二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 プリキュアバトラーズ編 ( No.351 )
- 日時: 2018/02/09 21:50
- 名前: 熱都 (ID: ???)
「…………」
目の前が真っ暗だった。なので、自分は静かに目を開ける。すると目の前は少し薄暗かった。
「…………」
自分は無言のまま、目だけを横に動かし、周りを確認する。すると周りは精密機器──パソコンやスマホだ──の光が漏れていた。少しだけ明るく、だが、周りは暗い。まるで映画館のようだった。
「…………」
自分は今の現状を理解しようと、目覚めた脳をフル活用する。
えーと、此処は一体何処なんだ? そして自分は一体何をしていたんだ? そう思っていると、ゆっくりと記憶が頭の中で思い出されていく。
あぁ、そうだ、自分は「同居人」の代わりに此処に来て、仮想空間を体験しようと……そんな考えだった筈。そして仮想空間の中でミッションをクリアして、自分は──自分はそこ迄思い出し、ミッションを思い出した。
あぁ、殺害したくない女子中学生のプリキュアを殺害したんだったな、自分はそれを思い出し、内心『まぁ、殺人欲求を満たす事が出来て良いか』と判断した。
そして自分は静かに呼吸をして、現実世界にいる「生」を実感し、ゆっくりと全身を預けていた椅子から、起き上がらせる。そして「ふあぁ……」と欠伸をして、自分はヘッドセットを外し、周りを再度確認する。
さぁ、あのアホ双子は一体何処にいるのだろうか? そんな事を思いながら自分は周りを見回した──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.352 )
- 日時: 2018/02/12 22:12
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「……やぁ、ごきげんよう」
そう言って、自分の前に一人の若い少年が現れる、あの双子の兄、風利城ユアだった。
「…………」
自分は無言状態で風利城ユアを見続ける、すると風利城ユアは静かに言葉を発す。
「まさか、貴方がこの会場初のミッション成功者であり、脱出成功者ですか……いやぁ、これはお祝いしないとなぁ?」
「……おい」
風利城ユアの発言を受け、自分は静かに風利城ユアを睨みながら発言する。
「ん? 何ですか?」
不思議そうに言う風利城ユアに対し、自分は静かに発言する。
「……今は何時だ?」
「今、ですか? 何か面白い事を言いますねぇ……今の時間は朝の十時ですよ?」
「朝の、十時……? それじゃあ、今は何月何日?」
自分がそう言うと、風利城ユアは腕時計を確認して返答する。
「えーと……今日は六月二十七日ですね」
「六月二十七日!?」
自分は風利城ユアの宣言した言葉に驚愕する、それもその筈、『六月二十七日はこの会場に来て、仮想空間を経験した日』なのだから。
そして時間もほぼ『仮想空間に入る為のヘッドセットを着用した時間』だった。
「…………」
まさか……『現実世界と仮想空間の時間軸は共有していない』という事か……『意識だけが時間を進ませた』、か……中々に面白い状況だ……自分はそう思いながら、風利城ユアを見る。
「それで? 初めてこの世界に戻ってこれたんだよな? それじゃあ、自分に対して何をくれるんだ? 金か? トロフィーか? それとも……『どんな事でも一つ叶えてくれる権利』か?」
「いやいや? そんなに良いものじゃないですよ?」
風利城ユアはそう言って、静かに溜息を吐く。
「そうですね、大まかに言えば食事ですねぇ、流石に仮想空間に居過ぎて、お腹も減っているかもしれませんからねぇ?」
そう言う風利城ユアに対し、自分は静かに呆れる。
「何だ、たったそんだけかよぉ? 何か一人で興奮して恥ずかしいぜ」
「フフフ、確かに小学生の低学年のようなはしゃぎようでしたね、今さっきのは」
ハハハ、フフフ、自分と風利城ユアはその場で笑い続ける、そして自分は静かに我に返って、『ほざけ』と呟く。
「てめぇ……この何万人もいるってのに、何をした? 簡単だよなぁ? 『自分達をモルモットにした』んだよなぁ? てめぇ……『自分が何をやったのか』、分かっているのか?」
「分かっていますよ? でも、『どんな出来事にもモルモットは必要』でしょう? 無料で経験させているんです、モルモットになる位どうって事はないでしょう?」
風利城ユアはそう言って、真剣な眼差しで自分を見つめる、コイツ……肝が据わってやがる……自分はそう思いながら、冷や汗を拭う──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.353 )
- 日時: 2018/02/13 21:53
- 名前: 熱都 (ID: ???)
「お前……相当の悪だな」
自分がそう言うと、風利城ユアは静かに返答する。
「相当の悪? だから何なんですか? 私はこの世界の人間全員に仮想空間を体験させて、色々な情報を得た後、万人に受ける仮想空間を作り上げようとしているだけ。何も悪くはないですよ。悪いと思っているのはただ単に「善人面したい人」だけですよ……」
そう言う風利城ユアに対し、自分は静かに返答する。
「……果たしてそれはどうだろうか? 自分は色々な悪い事をした大人だぜ? だから自分は「善人面したい人」じゃなくて、「悪人面の人」だぜ?」
「……結局の所、「悪を裁きたい」からそう言っているだけです。でも、私達の研究はそんな簡単に折れません。もっと、もっと私は頑張って、貴方達人間をモルモットにして仮想空間を作り上げたいんです。だから私は貴方達をモルモットにし続ける」
「……はぁ、やっぱり聞いてくれないよなぁ?」
自分はそう言って、ゆっくりと立ち上がって、体を動かす、うむ、ある程度は動くのか。自分はゆっくりと動かして、風利城ユアを指指す。
「てめぇ……人をモルモットにするとか……最低のクズだな」
「人間のクズである殺人鬼の貴方よりかはまだマシですよ」
自分の発言に対し、簡単に返答する風利城ユア、風利城ユアの発言に自分はイラッとしたが、此処は抑えなければ……自分はそう思いながら、風利城ユアを睨み続けた──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.354 )
- 日時: 2018/02/14 23:38
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「……あら? 起きていたんですか? おめでとう御座います」
そう言って、カンカンと音を立てながら階段を下りてくる風利城ユーア、自分はそんな風利城ユーアの格好を見て驚く。
風利城ユーアの格好は簡単に言えば『新スク水』だった、『旧スク水』というのは股間の方に水捌けがついている二次元ではよくある水着。
だが、『新スク水』は大まかに言えば『レオタード』、『競泳水着』の様に水着が一体化しているモノを差す。
……まさか此処で『新スク水』の格好の女性に会えるとは……否、そう言えばコイツ等、高校生だった事を今思い出す、そりゃこの水着か。
「はぁ……朝のお風呂は気持ちいいわね」
「はぁ? 朝のお風呂? 水着で入ってんの、アンタ?」
自分はそう言って、風利城ユーアの発言に驚愕する、すると風利城ユーアは『えぇ、そうですが?』と発言する。
「だって、少しでも水中で体を動かさないと太ってしまいますよ? 私は女子なので、健康に気遣って生きなければならないので」
「……女子は少し脂肪ある方が男にモテるぜ?」
自分がそう言うと、風利城ユーアはメガネを上げて発言する。
「そんなの、どうでもいいですわ、私は兄にモテればいいですし」
「おいおい? 私は妹である君にモテる理由はないのだが……まぁ、いい、今はそんな話をしている場合ではないです、それで? どうでしたか、仮想空間は? 楽しかったですか? 苦しかったですか? 面白かったですか? 面倒くさかったですか? それとも……『何も思わなかった』ですか?」
「…………」
風利城ユアの発言に対し、自分は静かに首を横に振って、風利城ユアに言う。
「その選択肢の、どちらでもねぇなぁ?」
「……? はて、それはどういう事ですか?」
そう言う風利城ユアに対し、自分は静かに発言する。
「そうだなぁ? どう説明してあげればいいだろうか? お前等みたいな矮小な脳味噌で自分の発言なんかを理解出来るだろうか? あぁ、出来なさそうだなぁ、出来なさそうだなぁ? でも、言わないと君達もイライラするだろう? だから仕方なく言ってやらないとなぁ? それじゃあ、言うよ? ……『どうでもいい』、ただそれだけだね、楽しくもないし、苦しくもないし、面白くもないし、面倒くさくもないし、何も思わなかったしさぁ? お前等の脳味噌で自分の考えを悟るなんて……出来る訳ねぇだろ?」
自分がそう言うと、風利城ユアと風利城ユーアはその場で口の端を歪ませる。
「フフフ……アハハハハハハ!!」
「フフフ……アハハハハハハ!!」
流石双子、笑い方も一緒だ……自分はそう思いながら、二人を見つめる──さぁ、さっさとコイツ等を殴らないとなぁ? 自分はそう思いながら、右手に力を込めた──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.355 )
- 日時: 2018/02/15 21:54
- 名前: 熱都 (ID: ???)
「てめぇ……!」
「おや、何ですか?」
そう言う風利城ユアに対し、自分はゆっくりと近づいて、右手を振りかざして、風利城ユアの左頬を殴った。次に階段の上にいる風利城ユーアも序でに右手でぶん殴った。
「痛いですよ……」
「そ、そうよ……女に手を出す男なんて最低」
「甘いな、自分は手を出していないぜ? 「拳にした手で風利城ユーア、貴様を押しただけ」だからな?」
「……それでも、手を出している事は確かじゃない……?」
「煩い、もう一発か?」
自分がそう言うと、風利城ユーアは静かに首を横に振る。
「……それにしても」
不意に風利城ユアが喋り、自分は首を傾げる。
「それにしても……「たったそれだけ」でいいんですか?」
「は、はぁ……? てめぇ、何を言っているんだ……?」
そう言う風利城ユアに対し、自分がそう言うと、風利城ユアが静かに返答する。
「えぇっ? そんなの簡単ですよ、「自分以外の人は救わない」んですか? って事ですよ。今此処では、「他人の仮想空間に入れる機械」があるんです、貴方にとって、「この状況をぶっ壊す事」をしたいんでしょう? そしてこんな馬鹿げた仮想空間をぶっ壊したい。つまり「他人の仮想空間に入って、その他人を仮想空間から救えばいい」でしょう?」
確かに……自分はそう思いながら、頷く、すると風利城ユアは自分に対し、機械の前迄案内する。
「これが……「他人の仮想空間に入れる機械」です……」
自分は静かに機械の前に立ち、風利城ユアの説明を軽く受けて、「他人の仮想空間に進入する」事を考え、ゆっくりと「他人の仮想空間に入れる機械」を起動する──一体誰の仮想空間に飛ばされるかは……分からない──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.356 )
- 日時: 2018/02/16 22:33
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「……この機械を使用すれば、何処に飛ばされるか、分かりませんよ? それでもいいのですか?」
「……あぁ、少しでも人を救う、その分人を殺害するけれど」
「……矢張り殺人鬼だなぁ……」
風利城ユアはそう言って、肩を降ろす、そして自分は静かに機械を起動して、深呼吸を行う──これで二回目の仮想空間だ、戻ってきたと思ったら、また行く羽目になるとは……少々野暮だ──
「…………」
自分は静かに起き上がって、周りを確認する、自分が起きたのは何処かの路地裏だった。
自分は周りを探しながら、路地裏を出る、すると其処には『裸の女性が男性に襲われている』シーンがあった。
その女性は巨乳で、まるで熟女っぽかった、そして男性の方は黒いスーツっぽいモノを着用しており、坊主だった。
更に身長の事を考えて、『最初の仮想空間』に居た自分と同サイズに見えるので、スーツではなく学校の制服、男子中学生かな? と判断する。
あーうん、この状況、少しだけ理解した気がする、でも、頭の中で理解はしているが、体は受け入れていない。
でも、あの少年? に話しかけて、状況を理解しないと、自分だって、理解出来ない、自分はそう思いながら、溜息を吐いて、頭を掻く。
「あぁ、この仮想空間、プリキュア殺しのミッションより面倒臭そうだ……」
自分はそう呟いて、体を叩いて、動かせるようにして、男子中学生らしき少年の方へと向かう──
「はぁはぁ……気持ちいいよぉ……何でこんなに女性って気持ちいんだ……? おっぱいも柔らかいし、股間も気持ちいいしさぁ……もう、最高! この世界から離れたくないよぉ!」
そう言って、目の前の男子中学生らしき少年は女性の胸を揉んで、息を荒くする。
自分は男子中学生らしき少年の右肩を叩いて、静かに言葉を発す。
「ねぇ、君? ミッションは?」
「ん? う、うわぁ!? あ、アンタ誰だ!? 何で此処に来ているんだ!? 此処は俺の世界だぞ!?」
男子中学生らしき少年はそう叫んで、自分の事を見つめ続ける、そして男子中学生らしき少年の手を見ると、目の前の熟女っぽい女性の胸を揉み続けていた。
「……人と会話する時位、女から離れろクソガキ!!」
自分はそう言って、右手で軽く男子中学生らしき少年を殴ってしまう、すると男子中学生らしき少年は『軽く5メートルは吹き飛んで』しまう。
えっ? あれっ? 自分、『軽く殴った』よね……? 自分がそう思いながら、自身の殴った拳を見て、その後男子中学生らしき少年を見つめながら、小声で言う。
「て、てへぺろ……」
自分は慣れない事をして、顔を赤らめながら、頬を掻いた──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.357 )
- 日時: 2018/02/19 21:53
- 名前: 熱都 (ID: ???)
