二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第67話 ジムバトル! カタカゲジムⅢ ( No.127 )
- 日時: 2017/01/23 15:04
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: jjKuEWqt)
- 参照: 追い詰められたハルとルカリオ。強敵カガチ相手に、策はあるのか——
フィールドにて対峙するのは、メガルカリオとバクーダ。
ハルは最後の一体、対するカガチはまだ二体目だ。
と、ここで効果が切れたのか、サナギラスの放った砂嵐が止む。
「ルカリオ、まずは波導弾だ!」
ルカリオが両手を構えると、掌から波導が噴き出し、青い波導の念弾が放出される。
「バクーダ、火炎放射!」
対するバクーダは炎を吹き出し、波導の念弾を消滅させると、
「大地の力!」
ルカリオの足元を狙って、多量の土砂を噴出させる。
「ルカリオ、突っ込め! ボーンラッシュだ!」
足元が揺れると同時に、ルカリオは前方へと勢いよく飛び出していく。
青い波導を骨のロッドの形に変え、噴き上げられる土砂を躱して一気にバクーダへと急接近し、骨のロッドを連続で叩きつける。
メガルカリオの高い攻撃力から繰り出される効果抜群の一撃。僅かにだが、初めてバクーダの巨体が揺れる。
「怯むなバクーダ! ダイヤブラストだ!」
だがそれでも反撃の速さはほぼ変わらない。爆発と共に青白く煌めく爆風が迸り、ルカリオを吹き飛ばした。
「火炎放射!」
「っ、波導弾だ!」
さらにバクーダが灼熱の炎を吹き出し追撃を仕掛ける。
対するルカリオは青い波導の念弾を放出し、何とか炎を防ぎ切った。
だが一息はつけない。なぜなら、
「大地の力!」
「やっぱり……! 発勁!」
ワルビルの時と同じように、すぐさま追撃が来るからだ。
再びルカリオの足元を狙って土砂が噴き上がるも、それよりも早くルカリオは右手に膨大な量の波導を纏わせ、バクーダへと突っ込んでいく。
「バクーダ、目の前に大地の力!」
バクーダが再び咆哮すると、今度はルカリオとバクーダとの間に壁を作る形で、大量の土砂が噴き出す。
ルカリオが右手を叩きつけるも、土砂の壁を崩すことはできず、
「目覚めるパワー!」
土砂の壁が消えた直後、水色のエネルギー球体が一斉に放たれ、ルカリオを押し戻す。
「くっ、全然動かない割になんて隙のなさだ……!」
その重すぎる質量のためか、バクーダは出てきた時から一、二歩ほどしか歩いていない。
ずっと一箇所にとどまりながら、この隙の無さだ。バクーダの能力はもちろん、トレーナーであるカガチの実力も相当なものだと分かる。
「バクーダ、火炎放射!」
バクーダが今度は上空に向け、背中の火口から勢いよく炎を噴き出した。
上空まで打ち上げられた炎は、やがて重力に負け、炎の雨となって一斉に降り注ぐ。
「そう来るなら……ルカリオ、ボーンラッシュ!」
波導を骨の形のロッドに変え、ルカリオは曲芸のように頭上で振り回す。
回転する骨のロッドが、降り注ぐ炎の雨を全て防ぎ切った。
「大地の力!」
「真下に発勁!」
上からの次は下から。ルカリオの足元が揺れてひび割れ、そこから多量の土砂が噴き出す。
対してルカリオは波導を纏った右手を思い切り地面に叩きつけ、これも食い止める。
「火炎放射!」
「躱してもう一度発勁!」
そして今度こそ直接狙って吹き出される灼熱の業火を躱し、ルカリオはバクーダとの距離を一気に詰めると、波導を纏った右手を思い切りバクーダの脳天に叩き込んだ。
これには流石のバクーダも余裕で耐え切るわけにはいかなかったようだ。うめき声を上げ、後ずさりする。
「バクーダ、反撃だ! ダイヤブラスト!」
「ルカリオ、離れて!」
バクーダもすぐさま攻撃を仕掛けようとするが、脳を揺さぶられて行動が遅れる。
青白い爆風がバクーダの周囲を薙ぎ払った時には、既にルカリオはバクーダと距離を取っている。
「よし、やっとまともにダメージを与えられた。ここから巻き返すぞ」
今の今まで打点がなかったが、ここに来てようやく強烈な一撃を与えられた。
「ルカリオ、ボーンラッシュ!」
骨のロッドを携え、ルカリオは再びバクーダへと向かっていく。
「バクーダ、目覚めるパワー!」
対するバクーダは水色の無数のエネルギー球体を周囲に浮かべ、一斉に発射する。
大量のエネルギー球が迫り来るが、ルカリオは骨のロッドを振るい、球体を次々と弾き飛ばしていく。
しかし、
「火炎放射!」
エネルギー球を全て弾き飛ばし、ルカリオに出来たほんの一瞬の隙。
まさにそれを狙い、バクーダが灼熱の業火を吹き出す。
前進の勢いを止められず、ルカリオは回避が遅れ、業火に飲み込まれてしまう。
「なっ!?」
鋼タイプを持つルカリオに効果は抜群。何とか持ちこたえたが、大ダメージは免れないだろう。
「くっ……ルカリオ、立て直して! 波導弾!」
起き上がったルカリオは両手を突き出し、掌から波導を噴き出して青い波導の念弾を作り上げるが、
「バクーダ、大地の力!」
波導弾が放たれたと同時、ルカリオの足元から大量の土砂が噴き出し、ルカリオを上空へと打ち上げてしまう。
このタイミングでルカリオを狙えば、波導弾の被弾は避けられないはずなのだが、
「火炎放射!」
波導弾の直撃など気にも留めず、バクーダは吹き飛ぶルカリオに向けて、背中の火口から噴火のように炎を放出した。
宙を舞うルカリオに炎を躱すことなど出来ず、再び灼熱の業火を諸に浴びる。
「ルカリオ……」
炎を浴びたルカリオが、力なく地面に落ちる。
次の瞬間、七色の光がルカリオを包み、メガシンカ前の元の姿へと戻す。
このジム戦のルールは、三対三。
つまり。
「俺の勝ちだな」
カガチの最後の一体すら見る事ができず、ハルの敗北となった。
敵わなかった。
思えば、最初から完全にペースをカガチに握られていた。
「フン、アリスがメガシンカを継承したトレーナーって聞いたもんで、いざ戦ってみればこの程度か。興醒めだな」
「え……?」
「俺からお前に言うことは一つだけだ。お前は、弱い。あのアリスの目が節穴なのかと疑うほどにな。ここは敗者がいつまでも居座っているところじゃないぞ」
負けたハルに、カガチの辛辣な言葉が深々と突き刺さる。
倒れたルカリオを目の前にしては、何も言い返すことなど出来なかった。
「……ありがとう、ございました」
ルカリオをボールに戻し、ハルはがっくりとうなだれ、とぼとぼとジムを出て行った。
今までもポケモンバトルにおいて負けることは少なくなかった。
しかし。
ハルが本当の敗北というものを知ったのは、この時が初めてなのかもしれない。