二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第4話 シュンインシティ ( No.15 )
日時: 2016/10/28 00:13
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: PUqaVzEI)
参照: シュンインシティ到着。そこでハルが出会ったのは——

最初に訪れた街、シュンインシティ。
道路はアスファルトで舗装されており、家は木造が多い。
また、街のそこかしこに花壇が用意され、街中が花に包まれているような印象を受ける。
そして、街の中央に位置する、大きな花屋。この街の花は、シュンインシティの名産品とも言われている、が。
「え? あの花屋さんがポケモンジム?」
「タウンマップが正しければ、そうみたいだよ」
ポケモンセンターのロビーで、二人はターミナルのマップを開きながら街のパンフレットの地図と場所を照らし合わせる。ジムを指しているのは、どちらの地図も花屋だ。
「まぁいっか。じゃあ、私は早速ジムに行ってみようと思うんだけど、ハルはどうする?」
「ん……僕はまだちょっと自信ないし、もう少し特訓してから行くよ」
シュンインシティまでの道中でハルは何匹かポケモンと戦ってはいるが、間違いなくまだ経験不足だ。ノーマルタイプを使うトレーナーが多く、タイプ相性的に勝ってこれたが、新人トレーナー相手にギリギリの試合をしていては恐らくジムリーダーには勝てないだろう。
「分かったよ。それじゃ、お先にジムに挑戦してくるね!」
「うん、頑張ってね」
ポケモンセンターを出て行くサヤナを見送り、ハルはポケモンセンターに残る。
パンフレットによれば、マデル地方のポケモンセンターには地下にバトルフィールドかあり、そこで毎日トレーナーたちが交流や特訓をしているそうだ。
より多くの経験を積むため、ハルはポケモンセンターの地下に向かった。



勝率は悪くはないが、いいとも言えない。勝ったり負けたりを繰り返している。
「うーん……だけどちょっとずつコツが掴めてきたぞ」
何戦かして、ハルが少しずつバトルに慣れてきた、そんな時。
「あっれぇ? 君見ない顔だよね、新人かな?」
後ろから唐突に声をかけられた。
ハルが後ろを振り向くと、同じくらいの歳の少年がそこにいた。
つば付きの緑の帽子を被り、赤いTシャツの上に黒いパーカーを着ている。
ズボンの裾も短く、全体的に身軽そうな格好だ。
「え、うん。そうだけど……」
「そっかぁ。いやぁ、丁度オレも一週間前にトレーナーになってさ。昨日この街に着いてずっとここでバトってたら他の人らに顔覚えられちゃってさ。ああそうだ、オレの名前はスグリ。よろしく」
「あ、僕はハルだよ、よろしく……」
その少年はスグリと名乗り、ハルに近づいてくる。
「見た感じオレよりトレーナー歴浅いみたいだけど、どれくらい? てかどっから来たの?」
次々と質問攻めに遭うハル。もしハルが女の子だったら立派なナンパだ。
「えっと、まだ一日かな。元々別の地方に住んでて、そこから引っ越してきたんだ」
「へー、じゃあ街の名前を言っても分かんないか。オレはカザハナシティってとこから来たんだ。地図でいうと大体この辺ね」
そう言いながらスグリはターミナルを取り出し、地図を出す。ハツヒタウンからここよりは距離があるが、それでもそんなに遠くはない。というか隣町だ。
「そこのジムリーダーをこないだ倒して、昨日この街に来たってわけ」
「……え!? スグリ君、もうジムリーダーに勝ってるの?」
「いやぁ、まぁね。すごいっしょ?」
スグリは自慢げに語ると、そこではないモンスターボールを取り出す。
「さぁーて。折角ここに来たわけだし、一戦バトってかない? ハル君、ポケモンは何匹持ってる?」
ハルが言おうとしていたことを先に言ってくれた。
相手のスグリはジムリーダーを倒している格上だが、相手にとって不足なしだ。
「えっと、二匹だよ」
自分のポケモンを数え、そう返す。
「おっけ。そんじゃ二対二のバトルにしようか。それでいい?」
「いいよ。じゃあ、始めよう」



そんなこんなで、ハルとスグリとのバトルが始まった。
「よっしゃ。じゃあまずはオレから、出て来い、ブイゼル!」
まずスグリが繰り出したのは、オレンジ色のイタチのようなポケモン。首の周りには浮き輪のような袋があり、尻尾が二股に分かれている。