「お、おい……? 大丈夫か? 生きているか?」
自分は内心焦りながら、男子中学生らしき少年の安否を確認。すると呼吸をしているので、生きている事を理解する。
「うぅっ……いてぇ……」
男子中学生らしき少年はそう言って、頬を擦る。そして自分は男子中学生らしき少年に名を聞く。
「おい、お前? 名を名乗れ。自分は薬の袋で薬袋だ」
「お、俺の名前は篠羽 鵜縣(ささばね うがた)、篠羽で良いです……」
男子中学生らしき少年──基、篠羽鵜縣だ──はそう言って、ゆっくりと立ち上がる。そして自分に怒鳴る。
「ってか、すっげぇ、痛いんですけど!? アンタ、ボクシングでもやってんのか!?」
「い、いや……生憎君の思うようなスポーツはやっていない。というか、そもそも、自分は君より力が弱いよ。今さっきのは君がガードをしていないから、相当な威力に感じただけ」
自分は言葉巧みにそう言って、話を逸らせる。そして自分は篠羽鵜縣にミッションの内容を聞こうとする。
「それで? 君のミッションは何なの? おっと、言うのを忘れてた、自分はミッションを手伝いに来た存在だ、だから一緒にミッションを攻略しよう!」
自分がそう言うと、篠羽鵜縣は首を横に振る。
「厭だ! この仮想空間なら女性は俺に惚れる! だから、女にモテない俺は此処で鬱憤を晴らすんだ!」
「晴らしているのは性欲じゃねぇか」
自分はそう言って、再度篠羽鵜縣を右手で殴る。だが、今回は何とかガードして、攻撃を受け止める。
「あ、アンタ本当に何もスポーツやってねぇのかよ? すっげぇ、重い一撃なんだけど……?」
篠羽鵜縣はそう言って、自分を睨む──嘘も此処迄か……?
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.358 )
- 日時: 2018/02/20 22:12
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「まぁ、いいや、やっていないんだし……」
篠羽鵜縣はそう言って、その場で溜息を吐き、ズボンとパンツを装着する。
「……はぁ、それで? 君のミッションって何なの?」
自分が篠羽鵜縣に再度聞き返す、すると篠羽鵜縣は面倒臭そうに発言する。
「…………走る事」
「走る? 何処を?」
「何処でも良い、とりあえず『10キロ自分の足で走る』事、乗り物乗らずに自身の足を使って、な?」
「……簡単だな」
自分が『何でこいつもっと早くしないんだよ?』と思うと、篠羽鵜縣が静かに座り込んで言う。
「……出来ねぇんだよ、そこ迄体力がない……というか俺は帰宅部なんだよ、運動も苦手だしさぁ?」
「ふぅん? それで? 最初は何キロ走ったんだ?」
「えーと……確か二km」
「うん、みじけぇ!?」
自分はそう言って、篠羽鵜縣に驚愕する。流石に短過ぎるだろ……? 自分はそう思いながら、静かに篠羽鵜縣の胸倉を掴んで威嚇するように言う。
「よし、それじゃあ、一回走ろうぜ? 自分も一緒に走るからさ?」
「えぇっ? 無理だよ? 途中で倒れても知らないからな?」
「あぁ、いいよ、倒れたらぶん殴って起こすから」
「アンタのパンチは痛いんだよ!?」
篠羽鵜縣はそう言って、自分に怒鳴る、ま、まぁ、あんなに吹っ飛んだら、厭でも殴られたくないはないわなぁ……
そして自分と篠羽鵜縣は適当に足を運んで、長い道を見つけて、走る準備をする。
「よし、自分は準備OKだ、お前はどうだ? 篠羽鵜縣? 靴紐は大丈夫か?」
「お前は母ちゃんかよ!? 靴紐も大丈夫だし、足の調子も大丈夫だよ、何時でも動ける」
「そうか、それじゃあ、もう行こうか、自分には時間がないからな?」
「あーはいはい、分かりましたよっと……」
篠羽鵜縣はそう言って、スマホを取り出し、ストップウォッチ機能を発動する。
「……何でスマホなんか起動しているんだ?」
「えっ? あぁ、ストップウォッチ機能ですよ、自分がこの距離を走るのに大体何分かかるか分かりますし」
「……ふぅん、そうか」
自分はそう言って、適当に頷く、普通腕時計をつけて、開始時間から調べた方がよくないか? と思ったが、彼はまだ学生って事を思い出す。
学校によっては腕時計がダメ、という所もある、でも、スマホはOKなのか……? 自分はそう思いながら、篠羽鵜縣を見る。
「それじゃあ、篠羽鵜縣、行きまーす」
篠羽鵜縣はスマホを胸ポケットに入れて、真っ直ぐに走り出す──よし、後は『10キロ走る』だけ……自分はそう思いながら、篠羽鵜縣が走って十秒後に走り出す──果たして、自分も10キロを走る事が出来るだろうか? 其処が問題だ──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.359 )
- 日時: 2018/02/21 21:40
- 名前: 熱都 (ID: ???)
「はっはっ、はっはっ……」
両手を思いっきり振って走る篠羽鵜縣、自分は少ない動きで腕を振って、走る。すると、篠羽鵜縣が急に倒れ込んで、膝を擦る。
「大丈夫か?」
「アンタにとって、これを「大丈夫」と言えるのかよ……?」
「言えるね」
「あぁ、そうかい……」
篠羽鵜縣はその場で溜息を吐きながら、立ち上がって、太股を叩く、まず格好が学ランだから、動きにくいのもある、だが彼はあまり体を動かした事がないから、もっと動きにくいだろう、そこは耐えないといけないが。自分はそう思いながら、深呼吸し、「さぁ、動きだそう」と発言する。
「あ、後何キロなんだよ……?」
篠羽鵜縣がそう言って、時計を確認する。自分も篠羽鵜縣の時計を確認すると、「走った距離 三キロ」と表示される。おいおい? まだまだじゃないか、まだ三倍もあるじゃないか……自分はそう思いながら、冷や汗を流す。
「まぁ……頑張れ」
「言われなくてもやってやらぁ! お前に殴られたくないからな!」
「…………あぁ、うん」
自分は篠羽鵜縣の怒鳴り声を聞いて、静かに頷く。そして篠羽鵜縣はゆっくりと走り出す。少しでも前に進めば、10キロなんて簡単に攻略出来る、ただ単に慣れていないだけ、ゆっくり走れば時間はかかるけど、10キロは走りきれる。自分は心の中でそう思いながら、走る篠羽鵜縣の後をゆっくりと駆け足で追いかける──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.360 )
- 日時: 2018/02/22 21:48
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「あぁ、もう無理……」
そう言って、篠羽鵜縣は倒れる、自分は篠羽鵜縣の時計を確認して、残りのキロ数が『五キロ』だと知る。
「頑張れ鵜縣君! 後半分だ! 後5000メートルだ!」
「何でメートル換算されると、案外簡単に思えるんだろうな!?」
「知るかよ!? さぁ、立ち上がって、前に進もう!」
「うぅっ……今日はとんでもなく疲れたぜ……」
篠羽鵜縣はそう言って、ゆっくりと立ち上がって、走る事を再開する──頑張れ、篠羽鵜縣、自分はそう思いながら、篠羽鵜型の後を追う──
「む、無理だってさぁ……?」
ふらふらになる篠羽鵜縣、自分は篠羽鵜縣の肩を叩いて、発言する。
「頑張れって? もう後三キロ程度でしょう?」
「は、はぁ……? お前は何を言っているんだ? まだ四キロだってー……って、もう三キロか……」
篠羽鵜縣は自分の言葉を聞いて、時計を確認、すると残りは三キロというのが理解出来た。
「よかったじゃん」
「よかったじゃん、ってアンタ……ってか、何でアンタは七キロも走ってるのに息切れしてねぇんだよ!? ってか、疲れの色さえも見れないな!?」
「んー? そうかなぁ? 別段普通でしょ?」
「普通じゃねぇ!?」
自分の発言にツッコミを入れる篠羽鵜縣、そんな事が出来るのなら、まだまだ元気な証拠だ──
「…………」
無言のまま走り続ける篠羽鵜縣を見ながら、『腹減ったなぁ』と思う自分、すると静かに篠羽鵜縣が声を発す。
「あ、あのさぁ……」
「何だ?」
「い、いや……10キロってさぁ……軽く駅伝の距離レベル、だよなぁ……」
「ごめん、駅伝を見た事がないから分からないや」
「お前……頭可笑しいだろ……? 日本全国が熱くなれる番組の一つだぞ……?」
「……まぁ、そもそもテレビを見ないからね……」
「えぇっ……」
篠羽鵜縣はその場で呆れて、走り始める──自分が篠羽鵜縣の時計を見ると、残りは1キロだった──
そして10キロを走りきった篠羽鵜縣はその場で倒れ込む。
「はぁはぁ……な、何とか、ミッションクリアだぜ……」
「そうか、おめでとう」
「全然嬉しくねぇなぁ」
「そうかい? そりゃ良い」
「おいおい……」
篠羽鵜縣はそう言って、その場で息を荒くする。
さぁ、後は帰るだけ……そう思っていると、『何故か自分の体が光り出した』のだ、続けて篠羽鵜縣も……一体これは……? そう思っていると、頭上から風利城ユアが言う。
「ミッションクリアおめでとう、それでは今から君達を元の世界に戻そう」
「は、はぁ……? 展開が早いぜこの野郎……?」
息も絶え絶えな篠羽鵜縣を見ながら、『自分も一緒に帰るのか……』と思う。
まぁ、帰れるんだから、良いか……と考えて、自分はその場で目を閉じ、深呼吸をして、帰る準備をする──何気に10キロ走るのは自分でも大変だったなぁ……そう思っていると、自分と篠羽鵜縣はこの仮想空間から消えた──
第五十六章 現実世界 REAL WORLD 完
第五十七章 新たな仮想空間 A NEW VIRTUAL SPACE
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.361 )
- 日時: 2018/02/23 21:20
- 名前: 熱都 (ID: ???)
