二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第66話 ジムバトル! カタカゲジムⅡ ( No.124 )
- 日時: 2017/01/20 00:45
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: 吹き荒れる砂嵐に苦戦するハル。対抗する術は——
「それじゃワルビル、行くよ! シャドークロー!」
ワルビルが吼え、爪に黒い影を纏わせ、サナギラスへと向かっていく。
「サナギラス、悪の波動!」
対するサナギラスは悪意に満ちた黒い波動を撃ち出し、ワルビルの影の爪を撃ち破ろうとするも、
「ワルビル、躱して!」
ワルビルは前方へ勢いよく跳躍、悪の波動を飛び越え、一気にサナギラスとの距離を詰める。
そのまま腕を振り抜き、鋭い影の爪でサナギラスを切り裂いた。
「サナギラス、アイアンヘッド!」
「ワルビル、穴を掘る!」
目の前にいるワルビルへサナギラスが硬い頭を突き出すが、ワルビルは飛び退いてそれを躱し、着地と同時に地中へ潜り身を隠す。
「炙り出せ。ストーンエッジ!」
地中へ潜られても、カガチは焦りを見せない。
すぐさまサナギラスが地面に体を叩きつけ、地中から無数の岩の剣を突き出させ、ワルビルを引きずり出そうとする。
しかし、
「今だ、ワルビル!」
地中でも正確に岩の剣を躱し、ワルビルはサナギラスの真下へ忍び寄り、地中から勢いよく飛び出し、強襲を仕掛ける。
拳を思い切り振り上げ、サナギラスを殴り飛ばした。
「……!」
サナギラスが放物線を描いて宙を舞い、そのまま地面に落ちる。
効果抜群の一撃を受け、戦闘不能となって倒れた。
「サナギラス、戻れ」
カガチはサナギラスをボールへと戻すと、カガチは特に何も言わず、次のポケモンを繰り出す。
「出番だ、バクーダ!」
カガチの二番手は、コブの代わりに火山の火口を背負ったラクダのようなポケモンだ。
『information
バクーダ 噴火ポケモン
怒りっぽい性格な上に怒ると
背中から炎を撒き散らす。コブが
震えだしたら噴火する合図だ。』
地面と炎タイプを併せ持つポケモンだ。
「え……?」
「どうした。何か気になるのか」
不思議そうな顔をするハルへ、カガチが声を掛ける。
「いや、炎タイプを持つワルビルには、バクーダは相性が悪いんじゃないかと思って……」
「フン、そんなことか。俺のようなジムリーダーは専門タイプを突き詰めた者たち。タイプ相性まで考えた上で、バクーダが一番有利に戦えると判断したまでのことだ」
そんなことより、とカガチは続け、
「さあ、バトルを再開するぞ。バクーダ、火炎放射!」
カガチの言葉と同時に、バクーダが口から灼熱の炎を噴き出す。
「背中の火山は使わないのか……ワルビル、躱して噛み砕く!」
素早く炎を躱すと、ワルビルは大顎を開き、牙を剥いてバクーダに襲い掛かる。
バクーダの脇を駆け抜け、横から胴体へと頑丈な牙を食い込ませる。
が、しかし。
「バクーダ、ダイヤブラスト!」
ワルビルの牙を受けても、バクーダは身動きしなかった。
次の瞬間、バクーダを中心として爆発が起こり、ダイヤのように青白く煌めく爆風と共にワルビルは吹き飛ばされた。
「ワルビル! 大丈夫!?」
ワルビルはすぐに起き上がると、バクーダを睨みつけて低く唸る。
「噛み砕くが、効いてない……?」
「全く効かないわけではないがな。だが俺のバクーダはスタミナには自信があってな。タイプ一致と言えど、その程度の攻撃ではびくともせんぞ」
カガチの言う通り、バクーダは噛み砕く一撃程度では怯むどころか顔色一つ変えていない。
「さて、どう攻略するかな。バクーダ、目覚めるパワー!」
バクーダが周囲に無数のエネルギーの球体を浮かべ、一斉にワルビルへと撃ち出す。
球体の色は水色。アリスのライボルトが使うものと同じ色、つまり氷タイプ。
「ワルビル、躱して燕返し!」
球体を飛び越え、潜り抜け、ワルビルは球体を躱しながらバクーダとの距離を詰めていく。
刀身のように白く輝く腕を振り下ろし、バクーダの脳天へ叩きつけた。
「バクーダ、火炎放射!」
しかし、やはりというかバクーダは顔色を全く変えないまま、すぐに灼熱の業火を吹き出して反撃する。
炎に巻き込まれてワルビルが吹き飛ばされた。致命傷には至っていないが、ダメージはかなり大きい。
「バクーダ、もう一度火炎放射!」
さらにバクーダはもう一度、灼熱の業火を吹き出す。
「ワルビル、躱してシャドークローだ! 周りを駆け抜けろ!」
炎を躱し、ワルビルは両手に影を纏わせる。
鋭い影の爪を作り上げると、バクーダの周囲を駆け回りつつ、爪を振るってバクーダを切り裂く。
「無駄だ! ダイヤブラスト!」
「来る……! ワルビル、穴を掘る!」
バクーダの周囲に淡く青白い光が迸る。
それを見てワルビルは素早く地面に潜ると、次の瞬間バクーダを中心として爆発と共に青白い爆風が巻き起こる。
「危なかった……何とか躱した」
ほっと一息つくハル、しかし、
「大地の力!」
バクーダが咆哮をあげると、大地が振動し、辺り一帯から土砂が吹き出す。
地中から吹き出す土砂は見境なく周囲を吹き飛ばす。当然、地中に潜んでいたワルビルもただではすまなかった。
吹き上がる土砂に巻き込まれ、ワルビルが天高く打ち上げられた。
「っ、ワルビル!?」
「バクーダ、火炎放射!」
花火のように打ち上げられたワルビルに対し、バクーダは灼熱の炎を噴いて追撃する。
それも口からではなく、背中の火口から、まるで噴火するかのようにワルビル目掛けて炎を噴き出した。
「ワルビル!」
業火に飲み込まれて吹き飛ばされ、ワルビルは天井に激突する。
重力に従って落下し、地面にぶつかってそのまま倒れ、早くもワルビルは戦闘不能になってしまった。
「そんな……くっ、ワルビル、お疲れ様」
悔しさを隠せないまま、ハルはワルビルをボールへ戻す。
これでハルのポケモンは残り一体。しかもカガチのバクーダにはさしたるダメージを与えられないまま最後の一体を迎えることになってしまった。
(くっ……いや、大丈夫。僕にはメガシンカの力がある。絶対ここから逆転して、勝ってみせる!)
「最後は頼んだよ、ルカリオ!」
ハルの最後のポケモンはルカリオ。タイプ相性的には不利だが、それはヒノヤコマでも同じ。何よりこの状況となれば、ハルの手持ちの中で最強のポケモンをぶつけるしかない。
「ルカリオ、最初から行くよ! メガシンカだ!」
ハルのキーストーンの光に、ルカリオのメガストーンが反応する。
七色の光に包まれ、波導の力とメガシンカのエネルギーが体内を駆け巡り、ルカリオがメガシンカを遂げる
「なるほど、それがアリスから継承したメガシンカか」
そして目の前でルカリオがメガシンカを遂げても、カガチはやはり表情一つ変えずに、ハルとルカリオをじっと見据える。