二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第118話 ジムバトル!イザヨイジムⅢ ( No.196 )
- 日時: 2017/06/26 11:33
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
ワルビアルが大顎を開き、ジバコイルへと襲い掛かる。
頑丈な牙を、ジバコイルの鋼のボディへと突き立てる。
その、瞬間。
「ジバコイル、ハイドロポンプ」
前方の二つのユニットがフル回転し、直後、パイモンのスターミーもかくやというレベルの高水圧の大量の水が放出された。
「なっ……水技!?」
極太の水柱に押し流され、ワルビアルが地面へと叩きつけられる。
「磁力線ヨ」
ジバコイルの三つのユニットが回転して磁力が一気に強まり、荒れ狂う磁力の波が巻き起こる。
床に倒れたワルビアルは磁力の波に巻き込まれてさらに吹き飛ばされ、戦闘不能になってしまう。
「くっ……ワルビアル、よく頑張った。休んでて」
ワルビアルをボールへ戻すと、ハルはジバコイルの方に視線を戻す。
炎技を弱める、雷を必中にする。ジバコイルに有利に働いてきた雨だが、それにはもう一つ効果がある。
それが先ほど発揮された。水技の威力を上げるという効果だ。
さらにジバコイルの特性、アナライズも上乗せされ、結果的にジバコイルの放ったハイドロポンプは威力が跳ね上がり、ワルビアルに致命傷をを負わせた。
「ハイドロポンプを隠しておいて正解だったワ。一度見せたら、絶対に警戒されてしまうものネ。だけど、あの地震はなかなか効いたわヨ」
フフフ、とマキナは小さく笑う。点滅する緑色の機械の右目が、ハルに焦点を合わせる。
「次は君だ。ここでジバコイルを止めるよ! 出てきて、オノンド!」
ハルが三番手に選ぶのは、有効打を持つオノンド。
「なるほど、ドラゴンタイプのポケモンネ。でも、タイプ相性くらいじゃ私のジバコイルの雷は止められないわヨ?」
「分かってます。でも、こっちにも策はあります。そろそろそのジバコイルを倒さないと、こっちもまずいので」
「なるほどネ。それじゃ、見せてもらおうかしら」
オノンド対ジバコイルのバトルが始まるが、
「オノンド、僕が指示を出すまで、動いちゃだめだよ」
積極的な攻撃が得意なオノンドだが、ハルはオノンドに攻撃の指示を出さない。
マキナも明確な指示を出さず、ハルとオノンドの動きを探る。
そして。
「うーん……ジバコイル、雷」
天井を見上げて顔をしかめ、マキナが遂に指示を出す。
雨が弱まってきた。ジバコイルは電気を空に送り、オノンドの上空から必中の雷撃の槍を落とす。
「それを待ってた! オノンド、一発耐えて、瓦割りだ!」
雷がオノンドを撃ち抜くが、先程までと比べて威力がない。
電撃を耐えてオノンドは一気にジバコイルとの距離を詰め、手刀をジバコイルの頭部へ叩き込んだ。
「っ……!」
マキナの表情が変化する。
その刹那、ジバコイルを覆う光の壁が、粉々に砕け散った。
「今のは……いや、考えるのは後だ! オノンド、もう一度!」
地面に叩き落とされたジバコイルを狙い、再びオノンドは手刀を振り下ろす。
ジバコイルは再び吹き飛ばされ、壁に激突して地面に落ち、戦闘不能となってしまう。
「二体倒せば仕事としては充分ヨ。ジバコイル、休んでてネ」
マキナがジバコイルを戻すと同時に、雨乞いの効果が切れ、雨が止む。
ジバコイルを倒すために、ハルは考えたのだ。
ジバコイルの圧倒的な火力は、アナライズの特性によって得られている。相手の動きより後に技を繰り出すと、その威力が上がるというもの。
だからハルは、ジバコイルが動くまで攻撃の指示を出さなかった。ジバコイルが痺れを切らして先に動けば、技の威力が落ちる。お互いに睨み合いが続けば、やがて雨は止む。どっちに転んでも、ハルには有利な展開になると考えたのだ。
「そういえば、瓦割りの効果を知らないみたいネ」
先ほどのハルの様子を見ていたマキナが、ハルへ言葉を掛ける。
「さっきのは偶然だったみたいだけど、瓦割りには光の壁やリフレクターを破壊する効果を持つのヨ。覚えておきなさいネ」
