二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第124話 鉤爪 ( No.203 )
- 日時: 2017/07/03 10:18
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
「コジョフー、燕返し!」
隠した爪を伸ばし、コジョフーは勢いよく飛び出す。
「必中技には必中技だ! エーフィ、スピードスター!」
対するエーフィは後ろに飛び退きつつ、尻尾を振るって無数の星型弾を飛ばす。
極めて隙の少ない燕返しだが、必中の星型弾に足止めされ、その爪の一撃はエーフィには届かない。
「エーフィ、シャドーボール!」
エーフィの額の珠が黒く染まり、黒い影を集めた影の弾が発射される。
「躱してサイコパンチ!」
影の弾を躱しつつ一気にエーフィとの距離を詰め、コジョフーは念力を纏った拳を突き出そうとするが、
「させないよ! マジカルシャイン!」
今度はエーフィの額の珠が白く輝き、直後、周囲へと純白の光が放出される。
「ヤバっ……コジョフー、退避!」
スグリが指示を出すが間に合わず、コジョフーは白い光に飲まれ、吹き飛ばされる。
「サイコショット!」
宙を舞うコジョフーに対し、エーフィは額の珠から念力の弾を撃ち出す。
念弾がコジョフーに直撃。撃墜され、コジョフーは戦闘不能になってしまう。
「うーん、まだ耐久はあんまり鍛えてないし、仕方ないか。コジョフー、よくやった」
コジョフーをボールに戻すと、スグリは迷うこともなく、次のボールを手に取る。
「エーフィが相手なら……出て来い、ニューラ!」
スグリの二番手は、エスパータイプに有利な悪タイプのニューラ。フィールドに立つと薄ら笑いを浮かべて腕組みし、エーフィを睨みつける。
「だけどそのニューラ、まだ進化してないんだね」
「そーなんだよねー。かなり鍛えてきてるはずだから、普通の進化じゃないんだろうけど。持ってる進化の石も全部試したんだけど、進化の気配は一向に無し。ま、このままでも強いから、気楽に進化方法を探してるところだよ」
実際、スグリの言う通りだ。
このニューラと直接バトルをしたことはないが、魔神卿ロノウェのバクオングを下したのをハルは目の当たりにしている。
「それじゃ、始めよっか。ニューラ、冷凍パンチ!」
ニューラの両手の周囲を冷気が渦巻き、氷の力を爪に込めたニューラが地を蹴って飛び出す。
「エーフィ、スピードスター!」
対するエーフィは尻尾を振り抜き、無数の星型弾を飛ばす。
必中の星型弾はニューラを迎え撃つべく飛び、進路を塞ぐが、
「ニューラ、手を地面に!」
星型弾とぶつかる直前、ニューラは左手の爪を床へと突き刺す。
刹那、ニューラを中心としてその周囲に氷の柱が出現し、スピードスターを防いでしまう。
「エーフィ、シャドーボール!」
立て続けにエーフィは額の珠から黒い影の弾を放出する。
氷の柱群を破壊し、その背後に潜むニューラを狙うが、
「遅いっての。ニューラ、地獄突き!」
既にそこにニューラの姿はなく、直後、上空からニューラが落下の勢いもつけて襲い掛かり、鋭い爪を思い切り突き出し、エーフィの首を突き刺す。
「エーフィ!?」
吹き飛ばされて地面に落ちたエーフィは何とか起き上がるが、何回か咳き込み、その後も苦しそうな様子を見せる。
「エーフィ、どうしたの? 大丈夫?」
エーフィは苦しそうな表情を浮かべつつも頷くが、その口から声が出ない。
「地獄突きは首、つまり声帯に負荷をかける技。この技を受けるとしばらく声が出せなくなるよ。つまり音の技も出せなくなるけど、そのエーフィには関係なさそうだね」
そう言われてハルは思い出す。ロノウェのバクオングの大音量の雄叫びを封じたのは、確かこの技だった。
