二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第71話 ジムバトル! カタカゲジム・リベンジⅡ ( No.133 )
- 日時: 2017/01/26 22:53
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: 砂嵐を駆使したカガチの戦略が、ハルを襲う!
ハル対カガチ、ハルにとってはリベンジマッチ。
現在はポケモンの数でハルが一歩リード、しかし、
「サンドパン、ドリルライナー!」
「くっ、ワルビル、シャドークロー!」
サンドパンの特性、砂かきによる猛攻に、ハルとワルビルは押されている。
サンドパンのドリルの如き高速回転の突撃を、ワルビルは影の爪を構えてどうにか食い止める。
(やっぱり速い……! でも、どうにかして攻略しないと……)
砂嵐が切れるまで逃げ回るという方法もあるにはあるが、ハルはその可能性は捨てる。
そもそも、あんなに素早いサンドパンからどうやって逃げ回るのか分からないからだ。
となれば、
「何とかサンドパンの動きを見切るしかない……! ワルビル、頼んだよ!」
影の爪を振るってサンドパンを押し返し、ワルビルは力強く吼える。幸い、火力に関してならサンドパンには負けていない。
「サンドパン、メタルニードル!」
「ワルビル、穴を掘る!」
サンドパンが背中の棘を硬化させ、一斉に放出する。
対するワルビルは素早く地中に潜ることによって無数の鋼の棘を躱し、地中から密かにサンドパンとの距離を詰めていく。
しかし、
「サンドパン、躱してポイズンクロー!」
サンドパンの足元が僅かに揺れたのを見て、カガチは回避の指示を出す。
サンドパンが横っ飛びでその場を離れた一瞬後、そこからワルビルが飛び出す。
だが奇襲は外れ、直後にサンドパンが毒を帯びた爪を振り抜き、ワルビルを切り裂いた。
「ワルビル! 大丈夫!?」
鋭い爪の斬撃を受けても、ワルビルはまだ起き上がる。
しかし、
「ワルビル……?」
ワルビルの調子がおかしい。立ってはいるのだが、その足が少し震えている。
このワルビルは相手がどれだけ強くとも恐れるような性格ではない。つまり、何か異変が起きている。
そして、その異変はすぐに分かった。
「っ……毒の状態異常か……」
何度も毒を帯びた爪の攻撃を受けたことによって、ワルビルは毒を食らってしまったのだ。
「好機を逃すなよ。サンドパン、瓦割り!」
毒で動きが鈍ったところに、サンドパンはワルビルの脳天へ手刀を振り下ろす。
「っ、ごめんワルビル、一発耐えて!」
サンドパンの手刀が振り下ろされる直前、咄嗟にワルビルは左腕をかざす。
ワルビルの腕から、ゴキリと嫌な音が響くも、頭への攻撃は何とか防ぎ切り、
「今だワルビル! 噛み砕く!」
返す刀で大顎を開き、サンドパンの腹に頑丈な牙を食い込ませた。
「いいぞ! そのまま投げ飛ばせ!」
ワルビルの最大の武器である、頑丈な顎。
ようやくその顎による一撃を決めたワルビルは、そのまま首を大きく振ってサンドパンを投げ飛ばし、フィールドに置かれた岩へと叩きつけた。
「一気に行くよ! ワルビル、シャドークロー!」
右腕に黒い影を纏わせ、ワルビルは叩きつけられたサンドパンへ襲い掛かる。
しかし、
「まだ終わらんぞ。サンドパン、ポイズンクロー!」
起き上がったサンドパンが、毒を帯びた爪を突き出す。
刹那、お互いの爪の一撃が、それぞれの敵を突き刺す。
だがワルビルの影の爪が捉えたのは棘の生えたサンドパンの背中。対して、サンドパンは的確にワルビルの腹部を捉えていた。
刺し違えた結果、ワルビルが一歩及ばず、力尽きて地面に倒れた。
「くっ……ワルビル、よく頑張ってくれたね」
ハルはワルビルの元へ駆け寄り、頭を撫でる。
ワルビルは目を開き、悔しそうに唸る。
「大丈夫、充分頑張ってくれた。後は任せておいて、休んでてね」
悔しがるワルビルを労い、ボールに戻し、ハルは次のボールを手に取る。
「相手は素早さを武器とする地面タイプ。ここは……エーフィ、頼んだよ!」