「…………」
「……此処は……? あれっ? 此処は俺が仮想空間を体験する時に来た場所じゃないか……? という事は、「自分は何日も何日もこのイスに座っていた」って事か……?」
混乱する篠羽鵜縣の言葉を聞いて、自分は静かに目を開ける。すると風利城ユーアが自分の胴体を抱きしめていた。
「…………」
「…………」
「…………アンタ、何してんだ?」
自分がやっと言葉を発すと、風利城ユーアは顔を赤らめ、発言する。
「えっと……蝉の真似……みーん、みーん……」
「…………」
「…………嘘です、ごめんなさい。少し悪戯がてら、遊んでいたら、体が動かない事を良い事に抱き締めて倒れさせようとしてました」
「本当、お前等暇人なんだな……」
自分は風利城ユーア、風利城ユアの行動を思い出し、静かに呆れる。そして自分は振り向いて、プリントを読む風利城ユアに言う。
「おい、これで一人助かった……って事でいいんだよな?」
「そうですね……」
「お、おい……? 人の話聞いてる?」
「そうですね……」
「お前はオウムかよ……」
自分はそう言って、静かに呆れる。そして周りを見る。まだまだ救わなきゃならない人物が居るな……自分はそう思いながら、その場で深呼吸する──本当、めんどくさいなぁ? さっさと寝たいのに……この兄妹の所為で……あぁ、めんどくさいなぁ、自分はそんな事を思いながら、天井の虚空を見つめる──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.362 )
- 日時: 2018/02/26 22:04
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「い、一体何日、何ヶ月経ったんだよ……!? おい!? 誰か今日の日付を教えてくれぇ!?」
叫ぶ篠羽鵜縣に対して、風利城ユーアが自分を抱き締めながら発言する。
「まだ貴方がヘッドセットを装着して、時間はまだ一時間しか経っていませんわ」
「は、はぁ……!? ど、どう言う事だよ!? それってつまり『たった一時間と少しの間で何ヶ月も経った感覚を感じている』って事かよ……!?」
「そうですわ、素晴らしいでしょう? 仮想空間は? 『現実世界の一分一秒を仮想空間では一日、一ヶ月に感じる事が出来る』ので……?」
そう言う風利城ユーアに対し、篠羽鵜縣は驚愕する。
「なっ……!? そ、それじゃあ、『仮想空間で何百年も生きても、現実世界では一時間経っているかもしくはそれ以内の時間しか過ごしていない』って事も可能かよ!?」
篠羽鵜縣の驚愕した言葉を聞いて、風利城ユーアが頷く。
「えぇ、そうですね、技術スタッフが頑張れば出来ますけど……ですが、そんな事をして大丈夫なんですか? 逆に自身が狂ってしまいますわ、『何年何十年何百年を仮想空間で過ごしてしまい、現実世界ではたった数分、数十分だ』なんて……? 私なら発狂してしまいますわ?」
「そ、それはそうかもしれない……でも、楽しいし……」
篠羽鵜縣はそう言って、言葉を失う、そして立ち上がった風利城ユアが自分に言う。
「あれっ? 人を一人救ったんですか? 殺人鬼が?」
「それは関係ないだろ?」
自分がそう言うと、風利城ユアとの会話を聞いていた篠羽鵜縣が言う。
「は、はぁ……!? さ、殺人鬼だと!?」
「えぇ、そうですね、彼は仮想空間内で『人を大量に殺害せよ』というミッションをクリアした存在です」
「ま、まぁ、嘘は言っていないからまぁ、セーフだな……確かに自分は仮想空間内で『人を大量に殺害せよ』というミッションをクリアした……でも今はそんな事はどうでもいい、篠羽鵜縣、自分と一緒に協力してくれないか? このまま眠った人達を救いたい、この目の前にある機械から他人の仮想空間に入って、ミッションをクリアさせてくれ? 自分が君にした事みたいに、さ?」
自分がそう言って右手を差し出すと、篠羽鵜縣はその場で困った顔、もしくは『一体どうしようか?』みたいな表情になる、そして篠羽鵜縣はその場で声にならない謎の言葉を発する。
「え、えと……あの、その……えーと……うぅっ……」
困っている篠羽鵜縣を見つめる自分、篠羽鵜縣が自分に協力してくれるかは分からない──さぁ、早く回答してくれ……事態は急を要しているのだから──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.363 )
- 日時: 2018/02/27 21:35
- 名前: 熱都 (ID: ???)
「えぇと……」
困惑する篠羽鵜縣に対し、自分は怒鳴る。
「てめぇ! 早くしろってんだ! こうしている間にも仮想空間で死んでいる奴もいるかもしれねぇんだ! だから急がないと……!」
「は、はぁ……? それはどういう事なんだよ? アンタ、説明してくれよ?」
首を傾げる篠羽鵜縣に対し、自分は適当に言葉を発する。
「えーと……とりあえず早く仮想空間の人間を救わないといけないんだよ! もしも仮想空間で死んだら……「もうこの世界に戻ってこれないんだ」よ……! だから急いで救わないといけないんだ!」
自分はそう言って、篠羽鵜縣の判断を速くさせようとする、そして篠羽鵜縣は驚愕した表情で「嘘だろ……? そんな筈が……」と言いながら、自信の手の平を確認する。
そして息を荒くする篠羽鵜縣、篠羽鵜縣は未だ考えていた。
最終的に篠羽鵜縣は自分の発言を受けて、頭を掻き毟った後、「あぁーッッ!!」と、大声を出して返答する。
「あぁ、もう分かったよ! 救えばいいんだろ! 皆を! 仮想空間の人達を!!」
そう言って、篠羽鵜縣は動き出し、自分の隣に立ち、風利城兄弟に機械の説明を受ける──これで仲間を手に入れた! これで二倍の行動力を自分は手に入れた、という事になる……さぁ、急いで仮想空間に取り残された人達を救わなくては……! 自分はそう思いながら、右手に拳を作った──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.364 )
- 日時: 2018/02/28 21:49
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「よ、よし! これでいいな!」
篠羽鵜縣はそう言って、頭にヘッドセットをつける、自分もつけようと迷ったが、面倒なので止める事にする。
「よし、それでは動かしますよ……」
風利城ユアがそう言って、機械を起動させる──一応自分と篠羽鵜縣は別々の仮想空間に飛ばしてもらうように願ったから、個人個人での行動になる。
さぁ、一体どんな仮想空間に辿り着くだろうか? それは自分には分からない──
そして自分は仮想空間に転送されて、周りを確認する。
すると、『スーツ姿の男性が札束の風呂に入って酒を飲んで』いた、その酒は赤ワインだった。
「わーっはっはっ! 楽しいなぁ! 楽しいなぁ! 矢張り現実世界では出来ない事を仮想空間は行える! あぁ、素晴らしいなぁ!」
そんな事を言いながら、高笑いする男性、自分はそんな男性に向かって、足下に落ちていた石を額に投げ、当てる。
「いったぁ!? な、何だね君は!?」
「何だね君は!? じゃないね、こっちはこっちで大変だというのに……アンタがこの仮想空間を出る為のミッションを攻略しないからこういう風になっているんだろうが!」
「は、はぁ!? 逆ギレですかぁ!? 逆ギレですかぁ!? い、一体君は誰なんだ!?」
「そんな事はどうでもいいんだよ、アンタがこの仮想空間を出る為のミッションを攻略しないと現実世界のアンタは死ぬ、それだけを伝えておくよ」
「は、はぁ!? ちょっと待って!? い、意味が分からない! さっさと用件を言え!」
そう叫ぶ男性に対し、自分は静かに説明する。
「今現実世界で、『仮想空間で生きさせる』為に毒ガスを仮想空間に来た時の部屋に振りまいている、この毒ガスは一時間吸うと、死んでしまう、もう三十分経っているんだ! おまけにこの毒ガスを止めるには『仮想空間を体験しに来た全員で攻略しなきゃいけない』っていう意味不明、難解な攻略法なんだよ! だから自分と一緒にこの仮想空間を脱出する為のミッションを行おう! だから立ち上がれ!」
「な、何だと!? つまり私達は残り三十分で死ぬ!?」
「あぁ、そう言う事だ! だからさっさと此処の仮想空間のミッションを攻略しよう! 急げおっさん!」
「な、成程……分かった、急いでミッションをクリアしよう、私には妻子がいる、妻子を残して死ねない! さぁ、急いでミッションを攻略せねば!」
男性はそう言って、一気に立ち上がり、ネクタイを左右へ揺らして、整えて、札束の海から脱出する。
そして自分とスーツの男性は共にミッションを攻略する為に行動に移した──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.365 )
- 日時: 2018/03/01 21:38
- 名前: 熱都 (ID: ???)
「えーと、おっさん、アンタのミッションって何なんだ?」
「お、おっさんとは何だ!? 私にだって名前は付いている! おっさんという名前ではない!」
「……名前は付いているというか、「名付けられる」もんだろ……っと、「付けられる」って入ってる」
自分は自分の発言に驚きながら感銘を受ける。そして静かに男性が名を名乗る。
「……卒塔婆」
「はぁ? 卒塔婆ぁ?」
「そうだ、私の名前は卒塔婆(そとば)下城(げじょう)という、中々にカッコいい名前だろう?」
「いや、その前に下城って名前は良いが、卒塔婆っていう名字はちょっと……」
「なっ!? 皆良く「卒塔婆」って名字を「可笑しい」だの何だの言うが、私の一族は「卒塔婆を作る一族」なんだよ! だから作っている卒塔婆を名字にしたんだ! この名字は我が一族の職人の気持ち、職人魂が分かる名字なんだよ! お前にバカにされたくない!」
「じゃあ、逆に言うぜ、「自分はお前って名前じゃない」ぜ?」
「……揚げ足を取ったつもりか? それじゃあ、名を聞いてやろう、貴様の名前は何だ?」
「自分? 自分は薬の袋で「みない」って言うんだ、面白いだろ?」
「ふんっ! 自分の名字を「面白い」等……薬袋と名付けた先人達に謝れ!」
……だってさ、「同居人」? お前の名字を「面白い」って言ったら、「卒塔婆」っていう面白くて変梃な名字の奴がキレたぞ? 何か面白いな、自分はそう思いながら卒塔婆下城が「ミッションの内容」を言うのを待つ──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.366 )
- 日時: 2018/03/02 22:12
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「……それで? 卒塔婆下城よ、一体『ミッション』は何なんだ?」
「えっ? あぁ、ミッションか、ミッションは『ホームランを打つ』事だ」
「は、はぁ? ホームランって……あの?」
自分がそう言うと、卒塔婆下城は静かに頷く。
「あぁ、あのホームランだ、場所はバッティングセンターと書いてある」
「…………」
卒塔婆下城の発言に自分は黙ってしまう、すると卒塔婆下城が自分に言う。
「ど、どうしたんだ薬袋君? 何か具合でも悪いのか?」
「い、いや……その前に『ホームランって何なんだ』よ?」
「…………えっ? い、いや、あのホームランだぞ? スポーツ番組を見たら、大体は分かるだろう?」
「いや? ホームランという言葉は知っているが、意味が知らない、ってか、自分はスポーツ番組もテレビも見ないから、アンタの言っている事が分からない、一体ホームランって何なんだよ?」
自分がそう言うと、片手を額に当てて、『マジかよこのバカ?』と言いたげな表情で卒塔婆下城が説明する。
「ホームランというのは野球の……野球と言う言葉は知っているか?」
「知っているが、どんな意味か分からない」
「……九人の選手がボールとバットで戦うゲームだ、流石に此処迄は分かるな?」
「ま、まぁ……バットは殺人時にあったら使うしねぇ」
自分が小声で言うと、卒塔婆下城が首を傾げる。
「ん? 何か言ったか?」
「いや? 何にも言っていないけど?」
「そ、そうか……一応言っておくが、私はホームランを何度も目指した、だが、仕事上、机に座って仕事しているから、運動をしても体力がない、だから、ワンプレイ三十球で何時も終了している、まず、『ホームランを打つ』というのは相当体力が必要なのだ、分かったか!?」
「うん、分かった分かった、でも、アンタの説明じゃ、『ホームランが簡単だなぁ』って思ってしまうのはどうしてだ?」
自分がそう言うと、卒塔婆下城が自分に怒鳴ってきた。
「ばっ、バカ!? お前、ホームランを打つ事が、どれだけ難しいか、知っているのか!? 知らないだろ!? だって、『野球のルールさえ知らない素人以前の人間』だからな!!」
「うん、打った事もないし、知らない、でも、自分もその『ホームラン』ってのを簡単そうだから、打ってみたい、だからさっさとバッティングセンターへ向かおう?」
「……こ、コイツ……本当に巫山戯やがって……あぁ、分かったよ! 今からバッティングセンターへ向かおう! そして一番近くのバッティングセンターへ行って、『ホームラン』の難しさ、教えてやる!!」
そう言って、卒塔婆下城はタクシーをとって、タクシーに乗り込む、自分も一緒に乗り込んで、バッティングセンターへとタクシーで向かう──ホームラン、本当に打つのが難しいのか? 自分はホームランを打った事がないので分からないから、本当に難しいのだろう──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.367 )
- 日時: 2018/03/05 21:37
- 名前: 熱都 (ID: ???)
