二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第72話 ジムバトル! カタカゲジム・リベンジⅢ ( No.134 )
日時: 2017/01/27 16:10
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: rM7/8bFQ)
参照: フライゴンの操る砂の壁。果たして、打ち破る策は——

エーフィのサイコショットが、攻撃でもない砂の壁に阻まれた。
対するフライゴンは赤い膜で覆われた瞳で、エーフィをじっと見据え、指示を待つのみ。
「だったらエーフィ、スピードスター!」
エーフィは二股の尻尾を振り抜き、今度は無数の星形弾を発射する。
「フライゴン、もう一度だ」
しかし再びフライゴンは強く羽ばたいて風を巻き起こし、砂と風の壁に身を隠してしまう。
必中の星形弾ですら、砂の壁を超えて進むことはできず、風に巻き込まれて打ち消されてしまう。
「これもだめか……それなら……」
次の策を考えるハル。
しかし。
それを待ってくれるほど、カガチもフライゴンも甘くはない。

「フライゴン、ドラゴンビート!」

砂の風が収まった時、フライゴンは既にそこにはいなかった。
先ほどの美麗な佇まいから一転、フライゴンは高速で空中を旋回しながら翅を羽ばたかせ、美しい歌声のような音波と共に衝撃波を放つ。
フライゴンを一瞬とはいえ見失ったことで対応が遅れ、エーフィは音波をまともに受けて吹き飛ばされてしまう。
「っ……エーフィ、シャドーボール!」
「フライゴン、躱して大地の力!」
起き上がったエーフィが額の珠から黒い影の弾を放出するが、フライゴンはそれをひらりと躱し、長い尻尾を地面にそっと触れさせる。
刹那、フィールドが揺れ、エーフィの足元から土砂が噴き出し、エーフィを天高く打ち上げた。
「虫のさざめき!」
フライゴンは続けて巨大な翅を激しく振動させて空気を揺らし、衝撃波を飛ばす。
「だったら、マジカルシャイン!」
打ち上げられて宙を舞うエーフィの額の珠が白く輝く。
そこから純白の光が周囲へと放出され、光は衝撃波を打ち破り、さらにフライゴンを吹き飛ばした。ドラゴンタイプのフライゴンには、効果抜群だ。
だが、
「ドラゴンビート!」
効果抜群の一撃を受けてもフライゴンはすぐに立て直し、翅を羽ばたかせて美しい歌声のような羽音と共に音波を放つ。
空中でマジカルシャインを放ったエーフィは、まだ着地しておらず、回避ができない。音波をまともに受けて、再びエーフィは吹き飛ばされる。
「エーフィ! くっ、強い……!」
さすがはドラゴンタイプの最終進化系だ。羽ばたいて砂を巻き上げるだけで相手の技を無効化し、効果抜群の一撃を受けてもすぐさま反撃に出られる。
おまけに遠距離から強力な技を次々と放ってくるため、隙を見つけてもその隙を突くのが難しい。
「フライゴン、大地の力!」
フライゴンが尻尾で軽く地面に触れると、大地が揺れ始める。
「エーフィ、躱してシャドーボール!」
土砂が噴き出す前にエーフィは前進して躱し、額の珠から黒い影の弾を放出する。
「フライゴン、防御だ」
だがやはりフライゴンは翅を力強く羽ばたかせ、巻き上げた砂を風に乗せて砂の壁を周囲に作り上げ、影の弾を防いでしまう。
しかし、
「これなら、どうだ! エーフィ、上からサイコショット!」
大きな岩の上に立ち、さらにそこから跳躍してフライゴンの真上まで飛び、そこから真下のフライゴンに向けて念力の弾を撃ち出す。
台風の目と言うべきか、風の塊は中心にだけは風が吹かない。
砂の壁の中を突っ切って逃げることもできず、念力の弾がフライゴンへと直撃した。
「スピードスター!」
フライゴンが体勢を崩し、砂の壁が崩れたところに、エーフィはさらに二股の尻尾を振って無数の星形弾を飛ばす。
「フライゴン、ドラゴンビート!」
体勢を崩しながらも、フライゴンは羽ばたきと共に美しい歌声のような音波を放ち、星形弾をまとめて打ち消す。
「サイコショット!」
「虫のさざめき!」
額の珠にサイコパワーを溜め込み、念力の弾を放つエーフィに対し、フライゴンは巨大な翅を振動させて衝撃波を飛ばす。
念弾と衝撃波がぶつかり合うも、エスパー技は虫技には不利。衝撃波に押し切られて念力は打ち破られ、エーフィも衝撃波を浴びて押し戻されてしまう。
「フライゴン、ドラゴンビート!」
さらにフライゴンが翅を大きく羽ばたかせるが、
「タイプ相性ならこっちだって! マジカルシャイン!」
エーフィも同時に純白の光を放つ。
ドラゴン技である音波を打ち消し、純白の光にフライゴンを飲み込んだ。
再び、効果抜群の一撃がフライゴンを捉える。
「よし! エーフィ、シャドーボール!」
さらにエーフィの額の珠が漆黒に染まる。黒い影の弾を作り出し、フライゴンへと発射する。
しかし。

