二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第70話 ジムバトル! カタカゲジム・リベンジⅠ ( No.130 )
- 日時: 2017/01/26 07:41
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: /yMGlo86)
- 参照: カタカゲジム、そのバトルフィールドに、再びハルは立つ。
「お願いします!」
「またお前か。今回は一週間前よりマシなバトルが出来るんだろうな」
あれから、ハルはサヤナに手伝ってもらい、一週間特訓を続けてきた。
そして今。
ハルは赤いレンガのジムを再び訪れ、岩場のバトルフィールドに立ち、カガチと対峙していた。
「もちろんです。カガチさん、あの時はありがとうございました。今度こそ、僕は貴方に勝ってみせます」
「フン、口だけじゃ何とでも言える。一週間の成果は——」
そこで一拍置き、カガチはモンスターボールを取り出す。
「バトルの中で、見せてみろ! 出番だ、サナギラス!」
「最初からそのつもりですよ! 頼んだよ、ルカリオ!」
カガチの一番手は前回と変わらずサナギラス。
対して、ハルの初手はいきなりエースのルカリオ。
「少しはお前の力に期待して、今回のバトルは四対四だ。その他のルールは前回と同じ。それじゃ、始めるぞ」
「分かりました! ルカリオ! 行くよ!」
キーストーンのある腕輪を付けた右腕を天高く掲げ。
ハルは、大きく叫ぶ。
「僕と君の、絆の力に応えて! ルカリオ、メガシンカだ!」
ハルのキーストーンから、ルカリオのメガストーンから、七色の光が飛び出す。
二つの光はそれぞれ繋がって一つとなり、ルカリオを包み込み、その姿を変えていく。
波導の力とメガシンカのエネルギーがルカリオの体内を駆け巡り、その体に漆黒の模様を刻んで、ルカリオはメガシンカを遂げる。
体を覆う光が、天を貫く咆哮とともに薙ぎ払われ、メガルカリオが光の中から姿を現す。
「……サナギラス、砂嵐!」
そんなルカリオを見て、まずカガチはサナギラスへと砂嵐の指示を出す。
サナギラスが高速回転して風を生み出し、その風に大量の砂を乗せ、フィールド全体に砂嵐を巻き起こす。
対して、
「ルカリオ、発勁!」
ルカリオが地を蹴り、一直線に飛び出す。
次の瞬間にはサナギラスとの距離を詰めており、青い波導を纏った右手を思い切り叩きつけ、サナギラスを吹き飛ばす。
「波導弾だ!」
さらにルカリオは両掌を構え、波導の念弾を放出する。
標的を狙って正確に飛ぶ波導の念弾が、サナギラスに直撃した。
念弾が爆発して再び吹き飛ばされ、サナギラスはフィールドの岩に激突。
そのまま地面に落ちたサナギラスは、あろうことか既に戦闘不能になっていた。
「……! 俺のサナギラスを、こうもあっさりと……」
流石のカガチでも、これには驚きを隠せなかったようだ。
効果抜群とはいえ、砂嵐しかできずにたった二発で先発のポケモンがいきなりやられてしまうとは、想定すらしていなかったのだろう。
「……まあいい、こんなこともあるさ。サナギラス、戻れ」
サナギラスをボールに戻し、カガチは次のボールを手に取る。
そして、
「ルカリオ、君の出番はまた最後にある。それまで、しばらく休んでて」
ハルも、ルカリオをボールへと戻した。
「フン、どうやら口先だけでは無かったようだな。まず、それは認めてやろう」
だが、とカガチは続け、
「だからと言って俺に勝てるかどうかは別だ。いくら特訓を重ねてきても、俺に勝てなければバッジは手に入らんぞ」
「分かっています。だから勝つために、一週間特訓して来たんです。絶対に勝ちます!」
二番手のポケモンは、ハルが先に繰り出した。
「出てきて、ワルビル!」
ハルのポケモンはやはり砂嵐に強いワルビル。
