二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第92話 暴火 ( No.162 )
- 日時: 2017/04/30 12:06
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: ハルの相手となるのは、ゴエティアの戦闘専門、ベリアル。
「そんじゃ始めるか……おい、そんな身構えんなよ。確かに俺は直接戦闘専門だが、今回は私用だ。お前をぶっ殺してまでキーストーンを奪い取ろうとは思わねえよ。機嫌のいいうちはな」
手の中でモンスターボールを弄びながら、ベリアルが笑う。
「暴火を、ヘルガー!」
ベリアルが繰り出したのは、漆黒の体に悪魔のような角と尻尾を持つ、番犬のようなポケモン。
『information
ヘルガー ダークポケモン
夕暮れ時になると不気味に咆哮を
上げる。それを聞いたポケモンは
慌てて自分の巣へと逃げ帰る。』
「悪と炎タイプ……だったら、出てきて、オノンド!」
対して、ハルが出したポケモンはオノンド。炎技に強く、こちらは瓦割りで弱点を突いていける。
「なら、行くぜ。ヘルガー、火炎放射!」
ヘルガーが大きく息を吸い込むと、その口から灼熱の業火が放射される。他のポケモンのものと比べて、炎が赤黒い。
「オノンド、躱してドラゴンクロー!」
素早く炎を躱すと、オノンドは腕に龍の力を込め、蒼く輝く光の爪を纏い、ヘルガーへと飛びかかっていく。
「おおっと! ヘルガー、躱しな!」
勢いよく連続で振るわれる龍の爪を、ヘルガーは身軽に次々と躱していき、
「悪の波動!」
一瞬の隙を見計らって悪意に満ちた波動を放ち、オノンドを黒い波動の渦に巻き込む。
「続けろ! 放電だ!」
オノンドへ向けて、ヘルガーはさらに電撃を撒き散らす。
「オノンド、一発耐えてシザークロス!」
ドラゴンタイプのオノンドには、電気技は効果今ひとつ。
降り注ぐ電撃を耐え切り、即座にオノンドは地を蹴って飛び出す。
「ヘルガー、押し返してやれよ。火炎放射!」
ヘルガーが再び赤黒い灼熱の業火を吹き出すが、オノンドは跳躍してその炎を躱すと、一気にヘルガーまで接近、二本の牙で瞬時に二度ヘルガーを切り裂いた。
「オノンド、続けて瓦割り!」
体勢を崩すヘルガーに対し、オノンドは叩き割るかのように牙を叩きつける。
だが、
「させねえっつの。ヘルガー、ブラストファング!」
叩きつけられる牙にヘルガーが噛み付く。
その瞬間爆発が起き、オノンドが吹き飛ばされた。
「っ、オノンド!?」
吹き飛ばされたオノンドが起き上がると、その牙が黒く焦げていた。
「どうだい、こいつのブラストファングの威力は。効果今ひとつだからって、何発も受けられるもんじゃねえぜ」
薄ら笑いを浮かべるベリアルとは対照的に、ヘルガーは低く唸り、怒っているような印象を受ける。
「オノンド、あの牙に気をつけて戦うよ。ドラゴンクロー!」
オノンドは頷き、腕に龍の力を纏う。
「どっからでもかかって来いよ。ヘルガー、悪の波動!」
真正面から勢いよく突撃するオノンドに対して、ヘルガーは悪意に満ちた黒い波動の渦を放つ。
執拗に放たれる波動を飛び越え、掻い潜り、オノンドの龍爪がヘルガーを切り裂く。
「ヘルガー、離れろ! 火炎放射!」
体勢を立て直したヘルガーは素早くオノンドから距離を取り、大きく息を吸い込み、灼熱の業火を吹き出した。
「オノンド、躱してシザークロス!」
二本の長い牙を構え、オノンドが突っ込んでいく。
ヘルガーの赤黒い炎を躱しつつ、オノンドへと切りかかるが、
「バカが。ヘルガー、ブラストファング!」
大きく首を振ってオノンドの牙を躱し、ヘルガーがオノンドへと噛みついた。
ヘルガーの牙が食い込むとそこで爆発が生じ、オノンドを大きく吹き飛ばす。
