二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Chapter00 〜ようこそ、絶望合宿〜 ( No.2 )
- 日時: 2016/09/21 23:02
- 名前: 紫苑 ◆VRhWN8LWD6 (ID: lFtUuTXy)
———なぁ、お前らに聞きたいんだけどさ。
『青春』って、なんだと思う?
人それぞれだよな。
例えば、
『美味しいものを沢山食べる』だとか
『何かを書くことに打ち込む』だとか
『何もせずにだらだらと毎日を過ごす』だとか。
え?おれ?おれの場合は——————
『好きなことに一生懸命打ち込む』ことかな!
……これは、そんなおれ達に襲い掛かった『非日常』の物語。
青春を謳歌していたおれ等の、『絶望』の物語。
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———森然高校 第3体育館。
おれの『絶望の物語』は、ここから幕が上がる。
「リエーフ!!次はどっちが遠くまでスパイク飛ばせるか勝負だ!!」
「おっ乗り気だな日向!どうせだから何かかけようぜ!」
「じゃあ肉まん1個!!」
「肉まん?!じゃあオレも参加するーーー!!!」
「お前が入ると勝負にならねぇダロー?木兎光太郎クンは不戦敗ってことでチビちゃんに肉まん2個な」
「いいんですか?!やったぁ!!!」
「まだなにもやってねーじゃん?!黒尾酷いお前が奢れ!!!」
「ハイハイ、時間も推してるからさっさとスパイク練済ませますよ。灰羽はまだレシーブ練終わってないんだったよな」
「ギクッ……!!」
「センセー、さっきチビとノッポが2人でレシーブ練から逃げようとしてマシター」
「あっ月島お前裏切るなよ!!!」
「そーだぞ!!お前だってレシーブ苦手なくせに!!それにノッポはお前もだろ!!」
「収集つかなくなるからそれは明日な。もう夜おせェしこれ以上やればオーバーワークだ」
『ハーイ』
あ、自己紹介がまだだったよな!おれは日向翔陽、今は烏野高校でバレーしてる高校1年なんだ!
バレーの経験はあまりなくて、中学時代に初めて公式の大会に出た程度なんだけどな。その時に、高校で同じバレー部になることになる【影山】って奴にボロ負けして、おれは『絶対お前を倒してやる』って言っちゃったんだけど…。同じ高校に入ったからそのフラグは折れてしまった。
ちなみに、おれが烏野高校を選んだ理由は小さい頃にテレビで見た『小さな巨人』ってのがスゲーカッコよかったから!
そんなに背は高くなかったんだけど、コートの上でスゲースパイク打ちまくって…。ただただ度肝を抜かれていたんだ。『おれもこんな風になりたい』って。そう思ったんだ。
それから、烏野高校で同級生や先輩との出会い、インターハイでの敗北をバネに、おれ達烏野は『春高』のオレンジコートを目指して特訓中なんだ。
今は、春先に合宿で会った『音駒高校』の誘いを受けて『梟谷学園グループ』に交じって夏合宿中!いやぁ、スカイタワーデカかったな……。
そこで、おれは月島やリエーフ達と偉大な先輩達の指導を受けているというわけだ。黒尾さんのレシーブやブロックは凄いし、赤葦さんのトス回しも凄いし、なんといっても木兎さんのあのスパイク!超キレがあるよな!な!!!
……あっ、ごめん。ちょっと熱く話しすぎたな…。
「ねぇ日向、さっきから何ずーっとボーっとしてるの。練習もう終わったんだからサッサと更衣室行きなヨ」
「う、うるせーな!分かってるよそんなの!」
「ツッキーも憎まれ口叩くねェ。そんなにチビちゃんに負けたくないんだ?それとも同級生の優しさって奴〜?」
「別に、こいつ残ると面倒なんで」
「面倒ってなんだよ面倒って!!」
「早く行きましょう。遅くなったらもっと面倒です。木兎さんみたいに」
「オレみたいにって何?!一言余計だぞ赤葦!!」
「明日もバンバンスパイク打つから見てろよな日向!」
「お前は明日もレシーブ中心でスケジュール組んでやるから安心して床につきな」
「(え、笑顔が怖いぃ!!!)」
明日も頑張って成長して、影山をぎゃふんと言わせてやるんだからな!
おれは先輩達や月島達と話をしながら、更衣室の扉を開ける——————はずだった。
「よし、おれが一番乗り!」
「ずるいぞ!オレが一番だ!!」
リエーフの手を払いのけ、我先にとドアノブに手を伸ばす。
ガチャリという音と共に更衣室へと足を運ぼうとした、その時だった。
「あ、れ……?」
急に眩暈が起こる。目の前の風景が飴細工のように溶けてぐにゃりと歪む。
どろどろ、ぐちゃぐちゃ、ぐにゃり。
後ろで聞こえているだろう声も聞こえない。誰が喋っているのか、そもそも喋っているのか、それすら分からない。
そんなことを考えている間にも、それはあっという間にどろどろに混じり合って——————
気が付いた時には真っ暗闇の世界で、おれは完全に意識を失ってしまっていた。