二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第99話 ジムバトル!ノワキジムⅢ ( No.170 )
- 日時: 2017/05/19 14:19
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: vJF2azik)
- 参照: マルガリータさん、追加ポケモンはお早めにお願いします
黒い波動の光線を潜り抜け、オノンドは炎を灯した長い牙をノクタスへと突き立てる。
「っ、ノクタス!」
攻撃直後で防御が一瞬遅れ、ノクタスの脇腹に炎の牙が食い込む。
牙が突き刺さると同時に炎が爆発し、ノクタスがよろめき、数本後退りする。
「シザークロス!」
「そうはいかねえぞ。ニードルガード!」
さらに牙を構えてノクタスへ斬りかかるオノンドに対し、ノクタスは両腕を突き合わせて腕から無数の棘を伸ばし、オノンドの牙を受け止める。
「続けてニードルアーム!」
ノクタスが棘だらけの腕をそのまま振り払い、オノンドを弾き飛ばす。
どうやら、ニードルガードからそのままニードルアームに繋げるのがこのノクタスの得意戦術のようだ。
(やっぱり一番厄介なのはニードルガードだ。どうにかしてあの腕を攻略しないと……)
オノンドの技は全て接触技なので、普通に攻撃していてはどう頑張ってもニードルガードを受けてしまう。
(だったら、ガードの後のニードルアームを防ぐ。それならまだチャンスはあるはずだ)
「よし、オノンド! ノクタスの腕に炎の牙!」
牙に炎を灯し、オノンドは牙を剥いてノクタスに飛び掛かる。
「消火してやるよ。ノクタス、ハイドロポンプ!」
ノクタスが両手を突き出し、体の水分を集め、両掌から二本の水柱を放出する。
水流がオノンドの行く手を阻む。躱せてはいるが、ノクタスとの距離をなかなか詰められない。
「仕方ない……オノンド、ジャンプだ! 瓦割り!」
牙を纏う炎を打ち消し、オノンドは大きく跳躍する。
「ノクタスの水量も限界か……なら、ニードルガード!」
ノクタスは水タイプではないので、無尽蔵に水流を放射し続けることはできない。上空から襲い掛かるオノンドに対し、両腕を突き合わせて無数の棘を伸ばし、防御態勢を取る。
しかし。
「オノンド! 瓦割りを、地面に!」
ノクタスを無視し、オノンドはノクタスのすぐ目の前、その地面に手刀を叩きつけた。
震動がノクタスの体勢を崩し、同時に飛び散る瓦礫の破片や砂煙がノクタスの視界を妨害する。
「今だ! オノンド、ノクタスの腕に炎の牙!」
ノクタスがよろめいたその隙をハルは逃さない。
オノンドが牙に炎を灯して飛び掛かり、ノクタスの右腕に長く鋭い牙を食い込ませた。
牙が突き刺さると同時に炎が爆発し、ノクタスの片腕を黒く焼き焦がす。
「片腕ならくれてやる! ノクタス、悪の波動!」
だがその直後、ノクタスの無事な左腕から漆黒の波動の光線が撃ち出され、オノンドを波動に巻き込んで吹き飛ばす。
「オノンド、ドラゴンクロー!」
波動を受けたオノンドだが、起き上がるとその腕に龍の力を纏わせ、すかさずノクタスへと突撃していく。
「守ってる場合じゃねえな……ニードルアーム!」
ノクタスも今度は防御をせず、左腕から無数の棘を伸ばし、オノンドの爪に合わせて棘だらけの腕を振るう。
オノンドの龍爪とノクタスの棘の腕がぶつかり合うが、やはり地力ではノクタスの方が上。
「まだだ! シザークロス!」
だが先ほどの炎の牙で右腕をやられたのか、左腕を振るったノクタスは僅かにバランスを崩し、追撃が遅れる。
そこに受け身を取って起き上がったオノンドが、再び牙を構えて飛び掛かる。
「しゃあねえ! ノクタス、ニードルガード!」
両腕を突き合わせるノクタスだが、
「ちっ……やっぱりか……」
