二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第74話 ジムバトル! カタカゲジム・リベンジⅤ ( No.136 )
日時: 2017/01/29 09:26
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
参照: カガチの切り札、バクーダがメガシンカ。巨大な火山の化身に、メガルカリオが立ち向かう!

カガチの切り札、バクーダが、メガシンカを遂げた。
背中の火山からは、溢れんばかりのマグマが滴り落ちている。
「ただでさえ強かったあのバクーダが、メガシンカ……だけど、ここまで来たんだ。ルカリオ、絶対に! 一緒に勝つよ!」
任せろ、とでも言うかのように、ルカリオはハルの方を向き、頷く。
「ルカリオ、発勁!」
ルカリオの右手が、青い炎のような波導に覆われる。
そのままルカリオは地を蹴って飛び出し、バクーダへと突っ込んでいく。
「バクーダ、火炎放射!」
大地を踏み鳴らして自身を鼓舞し、バクーダは口から灼熱の業火を噴き出す。
だがその威力が尋常ではない。
メガシンカ前と比べてもかなりパワーアップした荒れ狂う炎が、ルカリオに迫り来る。
「試してやる……! ルカリオ、そのまま!」
ルカリオは右手を突き出し、業火に正面から挑む。
激突するが、均衡はすぐに破れる。ルカリオが押し負け、炎の勢いに押し戻される。
「メガシンカによって火力が格段に上昇、さらにメガバクーダの特性は力尽く。先程は適応力の特性を持つメガルカリオに押し負けたが、こちらもメガシンカすれば立場は逆転だ」
力尽くは追加効果がなくなる代わりに技の威力が上がる特性。どうやら、バクーダのこの超火力は素の能力だけのものではないようだ。
それでも、ルカリオは両の足を地につけ、吹き飛ばされることなく耐え切った。
「ルカリオの火力でも負けてるのか……だったら、正面切っての勝負は危ないな」
これも敗北から学んだことだ。メガシンカしたとはいえ、やはり自分より強いポケモンはいる。
まして相手もメガシンカポケモン。正面から打ち砕こうとしても、こちらが逆に砕かれる。
ならば、
「ルカリオ、ボーンラッシュ!」
ルカリオの周囲に無数の波導の玉が発生し、それらは次々と骨の形へ変わる。
ルカリオが両腕を突き出すと、骨の波導は一斉に飛び出し、左右からバクーダを狙う。
「弾き飛ばせ。ダイヤブラスト!」
バクーダの周囲の空気が爆発し、青白く煌めく爆風が迸る。
左右から迫る無数の骨は、爆風によって纏めて弾き飛ばされる。
しかし爆風が消えた直後、バクーダは額に骨の形をしたロッドを叩きつけられる。
無数の骨とタイミングをずらし、ルカリオ自身は正面から骨のロッドを携え向かっていったのだ。
「バクーダ、火炎放射!」
ロッドを叩きつけられたバクーダはすぐさま炎を吹き出して反撃する。
「ルカリオ、躱して! ジャンプだ!」
対するルカリオは骨のロッドを地面に突き立て、棒高跳びのように大きく跳躍。バクーダの放つ炎を躱した。
「逃がさん! バクーダ、もう一度だ!」
「やっぱりそう来るか……ルカリオ、波導弾!」
だが空中ならばまだバクーダの射程圏内。背中の火口から、上空のルカリオへ炎が撃ち出される。
飛び上がったままルカリオは掌から青い波導の念弾を放出する。
波導弾はバクーダの放った炎を貫くが、勢いを失った炎は弾け飛び、ルカリオは無数の火の粉を浴びてしまい、一方炎を貫いた波導弾もバクーダへと直撃する。
「ルカリオ、立て直して! もう一度!」
「ならばバクーダ、こちらももう一度だ!」
着地して立ち上がったルカリオが波導の念弾を放出し、少し遅れてバクーダも炎を吹き出す。
再び双方の技が激突、しかし今度は波導の念弾が炎に押し切られ、ルカリオが炎を浴びてしまう。
「っ、炎の質が違うのか……!」
どうやら、背中から放たれる炎と口から吹き出される炎では少し違うようだ。
火口からの炎は勢いが少し弱く、弾けやすそうだ。
「大地の力!」
「っ、真下に発勁!」
バクーダがフィールド全体を揺らす。
ルカリオの足元から土砂が噴き出すか、ルカリオは炎の如き波導を纏った右手を地面に叩きつけ、強引に土砂を相殺する。
「目覚めるパワー!」
さらにバクーダは周りに水色のエネルギー球体をいくつも浮かべ、一斉に放つ。
「ルカリオ、躱してサイコパンチ!」
エネルギー球をいくつも飛び越え、掻い潜り、ルカリオは拳に念力を纏わせる。
「ダイヤブラスト!」
ルカリオの拳がバクーダの額に叩き込まれたその直後、ルカリオは青白く煌めく爆風を浴びて吹き飛ばされる。
「くっ……分かってたことだけど、なんて打たれ強さだ。このままじゃ、先にルカリオが力負けするな……」
「考える暇はやらんぞ。大地の力!」
思考を巡らそうとするハルだが、カガチがそれを許さない。
フィールド全体を揺らし、ルカリオの足元から土砂を噴き出させる。
「っ、躱して!」
横っ飛びで土砂を躱すルカリオ。だが躱したそばから再び地面が揺れる。
「……そうだ! ルカリオ、動き回るんだ!」
ハルの指示を受けて、ルカリオはフィールドを駆け回る。
バクーダもしつこく土砂を噴射してルカリオを攻撃するが、俊敏に動き回るルカリオをなかなか捉えられない。
そして、
「……!」
カガチが気付いた時には、砂埃でフィールド全体が覆われてしまった。
お互いに自分のポケモンだけでなく、相手のポケモンも見えない。
バクーダもルカリオの姿を見失い、攻撃を止める。
しかし。