そして自分と卒塔婆下城はタクシーに乗って、バッティングセンターへと向かう。はぁ、と溜息を吐いた後、運転手が「もうすぐ着きますからねぇ」と言って、もう着くのか、と判断する。
「それにしても近いな」
「まぁな? 何時でも出来るように近くにいたんだよ」
「へぇ……」
自分はそう言って、溜息を吐いた、すると運転手が「着きましたぁ」と言って、タクシーを出る、卒塔婆下城が会計をして、タクシーを出、お互いがタクシーを出る。そして自分と卒塔婆下城はバッティングセンターの中に入る。
へぇ、此処がバッティングセンターかぁ……案外狭いな。自分がそう思っていると、上の数字が気になった。
一つの部屋ごとに「80km」、「90km」、「100km」、「110km」、「120km」、「150km」と書かれてある、この数字は何なんだろう? 自分はそう思いながら首を傾げる。
そして、上の数字を確認する卒塔婆下城を見て、自分は卒塔婆下城に言う。
「それじゃあ、アンタの実力、見せてよ?」
「えっ? 私か? まぁ、お前は野球未経験らしいし……仕方ない、見本を見せてやるとしますかぁ!」
卒塔婆下城はそう言って、スーツを脱いで、Yシャツ姿になって、バットを持って、カードを機械に飲み込ませて、「100km」と書かれた場所に入って、立つ。
そしてバットを構えて、ボールが来る所を見続ける──ほ、本当にそんなポーズで打てるのかぁ? 自分はそう思いながら、卒塔婆下城を見つめる──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.368 )
- 日時: 2018/03/06 21:49
- 名前: 彩都 (ID: ???)
卒塔婆下城は放たれたボールをバットで打つが、低く反射していた、あれじゃあ、もっとパワーが必要だ、そう思っていると、何時の間にか、30球が終了していた。
「はぁはぁ、こ、これでホームランを放つ事がどれだけ難しいか、分かったか!?」
そう言う卒塔婆下城に対し、自分は静かに返答する。
「卒塔婆下城よ?」
「な、何だ薬袋ぃ?」
「お前、パワーひっくいなぁ? もっと力を付けないとホームラン無理だぞ?」
「なっ……!? てめぇ、どういう事だぁ!?」
怒鳴る卒塔婆下城に対し、自分は卒塔婆下城から、バットを奪って、カードをスキャンして、『100km』と書かれた部屋に入って、発言する。
「パワーが低いから、ホームランってのは打てねぇんだよ、ちゃんと見ておけよ? おっさん?」
自分はそう言って、『右手だけでバットを持ち、左の方に立った、そして来たボールを右手に持ったバットで振って、簡単にバットを当てた、そして打ったボールは『ホームラン!』と書かれた看板の近くに当て』た。
その状況を見て、自分は『おっしいなぁ』と思った、すると卒塔婆下城が叫ぶ。
「あ、アンタ……!? 一体何者なんだよ……!? 本当は野球上級者、いや、超級者だろ!? 今の今迄嘘を吐いていたって事だろ!?」
叫ぶ卒塔婆下城に対し、自分は静かに言う。
「……いんや? 自分は『今日初めてボールを打った』薬袋だ、これが人生で初めてだ、うーん、惜しかったなぁ」
そう言う自分を見て、卒塔婆下城はその場で膝を突いて、魂が抜けていた。
「な、何だよこの化け物……普通じゃないぞ? 一般的じゃないぞ? ってか、『本当に人間か』よ……!?」
驚愕する卒塔婆下城、すると顔を卒塔婆下城の方に向けていたので、背後から発射されたボールに気付かなかった。
「お、お前! ボールが! 当たるぞ!」
「んっ?」
自分はそう言われたので、その場で左手を前に差し出し、『時速100kmのボールをいともあっさりと受け止め』た、その様子を見て、卒塔婆下城は膝を突いた姿から、地面に尻餅をつくように座り込んだ。
「なっ……!? 素手で……ボールを受け止めたぁ!? ど、どうやって行ったんだよ!?」
「んー? 簡単だよ、『手に来る風で場所を判断してボールをキャッチした』だけだよ? まぁ、慣れたらお前でも出来るだろ?」
「出来ねぇよ化け物! お前、本当に化け物だな!? 人間の皮を被った化け物だな!?」
「いやぁ、何か嬉しいなぁ」
「褒めていない!」
自分の発言に叫ぶ卒塔婆下城を見て、『褒めていないのか』と判断する自分。
そして自分は顔を元に戻し、左手でバットを持って、打ち返し、右の場所に立って、左手に持ったバットで打ち返し、右手にバットを入れ替え、右手にバットを持って、打ち返した──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.369 )
- 日時: 2018/03/07 21:32
- 名前: 熱都 (ID: ???)
そして自分は29球を「片手」だけで打ち返し、28球を全て、「ホームランの看板に当て」て、打ち返した。その姿を見て、卒塔婆下城が驚愕する。
「お、お前……本当に人間か?」
「本当に人間だよ。後お前はパワーが足りないって言ったよな? だから
今からパワーをある程度つけるぞ?」
「は、はぁ? ど、どうやってだよ……?」
不思議がる卒塔婆下城を見て、自分は卒塔婆下城の腕を指指した。
「そんなの簡単だよ、「重りを付ける」んだよ、腕に、バットに。そうする事によって、負荷が掛かり、少し練習した後、外すと、軽く感じて、ホームランも容易だろう」
「なっ……!? そんな簡単に行くかよ!?」
「じゃあ、「簡単に行かせたらいいだろう」が?」
自分はそう言って、重りを探し、バットに入れる重りを見つけ、バットに装着し、卒塔婆下城に渡す、そして近くにあったダンベル型の重りを見つけ、卒塔婆下城の腕に何個も付け、右腕、左腕に三つずつ付ける、そしてバットの重り1kgを四つ装着しているので、体の重りは総重量10kgになった。
「お、重い! 重過ぎるぞ薬袋ぃ!?」
「重くても慣れろ。それじゃあ、バット振りをしよう」
「は、はぁ!? こ、こんなに重いのに無理だって!」
「うるせぇ!! さっさとしろ!」
「は、はいぃぃ!」
そして自分と卒塔婆下城はバットを持って、素振りを開始する──これで打てる筈だ──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.370 )
- 日時: 2018/03/08 21:44
- 名前: 彩都 (ID: ???)
そして自分と卒塔婆下城はバットを振り続け、軽く一時間が経った。
「……ふぅ、これで少しは重いのにも慣れただろう?」
「ま、まぁ、少しはな……? だが、少しは軽くなった感じはするな」
「そうか? それなら嬉しいぜ? さっさとホームランを放とう」
「あぁ」
卒塔婆下城はそう言って、金属バットを持って、カードをスキャンし、部屋の中に入る。
そして打つ姿勢になって、ボールを確認した。
「さぁ、打つぞぉ!」
そう言って、1球目にボールが発射される、卒塔婆下城は思いっきり、バットを振って、ボールを打つが、『ホームラン』の看板には当たらなかった。
「くそっ……」
卒塔婆下城はそう言って、舌打ちをした後、2球目に全てを賭ける事にした。
そして2球目もあっさりと『ホームラン』の看板を逃してしまう、次に3球目、4球目、とボールを打つが、全然『ホームラン』の看板には当たらなかった。
何度も何度もバットにボールが当たり、ヒットを連発するも、中々『ホームラン』の看板には当たらない、そして残り球数は5球を切っていた。
自分は卒塔婆下城の顔を確認すると、汗を流していた、そりゃそうだ、あんな重い10キロを一時間も支え、振っていたのだ、今打つのでさえ、腕が苦痛になっているだろう、腕が悲鳴を上げても嘘ではない。
そして残り5球目、4球目、3球目と『ホームラン』の看板には当たらず、残り2球になる、だが、残り2球になっても『ホームラン』の看板に当たる事はなかった、そして最後の1球、最後の1球、最後の力を振り絞って、卒塔婆下城はバットを強く握り、最後の1球、30球目を睨んだ。
「げ、限界だ……これで……最後だ……」
息も絶え絶えな卒塔婆下城が最後の30球目にバットを思いっきり振った、するとバットにボールが当たり、『カキーン!』という金属バットの気持ちいい音がした。
「いっけぇぇぇ!!」
「いけぇぇぇ!!」
自分と卒塔婆下城はその場で叫ぶ、最後の一球、体力ギリギリのヒット、『ホームラン』の看板に当たれ! とお互い思う。
そして卒塔婆下城はやっとの思いで、ボールをバットで打ち、奥の『ホームラン』の看板を当てる。
「や、やったぁ! 私にも出来たぞぉ! 有難う! 薬袋!」
「ほら? やれば出来るじゃん?」
「そうだなそうだな!」
喜ぶ卒塔婆下城を確認し、自分は安堵する、すると急に自分と卒塔婆下城が光り出す──確かこの光は笹羽鵜縣の時の……と判断し、卒塔婆下城に言う。
「よかったな! これでこの世界からおさらば! 現実世界に戻れるぞ!」
「何だと!? それはよかった! これでもうホームランを打たなくて済む!」
卒塔婆下城はそう言って、その場で安堵し、ジャンプした後、その場にへたり込んで、溜息を吐いた、そして自分と卒塔婆下城は安堵しながら、静かに仮想空間から現実世界へと戻った──
第五十七章 新たな仮想空間 A NEW VIRTUAL SPACE
第五十八章 他の仮想空間の人達 PEOPLE IN OTHER VIRTUAL SPACE
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.371 )
- 日時: 2018/03/12 21:36
- 名前: 熱都 (ID: ???)
「……あれっ? 此処は?」
そう言って、静かに卒塔婆下城が椅子から目覚め、起き上がる。そして周りを確認し、不思議がる。
「全然毒ガスの匂いも何もないが……?」
そう言う卒塔婆下城を見て、自分は卒塔婆下城に近づいて話しかける。
「よぉ、卒塔婆下城よ?」
「あっ、薬袋じゃないか? ってか、何処に毒ガスが……?」
「あー、その事? それは完全に嘘だぜ? そうでもしないとお前さんは動かなさそうだったし?」
「なっ……!? 薬袋! 貴様、私に嘘を吐いた、という事か!?」
「極論そうだ……! だが、今はそんな事、いや喧嘩をしている場合ではない! 今は自分と卒塔婆下城、一緒に協力せねばならない状況なのだ!」
自分がそう言うと、「ぷはー!!」と聞き慣れた声がする、そして背後を確認すると、笹羽鵜縣が、その場で大汗を掻いて息を切らしていた。
「さ、笹羽鵜縣!? 一体どうしたんだ!?」
「あ、薬袋さん……じ、実は……「行った仮想空間の女性に性的に襲われて」……一応ミッションはクリアしました……でも、ミッションを行う前迄セクハラを受けました……」
「それ、お前の仮想空間内と一緒の事じゃないか? よかったじゃないか、女性とそう言う事を望んでいたんだろ?」
「違いますよ! 男の俺が襲うのが普通! 女が俺を襲っても怖いですよ!」
「何だ、違うのか……」
頬を掻く自分を見て、卒塔婆下城は呆れる。
「な、何なんだあの少年は……?」
驚く卒塔婆下城の発言の後、一人の存在が静かに起きたが、自分はその時まだ、気付かなかった──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.372 )
- 日時: 2018/03/12 21:37
- 名前: 彩都 (ID: ???)