光の壁が砕けたのは、どうやら瓦割りの効果だったようだ。
雨が止み、ポケモンの数が五分五分に戻ったところで、マキナが三体目のポケモンを繰り出す。
「おいで、ギギギアル」
マキナの三番手は、複数の歯車が組み合わさったような奇妙な姿のポケモン。小さな二つの歯車の背後に大きめの歯車、その下部に赤いコア付きの歯車、そして棘の生えた大きいリングで体が構成されている。
『information
ギギギアル 歯車ポケモン
回転してエネルギーを作り出し
赤いコアに蓄積する。機械の
動力源として活躍することもある。』
『機械仕掛けの女王』の異名を持つマキナには、ぴったりのポケモンだ。タイプは鋼タイプのみ。
「鋼タイプだけか……それなら、まだ戦いやすいかな」
オノンドは炎の牙と瓦割り、鋼タイプに効果抜群を取れる技を二つ持っている。
「雨も無くなったし、勝負はここからだ。オノンド、行くよ! まずは炎の牙!」
オノンドが長いふたつ牙に炎を灯し、地を蹴って飛び出す。
「ギギギアル、ギアソーサー」
対するギギギアルは、体を構成する小さい歯車の部分を二つ発射する。
オノンドの左右に回り込む二つの歯車は、そのままオノンドを挟み込んで締め付け、さらに回転してダメージを与える。
「っ、オノンド、振り払って!」
その場で暴れ、オノンドは歯車の拘束から逃れる。
弾かれた二つの小さな歯車は、引き寄せられるように元あった場所へと戻る。
「だったら、これならどうだ。オノンド、ドラゴンクロー!」
両手に龍の力を纏わせ、オノンドは蒼い光の爪を纏わせ、再びギギギアルへと突撃する。
「ギギギアル、ギガスパーク」
対するギギギアルが歯車の体を一斉に回転させる。
急速なエネルギーチャージによって赤いコアが光を放ち、エネルギーを核として巨大な電撃の砲弾が作り上げられ、オノンドを迎撃すべく発射される。
「オノンド、躱して! 上からだ!」
大きく跳躍して電撃の砲弾を躱し、オノンドは上空から急降下して両手の爪を振り抜き、ギギギアルを切り裂く。
「逃さないで。ギギギアル、ギアソーサー」
体勢を崩すギギギアルが、小さい歯車を二つ飛ばす。
二つの歯車はオノンドを挟んで持ち上げ、地面へと叩きつけて吹き飛ばす。
「オノンド、大丈夫?」
ハルの元まで戻されたオノンドはすぐに起き上がり、頷く。
(なかなかトリッキーで戦いづらい。あの歯車、独立して動けるのか……厄介だな)
恐らくオノンドの動き方やスピードを全て計算し、確実に当たる位置へ歯車を投げているのだろう。
となれば、歯車を投げられてから命中するまでのごく短い時間で対処しなければならない。
ハルが思考を巡らせてる間に、
「ギギギアル、ギアチェンジ」
マキナは次の手に出る。
ギギギアルの体を構成する歯車が一瞬回転を停止し、一斉に逆回転を始める。
回転の変化によってエネルギーがチャージされ赤いコアが光りだし、ギギギアルのパワーを向上させる。
「見た感じ、積み技かな……えっと」
ハルは図鑑を取り出して技を調べる。
「ギアソーサー……攻撃力と、素早さまで上げるのか。これはこれ以上積ませるわけにはいかないね」
ギギギアルを見ると、若干回転速度が上がっている。能力上昇の影響だろうか。
「オノンド、炎の牙!」
斧のような牙に炎を纏わせ、オノンドは突撃して行く。
対して、
「ギギギアル、ぶち壊す」
赤いコアのエネルギーを駆け巡らせ、ギギギアルが全身に力を滾らせ、こちらも突撃を仕掛ける。
炎の牙を構えたオノンドと、力を溜め込んだギギギアルが激突。
だが攻撃力の上がった影響か、徐々にオノンドは押され、競り合った末にギギギアルが打ち勝ち、オノンドが吹き飛ばされる。
「まだまだ! オノンド、瓦割り!」
オノンドはすぐさま起き上がり、雄叫びと共に駆け出す。
「ギギギアル、ギアソーサー」
突っ込んでくるオノンドの動きを瞬時に計算し、ギギギアルは二つの歯車を投げる。
「オノンド、躱して!」
挟み込まれる寸前にオノンドは跳躍し、今度こそギアソーサーを躱す。
そのまま一気にギギギアルへと飛び掛かり、手形を振り下ろし、ギギギアルを床へと叩き落とす。