二次創作小説(映像)※倉庫ログ

Re: 【東方万華鏡】 この幻想郷で生き延びることを決めた ( No.10 )
日時: 2017/04/05 09:29
名前: garba (ID: RochSOCT)

ーーーあれからの話をしよう。
救急団員、警察などの関係者が永遠亭を取り囲んだ。

そんな中、俺は追っ手を倒すことに専念していた。

「大人しく人質を渡せ!」

集団のリーダーらしき男が引き金を引き気味に言い放った。

「''人質''…?残念ながら、もう中は片付いてる。救急団員が霊夢を治療してるし、………」

言葉の途中、俺は徐ろに背中を見る。
そこには、こんな緊張感なんか欠片も感じない、場違いな寝顔があった。

「フランは、ここにいるしな。」

分かりやすい挑発をかました後、戦闘態勢に入る。
フランをおぶっているため、足技でしか対抗できないが、ものの150人相手。冷静に戦っていけばどうってこともない相手だ。

「……っ、ならば…返して貰おうか…フランドール・スカーレット!」

『ガガガガガガガガガッ』

男がそう言い放った後、一斉に俺に発砲される。
囲まれた形で発砲されたため、逃げる術はない。

「返す…?元々お前らの者じゃねえだろうが…!」

銃弾の群れを見極め、僅かな面積に足を乗せ、敵との間合いを詰める。
空中で横へ足を振った後、数人が倒れ、足から放出された炎が爆発を生み、爆風で殆どの集団は倒れた。

「(凄いな…人間との格差がこれ程あるとは)」

俺は改めて能力者と人間の格差を実感する。……自意識過剰じゃないからね?

「死ねぇ!!!」

周りの集団が次々と倒れていくのを見て怖気付いた様子の男が、更に俺に発砲する。

「懲りねえなぁ…【炎符!炎螺旋舞!!!】」

懐に隠しておいたスペルカードを発動させる。
瞬間俺の周りを炎が囲み、銃弾は散っていく。

俺が進めば炎の範囲が広がり、敵の方向に進む。
相手の姿を完全に確認してから、攻撃態勢へと入る。
相手からは、突然現れたとしか思わないはずだ。

「ーーーっ!?」

予想通り、敵は銃を足元に落とし、目を瞑る。
ああ、なんと無様だろうか。なんで哀れのだろうか。心の底から嘲笑った。


『シュッ』

炎を纏った足で蹴り飛ばす…つもりだったのだが、あまりにも対抗してこないので、かするかかすらない程度で止めて、相手を気絶させる。猫騙しといったとこだろうか。

「ふう…これで最後………」

ふと、安心したのが間違いだったのだろうか。
嘲笑い、戦意を粗末にしたのが間違いだったのだろうか。
この時も、何故このような愚かな人間を最後にしたのだろうと疑問に思ったのがいけなかったのであろうか。

『ガンッ』

金属が頭に激突したような激痛を何処からか感じる。
目の前は暗闇に包まれて、心臓が一気に止まった。
動き出したと思えば、心臓と共に体までもが細かく振動するように強い脈で、血の気が引いていくのがすぐ分かった。

「フフ……哀れだなぁ…油断しすぎだよ?さ、フランドール、返して貰おうか…!」

頭を掴まれた状態で、先ほどの哀れな状態とは全くと言っていいほど違う声音に、とんでもないほどの力。頭が割れそうな程、いや、いっそ割れてしまった方が楽なのかもしれない。
しかも、今掴まれ、哀れだと嘲笑われているのは、先ほど俺が哀れだと嘲笑っていた者なのだ。
ここで、ようやく気付いた。自分が一番哀れで、相手の''策略''にハマってしまったことを。

『ピキッ』

割れてしまった方が楽。その概念すらも間違っていたのか。
頭が割れる訳でもなく、中身の頭蓋骨が割れる感覚が、頭、ワンテンポ遅れて全身へと走る。
一つの技をかけられているだけなのに、様々な痛みが入り混じって、死んでしまいそうだった。

そして、またその時。

『バキッ』

耳から一瞬で消えるような、金属が割れたような音がなった。
金属が割れた音は、俺に来る痛みではなく、相手の方から聞こえたものであった。
次第に頭をつかんでいる手の力も弱くなり、どさり。と小さな砂埃を起こすようにして倒れた。

立ち上がろうとするも、もう言うことを聞かない俺の体。証拠に立ち上がろうとする意思は虚しく砂を爪で掻きむしってもがくだけだった。

俺を助けようとする声も、気に留められないほど。