二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第106話 砂嵐 ( No.182 )
日時: 2017/06/06 09:51
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

「前回は一体だけだったが、今回はポケモン二体ずつの勝負だ。いいな」
ハルの前に立ちはだかるのは、パイモンが雇ったゴエティアの用心棒、パラレル。
パラレルがモンスターボールを取り出し、ポケモンを繰り出す。
「我が力を示せ、ネンドール!」
パラレルのポケモンは、土で作った宙に浮く人形とでも言うべきか、とにかく奇妙な姿のポケモン。さらに顔全体を囲むように八つもの目がある。

『information
 ネンドール 土偶ポケモン
 二万年前に栄えた古代文明によって
 作られた痕跡があるが詳細は不明。
 両手からはビームを発射できる。』

図鑑によれば、地面とエスパータイプを併せ持つポケモンのようだ。
対して、ハルの横に立つエーフィが、ネンドールの相手をすべく自ら進み出る。
「分かった。それじゃエーフィ、君の出番だ」
「始めるぞ。ネンドール、砂嵐!」
バトルが始まると同時に、ネンドールは高速回転と共に体から砂を撒き散らし、部屋一帯に砂嵐を吹かせる。
「くっ、砂嵐か……いきなり厄介だな……」
カタカゲジムで経験した通り、砂嵐下では岩、地面、鋼以外のタイプのポケモンは少しずつ体力を削られてしまう。
「天候的には不利だけど、エーフィ、ここは頼んだよ。まずはスピードスター!」
ハルの言葉にエーフィは頷くと、二股の尻尾を振り、無数の星型弾を飛ばす。
「ネンドール、サイコキネシス!」
対してネンドールの八つの目が妖しく光り、強い念力を発生させる。
飛んで来る星型弾に念力を仕掛け、弾同士をぶつけて破壊すると、
「冷凍ビーム!」
土塊のような両手を胴体から切り離して宙に浮かせ、その両手から凍える冷気の光線を発射する。
「エーフィ、躱してシャドーボール!」
冷凍ビームを掻い潜り、エーフィは額の珠から黒い影の弾を放出する。
ネンドールの頭部に影の弾が直撃し、空中で仰け反るが、
「大地の力!」
両手が動き、地面に突き刺さる。
その直後、エーフィの足元から土砂が噴き出し、エーフィを空中へと打ち上げる。
「ネンドール、サイコキネシス! 砂嵐を操れ」
体勢を立て直したネンドールが両手を引き寄せ、八つの目を光らせて念力を発生させる。
砂と風に念力を仕掛けてその動きを操作し、砂の竜巻を作り上げ、エーフィへと向かわせる。
「エーフィ、マジカルシャイン!」
対するエーフィの額の珠が白く輝き、その周囲へと純白の光が放出される。
エーフィを守るように周囲に放たれた光が、砂の竜巻を防ぎ切った。
「ならば直接攻撃。もう一度サイコキネシス!」
「エーフィ、こっちはサイコショット!」
再びネンドールの八つの目が妖しく光ると同時に、エーフィの額の珠に念力が溜め込まれていく。
ネンドールが強い念力の波を撃ち出すと同時に、エーフィが念力の弾を放出する。
二つの念力はぶつかり合い、競り合った末に念力の弾が打ち勝つも、弱まった念弾は砂嵐に妨害されて掻き消されてしまう。
「ネンドール、大地の力!」
「エーフィ、躱してスピードスター!」
ネンドールが両手の先端を地面に差し込み、エーフィの足元から土砂を噴出させる。
だがエーフィは跳躍してそれを躱すと、二股の尻尾を振り抜き、無数の星型弾を飛ばす。
「冷凍ビーム!」
星型弾が命中するが、ネンドールは僅かに体を揺らす程度で留まり、両手の先からすかさず冷気の光線を発射する。
空中のエーフィにビームが直撃し、エーフィは床へと撃墜される。
「エーフィ! 大丈夫?」
叩き落とされたエーフィはすぐさま立ち上がり、体勢を整える。スピードスターの反応やエーフィの被ダメージから考えるに、どうやらこのネンドールは火力よりも耐久力に優れたポケモンのようだ。
