二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第90話 奪還戦 ( No.159 )
日時: 2017/03/06 11:03
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

ハルが連れて来られたのは、町中の広場。
ただ、広場とは言っても他の街にあるような、人々が集まってわいわいできるようなところではなく、とりあえずここなら人が何人も集まれるだろうという程度の広場だ。
ちなみにこの広場に来る前、ハルはポケモンセンターに連れて行かれた。メイゲツ曰く、
「傷ついたポケモンで戦って勝てるような奴じゃねえからな」
とのことだった。
こんな無法地帯でもポケモンセンターはちゃんとあり、ジョーイさんもいて、ポケモンの回復も何の問題もなくできた。
そして、それが終わるとハルは広場に連れて来られ、いよいよこの町一番の実力者とのバトルが始まる。
どこからそんな話を聞いたのか、周りには見物人がぞろぞろと集まってきた。皆この町に住む無法者なのだろう。
「行ってきな、ヴァレン」
メイゲツが名前を呼ぶと、すぐ近くにいた赤い髪の大柄な男が反応して顔を上げる。
以前見た魔神卿アモンには劣るが、それでもかなりの筋肉質で、背も2メートルくらいはある。
「このヴァレンはノワキタウンで二番目に強いポケモントレーナー、俺が最も信頼できる男だ。一番強いのは俺だがな」
メイゲツの紹介を受けて、ヴァレンと呼ばれた大男はハルの向かい側に進み出る。
「手加減は無しだ。いざ、尋常に勝負」
「……ええ。望むところです」
ハルとヴァレンは、同時にボールを取り出す。
「ネル、審判をやれ。公平にな」
さらにメイゲツに指名されたのは、眼鏡をかけた青髪ツインテールの少女。
「はい……それでは、これよりヴァレンさんと、ハルさん……でしたっけ? のポケモンバトルを行います。使用ポケモンは一体です」
「では私からポケモンを出そう。出番だ、ケンホロウ!」
ヴァレンのポケモンは、赤い派手なトサカを持つ雉のようなポケモンだ。

『information
 ケンホロウ プライドポケモン
 オスは頭に大きなトサカを持つ。
 外敵への威嚇やメスへのアピールに
 使われるが飛行の障害になることも。』

見た目通り飛行タイプのポケモン、ケンホロウだ。
「それなら、ルカリオ、出てきて!」
対して、ハルはエースのルカリオで迎え撃つ。
「それでは、バトルスタートです!」
審判の少女の声を引き金に、図鑑とターミナルを賭けたバトルが始まる。
「先手は頂く。ケンホロウ、フェザーガン!」
バトルが始まると同時にケンホロウは翼を開き、飛翔する。
舞踏のように華麗に舞い上がると、ケンホロウは上空から翼を羽ばたかせ、無数の尖った羽根を飛ばす。
「ルカリオ、弾き飛ばせ! ボーンラッシュ!」
対するルカリオは右手から波導を生み出して長い骨の形に変え、骨のロッドを振り回す。
矢のように放たれた無数の羽根は全て弾き飛ばされるが、
「ケンホロウ、アクロバット!」
攻撃が弾かれると、今度はケンホロウが猛スピードで接近、不規則な動きでルカリオを撹乱し、翼を振るって突き飛ばした。
「ケンホロウ、熱風!」
さらにケンホロウは激しく翼を羽ばたかせ、灼熱の風を放射する。
「っ、ルカリオ、躱して!」
起き上がったルカリオは大きく跳躍し、熱い風を躱すが、
「逃がさん。ケンホロウ、鋼の翼!」
翼を鋼鉄のように硬化させたケンホロウが、上空のルカリオへと突撃してくる。
「ルカリオ、発勁だ!」
空中で自由に動けないルカリオは、突っ込んでくるケンホロウへと波導を纏った右手を叩きつける。
鋼鉄の翼と、波導の右手が激突。お互いに一歩も譲らない。
「そこだルカリオ! 波導弾!」
ルカリオの右手を覆う波導が形を変え、念弾として放出される。
拮抗していたところに波導の念弾が撃ち出され、青い波導を浴びてケンホロウが押し戻される。
「ルカリオ、続けてサイコパンチ!」
「そうはさせんぞ。ケンホロウ、フェザーガン!」
拳に念力を纏わせ、一気に殴りかかるルカリオに対し、ケンホロウは素早く体勢を立て直すと、翼を羽ばたかせて無数の尖った羽根を飛ばす。
ルカリオに次々と羽根が突き刺さり、痛みでルカリオの動きが止まってしまう。
「熱風!」
翼を激しく羽ばたかせ、ケンホロウは熱い風を吹き付ける。
灼熱の風がルカリオの体力を蝕みつつ、ハルの元へと押し返す。
「なかなか強い……ルカリオ、僕たちも本気を出すよ!」
ハルの言葉にルカリオは振り返る。ハルの気持ちを感じ取っていたのだろう。
ルカリオと顔を見合わせ、両者は頷く。
「僕と君の、絆の力に応えて! ルカリオ、メガシンカ!」
ハルの腕輪のキーストーンとルカリオの腕輪のメガシンカが反応し、光を放つ。
七色の光に包まれ、ルカリオの容姿が変わっていく。
咆哮と共に光をなぎ払い、ルカリオはメガシンカを遂げる。
「ええっ……!?」
「ほぉ……!」
バトルを見物しているジゼやメイゲツ、他の者たちが驚きの声を上げる。
審判の少女、ネルも、手に口を当てて驚いたような仕草を見せる。
そして、
「貴様……メガシンカの使い手か!?」
何より一番驚愕しているのは、ハルの対戦相手、ヴァレンだ。
「ええ、勝負はここからですよ! ルカリオ、発勁!」
ルカリオの右手から、爆発的な波導が放出される。
波導を纏った右手を構え、地面を蹴って飛び出し、一気にケンホロウとの距離を詰める。
「っ! ケンホロウ、フェザーガン!」
慌てて翼を広げるケンホロウだが、その翼から羽根を撃ち出すよりも早くルカリオに波導の右手を叩きつけられ、ケンホロウは吹き飛ばされる。
「ルカリオ、波導弾だ!」
吹き飛ぶケンホロウに向けて、ルカリオは構えた右の掌から青い波導の念弾を放出する。
「ケンホロウ、アクロバット!」
波導の念弾に翼を叩きつけ、ケンホロウは波導弾を破壊し、
「フェザーガン!」
飛翔して上空から翼を羽ばたかせ、無数の尖った羽根を撃ち出す。
「ルカリオ、ジャンプだ! ボーンラッシュ!」
ルカリオが開いた掌に、長い骨のロッドが作り上げられる。
ロッドを地面に叩きつけ、ルカリオは棒高跳びのように大きく跳躍して一気にケンホロウに近づき、
「サイコパンチ!」
拳に念力を纏わせ、ケンホロウへと拳を突き出す。
「ケンホロウ、負けるなよ! 鋼の翼!」
対するケンホロウも硬化させた翼を振り下ろし、ルカリオの拳を迎撃する。
再び両者の攻撃が激突するが、
「熱風!」
今度はケンホロウの動きが早かった。
灼熱の風を吹き付け、ルカリオを吹き飛ばして地面へと叩き落とす。
「今だケンホロウ! アクロバット!」
「そうはさせない! ルカリオ、発勁!」
狙った獲物を仕留めるかのようにケンホロウが鋭い爪を突き出して急降下し、地面に落ちたルカリオは素早く起き上がると、青い炎の如き波導を纏った右手を突き出す。