対して、
「サナギラスがあっさりやられたのは、何も悪いことばかりではない」
カガチの表情は、既に普段のものに戻っている。
「サナギラスは役目を果たしてくれたよ。この砂嵐。しかも、これだけ早くサナギラスが倒れれば、この砂嵐は二番手以降でも長く持続する」
つまり、とカガチは言葉を続け、
「策はまだいくらでもある。出番だ、サンドパン!」
カガチの二番手は、背中に硬い棘をびっしりと背負った砂色の体のポケモンだ。
『information
サンドパン ネズミポケモン
背中の棘や両手の爪を武器に
外敵と戦う。折れてしまうことも
あるが翌日には生え揃っている。』
前回は出してこなかったポケモンだ。タイプは地面のみ。
「地面タイプなら、相性の有利不利はない。ワルビル、強気に行くよ! シャドークロー!」
ワルビルが両手に黒い影を集めて影の爪を作り上げ、サンドパンへと向かっていく。
対して、
「サンドパン、ポイズンクロー!」
サンドパンが爪を構えると同時、高速で飛び出した。
気付けば既にワルビルの目の前まで迫っており、ワルビルが影の爪を振るよりも早く、毒を帯びたサンドパンの爪がワルビルを切り裂いた。
「っ、速い……! ワルビル、気をつけて。相手の動きをよく見るんだ」
ワルビルはすぐに体勢を立て直し、低く唸る。
対するサンドパンは素早く離脱し、カガチの元へと戻っている。
「サンドパン、ドリルライナー!」
「ワルビル、躱して燕返し!」
サンドパンが両手を突き出し、ドリルのように回転を始めたかと思うと、突然そのまま飛び出してくる。
咄嗟にサンドパンの突撃を躱すと、ワルビルは刀身のように白く輝く腕を構えてサンドパンを追う。
「サンドパン、メタルニードル!」
突如、サンドパンが体を丸め、全身を背中の硬い棘で覆う。
さらにその棘を硬化させて振り下ろされるワルビルの腕を弾き返し、直後、鋼の如く硬い棘を一斉に発射する。
棘は次々とワルビルに突き刺さり、ワルビルは呻き、膝をついてしまう。
「サンドパン、瓦割りだ!」
丸めた体を元に戻し、サンドパンは体勢を崩すワルビルへと勢いよく手刀を振り下ろす。
「まずい……! ワルビル、穴を掘る!」
素早くワルビルは地面に穴を掘り、地中へと身を隠す。
サンドパンの手刀はワルビルを捉えられず、地面に打ち付けられ、直後、サンドパンの足元からワルビルが強襲、逆にサンドパンを吹き飛ばした。
「いいぞワルビル! 続けて噛み砕く!」
ワルビルが大顎を開き、牙を剥いてサンドパンに襲い掛かる。
しかし、
「サンドパン、ポイズンクロー!」
立ち上がったサンドパンはまたも高速で動き出す。
ワルビルが口を閉じてサンドパンに噛み付くよりも早く、サンドパンは毒を帯びた爪を突き出し、ワルビルを突き飛ばした。
「さすがに早すぎる……見た目からして、そんなに速そうなポケモンには見えないんだけど……。……?」
ここで、ハルは先ほどのカガチの発言を思い出す。
(サナギラスは役目を果たした、策はまだいくらでもある……まさか!)
一つの可能性を思い浮かべ、ハルは素早く図鑑を取り出す。
「特性……砂かき……?」
「ようやく気付いたか」
ハルが図鑑で確認し、サンドパンのスピードの正体に気が付いたところで、カガチが口を開く。
「俺のサンドパンの特性は砂かきだ。天候が砂嵐の状態であれば、素早さが二倍ほどに上昇する」
「なんだって……!?」
素早さが上がるというのは、単純かつ強力だ。敵の攻撃は当たりにくくなり、逆に自分は相手を撹乱させることによって試合がより有利に運べるようになる。
しかも、今のサンドパンは素早さが通常の二倍。そのスピードは跳ね上がっている。
「先ほど言ったはずだ。策はまだいくらでもあるとな」
いきなり先鋒を失ってなお、焦りの一つも見せないカガチの威圧感が、ハルを圧倒せんと迫る。