二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 【東方万華鏡】 この幻想郷で生き延びることを決めた ( No.7 )
- 日時: 2017/02/09 21:23
- 名前: garba (ID: EFs6h6wo)
「ばいばーい!!!」
隙間なくオレンジ色に染まった空を背景に、男の子の無邪気な声が聞こえる。
なんか平和だなあとかなんとか思いつつも、さっさと帰路に着いたのであった。
「ただいま…。優也?いる?」
いつも通り清潔を保った玄関の段差を超えて、優也に声をかける。
いつもなら「お帰り。」だとか「遅かったんだな。」とか言うのに、今日は声が聞こえない。
寝てるのかな。とか思いながら居間を除いても優也の姿は見えない。
掃除が終わったばかりの庭を見てみると、砂が舞っていた。
その砂は、風なんかでできた砂嵐じゃなくて、何かが吹き飛んで出来た砂嵐の様に見えた。
砂嵐を掻き分けて、優也の姿を探した。
優也らしき人影が見えて、様子を伺う。
「優也?」
確かに優也は見えるのに、応答が無い。
おかしいと思いつつも、顔を見る。
「…あ、」
そこにいた優也は、いつもの優也ではなくて、何かに驚いた様な、そして信じられない様な眼をして、何処かを見ている。
優也の目線を眼で追って、先の風景を見てみる。
石の塀にはヒビが入って、掃除に使っていた箒が、怪力で押し込んだ様に石の塀にめり込んでいる。
「…何よ…これ。」
シンプルに驚いて、そう声に出した。
「分かんねえよ…触ったら、急に…」
優也はしどろもどろになりながらも、状況を説明して見せた。
霊夢は石の塀にめり込んでいた箒を手にとって見た。
「一箇所だけだ…」
その箒は、真ん中の一箇所だけが、傷ついていた。
「これ…なんなんだ?」
優也が少し落ち着いたのか、霊夢に問いかけた。
「…調べてみるわ。」
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「……ん、」
暗闇の中、天井の見慣れた木組みが目に入る。
木の匂いが鼻に自然と入ってきて落ち着く。
「…霊夢?」
まだ起きている霊夢が、『能力書』と書かれた分厚い本を真剣な顔で読んでいた。
「…ああ、優也。夕方のこと、だけどさ。」
夕方、俺は不思議というよりは奇妙な体験をした。
箒を持ったら箒が空中を舞う様にして塀に飛んで行った。
何があったのかもわからず、霊夢が帰ってきた。
「あのことだけどさ。多分、もう一つ能力が出来てると思うの。」
「もう一つ…?!」
炎を扱う能力が出来てすぐ、間髪入れずにすぐ二つ目の能力が出来る。
こんなことがあるのかと思いつつも霊夢の話に耳を傾ける。
「このページ見て。『重心を操る程度の能力ってあるでしょ?それだと思うの。」
重心を操る程度の能力という聞きなれない能力に困惑しつつも、続きを聞く。
「鋭打って言ってね。ものの重心、人の弱点を掴み、それを押すと、考えられないほどのダメージを相手に受けさせることができるの。簡単に言うと、一番攻撃するときに効果のある場所を、操ることが出来るの。」
「じゃあ、箒の重心を押したからあんなのになったのか?」
「そう考えられるわ。明日、永遠亭で調べてみましょう。明日は7時起きね。叩きおこすわよ。」
「相変わらず怖えな…まあ、いいや。おやすみ。」
そう言った瞬間、ぱたりと本を閉じて、霊夢も布団にもぐった。