二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第101話 ジムバトル!ノワキジムⅤ ( No.176 )
日時: 2017/05/26 10:05
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「行くよ! ルカリオ、発勁!」
ルカリオが右手を構えると、燃え盛る炎のように青い波導が噴き出す。
そのままルカリオは地を蹴って飛び出し、一気にアブソルとの距離を詰めていく。
「アブソル、ギガスパーク!」
対するアブソルはその場から動かなかった。
迸るオーラを溜め込んで巨大な電撃の砲弾を作り上げ、ルカリオへと放出する。
ルカリオの右手が電撃の砲弾を叩きつける。電撃の砲弾が破裂するが、ルカリオの波導の右手はアブソルには届かず、
「怒りの炎!」
続けてアブソルは憤怒の感情の如く燃え盛る灼熱の業火を放つ。
「炎技……っ! ルカリオ、ボーンラッシュ!」
咄嗟にルカリオは両手から波導を生み出し、長い骨の形のロッドを作り上げる。
ロッドを振り回し、ルカリオは周囲から迫り来る炎を何とか防ぎ切った。
だが、
「イビルスラッシュ!」
爆炎でルカリオの視界を塞ぎ、その上空からアブソルが襲い掛かる。
ルカリオの懐へと潜り込み、額の鎌を瞬時に振り抜き、ルカリオを切り裂いた。
「スプラッシュ!」
「サイコパンチで防いで!」
さらに額の鎌に水を纏わせるアブソルに対し、ルカリオは素早く体勢を立て直し、拳に念力を纏わせる。
エスパー技なのでアブソルにダメージは与えられないが、アブソルの水の鎌を防ぎ切り、
「波導弾!」
拳を開いて青い波導の念弾を零距離で放出し、アブソルを吹き飛ばす。
格闘技はアブソルに効果抜群。一撃で倒せるとは思っていないが、手応えはある。
「攻撃力は侮れねえな。アブソル、立て直すぞ」
やはりと言うべきか、波導弾を受けたアブソルはすぐさま体勢を整える。
「アブソル、ギガスパーク!」
立ち上がったアブソルは額の角に電撃を溜め込み、巨大な電撃の砲弾を作り上げる。
「ルカリオ、ボーンラッシュ!」
骨のロッドを携え、ルカリオが飛び出す。
電気技には地面技で立ち向かえばいい。放たれた電撃の砲弾を難なく粉砕し、その奥にいるアブソルに骨のロッドを叩きつけようとするが、
「遅いぜ。アブソル、スプラッシュ!」
既にそこにアブソルはおらず、直後、ルカリオの頭上からアブソルが襲い掛かり、水を纏った鎌をルカリオへ叩きつけた。
「続けて怒りの炎!」
「だったら、波導弾だ!」
アブソルが燃え盛る豪炎を放射し、ルカリオは両手から青い波導の念弾を放つ。
必中の波導弾は炎の中を突っ切り、アブソルを捉えるが、対するルカリオも灼熱の業火を受け、鋼の体を焦がされていく。
(三タイプの強力な技に加えて、悪タイプの主力技……攻撃面において全く隙がないな……)
メガアブソルの特徴は、何と言ってもこの圧倒的な攻撃性能だ。
攻撃力だけでなく、スピードも相当なもの。ハルの手持ちの中でも相当速いメガルカリオを持ってしても、アブソルに速度で上回られている。
(ここはやっぱり、初心に帰ってタイプ相性通り、きっちりと格闘技を当てていこう。決して勝てない相手じゃないはずだ)
「よし、ルカリオ、発勁!」
ルカリオの右手から炎のように青い波導が噴き出し、ルカリオはアブソルへ突撃していく。
「アブソル、イビルスラッシュ!」
振り下ろされるルカリオの右手に対し、アブソルは額の鎌を叩きつけて発勁を防ぐ。
「ルカリオ、ボーンラッシュ!」
右手を纏う波導を長い骨の形に変え、ルカリオが骨のロッドを掴む。
だが、
「イビルスラッシュ!」
骨を携えたルカリオへ、間髪入れずに二発目の斬撃が叩き込まれる。
黒い鎌を叩きつけられてルカリオは吹き飛ばされ、
「怒りの炎!」
アブソルが灼熱の爆炎を放出し、瞬く間にルカリオの周囲を火の海に変える。
「っ、ルカリオ、躱して! ジャンプだ!」
脚から波導を噴き出して大きく跳躍し、ルカリオは迫り来る炎の壁から脱出する。
「逃すな! スプラッシュ!」
「迎え撃つよ! 発勁!」
鎌に水を纏わせたアブソルがルカリオへと飛び掛かるが、ハルもこの追撃は予測していた。
右手に波導を纏わせ、アブソルが黒い鎌を振り抜くのに合わせて、右手を叩きつける。
「波導弾だ!」
ルカリオの右手とアブソルの鎌が拮抗するが、ルカリオの右手を纏う青い波導が念弾へと形を変え、掌から放出される。
青い波導が炸裂してアブソルを吹き飛ばし、地面へと叩き落とした。
「ルカリオ、ボーンラッシュ!」
手から波導を生み出し、長い骨の形に変えると、着地したルカリオは骨のロッドを握り、地を蹴って飛び出す。
一気にアブソルとの距離を詰め、骨のロッドを振りかぶる。
しかし。

