二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第57話 エース ( No.113 )
- 日時: 2017/01/10 13:34
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
ルカリオが波導の骨のロッドを突き出し、フローゼルが水の剣を大振りに振るう。
お互いの得物の威力はほぼ互角。
しかしその直後、ダメージが溜まっていたからか、フローゼルがふらつく。
「発勁!」
その隙を逃さず、ルカリオは波導を纏った右手を思い切りフローゼルへと叩きつける。
脳天に波導の拳を叩き込まれたフローゼルはその場に倒れ伏し、戦闘不能となった。
「フローゼル、よくやった。休んでてくれ」
フローゼルをボールに戻し、スグリもこれで最後となる三番目のボールを取り出す。
「最後はこいつだ。出て来い、ジュプトル!」
スグリの最後のポケモンは、エースのジュプトル。
「やっぱりジュプトルか……だけど相手にとって不足なし。ルカリオ、勝つぞ!」
「ジュプトル、メガシンカポケモンを倒せば、オレたちの士気も上がる。本気で行こう」
お互いのトレーナーの言葉に応え、お互いのポケモンはフィールドに立つ。
「ルカリオ、発勁!」
先手を取り、ルカリオが動き出す。
再び右手に波導を纏わせ、ジュプトルとの距離を一気に詰めていく。
「ジュプトル、燕返し!」
対するジュプトルも動き出した。向かってくるルカリオを迎え撃つように、勢いよく飛び出していく。
ルカリオの振り下ろす右手を躱すと、流れるように白く輝く腕を振り抜き、ルカリオを逆に吹き飛ばす。
「リーフブレード!」
さらにジュプトルは腕の葉を刃のように伸ばし、そのまま斬りかかってくる。
「っ、ルカリオ、波導弾!」
ルカリオは素早く立て直すと、右手を構えて掌から青い波導の念弾を放出する。
ジュプトルは腕の刃を振るって念弾を両断し、さらにもう一太刀でルカリオを狙うも、ルカリオはその間に距離を取り、反撃の体勢を構える。
「ルカリオ、サイコパンチ!」
「遅い遅い! ジュプトル、電光石火!」
ルカリオが拳に念力を纏わせる。
しかし動き出そうとしたその時には、既にジュプトルは目にも留まらぬ速度で距離を詰めており、ルカリオを突き飛ばす。
「流石はエースポケモン……ルカリオ! 僕たちも本気で行くよ!」
ハルの言葉を受け、ルカリオは無言のまま頷く。
「来るか……!」
スグリの表情が、ほんの僅かに強張る。
右手を掲げ、ハルは思い切り叫ぶ。
「行くよルカリオ! メガシンカだ!」
ハルの右手の腕輪に填め込まれたキーストーンが光を放ち、ルカリオのメガストーンと光を繋げる。
七色の光に包まれ、ルカリオの姿が変化していく。
波導の力とメガエネルギーが体内を駆け巡り、メガシンカを遂げたルカリオが天高く咆哮する。
「遂に来たか、メガルカリオ……! ジュプトル、メガシンカの強さはサオヒメジム戦で理解してるね。気をつけて戦うぞ」
スグリもアリスとのジム戦に勝利しているため、メガシンカポケモンと戦うのは初めてではないが、それでもメガシンカは他のものとは一線を画す能力。
「……よし! ルカリオ、発勁!」
地面に右手を叩きつけ、爆発的な波導を生み出し、ルカリオは地を蹴って飛び出す。
「ジュプトル、躱してリーフブレード!」
振り下ろされるルカリオの右手を躱し、すぐさまジュプトルは腕の葉を伸ばして斬りかかる。
「ボーンラッシュ!」
ルカリオの右手を覆っていた波導が形を変え、長い骨の形をしたロッドとなる。
手にした骨のロッドを振り抜き、ルカリオはジュプトルの振るう葉の刃を防いだ。
