二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第63話 Belial ( No.121 )
- 日時: 2017/01/15 00:27
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: パラレルと互角に戦うハル。勝負の行方は——
「ガバイト、ドラゴンクロー!」
「ルカリオ、躱してボーンラッシュ!」
ガバイトが龍の力を込めて輝く爪を振るい、対するルカリオは爪の一撃を躱し、波導を操って骨の形をしたロッドを作り上げる。
「ガバイト、アイアンヘッド!」
対するガバイトは鋼のごとく硬化された頭を突き出す。
回避を捨て、硬い頭部で何度も叩きつけられるロッドの攻撃を耐え切り、
「炎の牙!」
攻撃が止まるや否やすぐさま飛び出し、炎を灯した牙を剥く。
ルカリオに牙が突き刺さると炎が爆発し、ガバイトもろともルカリオを吹き飛ばす。
「穴を掘る!」
地中に潜ったガバイトは、背ビレを出しながら一直線にルカリオへ向かっていく。
「ルカリオ、発勁!」
地中から飛び出し襲撃するガバイトに対し、ルカリオは青い波導を纏った右手を振り下ろす。
二者の攻撃は一歩も譲らず、お互いに競り合う。
「波導弾!」
その直後、ルカリオの右手を覆う波導が念弾として放出され、ガバイトを吹き飛ばした。
「今だルカリオ! もう一度発勁!」
吹き飛ぶガバイトを追い、ルカリオは再び右手に波導を纏わせ、勢いよく突っ込んでいく。
「穴を掘る!」
対するガバイトは着地と同時に穴を掘って地中に潜り、身を隠す。
発勁は命中せず、その直後、ルカリオの背後からガバイトが飛び出し、そのまま襲い掛かる。
「ルカリオ、躱してサイコパンチ!」
ガバイトの襲撃を何とか躱すと、ルカリオは拳に念力を込め、ガバイトへと殴りかかるが、
「炎の牙!」
牙に炎を灯したガバイトは念力を纏ったルカリオの拳に噛み付く。
炎が爆発し、ルカリオは吹き飛ばされるが、ガバイトも爆発に巻き込まれる上に念力のダメージも加わり、大ダメージを受けたはずだ。
それでもまだ両者共に立ち上がり、戦闘の構えは崩さない。
「そろそろ決めるぞ。ガバイト、ドラゴンクロー!」
ガバイトが吼え、両手の爪に龍の力を纏う。
青く輝く龍爪を構え、ルカリオへ真っ直ぐに突撃する。
「そっちがその気なら、こっちだって! ルカリオ、発勁だ!」
ルカリオも右手に爆発的な波導を纏わせ、ガバイトを迎え撃つべく突っ込んでいく。
ガバイトの龍爪と、ルカリオの波導の右手が正面から激突した。
「炎の牙!」
一歩も引かず競り合う中、ガバイトが牙に炎を纏わせ、ルカリオの腹部へと噛み付いた。
それによって爪の力が弱まり、ルカリオの右手がガバイトへと炸裂。
次の瞬間、牙に灯る炎が爆発し、ルカリオとガバイトは同時に吹き飛ばされた。
「ルカリオ!」
「……ここまでか」
ハルはルカリオの名を叫び、パラレルは勝敗がもう分かっているかのように呟く。
吹き飛ばされて床に倒れるルカリオの体が光に包まれ、メガシンカ前の元の姿に戻る。つまり、戦闘不能を意味していた。
かたやガバイトも目を回して床に倒れ伏し、戦闘不能となっていた。この勝負は、引き分けだ。
「ガバイト、よくやった。戻れ」
「ルカリオ、お疲れ様。休んでてね」
二人ともポケモンを労い、ボールへと戻す。
「「後半から実力を発揮してきたか。そのルカリオが強いのも確かだ。だがハル、お前自身はまだまだポケモンの力に頼っている分が大きい。その状態では、俺たちゴエティアには到底勝てん。まぁ、次に戦うのを楽しみにしているぞ」
パラレルは追撃を加えることもなく、それだけ言って引き下がる。
「アモン。こっちの試合は終わった。撤収するぞ」
「おや、もう終わりましたか。やはり一対一の勝負だと、早く終わってしまいますな」
パラレルの言葉を聞き、アモンはバトル中だというのにパラレルの方を向いてそう返す。
「お二人とも。パラレルのバトルが終わりましたので、こちらも終わらせていただきますぞ。ローブシン、戻りなされ」
