二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第119話 ジムバトル!イザヨイジムⅣ ( No.197 )
日時: 2017/06/27 09:33
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

オノンドが手刀を叩きつけ、ギギギアルは床へと落ちる。
しかしその直後、先ほどオノンドが躱した小さな歯車が戻ってくる。
戻ってきた歯車はオノンドを挟んで締め上げ、そのまま投げ飛ばす。
「ギアソーサーは最大二回まで攻撃できるノ。一度目を躱したからって、油断しちゃいけないわヨ」
歯車はギギギアルの元へと戻ってまた回転を始め、ギギギアルは再び浮上する。
「っ、なるほど……」
ハルはオノンドの方に目をやる。
オノンドも結構体力を消耗している。ギギギアルは攻撃力が上がっているため、撃ち合いになると不利だ。
「オノンド、ドラゴンクロー!」
両手に龍の力を纏わせ、蒼い光の爪を構えてオノンドが飛び出す。
「ギギギアル、ギアソーサー」
対するギギギアルは再び二つの小さな歯車を飛ばす。
「オノンド、弾け!」
両手を振るって左右から飛んでくる歯車を弾き飛ばし、オノンドは突き進む。
「炎の牙!」
歯車は弾き飛ばされてギギギアルの元へ戻ってしまい、オノンドが炎を灯した牙を振り抜き、ギギギアルを切り裂いた。
「オノンド、瓦割り!」
「ギギギアル、ぶち壊す」
さらに上空からオノンドは手刀を振り下ろす。
一方ギギギアルの全ての歯車が回転し、赤いコアにエネルギーが溜まる。
チャージされたエネルギーを体内に駆け巡らせ、ギギギアルはフルパワーでオノンドに激突する。
お互いの攻撃が激しく競り合うが、
「ギガスパーク」
全身にエネルギーを駆け巡らせたギギギアルの体に、電気が迸る。
電撃を体全体に纏い、ギギギアルは巨大な電撃の砲弾を放ち、オノンドを吹き飛ばした。
「っ!」
「とどめヨ。ギギギアル、ぶち壊す」
吹き飛ばされたオノンドへ、ギギギアルが渾身の力を込めて突っ込んでくる。
オノンドに激突し、オノンドは派手に吹き飛ばされ、床をバウンドしながら転がった。
「オノンド!?」
床に落ちたオノンドは手足を震わせて起き上がろうとするが、そこで力尽きて再び倒れ、戦闘不能となった。
「ここまでか……オノンド、お疲れ様。ゆっくり休んでて」
オノンドの頭を撫で、ハルはオノンドをボールへと戻す。
(今のギギギアルは攻撃力が上がってる。特にあの歯車の回転させた攻撃が……回転?)
ここでハルは思いついた。この方法なら、ギギギアルを倒せるかもしれない。
「……よし。初陣だ、頼んだよ。出てきて、ラプラス!」
四番手にハルが選んだのは、最近仲間になったばかりのラプラス。
ハルの作戦通りに行けば、確実にギギギアルを倒せる。
「あら、そのラプラス、アルス本社にいた子に似ているわネ。もしかして?」
「ええ。研究者の人たちが、お礼にって、ラプラスを譲ってくれたんです」
「なるほど。その子は珍しいポケモンなのヨ、大切に育ててあげてネ」
ラプラスを見てマキナは軽く微笑み、
「だけど、バトルは別ヨ。顔見知りのポケモンだからって、手加減はしないワ」
「勿論です。このラプラスなら、ギギギアルを倒すことができます」
「それじゃ、見せてもらうわヨ。ギギギアル、ギガスパーク」
ギギギアルの全身の歯車が回転し、赤いコアが激しく光りだす。
溜まったエネルギーを核として電撃が集まり、巨大な電撃の砲弾が放たれる。
「ラプラス、ハイドロポンプ! 軌道を変えて!」
ラプラスが大きく口を開き、鞭を振るうように大量の水流を放つ。
横から電撃の砲弾を叩き、砲弾は軌道が逸れ、ラプラスのすぐ横を通過していく。
「もう一度だ!」
すかさずラプラスはもう一度水流を吹き出す。
「ギギギアル、ギアソーサー」
ギギギアルの体を構成する二つの小さい歯車が放り投げられ、ラプラスへと向かってくる。
ギギギアルが水流を受けて押し流され、対してラプラスは二つの歯車に挟まれ、締め上げられる。
「ギギギアル、ぶち壊す」
二つの歯車を引き戻し、再びギギギアルは全身の歯車を回転させる。
再び赤いコアが光を放ち、今度はチャージされたエネルギーが全身を駆け巡り、ギギギアルに力を滾らせていく。
力を溜め込んだギギギアルが、渾身の突撃を仕掛ける。
しかし。