「攻撃を続けろ。ネンドール、サイコキネシス!」
「ならエーフィ、こっちはシャドーボール!」
ネンドールが強い念力を発生させ、念の波へと変えて周囲へ放出する。
対するエーフィは念力の波を躱しつつ額に黒い影を溜め込み、黒い影の弾を発射する。
「冷凍ビーム!」
対するネンドールの両手の先から、冷気の光線が撃ち出される。
影の弾を氷漬けにして破壊し、さらに周囲の床を薙ぎ払う。
冷気の光線は床を凍らせ、着地したエーフィが滑って体勢を崩す。
「大地の力!」
そしてその隙を逃さず、ネンドールが床から土砂を噴き出させ、氷を砕き、エーフィを吹き飛ばした。
「捉えろ。冷凍ビーム!」
「させない! マジカルシャイン!」
宙に打ち上げられたエーフィを狙い、ネンドールが両手の先から冷気の光線を放つ。
対して、エーフィは額の珠から純白の光を周囲に放出し、光線を防いだ。
「あの中心だ。光が消えたところを狙え。サイコキネシス!」
純白の光が収まったところを狙って、ネンドールは念力を発生させ、念力の波を放つ。
しかし、
「今だ! エーフィ、シャドーボール!」
既にエーフィはそこにはおらず、ネンドールの近くまで接近しており、額の珠から黒い影の弾を放つ。
ネンドールの腹部に直撃した影の弾が炸裂し、その体勢を大きく崩す。
「エーフィ、サイコショット!」
「っ、ネンドール、立て直せ。サイコキネシス!」
続けてエーフィが念力を一点に集めた弾を発射するが、ネンドールは強い念力を操り、念力の弾を何とか食い止める。
「続けてスピードスター!」
「もう一度サイコキネシス!」
エーフィが尻尾を振り抜き、無数の星型弾を放つが、再びネンドールは強い念力を操作して星型弾の動きを操り、弾同士をぶつけて破壊してしまう。
「だったら、シャドーボール!」
エーフィの額の珠が黒く染まり、黒い影の弾が放たれる。
「ネンドール、大地の力!」
対するネンドールの両手が、今度はタイミングをずらして地面に刺さる。
まずネンドールの目の前に土砂が噴き出し、影の弾を防ぐ。
続けて第二波がエーフィの足元から噴射し、エーフィを宙へ打ち上げた。
「攻撃を続けろ。サイコキネシス!」
さらにネンドールは八つの目を怪しく光らせ、宙を舞うエーフィに念力を掛ける。
「っ、エーフィ! 抜け出して!」
同じエスパータイプゆえ、念力は効き目が薄い。ネンドールがエーフィを床に叩きつけようとするが、その前にエーフィは何とか自らの動きを封じる念力を打ち破った。
「……風が弱まって来たか」
パラレルがふと呟く。
ハルも気づいた。時間の経過により砂嵐の効果が切れかかっているのか、部屋一帯に吹き荒れる砂嵐が勢いを失くして来ている。
「ネンドール、もう一度砂嵐だ」
ネンドールは高速回転と共に体から砂を撒き散らし、フィールドに再び強い砂嵐を吹かせる。
しかし。
「エーフィ、シャドーボール!」
砂嵐を使ったその瞬間は、ネンドールは隙だらけとなる。
一気にネンドールとの距離を詰め、至近距離から黒い影の弾を放出する。
ネンドールの顔面に直撃し、その体勢が崩れる。
「一気に攻めるよ! エーフィ、マジカルシャイン!」
エーフィの額の珠が白く輝き、エーフィを中心としてその周囲に純白の光が放出される。
「っ、ネンドール——」
パラレルが指示を出そうとするが、間に合わない。
回避する余裕もなく、ネンドールは白い光の中に飲み込まれた。
徐々に弱まっていく光の中で、ネンドールはゆっくりと床に墜落し、戦闘不能となる。
「……ネンドール、戻れ」
無愛想なまま、パラレルはネンドールをボールへと戻す。
とりあえずは、ハルが先手を取る。しかし、まだまだ油断はできない。
「では、次はこのポケモンだ」
砂嵐の中、黒いコートをたなびかせ、パラレルは二番手のボールを手に取る。

「我が力を示せ、ガブリアス!」