二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第117話 ジムバトル!イザヨイジムⅡ ( No.195 )
- 日時: 2017/06/24 13:11
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: UcGDDbHP)
ハル対マキナ、フィールドは雨。
ハルのファイアローがまず一体先取し、マキナの二番手、ジバコイルが現れる。
「ファイアロー、ニトロチャージ!」
炎を体に纏い、ファイアローは勢いよく突撃していく。
雨の影響を受けて炎の勢いが少し弱まるが、それでも威力はなかなか。
「ジバコイル、そのままヨ」
対するジバコイルは動かなかった。三つのユニットを回転させて静かに力を溜めつつ、ファイアローの攻撃を正面から受け切る。
「ファイアロー、続けて鋼の翼!」
立て続けのニトロチャージで麻痺した分の素早さは戻した。さらにファイアローは旋回しながら翼を鋼の如く硬化させ、再びジバコイルへと向かっていく。
しかし。
「ジバコイル、雷ヨ」
ジバコイルが三つのユニットから電気を上空の雨雲へと放つ。
次の瞬間。
雷鳴と共に、電撃の槍のような雷が瞬時にファイアローへと降って来た。
「なっ……!?」
雷にその身を貫かれ、ファイアローが床へと撃墜される。
「もう一度、雷ヨ」
さらにジバコイルが三つのユニットを回転させると、立て続けに落雷が起こる。
再び雷撃の槍がファイアローに炸裂し、たった二発で戦闘不能にまで追い込んだ。
「ファイアロー……! そんな、バカな……」
最初のクレッフィ戦でファイアローは全くダメージを受けていなかった。それが効果抜群とはいえ、たった二発で戦闘不能にまでされてしまうとは。
「私のジバコイルの特性は、アナライズ。相手より後に動いて攻撃すると、威力が上がるのヨ。さらに雨が降っている時、雷は必中。躱すことは出来ないわヨ」
得意げに語るマキナの緑色の右目が、小さくピカピカと光る。
「そういうことか……ファイアロー、交代させなかったのは僕の判断ミスだ。ごめんね、休んでて」
ハルがファイアローの嘴を撫でると、ファイアローは気にするなとでも言うかのように首を振り、ハルの目をまっすぐ見つめる。
ファイアローをボールに戻し、ハルは二番手を考える。
(さっきのクレッフィとはうって変わって、このジバコイルは火力がえげつない。多分、オノンドの耐久だと効果今一つでも大ダメージを受けるよね……しかもこの雨で炎の牙は効果が薄いし。ファイアローでの反省を生かせないけど、ここはやっぱりワルビアルに任せるしかない)
やむを得ない。雨を受けて不利になっても、躱せない必中の電気技を防げるポケモンを選ぶのが賢明だ。
「出てきて、ワルビアル!」
ハルが二番手に選ぶのは、電気技を無効化できる地面タイプのワルビアル。
「ワルビアル、雨はあまり得意じゃないだろうけど、ここは君しかいない。頼んだよ」
降り注ぐ雨を見てワルビアルは少し顔をしかめるが、ハルの言葉に応えて大きな雄叫びを上げる。
「ワルビアル、まずはストーンエッジ!」
ワルビアルが握り締めた拳を地面に叩きつけると、そこからジバコイルに向けて無数の尖った岩の柱が出現する。
「ジバコイル、砕きなさい。磁力線」
三つのユニットを回転させ、ジバコイルが周囲に磁力を発生させる。
一気に強められた磁力によって荒ぶる磁力の波が発生し、放たれた磁力の波は襲い来る岩の柱を纏めて破壊し、さらにワルビアルを吹き飛ばす。
「シャドークロー!」
ワルビアルは勇ましく一声上げると鋭い爪に黒い影を纏わせ、影の爪を構えてジバコイルへ飛びかかっていく。
「止めるだけなら簡単なのよネ。ジバコイル、雷」
ジバコイルがユニットを回すと、天から雷撃の槍が降り注ぐ。
