二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第53話 Ronove ( No.109 )
- 日時: 2017/01/01 22:24
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: p3cEqORI)
- 参照: 謎のトレーナー、ロー。その正体は、ゴエティア七魔卿が一人ロノウェ!
「GO shout!!! ガマゲロゲ!」
ロノウェの雄叫びと共に繰り出されたポケモンは、身体にコブを持つ大きな蛙のようなポケモンだ。
『information
ガマゲロゲ 振動ポケモン
コブを振動させて空気を揺らし
音波を出せる。拳のコブを振動
させればパンチの威力も増大する。』
水と地面タイプのポケモン、ガマゲロゲだ。
「ニューラ、もう少し頑張ってもらうよ。冷凍パンチ!」
素早く不規則な動きでガマゲロゲとの距離を詰め、ニューラは冷気を纏った拳を突き出す。
しかし、
「甘い甘いぜ甘すぎるゥ! ガマゲロゲ、冷凍パンチ!」
ニューラの拳を受けても怯まず、ガマゲロゲもすぐさま冷気を込めた拳を繰り出し、ニューラを殴り飛ばした。
カウンターで凌いだとはいえバクオングの瓦割りを受けていたニューラはさすがに耐え切れず、戦闘不能となってしまう。
「ニューラ、戻りな。上出来だ」
ニューラを戻し、スグリは次のボールを手に取る。
「まずは一匹ィ! こいつ一匹で残りの貴様のポケモンを全て刈り取ってやるぜ!」
調子付くロノウェに対してもスグリは顔色一つ変えず、次のポケモンを繰り出す。
「出て来い、フローゼル!」
スグリの二番手は同じ水タイプのフローゼル。
「おやおやぁ!? ジュプトルで来ると思っていたんだがなぁ!」
「冷凍パンチを見れば、さすがにジュプトルは出せないね。さて、ちょっと質問をしようか」
バトルを再開させる前に、スグリはロノウェへ疑問をぶつける。
「ゴエティア魔神卿が、なぜこの大会に参加した? この大会は中継されている。テレビに魔神卿の姿が写れば、活動はしにくくなるはずだ」
「逆だぜ逆! テレビ中継を通して、ゴエティアの実力を知らしめる! そうすりゃゴエティアがどんだけヤバい組織か分かるよなぁ!」
「だったらもう一つ上のレギュレーションに出た方がいいはずだ。ここはバッジ数四つから六つ。そんなに強さは伝わらないだろ」
「そこを突くのはナンセンスってモンだぜ!? 急な作戦だったから、ジム周りが間に合わなかったんだよ! 言わせんな!」
会場からは笑い声一つ漏れない。とても笑える空気ではないからだ。
「それにな! 例えこのレギュレーションだろうとも、実力派の選手は目白押し! さらにこの会場を容易く支配する組織力! これだけで十分俺たちのヤバさは分かるだろうがよォ!?」
苛立ちを隠しもせずにロノウェは叫び続ける。
「さあさあ! もういいな!? 待ち切れねえよ、バトルを再開しようぜ! ガマゲロゲ、ハイパーボイス!」
ガマゲロゲが頭のコブを振動させ、大音量の音波を放つ。
「フローゼル、躱してアクアジェット!」
音波を躱すと、フローゼルは体に水を纏い、目にも留まらぬ速度で突撃する。
ガマゲロゲの腹部へと激突、しかし、
「甘いっつってんだろうがよォ!? ガマゲロゲ、瓦割り!」
ガマゲロゲは地に足を付けて踏み止まり、すぐさま手刀を振り下ろして反撃する。
「遅い! フローゼル、リキッドブレード!」
フローゼルが右掌を広げると、水が噴き出し、水の刀を作り上げる。
その刀を握り、手刀を躱し、フローゼルは横腹を狙って刀を振り抜き、ガマゲロゲを切り裂く。
