二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第56話 弱点 ( No.112 )
日時: 2017/01/08 20:41
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: /yMGlo86)
参照: スグリの言う、ハルの弱点とは——

「出て来い、フローゼル!」
スグリの二番手はブイゼルの進化系、フローゼル。ディントス教の司教を余裕を持って倒した、実力派のポケモンだ。
「水タイプか……ワルビル、相性は不利だけど、もう少し頼むよ」
ここでワルビルは引かせられないので、ハルは引き続きワルビルで戦う。
「それじゃあ行こうか。フローゼル、アクアジェット!」
水を纏ったかと思うと、目にも留まらぬ猛スピードでフローゼルは突撃を仕掛ける。
反撃する隙も与えず、一瞬のうちにワルビルを突き飛ばした。
「くっ、速い……! ワルビル、穴を掘る!」
吹き飛ばされたワルビルは着地と同時に穴を掘り、地中へと姿を隠す。
姿の見えない地中から、密かにフローゼルとの距離を詰めていく。
しかし、
「フローゼル、出てきた瞬間に躱して冷凍パンチだ」
その直後ワルビルがフローゼルの足元から飛び出すも、フローゼルは素早く飛び退いてワルビルの強襲を躱す。
そしてすぐさま冷気を込めた拳を叩きつけ、ワルビルを殴り飛ばした。
「ワルビル!?」
吹き飛ばされて地面に倒れ、ワルビルは戦闘不能となってしまう。
「ワルビル、お疲れ様。休んでてね」
ワルビルをボールに戻したところで、
「ハル君の試合を見てて考えた。ハル君の手持ちポケモンは、水タイプに弱いよね」
唐突に、スグリが口を開く。
「えっ……?」
「ワルビルとヒノヤコマは水技を効果抜群で受ける。ルカリオとエーフィは相性の有利不利はないけど、有効打は持っていない。だからオレはここでフローゼルを出したんだ。オンバットで程よく削ってエンジンを掛けて、フローゼルで一気に抜き去るためにね」
「それが、僕の弱点ってこと……?」
「そそ。だから言ったでしょ、そんなに難しいことじゃないって。水タイプに強いポケモンを捕まえたり有効打を覚えさせれば済むけど、このバトルという展開においては絶対に覆らない弱点だよね」
確かに、ハルの手持ちは総合的に見れば水タイプに弱い。
しかし、
「今そんなことが分かったところで、どうしようもない。僕は僕の考えていた通りに戦うよ」
すぐに切り替え、ハルは次のボールを取り出す。
「出てきて、エーフィ!」
ハルの二番手はエーフィ。ルカリオは取っておきたいし、ヒノヤコマは流石に出せない。
「そう来ると思ってたよ。オレのフローゼルのスピードに、どこまでついてこられるかな! フローゼル、噛み砕く!」
フローゼルが二股の尻尾をスクリューのように回転させ、勢いよく飛び出す。
牙を剥き、エーフィへと襲い掛かる。
「エーフィ、躱してシャドーボール!」
エーフィも素早さには自信がある。
フローゼルの牙を軽やかに躱し、即座に黒い影の弾を放ち反撃する。
「フローゼル、躱してアクアジェット!」
しかしフローゼルも影の弾を跳躍して躱すと、水を纏い猛スピードで突っ込む。
弾丸のように飛び出すフローゼルの突撃は、回避する隙すら与えず、エーフィを突き崩し、
「冷凍パンチ!」
さらに冷気を纏った拳を突き出し、エーフィを殴り飛ばす。
「っ、エーフィ! 大丈夫!?」
床に倒れたエーフィは、それでもハルの言葉に頷き、起き上がる。
(くっ、あのアクアジェット、速すぎないか……?)