ワルビアルにダメージはないものの、雷によって腕を纏う黒い影が打ち消されてしまう。
「だったら、噛み砕く!」
だがワルビアルの動きはそこで止まらない。
腕の影を打ち消されたが、即座に大顎を開いて襲い掛かり、ジバコイルの鋼のボディに頑丈な牙を突き立てる。
しかし、
「……?」
思っていたよりもワルビアルの攻撃のダメージが少ない。
というか、ワルビアルが牙を食い込ませようとした瞬間、その部位が光り輝き、牙を防いでいるように見える。
「あれって……!」
「ジバコイル、磁力線」
ジバコイルの三つのユニットが回転すると同時に荒れ狂う磁力の波が起こり、噛み付いてきたワルビアルを逆に吹き飛ばしてしまう。
「ワルビアル! っ、今の光……」
ジバコイルを一瞬覆ったのは、先ほどクレッフィが使ったリフレクターの光に酷似していた。
咄嗟にハルは図鑑を取り出し、技を調べる。
「リフレクター……物理攻撃のダメージを、一時的に半減させる……!?」
「その通りヨ。ついでに光の壁は特殊攻撃のダメージを半減するノ。この技は技を使ったクレッフィが場を離れた後もしばらく続くから、今のジバコイルは耐久力が二倍ヨ」
「なっ……2倍……!?」
ようやくハルには分かった。
先発でいとも容易く倒れたクレッフィ。次のポケモンに少しでも補助技の効果を与えるために、マキナはわざと耐久力を下げていたのだ。
「まずいね……どうにかワルビアルの地震を当てたいけど、あのジバコイル、浮いてるんだよね……」
ジバコイルは飛行タイプではないし、浮遊の特性を持つわけでもないので、地面技は効果抜群で通る。
しかし、地震は地面を揺らして衝撃波を起こす技。当てるためには、浮いているジバコイルを地面に叩き落とす必要がある。
「だけど、その方針で行くしかない……ワルビアル、もう一度噛み砕く!」
大きく口を開き、ワルビアルはジバコイルへと飛び掛かる。
「ジバコイル、トライアタック」
牙を突き立てられたジバコイルの前方の二つのユニットが動き、さらに頭部のアンテナが輝く。
「ワルビアル! 投げ飛ばして、地震だ!」
ワルビアルは大顎を振るってジバコイルを投げ飛ばし、地面へと叩きつける。
そのまま地面を蹴りつけて地面を揺らそうとするワルビアルだが、
「撃ちなさい」
地面に落ちたままのジバコイルのユニット二つとアンテナから、それぞれ炎、氷、雷を模した三色の光線が撃ち出される。
地面を揺らそうと急降下するワルビアルを光線が吹き飛ばし、ジバコイルは体を震わせると再び空中へ浮上してしまう。
「っ、いいチャンスだったのにな……」
吹き飛ばされたワルビアルは悔しそうに唸りつつ、まだ立ち上がる。
やはりリフレクターが厄介だ。ダメージが少なくなることで、結果的にジバコイルの反撃速度を早めてしまっている。
ハルが天井を見上げると、雨は未だ勢いを衰えることなく降りしきっている。
「ワルビアル、ストーンエッジ!」
雄叫びと共にワルビアルは拳を地面へ叩きつけ、床から尖った岩の柱を次々と出現させる。
「ジバコイル、磁力線」
ジバコイルが三つのユニットを回転させ、磁力が一気に強まり、荒れ狂う磁力の波を巻き起こす。
磁力が無数の岩を破壊するが、
「シャドークロー!」
磁力線を躱して、粉砕された岩と砂埃の中を突破し、ワルビアルは黒い影を纏わせた鋭い爪を振るう。
ジバコイルに斬撃を与え、再びジバコイルを床へと落とす。
「もう一度! ワルビアル、地震だ!」
空中から急降下し、ワルビアルは思い切り床を踏みつけ、地面を揺らして衝撃波を起こす。
衝撃波が円状に床を這い、今度こそジバコイルを捉え、吹き飛ばした。
「一気に畳み掛けるよ! ワルビアル、噛み砕く!」
宙を舞うジバコイルに狙いを定め、ワルビアルは地を蹴って飛び出す。
そのまま大顎を開き、ジバコイルに頑丈な牙を突き立てる。