二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第62話 Amon ( No.120 )
日時: 2017/01/14 00:50
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
参照: ゴエティアの参謀、魔神卿アモン。その実力は——

ハルとパラレルがバトルを始めた、そのすぐ近くでは。
「さて、我々も始めるとしましょうぞ」
フクロウのような顔をした野太い声野の大男、魔神卿アモンがボールを手に取る。
だが、
「一体で充分。この一体で、あなた方二人を相手取って差し上げましょう」
アモンが持つボールは一つ。たった一体で、アリスとミオの二人組と戦うつもりなのだ。
「あら、随分と余裕ね。あまり甘く見てると、痛い目見るわよ」
「舐めてかかっているつもりはありませんぞ。元々私の好みは多勢に無勢な戦闘。少数で大軍勢を捻じ伏せる戦いこそ、私の得意戦術なのです」
「……何がゴエティアの参謀よ。立派な戦闘要員じゃない」
まぁいいわ、とアリスは続け、
「それじゃあ、始めようかしら。ミオ君、準備はいいわね」
「いつでも行けますよぅ」
アリスとミオ、対するアモンの三人が、同時にポケモンを繰り出す。
「輝け、ライボルト!」
「頼んだよぅ、トゲチック」
アリスのポケモンはライボルト、ミオのポケモンはトゲチック。そして、
「一仕事頼みますぞ、ローブシン!」
アモンのポケモンは、巨大な鉄柱を片手で一つずつ手にした、圧倒的な筋肉を持つ老人のようなポケモン。