「ふあぁあ」
「!?」
自分は謎の声を聞いて声の方に向く、するとそこには褐色肌の女性がヘッドセットを外して、いきなり立ち上がって、体を動かしていた。
「あっ! こ、コイツですよ! コイツが俺を性的悪戯した奴です!」
「……『コイツが俺に性的悪戯をした奴』って言い方でいいんじゃない?」
自分が笹羽鵜縣にそう言うと、『こ、混乱して……』と返答する。
そして自分は褐色肌の女性に向かって言葉を発す。
「おう、褐色肌の女よ、お前の名前は?」
「……人に名前を聞く時は先に自分から名乗りにゃあよ?」
「……今は関係ないだろ? 今は急を要している! そんな事を真に受けて返答している時間はない!」
「笹羽鵜縣、中学生です」
「卒塔婆下城、冴えないサラリーマンだよ」
「!?」
笹羽鵜縣、卒塔婆下城が名を名乗り、名を名乗っていないのは自分だけになる、そして褐色肌の女性は『成程にゃあ、でも鵜縣君はもう聞いたし、要らないかな』と言って、続けて自分を見て発言する。
「……それで? お兄さんはどんにゃ名前にゃの?」
「……薬袋……! これで良いだろ!?」
「んー? 惜しいなぁ、後は『下の名前』だにゃあ? 下の名前も言わないとにゃあ?」
「……あぁ、もうじれったい! 薬袋! 清新! これでいいだろ!」
自分が叫ぶと、『OKにゃあ』と言って、背中を掻き、自分達を見つめた。
「私の名前は玩枯堂院 愁子(がんがらどういん うれいこ)と言うよぉ
、気軽に『うーちゃん』って呼んでねぇ?」
「なっ……!? 玩枯堂院だと!?」
「えっ……!? アンタが玩枯堂院!?」
玩枯堂院という名前を聞いて驚愕する笹羽鵜縣と卒塔婆下城、な、何で驚いているんだ!? 自分はそう思いながら二人を見つめ、発言する。
「笹羽鵜縣、卒塔婆下城、一体どうしたんだ……? 玩枯堂院の何処に驚いているんだ……!?」
自分が笹羽鵜縣、卒塔婆下城にそう言うと、笹羽鵜縣、卒塔婆下城が自分に向かって叫んだ。
「薬袋、アンタは知らんのか!? 『玩枯堂院』を!」
「そ、そうだぞ! 超有名じゃないか玩枯堂院は!」
「……いや、知らないな」
自分がそう言うと、笹羽鵜縣、卒塔婆下城が説明する。
「『玩枯堂院』ってのは、超有名和菓子店の店名だよ!」
「そして『玩枯堂院』は江戸時代から続く名家! 更に徳川の大名から褒美にと、店名を名字にしたんだよ!」
「そ、そうだったのか……」
自分は笹羽鵜縣、卒塔婆下城の説明を受けて納得する、だが、何故その玩枯堂院愁子がこんな所に要るんだよ……? 自分はそう思いながら、当人である玩枯堂院愁子は、『えへへぇ、やっぱり私のお店って有名なんだぁ』と呟いていた──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.373 )
- 日時: 2018/03/13 20:57
- 名前: 熱都 (ID: ???)
「え、えーと、玩枯堂院愁子よ。少し力を貸してほしい。周りの人間を救う為にこの機械を使用して、他人の仮想空間に入って、他人のミッションをクリアしてくれないか?」
自分がそう言うと、玩枯堂院愁子が自分を見ながら返答する。
「厭だにゃあ。何で私がそんな事をしなきゃいけにゃいんだにゃあ? 私は自身の仮想空間とやらで「とても気持ち良い事」をしていたのにさぁ? そしてそこのうがい君に仕方なく脱出されただけで」
「うがいじゃねぇ! 「うがた」だ!」
名前に訂正を入れる笹羽鵜縣を見て、息を飲み込む自分。まさかだとは思うが……自分はそう思いながら玩枯堂院愁子に聞く。
「な、なぁ……? その「とても気持ち良い事」って、何なんだ……?」
自分がそう言うと、玩枯堂院愁子が首を傾げながら返答する。
「えっえー? お兄さんそんな事も知らないのにゃあ? それじゃあ、教えてあげるにゃあ。それは……セックスだにゃあ。性行為だにゃあ。陵辱だにゃあ。強姦だにゃあ。和姦だにゃあ。……つまり、私が言いたいのは、そう……「性の快楽」だにゃあ」
玩枯堂院愁子の発言を受けて、自分は恐怖する。そして隣の笹羽鵜縣を見ると、「笹羽鵜縣はその場でガクブルと震えて」いた。えっ? どういう事だ? 自分はそう思いながら目の前の玩枯堂院愁子を見つめる──何なんだこいつは? まるで狂人じゃないか……!
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.374 )
- 日時: 2018/03/14 21:10
- 名前: 彩都 (ID: AtgNBmF5)
自分がそう思っていると、玩枯堂院愁子が静かに言葉を発した。
「ねぇ、鵜縣君? 仮想空間の時の私、どんな感じだったにゃあ?」
にっこり笑顔で言う玩枯堂院愁子を見て、目を逸らし、顔を赤らめ、トイレに行きたそうなポーズをしながら股間をもぞもぞとさせる。
「…………」
「無言じゃ困るなぁ? それじゃあ、『あの仮想空間であった事を話そう』かなぁ?」
「うわー! 俺の恥ずかしいのがバレるー!」
涙目になりながら顔を隠す笹羽鵜縣を見て、自分は助け船を出す事にする。
「そ、そんな事はどうでもいいんだよ! 玩枯堂院愁子よ、自分達に協力してくれないか!? 協力しないと……やべぇんだよ! 早くこの人達を、救わないと!」
「勝手に救えよアンタ? そんなん私には関係ないでしょう? そうやって他人を巻き込むんじゃない! 仮想空間で楽しんでいる途中に貴方達が入ってきて、『ミッションを攻略して此処を出よう』ってか? 巫山戯ないで! 現実に戻りたくない人もいるんだよ!? それなのに……!」
「……だから、何だ!」
玩枯堂院愁子の発言を切る自分、そして自分は静かに言葉を続ける。
「あのなぁ、そんなん関係ねぇんだよ? 勿論自分の行動が『エゴ』、『我儘』、『自分勝手』ってのはよく分かる、でも……『目の前に困った人が居たら自分は手を差し伸ばす』、それが自分だ」
「…………」
静かに自分を睨む玩枯堂院愁子を見ながら、自分は笹羽鵜縣、卒塔婆下城に言う。
「それじゃあ、二人共、こんな褐色肌の女なんかを相手にせず、三人で他の仮想空間の人達を救おう」
「お、おぅ……」
「あ、あぁ……」
二人はそう言って、戸惑いながら、玩枯堂院愁子を見る。
自分は静かに機械を操って、卒塔婆下城、笹羽鵜縣を他の仮想空間に飛ばす。
そして最後の自分になった時、玩枯堂院愁子が自分に喋る。
「アンタ……どうしてそこ迄人助けを? だって、助けても返ってくるモノは少ないじゃない? なのに、何で?」
「……何でだろうなぁ? それはよく分からないや、でも、これだけは言えるなぁ……『人の笑顔が好き』だから」
「は、はぁ? そんなの、『スマイル一つ下さい』で済むんじゃあ……」
そう言う玩枯堂院愁子に対し、自分は首を振る。
「違うな、あんなんは『作り物の笑顔』だよ、簡単に言えば、『心の底からの笑顔』が美しいんだよ、アンタ、『玩枯堂院』っていう食い物屋の人間だろ? 他人の笑顔をよく見る仕事に就いているじゃないか? それなのに……『笑顔』ってのが、分からないんだね、実に可哀想な人だ」
自分はそう吐き捨てて、玩枯堂院愁子の前から消えた──さぁ、次は何処の仮想空間なんだろうか? 自分は何処に着くか、まだ分からない──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.375 )
- 日時: 2018/03/15 21:55
- 名前: 熱都 (ID: lyEr4srX)
「……? ん? 此処は……?」
自分はそう言って、周りを確認する。するとそこは卒塔婆下城の仮想空間と同じく都会の道路だった。一体此処は何なんだ……? そう思っていると、近くに涎を垂らしている女性を見つける。
「……何だこの狂った世界は?」
自分はそう呟いて、女性に話しかける。
「おぅい? 大丈夫なのか?」
「だだだだだだ、大丈夫よ……あっ、待って? 今から「クスリ」を打つから……」
女性はそう言って、上着を脱ぐ。するとそこには「穴だらけの腕」を確認した。そして鞄から透明な液体が入った注射器を腕に刺し、透明な液体を注入する。
「……ふぅ、ごめんなさい? 変な姿を見せて?」
「お、おぅ……ってか、今さっきの注射器の中の液体って何なんだ? 精神安定剤?」
「えっ? あぁ、そうよ、精神安定剤よ?」
女性の発言を聞いて、自分は静かに返答する。
「嘘だね? だって、精神安定剤って錠剤で、基本的に液体じゃないし? で、本当は何を打ったのか?」
「えっ? えーと……分かったわよ、言えばいいんでしょ? 覚醒剤よ──」
女性がそう言うのを確認した瞬間、自分は思いっきり女性の顔面を殴った。
「てめぇ!? 人間の癖に何て非人道な事を!? 今から止めろ!」
そう言う自分を心の中で「「同居人」もいたら、「それなら、殺人も非人道的だろ?」」とツッコまれそうだが……自分はそう思いながら女性に言う。
「生きていれば覚醒剤より良い事だってあるんだよ! それなのに、犯罪に手を染めやがって……!」
怒る自分を見て、「何でこの人は怒っているんだろう?」と言うような目で見る女性……さっさとこの人を仮想空間から現実世界に戻さないと……! 自分はそう思いながら、女性を睨む──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.376 )
- 日時: 2018/03/16 21:16
- 名前: 彩都 (ID: JbPm4Szp)
女性は殴られて、ゆっくりと立ち上がる、すると自分に怒鳴ってきた。
「煩い煩い煩い! いい大人が正論吐きやがって! 何だよ!? 何で麻薬や大麻、覚醒剤を吸ったり利用しちゃいけないの!? いいじゃない吸ったって! 吸わないとやってられないもん! 勉強や親のイライラをぶつけられて……終いにゃ生理のイライラも……! 他にも人間関係とか、先輩とかの恋愛とか、部活とか……何やら何迄こっちは大変だというのにさぁ!? 誰だって手を出したくなるじゃん!? 『痩せる薬』とかさぁ!? 私は太っている! 周りの女子達よりも太っているんだよ!? 身長150cm代なのに体重が60kgなんだよ!? 流石に太り過ぎだよ!? だから私は……ってか、麻薬とか大麻、覚醒剤って『やっちゃいけない』って言われるとやりたくなるじゃん!? ボタンと一緒だよ! 『押しちゃだめ』って言われているボタンを押したくなるって奴!? 分かる!? あれと一緒なんだよ!! だからそう言うクスリをやりたくなるんだよ!」
自分は女性の話を聞いて、『あれっ?』と思う、あっれぇ? 結構身長あるように見えたから、大人、と判断したが、こいつ、もしかして『学生』なのか……? 自分はそう思いながら女性に言う。
「な、なぁ、あんた……あんた、もしかして学生か?」
「えっ? あぁ、うん、そうだけど……? それがどうかした?」
「も、もしかして中学生か高校生……?」
「中学生ですけど?」
自分はその発言を聞いて、もう一度女性をぶん殴った。
「てっめぇ!? そんなに若いのに人生を棒に振るなよ!? 麻薬よりもっと気持ち良い事はあるっての!! それなのに……麻薬なんていう悪魔に差し伸ばされた手を受け取りやがって!! これから麻薬は吸うんじゃねぇ! 麻薬を吸うと、綺麗な空も見えなくなるだろうがぁ!!」
自分がそう言って怒鳴ると、女性はもう一度立ち上がって叫ぶ。
「黙れ黙れ黙れ! どうせあんたには分からないんでしょう!? 勉強の苦しさ! 親の威圧! 生理! テストの点数! 部活! 先輩との恋愛! 一つたりとも分からないでしょう!!」
「……いや、全部あんまりやった事がないから分からないや」
自分がそう言うと女性は驚愕していた。
「は、はぁ……!? どうして? どれか一つは当てはまるでしょ!?」
「いや? 一つも? だって、勉強なんかしなくても、『教科書丸暗記』してたし、親も『お前の好きなようにすればいいよぉ?』と言って、奔放にしたし、生理なんて、男の俺には関係ないし、点数とかも今さっき言った『教科書丸暗記』をしているから、95点以上は基本的に確実だし、部活なんて、部活強制参加の学校から『部活は活動しないでくれ』って言われたし、先輩の恋愛なんて、そもそも学校あんまり行っていないし、先輩後輩の恋愛なんてそもそもした事がないし? だから、『自分は君が言った事、大体全部が分からない』や」
そう言う自分を見て、女性は恐怖する、『何こいつ? 頭可笑しいんじゃないの?』と言ったような表情をした。
そんな表情を見ながら自分は顔がボコボコな女性を見、目を細める──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.377 )
- 日時: 2018/03/19 21:30
- 名前: 熱都 (ID: ???)