焼かれた右腕からは飛び出す棘が明らかに少ない。
オノンドのシザークロスは防いだものの、今までのようにすぐさま反撃に出ることができず、
「もう一度シザークロス!」
間髪入れずにオノンドが二対の牙を振るい、今度こそノクタスを切り裂いた。
「ノクタス!?」
草と悪タイプを併せ持つノクタスにとって、虫技は炎技以上に致命的な弱点となる。
元々ノクタスは耐久力もそこまで高くなく、シザークロスを耐え切れずに戦闘不能となってしまった。
「ノクタス、戻りな」
メイゲツはノクタスを戻し、迷うことなく次のボールを取り出す。
「大体分かったぜ、お前の戦い方。どちらかといえば攻撃重視。たまに搦め手や防御に入ることもあるが、基本的にはどう耐えるかよりどう打ち崩すかを重視する。そんな奴には、こいつが適任だな」
三番手が入ったボールを手に取り、メイゲツが次なるポケモンを繰り出す。
「出てきな、ドラピオン!」
『information
ドラピオン 化け蠍ポケモン
自慢のパワーを武器に戦うが格上の
相手と戦うときは猛毒も使用する。
頭が180度回転するので隙がない。』
紫の頑丈な甲殻に身を包んだ巨大な蠍のような、毒と悪タイプのポケモン、ドラピオン。バトルの場に立つと、自身を鼓舞するように鋏を打ち鳴らして野太い声で吠える。
「ドラピオンか……弱点は地面タイプだけ。て言うか、随分と硬そうだな……」
メイゲツの言葉からしても、このドラピオンは攻撃面はもちろん、防御面にも優れているのだろう。
「始めるぜ。ドラピオン、ミサイル針!」
開始早々、ドラピオンは鋏と尻尾から無数の針の弾幕を飛ばす。
「躱せる量じゃないな……オノンド、ドラゴンクローで防御だ!」
両手に龍の力を纏わせ、オノンドは腕を構えて防御体勢を取り、無数の針を凌ぎ切ると、
「炎の牙!」
長い牙に炎を灯し、地を蹴って飛び出し、ドラピオンへ牙を剥く。
しかし、
「ドラピオン、捕まえろ!」
ぐりんっと首を回してオノンドの牙を躱すと、ドラピオンはすぐさま尻尾を伸ばし、鋏でオノンドを捕らえてしまう。
「こっちも炎の牙!」
ドラピオンが牙に炎を灯すと同時に、尻尾を振るってオノンドを放り投げ、オノンドに噛みついて炎で焦がし、さらにそのまま首を振るってオノンドを投げ飛ばした。
「っ、オノンド、ドラゴンクロー!」
それでもまだオノンドは起き上がり、腕に龍の力を構え、再び地を駆ける。
「ドラピオン、ポイズンクロー!」
対するドラピオンは爪に毒を纏わせ、オノンドに向けて腕を振り下ろす。
龍爪と毒爪がぶつかり合い、火花を散らす。
だが。
「そこだ。ドラピオン、辻斬り!」
間髪入れず、ドラピオンがもう片腕を瞬時に振り抜き、オノンドを切り裂いた。
「しまっ……オノンド!」
研ぎ澄まされた一撃がオノンドを切り裂き、そのままオノンドは崩れ落ちるように地面に倒れ、戦闘不能となってしまった。
「っ……オノンド、よく頑張ったね。ゆっくり休んでて」
オノンドをボールに戻し、ハルは次のボールを手に取る。
(ドラピオンの弱点は地面タイプ。だったら、ここで出せるのは君しかいないよね!)
「さあ、今度こそ出番だよ! ワルビル!」
ハルが選んだのはワルビル。自身を鼓舞するように雄叫びを上げる姿を見るに、ヤミラミ戦での疲れはほとんど影響なさそうだ。
「やはりワルビルだろうな。だが考えもなしにぶつかってくるだけじゃ、ドラピオンには勝てねえぜ」
メイゲツの言葉に合わせて、ドラピオンも鋏を打ち鳴らす。オノンドが負けたのを見た通り、ハルにもそれは分かっている。
「それでも勝ってみせますよ。考えなしにぶつからなければ、勝てるってことですよね」
「ほぉ、言うじゃねえか。だったら見せてもらうぜ」
ハルの言葉に対し、メイゲツは不敵に笑ってそう返す。
ワルビルとドラピオンも、互いの敵をその瞳に捉え、睨み合う。