『information
 ローブシン 筋骨ポケモン
 コンクリートの柱は杖代わりだが
 バトルでは武器として使用する。
 筋力を使わず柱を振り回せる。』

「おやおや、カビゴンは出してきませんでしたか。中々切れ者の少年ですな」
ミオのトゲチックを見て、アモンは感心したような声を上げる。
「カビゴンは大会とかで暴れさせてたからねぇ。他の魔神卿にも見られていたし、知られてるかなと思ってさぁ」
カビゴンを出していれば、格闘タイプのローブシン相手にはかなり不利だった。
「とはいえ、飛行タイプであれば対策は万全。どこからでも掛かって来なさい」
「それじゃあこっちから行くわよ。ライボルト、火炎放射!」
最初に動いたのはアリスとライボルト。
手始めに灼熱の炎を噴き出し、先制攻撃を仕掛ける。
「ローブシン、柱で防御を」
だがローブシンは柱を構え、炎を防ぎ切ってしまう。
「こっちも行くよぅ。トゲチック、マジカルリーフ」
そこにトゲチックが妖しい光を放つ無数の葉を飛ばすが、
「ローブシン、今度は弾き飛ばせ」
もう片方の手で柱を振り、ローブシンは無数の葉をまとめて弾き飛ばす。
「その程度では我がローブシンには傷一つ付けられませんぞ。もっと本気でガンガン来なされ。まずはそのライボルトをメガシンカさせてはどうですかな?」
「言ってくれるじゃない。それならお望み通り、メガシンカで相手をしてあげるわ」
アモンの誘いに敢えて乗り、アリスはブレスレットを掲げる。
「絆の煌めき、閃光の如く! ライボルト、メガシンカ!」
アリスのキーストーンの光に、ライボルトのメガストーンが反応する。
七色の光に包まれ、ライボルトがメガシンカを遂げる。
「ミオ君。ライボルトのサンダーブラストは全体攻撃なの。悪いけど、上手く躱してね」
「分かりましたよぅ」
それだけ言ってアリスとミオは再びアモンの方に向き直る。
「覚悟なさい! ライボルト、サンダーブラスト!」
天を貫く方向と共に、ライボルトが全身を纏う電撃を衝撃波と共に解き放つ。
「ほう、飛躍的に火力が上昇しましたな。しかし……ローブシン、アームハンマー!」
ローブシンが鉄槌の如く硬い腕を、まっすぐに振り下ろす。
電撃の衝撃波と互角に競り合い、強引に相殺してしまった。
「今だよトゲチック、エアスラッシュ」
だがその隙に、ローブシンの背後からトゲチックが空気の刃を飛ばし、ローブシンの背を切り裂く。
効果抜群の一撃にローブシンは少し顔を歪め、トゲチックの方を振り向くが、
「ローブシン」
アモンの声を聞くと、ローブシンはすぐに体勢を立て直す。
「二体を同時に相手取ろうとしてはいけませんぞ。見たところライボルトの方が実力は上。トゲチックの攻撃に気を配りつつ、ライボルトだけを狙うのです」
アモンの言葉にローブシンは頷き、ライボルトの方に向き直る。
「悪人の割に、信頼関係は一流って感じね」
「ほほほ、こう見えても自分のポケモンには愛着を持って育てておりますからな。ポケモンに良いも悪いもない、善悪に左右されるのは我々人間でございます」
「へえ、思考はまともなのね。だったらどうしてゴエティアを辞めようと思わないのかしら」
「ゴエティアで活動する事が我々魔神卿の定めだからです。下っ端や部下たち、またそこのパラレルはともかく、我々魔神卿は生まれた時から王と共に戦う定め、その行動理念には善も悪もない。さあ無駄話はここまで、バトルを続けますぞ」
止まっていたバトルが再び動き出す。今度はローブシンが仕掛けてくる。
「こちらから行きますぞ。ローブシン、ストーンエッジ!」
ローブシンが柱で床を叩きつけると、その床からライボルトを狙って一直線に巨大な岩の剣が飛び出す。トゲチックには目もくれず、完全にライボルトだけを狙った攻撃だ。
「ライボルト、躱して火炎放射!」
「ローブシン、アームハンマー!」
横へと飛び退いて岩の剣を躱し、ライボルトは灼熱の業火を吹き出す。
対するローブシンはコンクリートの柱ごと腕を振り下ろし、炎を蹴散らす。
「エアスラッシュだよぅ」
その直後、再びローブシンの死角からトゲチックが空気の刃を放つが、
「背後から来ますぞ。ローブシン、躱して冷凍パンチ!」
見た目に似合わず大きく跳躍し、ローブシンは空気の刃を躱す。
空中で拳に冷気を纏わせ、勢いをつけて急降下しながら、やはりトゲチックではなくライボルトへと氷の拳を突き出す。
「ライボルト、もう一度火炎放射!」
再びライボルトは口から灼熱の炎を吐く。
拳の冷気は打ち消すも、ローブシン自身の勢いは止められず、結果ライボルトは拳を受けて殴り飛ばされる。
「追撃せよ。ストーンエッジ!」
「させないよぅ。マジカルシャイン」
ローブシンが柱を叩きつける直前、トゲチックが純白の光を放出する。
「ローブシン、目標変更!」
ローブシンが柱を地面に叩きつけると、ローブシンを囲む形で無数の岩の剣が出現する。
無数の岩に守られ、純白の光はローブシンには届かない。
「岩ごと砕け! ライボルト、サンダーブラスト!」
ライボルトが電撃を帯びた衝撃波を解き放ち、岩の剣を粉砕する。
しかし、
「外れですぞ。アームハンマー!」
いつの間にか宙に飛び上がっていたローブシンが、渾身の力を込めてコンクリートの柱をライボルトへと叩きつける。
「っ……!」
「トゲチック、エアスラッシュ」
ローブシンの持つ柱がライボルトへ叩きつけられる直前、トゲチックの放った空気の刃がローブシンの腕へと命中する。
僅かに軌道を逸らされ、コンクリートの柱はライボルトのすぐ横の地面を叩きつけた。
衝撃を受けてライボルトが吹き飛ばされるも、直撃による大ダメージは何とか免れた。
「危ないところだったわ。ミオ君、ありがとう」
「これくらいなら、お安い御用ですよぅ」
アリスはミオに礼を言い、二人は再びアモンの方へ向き直る。
「ほっほう、中々の腕前。焦ることはないぞローブシン、少しずつ追い詰めていけばよいのです」
対するアモンとローブシンは相変わらずどっしりと構えたまま、壁として二人の前に立ちはだかる。