「……はー。いや、今はそんな事どうでもいい。その前にアンタ、アンタはこの仮想空間を出ないといけない理由がある」
「出なきゃいけない理由? それは?」
首を傾げる女性に対し、自分は静かに答える。
「現実世界で色々と行っているんだ。だから貴方も自分に力を貸してくれないか? そして……一緒に現実世界を救ってほしい」
「は、はぁ……?」
不思議がる女性に対し、自分は女性に言う。
「それじゃあ、共にミッションを攻略しようか。自分は薬に袋で、薬袋だ、お前は?」
「わ、私は美智流、御影(みかげ) 美智流(みちる)、中学二年生です」
女性こと、御影美智流が言う。ふむ、美智流か……中々に面白い名前だ、そんな事を思いながら、御影美智流に言う。
「それで? お前のこの仮想空間でのミッションは?」
「え、えーと……「水泳で1000mを泳ぐ事。泳ぎ方は問わない」って……」
「へぇ、一往復50mのプールを往復20周かぁ、案外簡単だな! よし! さっさと水着を買って、さっさと泳ごう! ……で、水泳をするプールって何処にあるんだ?」
自分がそう言うと、御影美智流はその場でずっこける。まるで昭和の漫画みたいだなぁ。自分はそう思いながら、「さっさと行こうぜぇ、御影美智流ぅ?」と呟いた──そして立ち上がった御影美智流、自分と御影美智流はタクシーを止め、タクシーに乗り込んで、プールの場所を言い、プールに向かった──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.378 )
- 日時: 2018/03/20 21:40
- 名前: 彩都 (ID: ???)
自分と御影美智流は近くのプールに向かい、一緒に水着を買って、帽子も買い、脱衣所を経て、お互い前に現れる、御影美智流の左腕は痛々しい注射跡があり、あまり見たくない、と脳がアラームを慣らしていた。
だが、それよりも、一番目を引くのが……『胸』である、こいつ……どれだけでかいんだよ? と思う程である。
最近の中学生は発育が良いなぁ、と判断しながら、静かに御影美智流に言う。
「おい、御影美智流」
「は、はい……!」
「お前、何時から胸が大きくなった?」
適当な話題を出そうとしたが、下ネタを言った気がして、少し焦る、でも、胸は下より上にあるから『上ネタ』になるのではないか? と判断するが、流石にそんな名前はない、と考えを終了させる。
「え、えと……確か小学六年生の時にはもうCカップに……」
「そ、そうか……それじゃあ、先に準備体操をしようか? どんな行動にでさえ、『準備』っていうモノは必要だからな」
「た、確かにそうですね……それでは頑張って、体を解しましょう、もしも足がつったら大変ですしね?」
「ま、まぁな……」
御影美智流の発言に頷きながら、お互いに準備体操をする。
だが、自分は少しだけ、軽く行って、近くのプールに突入する。
「えっ? もういいんですか?」
「まぁ、うん……此処に来る前に少しだけ体を解したし」
「あぁ、成程、事前に準備した、と言う事ですか」
「そう言う事」
まぁ、実際は違うけれど……自分はそう思いながら、プールの温度を確認する、別段熱くもなく、冷たくもなく、温(ぬる)い感じの温度だった。
自分がそんな事を考えていると、御影美智流が『私も入りますね……』と言って、プール内に入ってきた。
よし、これで後は泳ぐだけ、これで後は泳ぎ切るだけだ、と判断すると、ぷかぷかと御影美智流の『胸のみが浮いて』いた。
「…………」
「あっ、浮いてきちゃった……」
「…………」
…………もしかしてコイツ、『胸がでかすぎるから、プールに入らなかった』んじゃぁ……? 自分はそんな事を思いながら、『流石にそれはない、流石に邪な考えだ』と判断し、頭を振って、考えを消去させる。
「そ、それじゃあ、軽くクロール、平泳ぎ、バタフライでもしようか」
「エビフライ? 何ですかそれ?」
首を傾げる御影美智流、自分は静かに『知らないのなら、クロール、平泳ぎで良い』と返答する。
まさか中学生にもなってバタフライを知らないとは……小学六年生で自分は習ったんだがなぁ? 時間とは残酷だ、自分はそう思いながら、御影美智流から少し離れて、クロール、平泳ぎの特訓を開始する──まぁ、両方出来ているし、実戦で頑張るだけか……──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.379 )
- 日時: 2018/03/21 21:34
- 名前: 熱都 (ID: gKP4noKB)
そして自分は御影美智流の泳ぎ方を見て、「ある程度は出来るな」と判断し、御影美智流を呼ぶ。
「おい、もう泳ぐぞ、本番だ」
「えっ……? もう本番ですか? まだ早いと思いますが……」
「それでもいいんだよ。お前の体では、もう行ける、と自分が判断した。だから安心しろよ。自分は君を応援しているからさ?」
「は、はぁ……分かりました」
自分の発言に納得する御影美智流。そして自分と御影美智流はプールを出、隣の水泳用プールに移る。そしてお互いそのプールの中に入り、一番奥を確認する。
「ふむ……全長50mかぁ……まぁ、20往復すれば、大丈夫」
「20往復だと2000m泳いでいる気が……?」
「あっ、間違えた。20回ターンすれば、だった」
「あまり変わりません……」
「ま、まぁ、そんな事はどうでもいいんだよ! さっさと泳ごうぜ! 隣で自分も応援しているからさぁ?」
「は、はぁ……分かりました……」
御影美智流はそう言って、その場で息を吸い、水面に顔をつけて、思いっきり、足で背後の壁を蹴り、泳ぎを始めた。泳いでいる型はクロールだ。
さぁ、さっさと泳いで、この仮想空間を出なければならない、卒塔婆下城と笹羽鵜縣の二人はどうなっているだろうか? ちゃんと人を救っているのだろうか……? それだけは今の自分にとって、気がかりだった──そして自分が考えている間、御影美智流は頑張って泳いでいく──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.380 )
- 日時: 2018/03/22 21:47
- 名前: 彩都 (ID: fQORg6cj)
「はぁはぁはぁはぁ……」
何度も何度も息継ぎをしながら、クロールで進んでいく御影美智流。
そんな御影美智流を見ながら、バタ足で前に進む自分、すると御影美智流が自分に言う。
「あ、あと何回往復すればいいですか……?」
「往復……? えーと、軽く10回以上は往復しているから、残りは10回以内だよな……えーと、残り8回位?」
「……正確には6回です」
「じゃあ、聞くなよ……?」
「…………」
無言のまま水泳を続ける御影美智流、そして時間が経ち、残り一回になった。
次に水中でターンを行って、残りの泳ぐ量は50mを切り、45mになった。
「ふぅ……後少しかぁ……」
自分がそんな事を思っていると、急に御影美智流がその場でクロールを解除し、その場で暴れる。
「ど、どうしたんだ御影美智流!?」
驚く自分に対し、御影美智流が言う。
「く、クスリが……クスリが切れたんです! こ、怖い! 怖いよ! だ、誰か助け……!!」
そう言う御影美智流に対し、自分は急いで御影美智流を抱き締め、強く強く抱き締めた。
「自分は此処にいる、君の隣にいる、だから、後少し、後少しでミッションが完了するんだ、耐えよう……?」
「無理ですよ! わ、私にはクスリがないと……!!」
「お前は自分の発言さえ信じられないのか……!? 自分は君をずっと信じてきたんだぞ!?」
「!」
その発言を受け、御影美智流はその場で力を失い、水面に体を浮かせて、両手を前に出し、クロールを再開した。
「…………」
「はぁはぁ……はぁはぁ……」
頑張って泳ぐ御影美智流に対し、自分は静かに隣にいる事しか出来なかった。
そして残り10mを切り、御影美智流が聞いてきた。
「あ、後どれだけですか?」
「残り10mを切った……!」
「そ、そうですか……」
御影美智流は自分の発言を聞くや否や、急にスピードを上げた、そして壁にタッチして、合計1000mを泳ぎ切った。
「おめでとう」
「えぇ……薬袋さんがいなかったら、私はもっとクスリ漬けになっていたかもしれません……これで……少しでも私はクスリを絶つ事が出来たかなぁ……?」
「さぁな? クスリってのは案外潜伏したりするからな? 突然クスリを吸いたくなる時もあるだろうさ、でもそう言う時こそ、強い意志を持って、耐えなければならない、さぁ、後は服を着替えて、現実世界に戻るだけだ、最後の一仕事だな?」
「そ、そうですよね……分かりました、少しでも辛い事があっても、前向きに考えれば解決するかもしれませんしね? 今日は有難うございました」
「いや? 別に自分は君を応援しただけだ、そこ迄良い事をした覚えはないけど」
自分はそう言って、御影美智流の手を握って、プールを出た、そして共に脱衣所に向かって、体を洗い、服を着た──
そして自分と御影美智流は髪がぼさぼさのまま、脱衣所前に現れて、共に笑う。
自分は『ミッションが完了したから、帰らせてくれぇ!』と虚空に叫ぶと、自分と御影美智流の体は光っていた。
これで帰れる……自分はそう思いながら、『現実世界でまた会おうぜ?』と発言する、御影美智流も『はい!』と言って、お互い現実世界へと飛ばされる──
第五十八章 他の仮想空間の人達 PEOPLE IN OTHER VIRTUAL SPACE 完
第五十九章 最後の仮想空間 THE LAST VIRTUAL SPACE
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.381 )
- 日時: 2018/03/23 21:28
- 名前: 熱都 (ID: yl9aoDza)
「…………」
自分は静かに目を開ける。すると何だが、煩く感じる。一体何なんだろう? と思い、顔を横に向ける。するとそこには、「大量の起きあがった存在」が立っていた。そして後ろから、笹羽鵜縣の声がする。
「薬袋さん!」
「……ん? あぁ、笹羽鵜縣、か……どう言う事だ、こんなに人が居て……?」
「そ、それが、俺にも分からないんです……もう一人の、えーと……」
「卒塔婆下城、か……?」
「そうです! 卒塔婆さんも分からないようで……」
笹羽鵜縣の発言を受け、自分は不思議がる。一体どういう事だ……? 自分がそう思っていると、「うにゃー」と言って、自分の方に何かが倒れ込む。自分はそのまま倒れて「いたた……」と発言する。すると、「あっ」と笹羽鵜縣が言う。
「アンタは……玩枯堂院……!?」
「んー? あぁ、君はあの時の中学生だにゃあ?」
「い、いや、それは分かるけれど……お前、何処に……?」
笹羽鵜縣がそう言うと、玩枯堂院愁子は静かに言う。
「んー? 君達と一緒だにゃあ。「仮想空間」だにゃあ」
「は、はぁ……!? で、でも、お前、「行きたくない」って……?」
自分がそう言うと、玩枯堂院愁子は頭を掻きながら発言する。
「……君の発言を受けて、少しだけ、少しだけ変わったにゃ、考えも、少しは、ね?」
そう言って、顔を赤らめる玩枯堂院愁子、そ、そうか……それは嬉しいが……「笹羽鵜縣、卒塔婆下城、玩枯堂院愁子、御影美智流」以外の人物を「こんなにも仮想空間から救った」のか……? 自分はそう思いながら、頬を掻く──あ、あの、少し重いから退いて欲しいなぁ……? 自分はそんな事を思いながら、玩枯堂院愁子を見る──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.382 )
- 日時: 2018/03/26 21:49
- 名前: 彩都 (ID: eso4ou16)
「が、玩枯堂院愁子よ、も、もしかして、だが、此処の『仮想空間の人物を全て救った』のか?」