「波導弾!」
「もう一度リーフブレード!」
ルカリオの構えた掌から波導が噴き出し、青い波導の念弾が放出される。
ジュプトルは再び腕の葉を振るうが、しかしメガシンカしたことで波導弾の威力が上がっている。
先程のように叩き斬ることはできず、波導弾を防ぐのが精一杯だった。
「サイコパンチ!」
「躱して燕返し!」
念力を拳に纏わせるルカリオに対し、ジュプトルは腕を刀身のように輝かせて立ち向かっていく。
真っ直ぐに突き出されるルカリオの拳を躱し、剣を振るうように腕を叩きつける。
「発勁!」
だが腕の一撃を加えた直後、ジュプトルは爆発的な波導を帯びたルカリオの右手を叩きつけられ、大きく吹き飛ばされた。
「燕返し程度じゃ、怯まないってか……! だったら!」
まだ秘策があるのか、スグリの口元が僅かに釣り上がる。
着地したジュプトルが、カッと目を見開く。
「ジュプトル、草の誓いだ!」
ジュプトルが床に手を触れ、力を込める。
直後、ルカリオの足元から、風と共に無数の葉の竜巻が吹き上がった。
「なっ……!?」
予期すらしない下からの一撃に、なす術もなくルカリオは宙に放り投げられる。
「リーフブレード!」
地面を蹴り、ジュプトルが大きく跳躍する。
宙を舞うルカリオへと一気に近づき、腕の葉を伸ばして振り抜き、ルカリオを切り裂いた。
「ルカリオ! 大丈夫!?」
ルカリオが床へと撃墜される。効果今一つとはいえ、的確に急所を切り裂いた一撃だった。
「畳み掛けろ! ジュプトル、燕返し!」
さらにジュプトルは絶対に避けられない必中攻撃を仕掛けてくる。
「っ、ルカリオ、ボーンラッシュ!」
立ち上がったルカリオの右手から波導が噴き出し、骨の形のロッドを作り上げる。
ジュプトルの流れるような四肢の攻撃を、骨のロッドを振り回し、何とか防ぎ切った。
「波導弾!」
一旦距離を取ったジュプトルに対し、ルカリオは両手から骨のロッドの形を変え、青い波導の念弾を放出する。
「ジュプトル、リーフブレード!」
波導弾もまた必中技。ジュプトルは腕の葉を伸ばし、波導弾を防ぐ。
「ルカリオ、発勁!」
「ジュプトル、草の誓い!」
右手に波導を纏わせたルカリオが飛び出すのと同時、ジュプトルは床に手を着き、ルカリオの前進を遮る形で床から無数の葉を乗せた竜巻を柱のように放つ。
竜巻を躱しつつ、ルカリオは少しずつジュプトルとの距離を詰めていく。
「避けてくるなら……ジュプトル、躱してリーフブレード!」
振り下ろされるルカリオの右手を躱し、すぐさまジュプトルは腕の葉を刃のように伸ばし、ルカリオを斬りつける。
「サイコパンチ!」
だがそれに合わせ、ルカリオは念力を纏った左拳を裏拳のように放つ。
葉の刃と念力の拳が激突し、火花を起こして競り合うも、
「波導弾だ!」
一瞬の隙を突いたルカリオが青い波導の念弾を撃ち出し、攻撃直後のジュプトルを吹き飛ばした。
「一気に決めるよ! ルカリオ、発勁!」
「やばっ……ジュプトル、草の誓い!」
ルカリオが右手に爆発的な波導を纏い、ジュプトルへと突っ込んでいく。
対して、ジュプトルの体が緑色の光に包まれる。
体力が少なくなると草タイプの技の威力が上がる特性、深緑だ。
次の瞬間、ルカリオの足元から先程よりも規模を増した葉の竜巻が吹き上がり、ルカリオを宙に吹き飛ばす。
「ルカリオ、そのまま空から発勁だ!」
「迎え撃てジュプトル! リーフブレード!」
打ち上げられたルカリオだが、逆に落下の勢いを利用し、波導を纏った右手を構える。
対するジュプトルは両腕の葉を刃のように鋭く伸ばし、ルカリオを迎え撃つ。
刹那。
両者が、激突した。