上部迄運んでもらう。
「有難う文」
「いえいえ? 流石に階段はキツいですよ?」
「ですね」
自分は文にそう返答し、思いっきり、力を踏ん張って、階段を駆け上がり、霊夢の前に現れる。
「帰ってきたぞー! 霊夢ー!」
自分が鳥居を潜り、境内で叫ぶと、『んっ?』と、緑色の服を着た背面の少女が振り向いた。
「うわぁ!? 曲者ぉ!?」
緑色の服を着た背面の少女──髪は白く、短い、まるでおかっぱっぽい髪型の少女だ──は二本の得物──刀か剣か分からないが──を持って、自分の方に振り回す、振り回すというよりかは、『凪ぐ』、『押しつける』と言ったような攻撃方法だった。
自分はその攻撃を直感で回避した、何故回避したか分からないが、『この得物の攻撃を避けないと、危ない!!』と、無意識にそう思ったからだ。
そして何度目かの攻撃で、白髪の少女は一気に自分の懐に入って、『成敗!』と、叫ぶ。
だが、『妖夢? 待ちなさい?』と、他の女性の声が聞こえ、懐に入った少女は他の女性の声で綺麗に止まった。
えっ? 誰だ? 自分がそう思って、声の方を向く、すると、水色の服を着た女性が『浮いて』いた、えっ? えぇっ!? 自分は衝撃を受けた、だが、更に衝撃を受けたのが、『白髪の少女が水色の服を着た女性の前に立って、頭を下げている』という場面だった、えっ? 何? 何これ? 自分はそう思いながら、不安そうな表情の霊夢を見た──あの二人は一体何者なんだろうか? 自分はそんな事を考えながら、息を呑んだ──
第六章 完
第六話 完
CHAPTER 3 終了
第七章 第七話 CHAPTER 1 に続く──