「悪の波動!」
ヘルガーが悪意に満ちた黒い波動の渦を放出する。
体勢を崩すオノンドは、さらに黒い波動に巻き込まれた。
「くそっ、強い……オノンド、大丈夫?」
オノンドは起き上がり、苛立ちを込めたように低く唸る。
「へえ、まだ立ち上がるのかぁ……いいねぇ、潰し甲斐があるってもんだ! さあ、かかって来いよ! まだまだそんなもんじゃねえんだろう?」
「上等だよ……オノンド、瓦割り!」
立ち上がったオノンドは、勢いよくヘルガーへと突っ込んでいく。
一気にヘルガーとの距離を詰め、飛びかかって硬い牙をヘルガーへと叩きつける。
しかし。
「そう来ると思ったぜ。ヘルガー、火炎放射!」
ヘルガーが赤黒い灼熱の業火を吹き出し、突っ込んできたオノンドを逆に炎の中に飲み込んだ。
炎の勢いに押し負け、オノンドは逆に吹き飛ばされてしまう。
「終わりだ。ヘルガー、ブラストファング!」
それでもまだ起き上がろうとするオノンドへ、ヘルガーは容赦なく牙を突き刺した。
爆発が起き、オノンドは爆風に吹き飛ばされ、体を黒く焦がして戦闘不能になってしまった。
「っ、オノンド、お疲れ様。よく頑張ったね」
ハルはオノンドの体の煤を払い、ボールへ戻す。
「お前のオノンドの技は全て接触技だ。俺のヘルガーみたいな特殊技主体の相手には正面切って突っ掛かって来ねえとまともに攻撃すら出来ねえってこった。つまり、俺様はお前を挑発して攻撃させて、あとは待ってるだけで勝てるんだよ」
不敵な笑みを浮かべるベリアルの口調は、余裕も余裕といった感じだった。
「っ……だったら、次は君だ。頼んだよ、ワルビル!」
ハルが二番手に選んだのはワルビルだ。タイプ相性だけを見ればこちらが有利。
「おいおい、また血の気の多そうなやつが来たが……そいつも接触技主体のポケモンだろ」
「それは、どうかな。やってみなきゃ分かんないよ」
そうは言っても、ワルビルも接近戦を得意とするポケモンであることは間違いない。
しかしワルビルには、確実に接近できる技がある。
「まぁいいか。それじゃあ今度はこっちから行くぜ。ヘルガー、火炎放射!」
大きく息を吸い込んで、ヘルガーが赤黒い灼熱の炎を吹き出す。
「ワルビル、躱して!」
対するワルビルは素早く横に逸れ、炎を躱すと、
「穴を掘る!」
地面に穴を掘ってその中に潜り、地中へと身を隠す。
「チッ、なるほどな。面倒なことしやがる。ヘルガー、爆破しろ! ブラストファング!」
悪態をつきながらも、ベリアルの指示は早かった。
ヘルガーは頭を下げ、熱を帯びて赤く光る牙を地面へと突き刺す。
次の瞬間、ヘルガーの周りの地面が爆発し、周囲を纏めて吹き飛ばした。
しかし、
「……あ?」
大地を纏めて吹き飛ばしたはずが、ワルビルはどこにもいない。
そして、
「今だワルビル! 行けっ!」
直後、ヘルガーの真下、足元からワルビルが強襲し、ヘルガーを殴り飛ばした。
「流石に足元の地面まで爆破したら自分もダメージを受ける。だから足元は安全、思った通りだ! ワルビル、噛み砕く!」
体勢を崩すヘルガーを狙ってワルビルは大口を開き、頑丈な牙を食い込ませる。
そのまま顎の力だけでヘルガーを持ち上げ、思い切り地面に叩きつけた。
「舐めてんじゃねえぞ! ヘルガー、悪の波動!」
だがそれでもヘルガーは倒れず、怒りの形相を浮かべて悪意に満ちた黒い波動の渦を放ち、ワルビルを押し戻す。
「近付けさせねえぞ。火炎放射!」
「来るよ! ワルビル、躱して!」
ヘルガーが放つ赤黒い業火を、ワルビルは身を捻って躱していく。
だが際限なく繰り出される炎についに動きを捕捉され、ワルビルが炎を浴びて吹き飛ばされる。
「逃がさねえ! ヘルガー、ブラストファング!」
牙を紅蓮に滾らせ、血走った目を見開き。
体勢を崩すワルビルへ、ヘルガーが牙を剥いて襲い掛かる。