二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第59話 遺跡 ( No.117 )
- 日時: 2017/01/12 11:44
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
明くる日の朝。
ポケモンセンターの宿舎で目覚めたハルは、朝食を食べた後、ロビーで次の行き先を確認していた。
「ジムがある次の街は……カタカゲシティか」
少しだけ遠いが、道自体は平坦な道路だ。
ハルはアルス・ターミナルの地図を開き、次の目的地をカタカゲシティに設定する。
準備を整え、ポケモンセンターを出ようとしたところで、
「ハル君おはよぉ。昨日はお疲れ様ぁ」
同じくポケモンセンターを出ようとした、ミオに出会った。
「おはよう、ミオ。ミオはこれからどこに?」
「とりあえず通ったことのない道を通って、着いた街にねぇ。行き先は特に考えてないよぅ」
ミオの旅は、ハルとは違う気ままな旅のようだ。
「そっか。僕はこの後カタカゲシティに行くんだ——」
と、ハルがそこまで言ったところで。
唐突に、ハルのターミナルから着信音が鳴り響く。
「ん、ちょっと待ってね。誰からだろう……」
画面を確認する。発信元は、サオヒメシティジムリーダー、アリスだ。
「アリスさん……? はい、もしもし。ハルですけど」
『あ、ハル君? 朝早くごめんね、今どこにいる? まだハダレタウンにいる?』
「ええ、今はポケモンセンターにいますけど」
『ちょうどよかった。そこで待ってて、頼み事があるの。もうすぐそっちに着くわ』
通話越しのアリスの声は、どことなく慌てているように聞こえる。
「はい……アリスさん、何かあったんですか?」
アリスの様子が気になり、ハルは聞いてみる。
対して。
『ディントスが口を割ったの。ハダレタウンに、ゴエティアのアジトがあるってね』
「なんですって!?」
思わず、ハルは大声で叫んでいた。
ポケモンセンターにいた人たちが、ハルの方を振り向く。
「あ……失礼しました……それで、一体どこに?」
『それはそっちに着いてから教えるわ。とにかく、ちょっと待ってて』
「あ、はい、分かりました」
ハルがそう返すと、向こうから通話が切られる。
「ごめん、ミオ。ちょっと急用が入っちゃって……」
「みたいだねぇ。僕も力になるよぅ」
「……え?」
思わずハルは聞き返す。
ミオはハルの耳に顔を近づけ、
「ゴエティアのアジトが分かったんでしょお。周りには気づかれてないけど、近くにいたから聞こえたよぅ。昨日の大会のこともあるしぃ、僕も協力させてもらうよぅ」
「……分かった。だけど、それを決めるのはアリスさんだから、アリスさんが来るのを待ってて」
(とは言っても、あの人なら普通にオッケーしそうだけど)
朝から急な展開になってしまったが、ひとまずハルとミオはアリスが到着するのを待つ。
「お待たせ、ハル君。この子は?」
「お久しぶりです、アリスさん。彼はミオ、ハダレ大会の準決勝で僕と戦ったトレーナーです。アジトの件、協力したいと」
「ミオです。よろしくお願いしますぅ」
アリスがハダレシティに到着した。
ハルはミオを紹介し、ミオも挨拶する。
「よろしくね。私はサオヒメシティジムリーダー、アリスよ。この間の大会の準決勝進出者なら、力になってくれそうね」
ハルの予想通り、アリスは二つ返事でミオの参加を了承した。
「ハダレ大会といえば、君たち大変だったわね。ゴエティアの魔神卿が乱入したって、ニュースになってるわよ。スグリ君が何とかしてくれたんだって?」
「ええ……一時はどうなるかと思いました」
「名前は確か……ロノウェとアスタロト、でしたよぅ」
アスタロトは直接手出しはしてこなかったが、それでもあのアーケオスの龍の息吹は強力だった。
「そう……最近、ゴエティアの事件も増えてるわね。それに」
アリスは苦い顔で続け、
「ディントスが奪ったポケモンは大方取り返したんだけど、そのうちの何匹かが目を覚まさないの。昏睡状態っていうのかしら、何をしても意識を戻さないのよ」
これまた何とも不思議な話だ。アリスがそれを放り出してこっちに来たということは、考えても仕方のないことなのだろうか。
「さて、話を戻すわよ。ハダレタウンは昔の遺跡が多く残る街。その遺跡の一つをゴエティアが改造して、アジトとして使用しているらしいわ。場所も既に特定済みよ」
確かに、この街の遺跡は観光スポットとなっているが、中に入ることは許されていない。アジトとするには絶好の場所だろう。
「軽く探りを入れてみたけど、規模はそんなに大きくないわ。いくつかあるアジトの一つ、って言ったところかしら。だからこの人数でも問題ない。力尽くで潰すわよ」
「……もし、大人数いたら?」
「大丈夫、すぐにジムトレーナーや父さんに連絡する準備もできてる。いざとなればそれを使うわ」
一応、あらゆる場合を想定して対策はしているらしい。
とはいえ、ゴエティアの本拠地の一つである場所に殴り込みに行くのだ。魔神卿たちからの手厚い歓迎を受けてもおかしくはない。
「二人とも、ポケモンの調子は万全ね」
「はい。昨日休ませたので、バッチリです」
「僕も大丈夫ですよぅ。存分に戦えますねぇ」
「それじゃあ、行くわよ」
アリスに連れられ、ハルとミオはゴエティアのアジトがあるという場所へと向かう。
ハダレタウン外れ、旧遺跡群地帯。
「……ここね」
遺跡の前で、アリスが立ち止まる。
三人が辿り着いたのは、巨大な遺跡に隠れた地下へと続く遺跡への入り口だ。
確かにここなら、なかなか外からも気づかれないだろう。
「ポケモンセンターで父さんとジムトレーナーが待機してる。バラけるのは危険、三人で固まって行動するわよ。いいわね」
「了解です」
「よし。それじゃあ、突入よ」
アリスとハル、そしてミオ。
少数の精鋭部隊が、ゴエティアの本拠地と思われる場所へと潜入する。