「……まぁ、そうだにゃあ、みーんな、『玩枯堂院の無料チケット』を渡したら、全員が全員喜んでミッションを攻略したんだにゃあ」
「そ、それは凄いな……本当に玩枯堂院のスイーツって凄いんだ……」
自分がそう言うと、玩枯堂院愁子は自身の胸の谷間から、大量の札束のようなチケットを見せる。
「これを見せりゃあ、どんな少年少女、中年、年寄り風情、幼年幼女が喜ぶか、知らないでしょ?」
「ま、まぁな……そもそも自分は玩枯堂院というスイーツ屋を知らないし……」
「アハハ、確かにそれもそうだね」
玩枯堂院愁子はそう言って、谷間に挟まれている大量の札束のようなチケットを一枚千切り、自分に渡す。
「はい、時間があればチケット裏の住所に来て? とっても美味しいスイーツを味合わせるから? ほら、そこの中学生も、欲しいでしょ?」
「えっ? 俺?」
不意に振られた笹羽鵜縣は驚く、そして、『ま、まぁ、欲しいっちゃ欲しいけど……?』と呟く。
「分かった」
そう言って、玩枯堂院愁子は谷間のチケットを一枚また千切り、笹羽鵜縣に渡す。
自分は、チケットを胸ポケットに入れて、玩枯堂院愁子をどけて、立ち上がる。
「皆! 頼む! 自分の力を貸してくれ! 今、この仮想空間から人を救わなくてはならない! だから、自分に力を貸してくれ!」
自分がそう言うと、『おぅ! 良いぜ!』、『分かりました!』、『皆でやってやろうぜぇ!』、『急ぎましょう!』等と声がする。
み、皆……! 自分は内心感動しながら、『有難う!』と大声で返答する、そして自分は機械を操作し、『皆、この中に入ってくれ、そして仮想空間に移動したらその仮想空間内の人物のミッションを手伝ってくれ!』と言う、すると皆は『分かった!』と返答する。
よかった、これで一気に仮想空間の仲間が救われる……! 自分はそう思いながら、風利城兄妹を確認する。
風利城兄妹は口の端を歪ませながら笑っている、今に見ていろ? 少しでも、仮想空間内の人物を救って、お前達に一発見せてやる! 自分はそう思いながら、仮想空間に転送されていく男性女性、少年少女、老人、中年を確認する──さぁ、結構転送されて行っているな、後少し、もう半分を切っているだろう、自分はそう思いながら、居なくなったのを確認し、再度仮想空間へ移動する──これが、最後の仮想空間への移動かもしれない、もしも最後だとしても諦めないぞ! そう思いながら、自分は深呼吸する──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.383 )
- 日時: 2018/03/27 21:37
- 名前: 熱都 (ID: HPUPQ/yK)
「…………」
自分は目を開け、転送された事を判断する。そして周りを見回す。何もない、あるのはビル街と道路だけだった。そして自分は少し変な感覚を覚えた。それは「街中を歩いている性別が女性だけだ」と言う事を。一体どう言う事だ? 此処の仮想空間は男がいないのか? と判断する位だった。
「どういう事なんだ……? 「性別の偏りがある仮想空間なんて今迄に見た事がない」ぞ……?」
自分が不思議そうに思いながら、一歩前に進む、一歩前に進む度に右へ左へ顔を向ける、店内を確認してみるが、「店内にいる性別は全て女性」だった。不思議だ、此処迄男性が居ないのは可笑しい、もしも「男性が居ない仮想空間」なら、自分に話しかけてくる女性もいる、だが、話しかけてこないと言う事は「男性は存在している」と言う事、だが、その「男性が居ない」のだ、それだけが不思議だった。もしかして男性は地下にいる、と言う事なのだろうか? そう考えるにしても、流石に少な過ぎないか……? だって、流石に一人二人は表に、地上にいても可笑しくはない筈、だから……「男性は殺害されている」事か? と考える、そして自分は近くのコンビニに寄って、新聞を確認する、新聞には「男性が死去」という記事はあまりない、そして横目でトイレを確認する。ちゃんと男性用のマークがある、だから「男性はこの仮想空間に存在している」事が理解出来る、だが、何故この仮想空間には「男性が居ない」のか……? それだけが不思議だった──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.384 )
- 日時: 2018/03/28 21:41
- 名前: 彩都 (ID: YzSzOpCz)
自分はのんびり歩いて、前に進む、そして車道を走る車を見て、運転手を確認、矢張り女性しかいない……一体どう言う事だこの仮想空間は……
? 自分がそう思っていると、前に進むにつれて、『うわぁ、ドレイ候補だぁ』、『本当だぁ……』、『ってか、自分から好き好んでドレイになりに行くなんて、度胸がある男性ね……』と聞こえる、『ドレイ』? 『好き好んで』……? 何やらこの仮想空間、一筋縄じゃなさそうなのは理解出来た。
すると自分の目の前に御輿が現れる、その御輿には『この仮想空間初の男性陣が居た』、うわぁ!? いきなりぃ!? と思い、その男性陣を見ていると、男性陣が自分の事を見て、『何で女王様に奉仕していないんだお前は!?』と怒鳴る。
えぇっ……? 女王様ぁ? 何それ? 蜂? と思っていると、御輿から、『お主、何をしている?』と女性の声が聞こえた。
そして御輿の中から、ほぼ全裸、隠しているのは両乳首と股間だけの金色の服装──服装と言うより、装飾か? 分からないが──の長身の女性が現れる。
まるでクレオパトラみたいだな、と思っていると、男性陣が、並んで、女性が降りる階段になる。
「お主……見た事無い顔じゃな? ほら、早く妾の階段にならないか」
「……何言ってんだ? このおばさん?」
自分がそう言うと、長身の女性は驚愕する。
「な、な、な、おばさん、じゃと……!?」
「おいお前! 女王様に向かってなんて発言を! 皆! こいつをとっ捕まえろぉ!」
そう言って、一番前にいた男性が数人の男性を引き連れて、自分の方へ向かってくる、手には何も持っていない、それは自分も同じである、だが、胸ポケットには小型ナイフが入っているが。
……流石に相手も素手なのだ、自分だけナイフを使うのも何だか気が引けるので、素手で戦う事にした。
自分の方へ向かって、のし掛かりを行う、数人の男性、自分はうつ伏せになりながら、『うるせぇなぁ?』と呟いて、一気に立ち上がり、自身の体を振り回して、数人の男性をはねのける。
「……はぁ、全く、面倒な輩に絡まれたなぁ」
自分がそう呟くと、長身の女性は『お、お前等! あの者をひっ捕らえろ!』と叫ぶ、すると御輿を担いでいた男性は御輿を降ろし、自分の方へと向かってくる。
自分は向かってくる男性に向かって、足で薙いだりして、倒れた男性を足から掴んで、独楽のように回って、何処かへと放り投げる。
「おいおい? 弱いなぁ? こんなに弱いのは初めてだぜ……」
自分はそう呟きながら、口の端を歪ませて、叫ぶ。
「もっとかかって来いよ? 弱過ぎて欠伸と反吐が出るぜ?」
自分がそう言うと、男性陣は自分の方へと走って向かってくる──自分は少しわくわくしながら、男性陣をぶっ倒していく──長身の女性はその光景を静かに、少し驚きながら見ていた──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.385 )
- 日時: 2018/03/29 21:29
- 名前: 熱都 (ID: kEC/cLVA)
自分は自分に向かってくる男性を何度も何度も殴っては吹っ飛ばして、自分の周りから退散させる、すると長身の女性が驚く。
「な、何じゃこやつは……!? つ、強過ぎる! お、おいお前達! この中で一番力が強い男を用意せぇ!」
「は、はい!」
「…………」
もう終わったか、と思うと、目の前に筋肉質の男性が現れる。
「ふしゅー……お前が、女王に手を出そうとする男か?」
「はぁ? 何言ってんだ? 女王? 何処のどいつが?」
自分がそう言うと、長身の女性が言う。
「ほーほっほっほっ! 女王! それは妾の事じゃ! 妾以外に女王は存在せぬ!」
「お、お前が女王? マジで?」
自分がそう言うと、目の前の筋肉質の男性が頷く。
「そうだ! この方が女王!」
「えっ? 女王なの? 女王なのに「おばさんで顔がブサイクだ」なぁ。本当に女王なの?」
「…………」
「お、お前……ど、何処がおばさんでブサイクなんだぁ!? こ、こんなにも美しい女性をおばさんでブサイク呼ばわり等……下劣な輩だ! さっさと倒してやる!」
そう言って、筋肉質の男性が自分をタックルする。そして壁に自身を押しつけて「これでどうだぁ!?」と叫ぶ。自分は「痛いだけでまだまだ弱いなぁ」と呟く、するともっともっと強く強く、締め付けるように壁に押しつける。自分は「おー偉い偉い」と言って、筋肉質の男性の頭を撫でる。
うーん、もう少し強いと思ったが……自分はそう思いながら、イライラを募らせる筋肉質の男性の頭部に向かって、鉄槌打ちを放ち、筋肉質の男性は気絶する、そして自分は押しつけられていた体が自由になり、静かに長身の女性を見つめる──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.386 )
- 日時: 2018/03/30 22:14
- 名前: 彩都 (ID: so77plvG)
「おいおい? これで終わりぃ?」
自分はそう言って、段々と長身の女性の許へと向かう、すると目の前に何人かの男性が壁を作って、『女王様をお守りするぞー!』と叫ぶ。自分は簡単に男性の顔を殴って、壁ごと、ぶっ壊す。
「はぁ……自分より弱いんだから、壁になるなよ?」
そう言って、壁を作った何人かの男性に言って、何人かの男性もボコボコにして、長身の女性に近づいていく。
「お、おいおいおいおい……何じゃ……!? 何なんじゃこの状況は……!? どう言う事なんじゃ? 何が、何が起きていると言うんじゃ……?」
「何も起きてねぇよ、自分はアンタを救う為に来ただけだ」
「はぁ!? 妾を救うじゃと!? 何を世迷い事を!?」
「うるせぇ、お前がミッションをクリアしない所為で、今、現実世界にいる人達は苦しんでいるんだよ、だからさっさとミッションをクリアして、さっさと、元の世界に戻ろう?」
自分がそう言うと、長身の女性は首を横に振って返答する。
「い、厭じゃ! 妾はこの空間が好きなのじゃ! 何をやっても怒られないし、何をやっても許されるし! 男を下僕にする事も可能! そ、そうじゃ! お主も妾の下僕にならんか? こんなに細いのにこんなに強いとは、素晴らしいぞ!」
「あぁ、その手も良いかもしれないな? でも、『下僕』って言い方が気に入らない」
自分はそう言って、長身の女性の前に立って、思いっきり、右手で拳を作って、長身の女性に言う。
「自分はなぁ……『平等派』なんだよ! 『男尊女卑』も『女尊男卑』も大っ嫌いなんだよ!」
自分は右手の拳で思いっきり、長身の女性の顔面をぶん殴った。
「友達、仲間、とか言えばセーフだったがな……下僕は厭だぜ、平等じゃない」
自分はそう言って、吹っ飛んだ長身の女性を追いかけようとするが、彼女をぶん殴った事により、周りの男性が自分に攻撃を仕掛ける、だが、自分は一人一人を相手にし、ボコボコにして、地に伏せさせる。
「……おい、女よ、お前のミッションは何だ? さっさと攻略しよう」
「い、厭、です……」
そう言う長身の女性、自分は長身の女性の手を踏んで言う。
「そんな我儘聞き入れられない、さっさと言え」
「厭です!」
「言え」
自分は強く強く手を踏みしめ、『分かりました分かりました!』と叫ぶ長身の女性から足をどける。
「わ、私のミッションは『一つの店の料理を全て食べる』事です……」
「成程、で、店ってどの店?」
「えっと……それは書いていなかったので、何でもいいと思います……」