「ルカリオ、発勁!」

そんな中、ルカリオだけは違った。
波導の力で相手の場所を正確に読み取るルカリオは、右手に波導を纏わせて一気にバクーダへと接近、その脳天目掛けて思い切り波導で強化された右手を振り下ろした。
予期せぬ強烈な一撃を受け、バクーダがよろめく。
「ボーンラッシュ!」
さらにルカリオは右手を覆う波導を長い骨の形に変え、連続でバクーダへと打ち付ける。
「ぬぅ、バクーダ、吹き飛ばせ! ダイヤブラスト!」
ようやくバクーダが動き出す。
周囲を爆発させて青白く煌めく爆風を起こし、まとめて砂煙を吹き飛ばしてしまうが、既にルカリオはバクーダとの距離を取っている。
「ようやく、打点を与えられましたよ。さすがに今の連続攻撃は堪えたみたいですね」
得意げな笑みを浮かべるハル。
今の今まで一切表情を変えなかったバクーダが、ここに来てようやく疲労を感じたようだ。
「フン、ここからが正念場よ! バクーダ、気合いを入れろ! 勝負はここからだ!」
カガチの声に応えてバクーダは咆哮し、背中の火口からマグマを噴出させる。
「火炎放射!」
「躱して波導弾だ!」
バクーダがめいいっぱい息を吸い込み、灼熱の業火を吹き出す。
その炎を跳躍して躱し、ルカリオは右掌を突き出し、青い波導の念弾を放つ。
「もう一度火炎放射だ!」
上空のルカリオへと、バクーダの背中から炎が噴射される。
しかし今度は先ほどとは違う。背中からの炎だが、その勢いは噴火でもしているかのように強い。
波導の念弾は炎に打ち破られ、さらにルカリオも炎を浴びて吹き飛ばされる。
「大地の力!」
ルカリオが落ちる点を予測し、バクーダは地面を揺らし、その一点を狙って土砂を噴き上げる。
「ルカリオ、ボーンラッシュ!」
対して、宙を舞うルカリオは骨のロッドを作り上げ、それを地面へと叩きつける。
ロッドによって落下の軌道を変え、バクーダの方へと飛んでいく。
「発勁だ!」
ルカリオの右手が、波導の力に覆われる。
バクーダが迎撃を仕掛けるよりも早く、ルカリオの渾身の右手の一撃がバクーダへと叩き込まれた。
「ダイヤブラスト!」
だがバクーダもただでは引き下がらない。
地を踏みしめて根性で耐え抜き、周囲の空気を一斉に爆発させ、ルカリオを吹き飛ばす。
「そろそろ体力も限界だろう。次で終わりにしてやろう!」
「いいですよ。でも」
そこでハルは一拍置き、

「終わるのは、ルカリオじゃなくて、カガチさんのバクーダです!」

刹那。
ルカリオを覆う青い波動が、爆発的に展開された。
アリスに教えられた、ハルとルカリオの絆の力が最高潮に達した時に発生する絆の力。その力は、メガシンカを得た今でも健在だった。
いや、違う。ルカリオとの絆を取り戻したハルだからこそ、再びこの力を使うことができたのだ。
「……バクーダ、火炎放射!」
「ルカリオ、波導弾!」
体内の炎の力を全て一点に集め、バクーダは紅蓮の爆炎を放出する。
対するルカリオも体を纏う波導を全て掌に溜め込み、巨大な波導の念弾を撃ち出した。
双方の全力の一撃が、正面から激突した。
青い波導と赤い炎を散らせ、激しく競り合う。
そして。
その末に遂に均衡が崩れ、波導の念弾が紅蓮の爆炎を打ち破った。
遮るものがなくなった波導弾は、そのまままっすぐに突き進み、バクーダに直撃、青色の爆発を起こした。
「バクーダ……!」
爆発に巻き込まれ、バクーダの巨体がぐらりと傾き、そのまま地面へと崩れ落ちた。
バクーダの体を七色の光が覆い、元の姿へと戻す。
目を回して倒れているその姿は、完全に戦闘不能だった。



「この一週間で、お前が忘れていたもの、完全に思い出したようだな」
「はい。あの時は、ありがとうございました」
バトルが終わった後、ハルはカガチに礼を告げる。
「フン、俺は何もしていない。俺がやったのはお前を負かしたことだけだ。その言葉は俺じゃなく、お前のポケモンや友人に掛けてやるんだな」
相変わらず無愛想でぶっきらぼうだが、その言葉には以前と比べてどこか温かみが感じられた。
「さて、悔しいが負けは負けだ。お前の実力を認め、こいつをやらなければな」
そう言ってカガチは懐から小さな箱を取り出し、それを開く。砂の舞う竜巻のような形をした、白と茶色を基調したバッジだ。
「カタカゲジム制覇の証、ガイアバッジだ。受け取れ」
「はい、ありがとうございます!」

かくして、ハルはカガチへのリベンジを果たし、ハルのバッジケースには五つ目のバッジが填め込まれた。