『information
 ブイゼル 海イタチポケモン
 二本の尻尾をスクリューのように
 回して泳ぐ。首の浮き袋を膨らませ
 顔を水面から出して息継ぎする。』

ブイゼルという、水タイプのポケモンのようだ。
「それじゃあ僕は……出て来て、ヤヤコマ!」
対するハルは、まずはヤヤコマを出す。
「さあ、早速始めるよ。ブイゼル、ソニックブーム!」
最初に動いたのはブイゼル。二股の尻尾を勢いよく振り抜き、衝撃波を飛ばす。効果抜群ではないがなかなか痛い。
「ヤヤコマ、反撃するよ。エアカッター!」
ヤヤコマも負けじと羽ばたき、風の刃を飛ばし、ブイゼルを切り裂いて反撃する。
「ヤヤコマ、疾風突き!」
「へえ、なかなかやるじゃん。ブイゼル、アクアジェット!」
ヤヤコマが嘴を突き出し、高速でブイゼルへと向かっていく。
しかし。
それよりも早く、水を纏ったブイゼルがヤヤコマを上回るスピードで突っ込み、ヤヤコマを攻撃した。
「えっ!? 疾風突きは先制技のはず……!」
「アクアジェットも先制技なんだ。先制技同士が同タイミングで繰り出されれば、スピードが高いポケモンの方が勝つんだよ」
つまり、スグリのブイゼルはハルのヤヤコマよりも素早いということになる。
「ヤヤコマ、電光石火!」
「遅い遅い、アクアジェット!」
再びヤヤコマが全速力で突っ込んでいくが、やはりブイゼルのアクアジェットのスピードに勝てず、再び攻撃を受けてしまう。
「だったら遠くから……! ヤヤコマ、火の粉!」
一旦ブイゼルとの距離を取り、ヤヤコマは口から無数の火の粉を放つ。
「ブイゼルは水タイプだよ? 炎技なんか怖くないって! 水の波動!」
しかし、ブイゼルの放つ水の弾により火の粉は全て蹴散らされ、水の弾がヤヤコマに直撃した。
「くぅ……ヤヤコマ、エアカッター!」
「とどめ! ブイゼル、瓦割り!」
水の波動の直撃弾を受けても何とか耐え切り、翼を羽ばたかせようとしたヤヤコマだが、ブイゼルがヤヤコマの頭上まで大きく跳躍し、ヤヤコマの頭に手刀を叩き込んだ。
「ああっ、ヤヤコマ!」
ヤヤコマは地面に叩き落とされ、目を回して倒れてしまった。明らかに戦闘不能だ。
「ヤヤコマ、ありがとう。休んでて」
戦闘不能となったヤヤコマをボールへと戻す。最初にエアカッターを一発当てたが、それ以降はブイゼルには大したダメージは与えられなかった。
「よし……それじゃ、次は頼んだよ、リオル!」
ハルの二対目はもちろんリオル。
「へーえ、リオルか。珍しいポケモン連れてるじゃん。それじゃあお手並み拝見っと、ブイゼル、アクアジェット!」
「リオルのスピードなら……! リオル、真空波!」
ブイゼルが体に水を纏い、対するリオルは腕を振って真空の波を飛ばす。
ブイゼルが動き出す直前、真空の波がブイゼルを捉えた。
「へえ、リオルの方が速いのか! ブイゼル、水の波動だ!」
ブイゼルが両手を構えて力を集め、水の弾を放つが、
「リオル、躱して発勁!」
右手に青い波導を纏ってリオルは突っ込んでいく。
飛び上がって水の弾を躱すと、波導を纏った右手をブイゼルに叩きつけた。
「電光石火!」
間髪入れず、リオルはさらに高速でブイゼルに突っ込み、ブイゼルを押し飛ばした。
「やべっ……ブイゼル!」
その一撃で、ブイゼルは倒れて戦闘不能となった。スピード自慢の代わりか、耐久は低いようだ。
「ちぇっ、やっちゃった。ブイゼル、よく頑張った」
ブイゼル単体で押し切るつもりだったのだろうか、スグリは少し悔しそうにブイゼルを戻すと、次のボールを取り出した。これでお互いに一対一だ。
「そんじゃ、第二ラウンドと行きますか」
そう言いながら、スグリが次なるポケモンを繰り出す。