「そうか、それじゃあ、さっさと向かおうぜ? なぁに、メニューが少ない場所に行けばいいだろ?」
「た、確かにそうですが……」
「だろ? そうと決まれば行こうぜ?」
自分はそう言って右手を長身の女性に差し伸ばす、長身の女性は静かに右手を受け取り、その場で立ち上がる──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.387 )
- 日時: 2018/04/02 21:21
- 名前: 熱都 (ID: Btri0/Fl)
「…………」
さぁ、一体何を食べようか? そう考えながら、のんびりと移動する。すると、長身の女性が自分の名を聞いてきた。
「あ、あの……貴方の名前は? 私は硲騨(はざまだ) 多恵子(たえこ)と申します」
「は、硲騨ぁ!? そ、その身なりで!? お前外国人じゃないのかよ!?」
「え、えぇ……一応はね。私、褐色肌で生まれたから、クレオパトラとか、エジプト人とか言われていたんです……そして元々プライドも高かったので、女王って言われるのが気持ちよくて……」
「ふぅん」
自分は適当にあしらって、適当に品数が少ない料理屋を探す。すると目の前に回転寿司が見えた。どうせ寿司だ、あんまり量もないし、大丈夫だろう、と判断し、自分は長身の女性、基、硲騨多恵子に話しかける。
「おい? お前、回転寿司とかどうだ?」
「えぇっ? 回転寿司って……軽く100種類を越えるんですよ?」
「うん、だからお前は少し食えばいいんだよ、どうせ自分も手伝うしさ?」
「そ、そうですかぁ? そ、それじゃあ、頑張って食べましょうか……」
「あぁ、その意気だぜ、硲騨多恵子、共に頑張ろう」
自分はそう言って、硲騨多恵子を鼓舞する。一人では無理、では、二人、二人でも無理なら、三人、四人、五人と人数を増やせばいいのだ、そんな事を思いながら、二人で回転寿司の店に入り、イスに座って、どれを注文するか、考える──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.388 )
- 日時: 2018/04/03 21:50
- 名前: 彩都 (ID: kct9F1dw)
硲騨多恵子と共に回転寿司屋に向かった自分、自分は椅子に座る、袴田多恵子も椅子に座り、メニュー表を確認する。
「ふむ……色々な種類があるな、ってか、やっぱり回転寿司だし、百円が多いな……」
「本当ですね……もしも百種類以上あったら、大変ですね、一皿二貫ですし、二百貫とか……」
硲騨多恵子がそう言うと、自分は首を傾げる。
「はぁ? 何言ってんだ? 普通、一人一貫だろ? だって、『一皿全てを食べろ』って話じゃないからな? 一貫でもセーフだろ?」
「な、成程……! それじゃあ、頑張って食べれますね!」
「そうだね」
自分は静かに頷いて、硲騨多恵子と共に寿司を注文する──最初に十貫程注文し、お互い分けて食べる、これだけで二十種類は簡単だ、ってか、此処の寿司屋、酢飯が小さくて助かるぜ……酢飯が多かったら、満腹中枢が刺激されてしまうからな、噛む量も増えるし、自分はそう思いながら、いともあっさり二十貫を食べきる。
自分が食べた寿司は『卵』、『イカ』、『ハマチ』、『ブリ』、『タコ』、『メバル』、『剣先イカ』、『サーモン』、『炙りサーモン』、『トロ』、『中トロ』、『炙り中トロ』、『マグロ』、『サバ』、『アナゴ』、『ウナギ』、『イクラ』、『エビ』、『甘エビ』、『炙りトロ』の二十種類だ。
案外食べたが、まだまだ種類が残っている、自分は食べ終わった硲騨多恵子を確認し、再度お互い十種類ずつ注文する。
自分が注文したのは、『ハンバーグ』、『プリン』、『パフェ』、『〆サバ』、『コハダ』、『ビントロ』、『トロサーモン』、『カンパチ』、『エンガワ』、『イワシ』の十種類。
それに対し、硲騨多恵子が注文したのは、『カツオ』、『アジ』、『シャコ』、『ウニ』、『サワラ』、『つぶ貝』、『アワビ』、『アカガイ』、『コチ』、『大トロ』の十種類。
それらもあっさり食べきり、自分は腹部を擦る、うーむ、甘味や酸味を取り入れて、胃を刺激したが、逆効果だ、逆に腹が膨らんできた、自分はそう思いながら、『失敗か』と思いながら、食べ終わった硲騨多恵子を見、次の寿司を注文する。
次に自分が注文したのは、『ゲソ』、『カサゴ』、『ミル貝』、『サンマ』、『タチウオ』、『ホタテ』、『アユ』、『カレイ』、『数の子』、『カジキ』の十種類、硲騨多恵子が注文したのは、『シマアジ』、『ズワイガニ』、『シラウオ』、『ホッケ』、『イワナ』、『カキ』、『フグ』、『オコゼ』、『アンコウ』、『ヒラメ』の十種類だ。
……案外量が多く感じてきたぞ? 自分はそう思いながら、頑張って、口に運ぶ、そして何とか二十貫食べ終わる。
ふぅ、結構食べた、そう思いながら後少しで食べ終わる、と判断して、自分は食べ終わった硲騨多恵子を見て、次の注文を行う。
自分は、『クエ』、『サザエ』、『アイナメ』、『ニシン』、『エゾボラ』、『イシダイ』、『キンメダイ』、『サヨリ』、『イシナギ』、『カマス』を注文、硲騨多恵子は『ハタハタ』、『ハッカク』、『ササカレイ』、『アラ』、『カスベ』、『ソデイカ』、『オコゼ』、『チヌ』、『ホヤ』、『銀鮭』を注文。
うーん、結構満腹になってきた、だけど、後少し食べればいいのだ、自分はそう思いながら、冷や汗を拭う。
そして食べ終わった、硲騨多恵子を確認し、次の寿司を注文する。
自分は、『スルメイカ』、『キス』、『スズキ』、『キビナゴ』、『ゴンズイ』、『イサキ』、『キジハタ』、『タカベ』、『ネギトロ軍艦』、『イラ』を注文、硲騨多恵子は『ギンザメ』、『八目鰻』、『生シラス』、『桜エビ』、『鉄火巻き』、『干瓢巻き』、『かっぱ巻き』、『豚カルビ』、『納豆巻き』、『ツナマヨ』、『いなり寿司』を注文する。
うぅっ……流石に百貫を食べるのはキツいぞ……! で、でも、彼女だって頑張っているのだ、自分が頑張らなくてどうする? 自分は自身を鼓舞し、頑張って、二十貫を食べ、何とか、百貫全部食べる。
自分が食べきると同時に、硲騨多恵子も食べきり、お腹を擦っていた。
「が、頑張ったな……」
「貴方も……で、でも、まだ残っていますよ?」
そう言う硲騨多恵子に対し、自分は不思議がる。
「は、はぁ? も、もう食べないだろ……?」
自分がそう言うと、硲騨多恵子が言う。
「い、いえ、最近の寿司業界には、貴方が注文した、パフェ以外にも、『アイス』や、デザート系があるんです、それを食べ終わらないと……『このお店の料理を全て食べた』事にはなりません……」
自分は硲騨多恵子の発言を受けて、白目を剥いて、『マジで……?』と思う。
そして硲騨多恵子は『あっ、すいませぇん、抹茶アイス、バニラアイス、チョコアイス、イチゴアイスをくださぁい!』と言う。
じ、自分はも、もう食べられません……自分はそう思いながら背凭れに凭れる──最近の寿司屋って、凄いなぁ……色々な食べ物があるんだから……自分はそんな事を考えながら、その場で溜息を吐いた──あぁ、もう、アイスも、デザートも食べればいいんだろ! 分かったよ、食べてやるよ! 自分は溜息を吐いて、ちゃんと座り、歯を剥き出し、半分こにされたアイスを食べる──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.389 )
- 日時: 2018/04/04 21:47
- 名前: 熱都 (ID: AQILp0xC)
「あ、アイスを食べるのはキツいな……」
自分はそう呟きながら、口の中に広がる抹茶アイス、バニラアイスの味のきつさに嘔吐したくなる。だが、此処で嘔吐すると、硲騨多恵子も吐いてしまう可能性がある、だから耐えなければ、と思う。
「は、硲騨多恵子……次は、何なんだ?」
「次? 次はショートケーキです」
「は、はぁ……? マジかよ……?」
自分はそう言って、絶望する、何つーきつさだ、これ……? 自分は仕方なく、硲騨多恵子が注文した を食べる。
「あ、後どれだけだ……?」
自分が硲騨多恵子に言うと、硲騨多恵子は静かに返答する。
「え、えーと……後少し、10種もないですよ……後少しです、後少しで終了なんですから、お互い頑張りましょう……?」
「う、うへぇ……」
自分は硲騨多恵子の発言を受け、内心絶望ながら硲騨多恵子が注文するメニュー、茶碗蒸し、きつねうどん、天ぷら、チーズケーキ、杏仁豆腐を食べる──そして何とか全メニューを食べ終わり、自分は大きく息を吸って、虚空に向かって叫ぶ。この声よ、届け……そう思いながら、叫ぶ。
「おい! もう食べ終わったんだから、帰らせてくれぇ!」
自分の大声を聞いて、自分と硲騨多恵子は体が光り、「やっと帰れるんですね……」と発言する。や、やっと帰る事が出来るのか……自分はそう思いながら、安堵する──
- Re: 殺人鬼『ラストフール』の憂鬱 現実世界と夢幻の仮想空間編 ( No.390 )
- 日時: 2018/04/05 22:41
- 名前: 彩都 (ID: e.VqsKX6)
「……此処は」
自分はそう言って、顔を上げる、すると何時もの部屋だった。
そして周りを確認し、人々を確認する。九割の人間が現実世界に居り、残りの一割は救出中、もしくは救出しにいった、のどちらかだろう。
そんな事を思っていると、笹羽鵜縣、卒塔婆下城、玩枯堂院愁子が自分の隣に現れる。
「やぁ、元気か? お前、救出出来たか?」
「何気に出来たね」
「そうか……」
「よかったね」
「あぁ……後はあの兄妹を殴るだけだ」
自分はそう言って、パソコンを触る風利城ユアを見つけ、『おい』と発言する。
「んー? 何です薬袋君? どうかされたんですか?」
「あぁ、そうだなぁ? お前等風利城兄妹を殴るっていう行為をしなきゃならない」
「アハハ、面白いですね」
「自分は面白くないけどね?」
「でしょうね?」
「…………」
自分は片手で風利城ユアの胸倉を掴んで、もう片方の手で顔面をぶん殴った。
「てめぇ……人の意識で遊ぶんじゃねぇ! これで懲りたらもうこれ以上、犠牲者を……増やすんじゃねぇぞ?」
自分は歯を剥いて、イライラを表す、そして風利城ユーアも見つけ、胸倉を掴んだ。
「ひっ! わ、私に何をする気ですか!? エロ同人!? エロ同人みたいな事をするんでしょ!?」
「する訳ないだろ? ってか、お前も、兄妹なら、兄貴の行動を、少しは止めろよ!? 兄妹だろ!? 止めろ!」
風利城ユアと同じように風利城ユーアの顔面を殴って、自分は色々な人間の前に立って、玩枯堂院愁子に言う。
「玩枯堂院愁子、後何人、仮想空間に居る?」
「んー? もういないにゃあ」
「そうか……」
自分はその場で息を吸って、大声で叫ぶ。
「てめぇらぁ! 仮想空間は素晴らしい! 自分の思い通りに出来るからな! でも、現実世界は思い通りに出来ない! だから仮想空間に身を置きたくなるのも分かる! でも! お前達を心配する人だって居るんだ! だから! 凄く辛くても、前に進まなければならない! 皆が居て、世界は回っているんだ! 一人居なくても、それはそれで逆に困るんだ! 一人欠けたら、世界の歯車は回りにくくなる! だから、快楽の方面に落ちず、現実に向き合ってくれ! 絶対に、絶対に報われるから! 前に一歩でも進んで見ろ! 世界の景色は一歩前より、すっごく変わるから! だから、前に進め! そうすれば、仮想空間に居るより、良い事が起きるから!」
自分は叫んだ後、『じゃあ、言いたい事はそれだけだから』と言って、皆の前から立ち去る──少しでも、少しでも、自分の発言が、心に残ってくれれば、いいな……そう思いながら、自分は静かに虚空を見上げ、『『同居人』の手料理が食べたいなぁ』と思った──
第五十九章 最後の仮想空間 THE LAST VIRTUAL SPACE 完
最終章(第六十章)