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二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 東方幻想伝 朝と夜の幻は—— ( No.1 )
- 日時: 2016/09/07 07:51
- 名前: ファニイ (ID: l/9ga28M)
とある少女は夢を見た。
気が付けば、背中に蝙蝠の翼が生えた幼い少女に、彼女は赤い槍で胸を貫かれていたのだ。
激痛が全身を駆け巡る。そして赤の粒子が飛び散り、空で舞っていた。
「……っ、×××!」
後ろに倒れる途中、見たことのない変わった紅白の服を着ている女性が駆け寄ってくるのを、彼女の歪む視界に入った。
「大丈夫か、×××……?」
彼女は「大丈夫」と声を出そうとしたが、出なかった。体を動かす事も出来ない。意思に反して目が勝手に閉じていく。
そういえば、この紅白の女性は彼女の名前を呼んでいるようなのだが、その名前を呼んでいるであろう部分だけが何故か聞こえない。
「おい、返事をしろっ!」
紅白の女性は、彼女の体を揺さぶりながら大きな声で呼び掛ける。だが、ピクリともしない。
「ふふ、人間ってとても面白いのね。庇って死ぬなんて……素晴らしい光景を見せてもらったわ」
と、その時。
さっきまで聞こえていた女性の声では無い、幼い声が僅かに聞こえた。彼女を殺した少女の声だろう。それはとても愉快そうである。
「嘘、嘘だろ……? こいつが死ぬなんて有り得ない……」
「いいえ、本当よ。これは受け止めるべきリアルなの」
「……っ」
女性は彼女の魔力を確かめてみる。だが、彼女には魔力が全く無かった。つまりこれは、死。
「……お前に迷惑ばかり掛けて。また此処でも。許される訳無いけど謝らせてくれ。本当にごめん。そして、お前に出会えて良かった」
女性は、動かない彼女に謝罪した。その後、彼女に透明の液体が落ちる。
「ああああああぁぁああ!」
女性は泣き叫んだ。とある魔法使いの死に。
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