「気張れよアブソル! 足元に怒りの炎!」

立ち上がったアブソルはルカリオの一撃を躱す素振りも見せず、自身の足元に燃え盛る爆炎を放出した。
爆発を起こして炎は燃え広がり、突っ込んできたルカリオを、自身諸共吹き飛ばした。
「なっ……!? ルカリオ!?」
炎の爆発に巻き込まれ、ルカリオが吹き飛ばされる。
自ら放った爆炎にアブソルも巻き込まれているが、アブソルと違い、ルカリオは炎技を効果抜群で受けてしまう。ダメージはルカリオの方が大きい。
「ルカリオ、大丈夫!?」
ルカリオは何とか立ち上がるが、その体毛や鋼の体は所々黒く焦げ付いている。
だがアブソルも無傷ではない。白い体毛は相変わらずオーラを迸らせて白く輝いているが、その表情には明らかに疲れが見て取れる。
「ルカリオ、まだ行けるよね……! この勝負、絶対勝つよ!」
ハルの力強い言葉に、ルカリオは振り返り頷く。
それと同時に。
「……おぉ!?」
メイゲツ、そして周りで観戦しているノワキタウンの住人が、驚きの声を上げる。
ルカリオの体を纏う波導が、さらに力を増していく。
「……なぁるほど。ピンチになればなるほど力を増す生命力、波導の力か。面白え、アブソル! こっちも負けてらんねえぞ!」
メイゲツの声に呼応し、アブソルも白き体毛を纏うオーラをさらに展開させ、ルカリオを威圧する。
「行くよ! ルカリオ、発勁!」
「上等! アブソル、ギガスパーク!」
激しく燃え盛る炎のような波導を右手に纏い、ルカリオが地を蹴って飛び出す。
対するアブソルは額に電気を込め、作り上げた電撃の砲弾を発射する。
波導の右手は電撃の砲弾を叩きつけ、競り合った末に砲弾を破壊する。
「ボーンラッシュ!」
「スプラッシュだ!」
ルカリオが右手を纏う波導を長い骨のロッドに変えると同時に、アブソルは額の鎌に水を纏わせ、突っ込んで行く。
流れるような骨の連続攻撃を叩き込むルカリオに対し、アブソルも水を纏った鎌を振り回し、両者とも互角に渡り合う。
「そこだ! アブソル、イビルスラッシュ!」
一歩も譲らず競り合う二体だが、一瞬の隙をメイゲツは見逃さなかった。
瞬時に額の黒鎌か振るわれ、ルカリオを叩き飛ばした。
「アブソル、次で決めるぞ。イビルスラッシュ!」
吹き飛ばされるルカリオを追い、アブソルは一気に距離を詰めて行く。
地面に落ちたルカリオに飛び掛かり、死神の鎌の如き黒い鎌を振るう。
その、直前。

「そこだ! ルカリオ、波導弾!」

地面に倒れたルカリオが、決死の力で右手を突き出し、青い波導の念弾を撃ち出した。
飛び掛かろうとしたアブソルの腹部に波導の念弾が直撃し、アブソルを宙へと打ち上げる。
「っ……な……!」
「これで終わらせるよ! ルカリオ、発勁!」
立ち上がると同時に、ルカリオは跳んだ。
渾身の力を込めて燃え盛る波導を纏った右手を振るい、アブソルを叩きつける。
「アブソル……!」
波導の右手を叩き込まれ、アブソルは地面に叩きつけられる。
地面に倒れ伏したアブソルの体を七色の光が包み、メガシンカが解除される。
すなわち。
「……あ、アブソル、戦闘不能です。よって……勝者、チャレンジャーのハルさん……!」
青い髪の少女、ネルが、恐る恐る口を開く。
地面に倒れていたアブソルは、完全に戦闘不能だった。