二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第80話 獣姫 ( No.143 )
日時: 2017/02/03 14:44
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: UwoqfYs/)

「あたしの相手はこんな子供なの? こんなので勝負になるのかしら」
サヤナの相手となるのは、青い蝶を模した衣装に身を包んだ、赤髪のサーカス団員、シュティル。
「子供だからって関係ないよね。テントの中の人たちを解放してもらうよ!」
「そういうことはあたしに勝ってから言ってもらおうかしら。おいでなさい、オーロット!」
シュティルのポケモンは、先ほどのサーカスでも使っていた樹木のポケモンだ。

『information
 オーロット 老木ポケモン
 森の木々を操り森のポケモンや
 植物の成長を促す。森を荒らす
 無法者に対しては容赦しない。』

「草とゴーストタイプのポケモン……なら、お願い、ビビヨン!」
サヤナが繰り出したポケモンはビビヨンだ。ワカシャモと迷ったが、ゴーストタイプのオーロットには格闘技が効かないため、ビビヨンを選んだ。
「ビビヨン、まずはシグナルビーム!」
ビビヨンの複眼から、激しい光を放つ光線が撃ち出される。
オーロットは動きはあまり速くないようで、初撃がいきなり命中する。
「ビビヨン、もう一度だよ!」
ビビヨンは立て続けに光線を放つが、
「オーロット、弾き飛ばして! シャドークロー!」
オーロットの右手が影を纏い、黒い爪を作り上げる。
右腕を振るい、オーロットはシグナルビームを弾き飛ばしてしまった。
「だったらビビヨン、エナジーボール!」
続けてビビヨンは自然の力を一点に集め、作り上げた淡い光の弾を飛ばすが
「オーロット、もう一度!」
それに対してオーロットは再び影を纏った右手を突き出す。
光の弾を掴み、握り潰して粉々に砕いてしまう。
影の爪も消えてしまうが、オーロットにダメージはない。
「その程度なの? だったらこっちから行くわよ」
ビビヨンの攻撃を軽くいなし、オーロットが反撃に出る。
「オーロット、ニードルルート!」
足と一体化した六本の木の根を、オーロットは地面に食い込ませる。
するとその直後、ビビヨンの真下の地面から尖った木の根が飛び出す。
「わっ! ビビヨン、避けて!」
ビビヨンが尖った根を躱すも、すぐさま二発目、三発目の木の根の棘が飛び出してくる。
三発目で体勢を崩され、その後さらに三本の木の根が一斉に地面から飛び出し、ビビヨンを突き飛ばした。
「オーロット、今よ! 岩雪崩!」
吹き飛ばされたビビヨンに対して、オーロットは周囲に無数の岩を浮かべ、次々にビビヨンへと放つ。
「っ……ビビヨン、サイコキネシス!」
咄嗟にビビヨンは強い念力を操作し、飛んでくる岩へと念力を仕掛ける。
念力で岩を受け止め、さらに飛来する岩にぶつけ、何とか全て防ぎ切った。
「危なかった……岩タイプの技を受けたら、ビビヨンは大ダメージだもんね……」
ワカシャモの方が良かったかも、と少しばかり考えるが、今はそうも言っていられない。
とりあえず岩雪崩は凌いだか、
「一息つく暇なんてあるのかしら? オーロット、ニードルルート!」
再びオーロットが足を地面にねじ込み、ビビヨンの真下の地面から尖った根を次々と突き出す。
「うわっ……ビビヨン、シグナルビーム!」
飛び出してくる根の棘へ、ビビヨンは複眼から激しい光を放つ光線を放ち、片っ端から防いでいく。
足の数と連動しているのか、どうやら最大六発が限界のようで、一度にそれ以上は打てないようだ。
「エアスラッシュだよ!」
続けてビビヨンは翅を羽ばたかせ、空気の刃を飛ばす。
足を地面から引き抜いたオーロットを、空気の刃が切り裂いた。
「ビビヨン、続けてシグナルビーム!」
「効かないわ! オーロット、岩雪崩!」
さらにビビヨンが複眼から激しく点滅する光線を放つも、オーロットは虚空から周囲に岩を出現させ、無数の岩を盾に使用し、光線を受け止める。
「ニードルルート!」
光線を止めると、再びオーロットは根と一体化した六本の足を地面に食い込ませ、今度はビビヨンの少し後ろの地面から尖った六本の根を一斉に突き出す。
「ビビヨン、躱して!」
「逃すもんですか! オーロット、シャドークロー!」
前方に飛んで根を躱すビビヨンだが、その結果オーロットに近づく形となり、それを逃さずオーロットは黒い影の爪を振るう。
「ああっ、ビビヨン!」
切り裂かれるというよりは叩き斬られたような爪の攻撃を受け、ビビヨンは地面に叩き落とされる。
「オーロット、鬼火!」
シャドークローを残したまま、オーロットが青白い火の玉を浮かべ、さらにその形を変えて二つの炎の輪を作り出す。
その炎の輪を影の爪で掴むと、起き上がったばかりのビビヨンへと投げつける。
体勢を崩しながらも一つ目を躱したビビヨンだが、二つ目を躱し切れず、炎の輪をぶつけられ、火傷を負ってしまう。
「うう……火傷しちゃった……」
サヤナが嘆くように声を漏らす。
ビビヨンは特殊技しか持っていないため攻撃力低下は関係ないが、それでも体力を少しずつ奪われていくのは苦しい。
「決めさせてもらおうかしら。オーロット、岩雪崩!」
オーロットが周囲に岩を浮かべ、ビビヨン目掛けて次々と放っていく。
「そう簡単に負けはしないんだよ! ビビヨン、サイコキネシス!」
ビビヨンが強い念力を操作し、無数の岩に念力を掛け、その動きを制御する。
「ここから逆転だよ! ビビヨン、岩を返してあげて!」
さらにビビヨンは操った岩を全てオーロットに向けて放ち、オーロットの周りに岩を積み上げ、オーロットを岩の中に封じ込めてしまう。
「岩ごと突き破って! エナジーボール!」
自然の力を一点に集め、ビビヨンは輝く光の弾を作り出す。
しかし、
「甘いわよ。オーロット、ニードルルート!」
エナジーボールを放とうとした矢先、ビビヨンの真下の地面から六本の尖った根が飛び出し、ビビヨンを突き飛ばした。
「この程度であたしのオーロットの動きを止めたと思わないことね。シャドークロー!」
次の瞬間、無数の岩が木っ端微塵に砕け散り、黒い影の爪を纏ったオーロットが姿を現わす。
突き飛ばされるビビヨンを狙って腕を突き出し、漆黒の影の爪がビビヨンを叩き斬らんと迫る。