「それを待ってた! ラプラス、フリーズドライ!」

ラプラスが口を開き、氷点下の凍える冷気を放つ。
氷技はギギギアルに効果今一つ、しかし、ハルの狙いはそこではない。
ラプラスの放ったハイドロポンプによって、ギギギアルの体は濡れている。
つまり。
回転しながら突撃するギギギアルが、徐々に凍りついていく。ギギギアルの体が急速に冷やされ、濡れていた部分が凍っていくのだ。
「っ、やるわネ……!」
氷が邪魔をし、ギギギアルの歯車の体は回転することができなくなる。
そして回転ができなくなれば、ギギギアルは力を発揮できない。全身に溜め込んだパワーをみるみるうちに失い、墜落してしまう。
「これで決めるよ! ラプラス、ハイドロポンプ!」
再びラプラスが大量の水流を放射し、ギギギアルを押し流した。
水流に押され、ギギギアルは壁へ叩きつけられる。体を覆う氷は砕けるが、同時に体力も尽き、戦闘不能となってしまう。
「ギギギアル、お疲れ様。休んでてネ」
ギギギアルをボールに戻し、マキナはハルの方へ向き直る。
「なかなかやるじゃないノ。技の特徴をよく生かせているわネ」
「ありがとうございます。このラプラス、とっても賢いんですよ」
「そうみたいネ。では、次はこの子よ」
マキナが手にしたモンスターボールから、四番目のポケモンが現れる。
「おいで、アイアント」
鋼の装甲で全身を纏った姿をしているが、シルエットは完全に目の赤い大きなアリだ。

『information
 アイアント 鉄蟻ポケモン
 群れで生息し山に巣穴を作る。
 山の中の複雑に入り組んだ洞窟は
 アイアントの巣穴の可能性が高い。』

大きなアリのようなポケモンとはいえ、ポケモン全体の中ではかなり小柄だ。タイプは見た目通り、鋼と虫タイプ。
「やけに小さなポケモンだけど……ラプラス、油断しないで」
ハルの言葉にラプラスは頷き、アイアントを見据える。
「それじゃ、始めるわヨ。アイアント、ストーンエッジ」
マキナが指示を出すと同時に、アイアントは穴を掘って床下へと潜る。
視界から消えたことで警戒を強めるハルだが、直後、フィールド全体が大きく揺れる。
「なっ?」
それから一拍置き、ラプラス付近の床から立て続けに岩の柱が突き出す。
乱雑に放たれる岩の柱は逆に躱すのが難しく、何本かの尖った岩がラプラスを突き刺す。
「続けてアイアンヘッド」
押し戻されたラプラスが体勢を整えるが、その直後、今度はアイアントが地中からラプラスへ近づき、すぐ近くから飛び出し、硬い鋼の頭を向けて突撃する。
「ラプラス、冷凍ビーム!」
地中から強襲を仕掛けるアイアントに対し、ラプラスは角から凍える冷気の光線を放って迎え撃つ。
しかしアイアントの攻撃力がなかなか高い。ラプラスの放つ冷気の光線を打ち破り、鋼の頭突きがラプラスの顔面に直撃した。
「っ! ラプラス、大丈夫!?」
如何にも痛そうにラプラスは顔をしかめるが、すぐに顔を振って体勢を整え、頷く。
「ラプラス、ハイドロポンプ!」
ラプラスが大きく息を吸い込み、大量の水を吹き出す。
「アイアント、シザークロス」
しかしアイアントは不規則に、かつ素早く、水流を躱しつつラプラスへ近づき、鋼の顎を開いてラプラスを切り裂く。
「ダイヤブラスト!」
切り裂かれたラプラスの周囲に、白い光が迸る。
刹那、爆発と共にダイヤのように青白く煌めく爆風が起こり、アイアントを吹き飛ばした。
「ラプラス、続けて冷凍ビーム!」
ラプラスの角からさらに凍える冷気の光線が撃ち出され、吹き飛ぶアイアントへと追撃を仕掛ける。
「アイアント、ストーンエッジ」
しかし着地したアイアントはそのまますぐに床を食い破り、地中へと身を隠す。
「また来る……! だったらラプラス、渦潮!」
地面が揺れ、ラプラスの足元近くから無数の岩の柱が出現する。
対するラプラスは自らを中心に周囲へ波の渦を起こし、岩の柱を粉砕しようとするが、全てを破壊することはできずに岩の柱の直撃を受けてしまう。
「っ、なかなか威力が高い……ラプラス、まだやれる?」
何とか体勢を立て直し、ラプラスは頷く。
対するアイアントは床下から再び姿を現し、赤い瞳でラプラスを見据える。