「ガマゲロゲ、冷凍パンチだぁ! 叩き込め!」
ガマゲロゲが両手に冷気を纏わせ、そのまま連続パンチを繰り出すが、
「フローゼル、躱してもう一発だ!」
フローゼルは最低限の動きでガマゲロゲの拳を躱し続ける。
隙が出来たところに、フローゼルは手にしたままの刀をもう一度振り抜き、再びガマゲロゲを切り裂いた。
「ちぃっ、ちょこまかと鬱陶しいなァ! それなら!」
ニヤリと笑い、ロノウェはエレキギターを掻き鳴らし、叫ぶ。
「身も心も痺れさせるぜェ! ガマゲロゲ、バグノイズ!」
ガマゲロゲが額のコブを思い切り振動させ、耳をつんざくノイズを放つ。
ロノウェの掻き鳴らすエレキギターの音と混ざり、その音はフィールドどころか会場全体にまで響き渡る。
「今だぜガマゲロゲ! ハイドロポンプ!」
ノイズを受けて動きを止められたフローゼルへ、ガマゲロゲは大量の水を噴射し、フローゼルを吹き飛ばした。
「……チッ、フローゼル、まだ行けるか?」
スグリの言葉に応えてフローゼルは起き上がり、頷く。
「フローゼル、アクアジェット!」
体に水を纏い、フローゼルは再び突撃する。
今度はガマゲロゲの腕を正確に貫き、そのまま後方へと駆け抜けていく。
「ガマゲロゲ、撃ち落とせ! ハイドロポンプ!」
ガマゲロゲはすぐに振り向き、大量の水を噴射するが、高速で動き回るフローゼルを捉えられず、
「フローゼル、冷凍パンチ!」
旋回して戻って来たフローゼルが冷気を込めた拳を突き出し、ガマゲロゲの腹部を殴る。
「効かねえぜ! ガマゲロゲ、瓦割り!」
「遅い! フローゼル、噛み砕く!」
振り下ろされるガマゲロゲの手刀を躱し、フローゼルはガマゲロゲの腕へと食らい付き、すぐに離れる。
「リキッドブレード!」
さらにフローゼルは水の刀を作り上げてガマゲロゲを背後から切り裂き、すぐに飛び退いてスグリの元へと戻る。
「素早さだけは一流だな!? だがそんな戦法、いつまでも通用すると思うな!」
「だったら破ってみせなよ。フローゼル、アクアジェット!」
フローゼルが体に水を纏い、目にも留まらぬスピードで突撃を仕掛ける。
しかし。
「上等だオラァ! ガマゲロゲ、バグノイズ!」
ガマゲロゲが全身のコブを思い切り震わせ、全方位へと耳をつんざく破壊のノイズを放つ。
空気の振動によりフローゼルを覆う水を掻き消し、フローゼルの動きを完全に止め、
「ハイパァァァボイスゥゥゥゥッ!」
そのコブをさらに大きく振動させ、周りの空気ごとフローゼルを派手に吹き飛ばした。
「フローゼル!?」
フローゼルは床と平行に勢いよく吹き飛ばされ、壁に激突してそのまま戦闘不能となった。
「ちっ……フローゼル、よく頑張った」
壁にめり込むフローゼルをボールに戻し、スグリはルール上最後となるボールを手に取る。
「ヒャーハハハァ! 無駄だ無駄だぜ無駄なんだよォ! それじゃあお次がフィナーレだ!最後のポケモンを出してこいよ! オラオラオラオラァ!」
狂ったようにエレキギターを掻き鳴らし、ロノウェが轟き叫ぶ。
「へっ、こいつで二体抜きしてやるよ。出てこい、ジュプトル!」
スグリの最後のポケモンは、エースポケモンのジュプトルだ。
「来たなジュプトルゥ! ガマゲロゲ一体でそいつも倒し、その後ハルもぶっ潰す! タイトルを獲ってる実力派のトレーナーでも、魔神卿には手も足も出ねえってことを、思い知らせてやるぜぇ!」
「ここまでは想定内だよ。御託はいいから、掛かって来れば?」
ロノウェは恐怖をばら撒く狂った笑みを、スグリは小さく不敵な笑みを浮かべ、互いの敵をじっと見据える。