「エーフィ、ちょっと辛いだろうけど、頑張って。スピードスター!」
二股の尻尾を振るい、エーフィは再び無数の星型弾を飛ばす。
「必中技は苦手なんだよね……ニューラ、冷凍パンチ!」
冷気を纏った爪を地面に突き刺して周囲に氷の柱を立たせ、ニューラは星型弾を防ぐと、
「メタルクロー!」
自ら氷の柱を砕き、一直線にエーフィへ飛び出す。
「エーフィ、シャドーボール!」
エーフィは立て続けに黒い影の弾を発射していくが、すばしっこいニューラは容易くそれらを躱しつつエーフィに近づき、鋼の如く硬化させた爪を振るってエーフィを切り裂く。
「地獄突き!」
エーフィの体勢を崩し、さらにニューラは右手を突き出すが、
「マジカルシャイン!」
エーフィの額の珠が白く輝き、煌めく純白の光が周囲へと放出される。
腕を突き出すニューラを押し返し、逆に光に飲み込んで吹き飛ばした。
「やるじゃん……ニューラ、メタルクロー!」
ニューラは両手の爪を硬化させて起き上がると、一気に駆け出す。
エーフィとの距離を一気に詰めると、鋼の爪を振るう。
「エーフィ、躱してシャドーボール!」
咄嗟にエーフィは飛び退いてニューラの鉤爪を躱し、額の珠を黒く染め、影の力を集める。
しかし、
「氷の礫!」
直後、ニューラの手が冷気を纏ったかと思うと、そこから無数の氷の礫が飛び出す。
影の弾がはなたれるよりも早く無数の礫がエーフィを捉え、その体勢を崩し、
「メタルクロー!」
鋼の如く硬化させた鉤爪を構えて切り込み、エーフィを切り裂く。
「エーフィ、スピードスター!」
鋼の鉤爪に切り裂かれて体勢を崩すエーフィだが、素早く尻尾を振り抜き、無数の星型弾を飛ばす。
ニューラが思っていたよりも反撃が速かったようで、咄嗟にニューラは躱そうとするがスピードスターは必中技。
正確にニューラを追尾し、直撃してダメージを与える。
「続けてシャドーボール!」
さらにエーフィは額の珠に黒い影を溜め込み、影の弾を放つ。
しかし、
「ニューラ、躱して接近!」
着地したニューラがすかさず地面を蹴り、エーフィとの距離を詰めていく。
素早い挙動で影の弾も躱し、
「冷凍パンチ!」
冷気を纏ったまま一気にエーフィの懐へと飛び込み、ニューラは氷の拳を叩き込む。
冷気の拳がエーフィを殴り飛ばし、さらにその身を凍りつかせる。
「っ、エーフィ!?」
冷凍パンチの追加効果、氷の状態異常だ。何とかエーフィは起き上がるものの、体の一部を氷漬けにされ、思うように動けない。
「地獄突き!」
不敵な笑みを浮かべて爪を構え、ニューラが思い切り右腕を突き出す。
鋭い鉤爪がエーフィの喉笛を捉え、エーフィはよろめき、その場に倒れ、力尽きて戦闘不能となってしまう。
「くっ、流石に悪タイプ相手じゃ無理があったか……エーフィ、お疲れ様。休んでてね」
ハルはエーフィを労い、ボールへと戻す。
「ね? 進化してなくても、このニューラは強いんだよ。最終進化系相手でも充分タメを張れる程度にはねー」
「そうみたいだね。スピードも攻撃力も高いし、何より動きに無駄がない。隙がかなり少ないよ」
実際、タイプ相性で不利だったとはいえ、エーフィはほんの数回しか攻撃を当てられずに倒されてしまった。
「だけど、次はこうはいかないよ。出てきて、ルカリオ!」
ハルの最後のポケモンはルカリオ。やはりこのポケモンでなければ、スグリには勝てない。
「そう来ると思ったよ。ニューラ、戻って」
ニューラはまだ戦う体力が残っているが、スグリは敢えてニューラをボールに戻す。
「確かそのルカリオ、波導弾覚えてるよね。悪と氷タイプのニューラがいくら頑張ったところで格闘の必中技持ってるルカリオにはさすがに勝てないからね、ここは交代だよ」
そして、スグリの手に最後のボールが握られる。
「出て来い、ジュカイン!」