「フライゴン、ギガドレイン!」

今まで遠距離から流れるように滑らかに攻撃を繰り返していたフライゴンが、初めてエーフィへと突っ込んできた。
影の弾を躱し、風のように一気にエーフィとの距離を詰め、淡く光る尻尾を伸ばし、瞬く間にエーフィを雁字搦めに縛り上げる。
「っ、エーフィ!?」
淡い光がエーフィへ侵食し、その体力を吸収していく。
離れようともがくエーフィだが、フライゴンの尻尾の拘束は相当硬く、抜け出せる様子はない。
「ドラゴンビート!」
尻尾を振ってエーフィを空中に放り投げ、フライゴンは巨大な翅を羽ばたかせて歌姫の歌の如き美しい音波を放つ。
音波に巻き込まれてエーフィは吹き飛ばされ、岩場に激突して地面に倒れ、戦闘不能になってしまった。
「エーフィ……お疲れ様。よく頑張ったね」
ハルが倒れたエーフィを抱きかかえると、エーフィは瞳を開き、ハルの目をまっすぐに見つめる。
「分かってる。後は任せておいて。休んでてね」
エーフィをボールへと戻すと、ハルは次のボールを取り出す。
「もう砂嵐はなくなった。次は君だ、頼んだよ、ヒノヤコマ!」
ハルが繰り出したのはヒノヤコマ。炎技の通りは悪いが、フライゴンからの技も、大地の力は無効、ギガドレインも虫のさざめきも効きが悪い。
「ヒノヤコマ、相手の砂の壁に気をつけて。羽ばたきで発動するみたいだからね」
ハルの言葉にヒノヤコマは頷き、気合を入れて鳴く。
「よし、ヒノヤコマ、まずはニトロチャージ!」
ヒノヤコマが力強く鳴くと、その身が炎に包まれる。
そのままヒノヤコマは炎の弾丸のように勢いよく飛び出す。
「フライゴン、防御だ」
フライゴンは再び大きく羽ばたき、風に砂を乗せて周囲に砂の壁を作り上げる。
「ヒノヤコマ、急上昇!」
しかし砂の壁にぶつかる直前、ヒノヤコマはほぼ直角に急上昇。
そのままフライゴンの真上から炎を纏ったまま急降下し、フライゴンを突き飛ばす。
「もう一度ニトロチャージだ!」
「それならば、ドラゴンビート!」
ニトロチャージを直撃させ、スピードが上昇。再びヒノヤコマは炎を纏ったままフライゴンへと向かっていく。
対するフライゴンは既に体勢を立て直しており、巨大な翅を力強く羽ばたかせ、美しい歌声のような音波を放つ。
音波がヒノヤコマを捉え、その身を纏う炎は一瞬のうちに引き剥がされてしまう。
「虫のさざめき!」
「疾風突き!」
さらにフライゴンが翅を振動させるが、ヒノヤコマは嘴を突き出すと、翼を折りたたんで高速で突撃する。
衝撃波が放たれるよりも早く、ヒノヤコマがフライゴンの腹部へと突っ込み、再びフライゴンを突き飛ばした。
「よし、いいぞ! ヒノヤコマ、アクロバット!」
さらにヒノヤコマは軽快かつ不規則な動きで、一気にフライゴンへと突っ込んでいく。