二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第82話 脳筋 ( No.145 )
- 日時: 2017/02/05 09:56
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
「やってしまえ! ポリゴンZ!」
グリムが繰り出すのは、サーカスでも顔を見せていた赤と青を基調とするポケモン。
『information
ポリゴンZ バーチャルポケモン
ポリゴン2をより優れたポケモンに
するためにプログラムを追加した姿。
謎のバグによって挙動がおかしい。』
エストレが使っていたポリゴン2の進化系だが、図鑑の説明通り明らかにおかしな動きをしている。
「ノーマルタイプなら相性は有利だ。ルカリオ、メガシンカは無しだ。速攻で決めるよ!」
メガシンカを使うまでもない、その考えはルカリオも同じだったようで、ルカリオはハルの言葉を聞いてすぐに頷く。
「甘く見てもらっちゃ困るね! ポリゴンZ、トライアタック!」
ポリゴンZがガクガクと体を震わせ、赤、青、黄の三色の光線を放つ。
「ルカリオ、躱してサイコパンチ!」
ルカリオの右手を念力が包む。
そのままルカリオは地を蹴って飛び出し、周囲の木々も足場に使って光線を掻い潜りながらポリゴンZに近づき、念力を纏った拳を叩き込み、吹き飛ばす。
「うぐぐ、ポリゴンZ、反撃! 冷凍ビーム!」
ポリゴンZの首が一回転し、凍える冷気の光線が撃ち出される。
「ルカリオ、もう一度発勁!」
再びルカリオは右手に波導を纏わせ、その右手を勢いよく突き出し、冷凍ビームを打ち破ると、
「ボーンラッシュ!」
さらにその波導を長い骨の形に変え、骨のロッドを振るってポリゴンZを殴り飛ばす。
「ポリゴンZ! トライアタック!」
「させない! ルカリオ、波導弾!」
ポリゴンZが周囲に三色の玉を浮かべるが、そこから光線が放たれるよりも早く、ルカリオが右掌を突き出す。
青い波導の念弾が正確にポリゴンZを撃ち抜き、ポリゴンZは吹き飛ばされて木の幹に激突、早くも戦闘不能となってしまった。
「……! ポ、ポリゴンZ!」
グリムは慌てた様子でポリゴンZをボールへと戻す。
一方、
「えっ?」
ハルも驚いていた。
確かに格闘技はポリゴンZに効果抜群だが、こんなに早く倒れてしまうとは思っていなかったからだ。
そんな予想はしていなかったが、ハルは、思ったことを素直にグリムへと言った。
「もしかして……貴方、弱い?」
「なっ……!? そ、そんなわけないね! 団長はハーメルン・サーカスの団長! 偉いんだよ!?」
「いや、でも偉いのと強さって別ですよね」
「う、うるさーい! とにかく、ポリゴンZを倒したくらいで団長に勝ったと思わないことだね! 団長にはもう一体、ポケモンがいるんだからね!」
どうやら図星だったようだ。どのレベルで弱いのか決めつけるつもりはないが、恐らくルンペルやシュティルよりも実力は下なのだろう。
わめきながら、グリムは次のボールを取り出す。
「大人を怒らせるとどうなるか、教えてやる必要があるようだね! やってしまえ! カラマネロ!」
グリムの二番手のポケモンは、大きなイカを上下逆さまにしたようなポケモンだ。
『information
カラマネロ 逆転ポケモン
非常に強力な催眠術を使用する。
知能も高く催眠術を使って人間を
意のままに使役する個体も存在する。』
悪とエスパータイプを併せ持つ珍しいポケモンだ。イカのような姿をしているが、水タイプは持っていない。
「団長の切り札は何を隠そうこのカラマネロ! ポリゴンZを倒したくらいで、調子に乗ってもらっちゃ困るね!」
団長の言葉に合わせて、カラマネロも不気味な笑い声を上げる。
「それじゃあ、お前の力を見せてやれ! カラマネロ、まずはサイコカッター!」
カラマネロが触手のような長い腕を振り抜き、念力の刃を飛ばす。
「ルカリオ、躱してボーンラッシュ!」
身軽に念力の刃を躱し、ルカリオは長い骨のロッドを作り上げ、そのまま飛び出す。
骨のロッドを振るってカラマネロを殴り、グリムの元へと押し戻した。
「だったらこれはどうかね!? カラマネロ、馬鹿力!」
カラマネロの腕が凄まじいオーラを纏い、その腕を大きな木へと叩きつける。
いとも容易く木が吹き飛び、その木の幹はルカリオへと飛んでくる。
「ルカリオ、躱して!」
だかルカリオは素早く跳躍し、吹き飛ばされた木の幹を躱して別の木の枝の上に飛び乗ると、
「確か馬鹿力は攻撃力と防御力が下がる技。ルカリオ、発勁だ!」
その枝を足場に勢いよく飛び出し、波導を纏った右手をカラマネロへと叩き込む。
しかし。
「カラマネロ! 馬鹿力!」
カラマネロの腕に再び凄まじいオーラが迸り、その腕が先ほどよりも勢いを増して豪快に振るわれる。
波導を纏ったルカリオの右手と激突するが、逆にルカリオが吹き飛ばされた。
「えっ……? ルカリオ!?」
ルカリオが木の幹に激突する。
まだ起き上がれるが、効果は抜群、ダメージは大きい。
「ふふふふ、カラマネロの特性を知らないようだね」
ようやく、グリムがバトルの流れを握る。
「このカラマネロの特性は、天邪鬼。このポケモンに掛かる能力変化を全て逆転させる。つまり、馬鹿力を使えば使うほど、攻撃力も防御力も上がっていくというわけね!」
まるで勝ちを確信したかのように、グリムは高らかに笑う。
とはいえ、確かに厄介なのは間違いない。
「さあ、この調子でやってしまえ! カラマネロ、馬鹿力!」
調子付いてきたカラマネロは見境なく腕を振り回し、邪魔な木々をなぎ倒しながらルカリオに迫る。
「パワーじゃ勝てなくなってきてる……ルカリオ、何とか隙を見つけるよ。躱して!」
ルカリオは周囲を飛び回り、振り回されるカラマネロの腕を躱していく。
「ルカリオ、木の陰に隠れるんだ!」
カラマネロの腕によって次々と樹木が倒されていく中、ルカリオは倒れた木の陰に姿を隠す。
「ふふふふ、無駄無駄! どこに逃げても無駄ね! カラマネロ、手っ取り早く全部吹き飛ばしてしまえ!」
余裕たっぷりにグリムは指示を出し、カラマネロは腕を振り回しながら、倒れた木々を片っ端から吹き飛ばしていく。
(……今だ!)
ルカリオが隠れている木の陰にカラマネロが背を向けた瞬間。
勢いよく、ルカリオが飛び出す。
「ルカリオ、波導弾だ!」