ハルの次なるポケモンはエーフィ。ワルビルよりも素早さは高いので、ある程度ならサンドパンの動きについていけると考えてのチョイスだ。
素早さならヒノヤコマもいるが、空を飛ぶヒノヤコマは風の影響をもろに受けるので、砂嵐が収まるまで温存しておきたい。
「次のポケモンはエーフィか……サンドパン、ポイズンクロー!」
ワルビルとの戦いでダメージはそこそこ溜まっているが、まだまだ充分やれる様子。
サンドパンは毒を帯びた爪を構えると、再び高速でエーフィへと突っ込んでいく。
「エーフィ、躱してスピードスター!」
何とかサンドパンの爪を躱し、勢い余って後方へとすっ飛んでいくサンドパンへ、エーフィは二股の尻尾を振って無数の星形弾を飛ばす。
「サンドパン、ドリルライナー!」
対するサンドパンは腕を突き出し、ドリルのように高速回転する。
迫り来る星形弾を全て弾き飛ばすと、床を蹴って勢いよく飛び出し、エーフィを突き飛ばす。
「瓦割りだ!」
高速回転したまま上空へと飛び上がり、サンドパンは上空からエーフィの頭を狙い、手刀を振り下ろす。
だが、
「今だエーフィ! マジカルシャイン!」
エーフィの額の珠が白く輝く。
刹那、エーフィを中心に純白の光が周囲へと放出される。
当然、空中から急降下してくるサンドパンが避けられる訳もなく、サンドパンは純白の光に飲み込まれ、逆に吹き飛ばされてしまう。
「サイコショット!」
起き上がったばかりのサンドパンの腹部へと、サイコパワーの念弾が直撃する。
頑丈な無数の棘を備えて防御面は硬いサンドパンだが、腹部は柔らかく、特防も低い。
ワルビル戦でのダメージも重なり、サンドパンはここで戦闘不能となってしまう。
「サンドパン、戻れ」
カガチが倒れたサンドパンをボールに戻したその時、砂嵐が収まる。
「さあカガチさん、これで砂嵐にはもう頼れませんよ」
「フン、俺の手持ちで砂嵐に頼るのは二体だけ。天候を変えられることも想定しているから、砂嵐がなくなった程度では全く戦況は変わらん。次はこいつだ。出番だ、フライゴン!」
カガチの三番手となるのは、昆虫のような面影を残した緑色のドラゴンポケモン。両目を赤い膜で覆っている。
『information
フライゴン 精霊ポケモン
美しい歌声のような羽音を上げて
砂嵐を起こしその中に姿を隠す。
昔は砂漠の精霊だとの説があった。』
地面とドラゴンタイプを併せ持つポケモンのようだ。
「ドラゴンタイプか……見るからに強そうだな……」
ドラゴンポケモンは聖なる生き物。故にその最終進化系となれば、相当な実力を持つポケモンに間違いない。
「だけど相手にとって不足はないよね。エーフィ、頑張るよ!」
エーフィにはドラゴンに有利なフェアリー技、マジカルシャインもある。
エーフィはフライゴンから目線を逸らさず、しかししっかりとハルの言葉に応え、頷く。
「よし! エーフィ、サイコショット!」
エーフィの額の珠にサイコパワーが溜まり、そこから念力の弾が撃ち出される。
フライゴンに一直線に飛来していくが、肝心のフライゴンは反応一つ見せない。
しかし。
「フライゴン、やれ」
突然、フライゴンが巨大な翅を強く羽ばたかせる。
歌姫の美しい唄声のような音と共に、収まって地面に落ちたはずの砂が再び舞い上がる。
無数の砂塵は風に乗って、フライゴンを瞬く間に覆ってしまう。
念力の弾は砂の風に阻まれ、フライゴンには届かなかった。
「なっ……!」
思わず驚きを浮かべるハル。
エーフィの一番優れた能力は特攻だ。そのエーフィの一番の主力技が、容易く食い止められてしまった。
「こいつは砂嵐がなくなった時のためのポケモンだ。砂嵐が収まった後だろうが、フライゴンならば地面に落ちた砂を存分に生かせる。言っただろう、砂嵐を起こせば、それだけでサナギラスは充分に仕事をしているんだと」
砂嵐が収まっても、カガチの戦法には何も影響しない。どころか、それすら有利な状況に変えてしまう。
フライゴンは再び翅の羽ばたきを元に戻し、声をあげることもなく、相も変わらずじっとエーフィを見据える。