やはりこのフローゼル、スグリの手持ちの中でもトップクラスの素早さを持つ。
特に厄介なのがアクアジェットだ。元々の素早さに先制攻撃の特性も加わり、初速から圧倒的なスピードを叩き出してくる。
「だったら、エーフィ、スピードスター!」
ハルが導き出した答えはやはり必中技。エーフィは二股の尻尾を振り抜き、無数の星形弾を飛ばす。
「エーフィも必中技持ちか。ま、関係ないけど……フローゼル、リキッドブレード!」
フローゼルが拳を開くと、その掌から水が噴き出し、水の剣を作り上げる。
剣を手に取り、フローゼルは一太刀で星形弾を真っ二つに砕くと、剣を携えたままエーフィとの距離を詰めていく。
「エーフィ、サイコショット!」
エーフィの額の珠が輝き、念力の弾が放出される。
フローゼルの突き出す剣と激突、爆発を起こし、水の剣を打ち消した。
「噛み砕く!」
爆風の中を潜り抜け、フローゼルは牙を剥いてエーフィへと襲い掛かる。
「来た……! エーフィ、マジカルシャイン!」
対するエーフィの額の珠が白く輝き出す。
刹那、その珠から眩い純白の光が放出され、突っ込んできたフローゼルを飲み込む。
噛み砕くは悪タイプの技。タイプ相性もあり、フェアリー技であるマジカルシャインを押し切ることは出来ず、フローゼルは逆に吹き飛ばされてしまう。
「今だ! スピードスター!」
尻尾を振り抜き、エーフィは無数の星形弾を飛ばす。
「甘い甘い! フローゼル、リキッドブレード!」
立ち上がったフローゼルの手に、水の剣が作り上げられる。
剣を突き出し、星形弾を打ち砕きながらフローゼルは突き進み、剣を横薙ぎに振るってエーフィを切り裂いた。
「フローゼル、冷凍パンチ!」
「くっ……エーフィ、シャドーボール!」
拳に冷気を纏わせるフローゼルに対し、エーフィは漆黒の影の弾を放出する。
フローゼルの拳とぶつかり、腕を覆う冷気を掻き消した。
「サイコショット!」
続けざまにエーフィはサイコパワーを集め、念力の弾を放出。
しかし、
「フローゼル、噛み砕く!」
待ってましたとばかりにフローゼルは大口を開けて牙を剥く。
念力の弾を容易く食い破り、その奥にいるエーフィ目掛けて襲い掛かる。
「躱してシャドーボール!」
それに応じ、エーフィは小さくバックステップし、フローゼルの牙を躱す。
その直後に黒い影の弾が放たれ、フローゼルの脳天に直撃、その体勢を大きく崩した。
「吹き飛ばせ! マジカルシャイン!」
「押し切る! リキッドブレード!」
エーフィの額の珠が白く輝き、フローゼルの広げた掌から水が噴出する。
フローゼルの水の刃が振るわれ、エーフィを一の字に切り裂く。
直後、額の珠から純白の光が放出され、フローゼルを覆い尽くし、光に飲み込んだ。
「エーフィ……!」
「フローゼル!?」
純白の光の前に踏み止まれず、フローゼルは吹き飛ばされる。
それでもまだ低く唸り、肩で息を吐きながら何とか立ち上がる。
そして。
一方のエーフィの体がぐらりと傾き、そのまま地面へと倒れる。
「エーフィ……お疲れ様。よく頑張ったね」
エーフィの方が被弾も多かったため、仕方がない。ハルはエーフィの頭を撫で、ボールへと戻す。
「それじゃあ、これで最後だ。出てきて、ルカリオ!」
ハルの最後のポケモンは、やはりエースのルカリオ。
「最後は思った通り、ルカリオか。フローゼル、気を付けろ。今までの相手とは違うぞ」
フローゼルもダメージは相当なものだか、スグリの言葉に応えて頷き、相手となるルカリオを見据える。
「行くよ! ルカリオ、ボーンラッシュ!」
「来い! フローゼル、リキッドブレード!」
ルカリオが掌から波導を生み出し、フローゼルが掌から水を噴き出す。
骨の形のロッドを手にしたルカリオと、水の剣を手にしたフローゼルが、正面から真っ向勝負を仕掛ける。