ボールを取り出し、アモンはローブシンを戻し、勝手にバトルを打ち切ってしまう。
「何を言っているのかしら。あんたたち二人はここで私たちに捕まってもらうのよ。バトルを辞めて逃げるなんて、そんなことが本気でできると思っているのかしら」
「ええ、できますとも」
アリスの言葉に対し。
あまりにもあっさりと、アモンは言い返す。
「なぜなら、ここにはもう一人、魔神卿がおりますからな」
そうアモンが告げた、次の瞬間。
「ジヘッド! ドラゴンダイブ!」
ここにいる誰のものでもない男の声が響くと同時、すぐ横の壁が爆発と共に粉砕され、黒いポケモンがライボルトへと襲い掛かった。
そのポケモンはライボルトを思い切り叩き飛ばし、向かいの壁へと叩きつけると、
「ラスターカノン!」
すぐさま二つの頭から二発の鋼の光をレーザーの如く撃ち出し、トゲチックを吹き飛ばし、戦闘不能にしてしまう。
『information
ジヘッド 乱暴ポケモン
二つの頭を持つが仲が悪く常に
餌を巡って争っている。最終的に
争いに負けた方が進化時に脳を失う。』
「誰!?」
三人の注目を集める中、ジヘッドの後ろ、壁に空いた穴の中から男が姿を現わす。
燃える炎の如き真っ赤な髪と瞳。その瞳は悪魔のように鋭く残忍で、両耳に髑髏の形のピアスをつけている。
服も真紅のスーツ系の服装で、とにかく赤に身を包んだ男だ。
「ゴエティア魔神卿が一人、ベリアル」
男は出てくるや否や、簡単に自分の名を名乗り、
「アモン、パラレル。こっちの仕事は終わった。撤収だ」
それ以降ハルたち三人には目もくれず、仲間にそう告げる。
「了解」
「お疲れ様でしたベリアル。全て破壊しましたかな」
「お前に聞いたものは全てぶっ壊した。もし破壊漏れがあったらお前の責任だからな。出てこいメタング」
その男、ベリアルはメタングを繰り出し、その上に飛び乗った。
ハルには見覚えのあるポケモンだ。恐らくパイモンのものだろう。
「逃すわけないでしょ——」
「あぁそうだ。お前ら、一つだけ言っておくぞ」
アリスの言葉を強引に遮り、ベリアルはメタングの上に座ったまま口を開く。
「今回はアモンがいたから見逃してやるが、次はないと思えよ。俺様はゴエティアの直接戦闘専門、まどろっこしいことは嫌いでな。組織の邪魔になる奴は全員ぶっ殺して解決するような悪党だ。無様な死体になりたくなけりゃ、今後俺たちゴエティアに楯突くようなことはやめておくんだな。それじゃ撤収だ。メタング」
ベリアルがメタングに指示し、メタングは頑丈な爪でパラレルとアモンを掴む。
ハルたちが呆気にとられている間にそのまま天井をぶち抜き、どこかへ飛び去っていった。
その後警察が到着し、ハルたちと共にアジトを最奥まで探ったが、成果は何一つ得られなかった。
成果となりそうな資料や研究装置は、全て木っ端微塵に粉砕されていたからだ。
先ほどのアモンとベリアルのやり取りから察するに、恐らくアモンとパラレルが時間を稼いでいる間、ベリアルが破壊して回っていたのだろう。
「ごめんね、ハル君にミオ君。面倒な事態に巻き込んでしまって」
ゴエティアの拠点を出てポケモンセンターに戻った後、アリスは二人に頭を下げた。
「いえ、僕もゴエティア関連となれば放ってはおけませんし」
「これくらいだったら、お安い御用ですよぅ」
「いやはや、皆無事でよかったよ。魔神卿が二人も居たんだってね」
ずっとポケモンセンターで待機していたアリスの父親、リデルが、三人の近くに歩み寄る。
「さて、僕たちはこれからサオヒメに戻って、ディントスを保護しなければね」
「ええ。ジムリーダーとして、無駄に血は流させない。絶対に守り切るわ。それじゃ、ハル君、ミオ君。旅を頑張ってね。あと、ゴエティアには気をつけるのよ」
そう言って、アリスやリデルたちはハルとミオに別れを告げ、サオヒメへと戻っていった。
「それじゃハル君、ここでお別れだねぇ。次に会うときは、またバトルしようねぇ」
「うん。次にやるときも、負けないからね」
そしてミオも次の街へと去っていく。
ハルの次なる目的地は、カタカゲシティだ。