二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第125話 肉薄 ( No.204 )
日時: 2017/07/04 09:56
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)

『information
 ジュカイン 密林ポケモン
 古き森の奥深くに生息している。
 木の葉の影に隠れ獲物を待ち伏せ
 頭上や背後から奇襲を仕掛ける。』

スグリのエース、ジュプトルの進化系だ。
蜥蜴のような姿はそのままだが、かなり細身だったジュプトルに比べて少しはがっしりした体つきになり、尻尾の葉の数が大きく増えている。背中には栄養分を貯めた種が四つ。
「スグリ君のジュプトル、進化してたんだ」
「6個目のバッジを賭けたジム戦でね。どう? このスカーフ、似合うでしょ?」
ジュカインの首元には、緑色のスカーフが巻いてあった。
ハダレタウン以来のエース対決。その時はルカリオが勝ったが、ギリギリでの勝利だった。油断はできない。
「大丈夫、今の僕たちなら勝てるよ。ルカリオ、始めるよ!」
前回はメガシンカの力を得て思い上がっていたハルだが、今は違う。
正しい絆の力を理解し、正しいメガシンカを使う。
「僕と君の、絆の力に応えて! ルカリオ、メガシンカ!」
ハルのキーストーンと、ルカリオのメガストーンが反応し、光を放つ。
七色の光がルカリオを包み、その姿を変え、ルカリオはメガシンカを遂げる。
対して。
「そうこなくっちゃね。それじゃあジュカイン、こっちもだ」
ニヤリと笑うスグリと、それを見て振り返り、頷くジュカイン。
「こっちも……? もしかして、スグリ君」
「うん、そうだよ。オレも手に入れたのさ。キーストーンと、ジュカインナイトをね」
そう言いながらスグリは右手を突き出す。その中指には指輪があり、その真ん中に煌めく石は、紛れもなくキーストーンだった。

「オレたちの絆ってものを、見せてやる! ジュカイン、メガシンカ!」

ジュカインの首元のスカーフ。その留め具として使われているメガストーンが、スグリのキーストーンに呼応し、光を放つ。
七色の光がジュカインを包み、その姿形を変えていく。
光を薙ぎ払い、ジュカインがメガシンカを遂げる。
頭や腕の葉はより鋭利な形状に変化し、胸には植物のX字のアーマーが追加され、植物の尻尾はさらに大型化し、針葉樹のような形をとっている。
背中の種は尻尾に近づくにつれ赤く染まっており、小さいながら膨大なエネルギーを溜め込んでいるのが分かる。
「どう? カッコいーっしょ。オレ、このビジュアルすげー気に入っちゃってさ。勿論実力にも自信あるし、オレの一番の相棒にぴったりだよね」
スグリの言葉が聞こえたようで、ジュカインは嬉しそうにニヤリと笑う。
「これでハル君に追いついた。このバトルで勝って、また追い抜かせてもらうよ」
「そう簡単にはいかないよ。僕とルカリオも、正しい絆の力が使えるようになったんだ」
両者のメガシンカポケモンが、戦闘体勢に入る。
二人が最初の指示を出したのは、ほぼ同時だった。
「ルカリオ、発勁!」
「ジュカイン、リーフブレード!」
ルカリオの両手から炎のように青い波導が噴き出し、対するジュカインの両腕の葉が刀のように伸びる。
双方地を蹴って飛び出し、波導の打撃と葉の刃の激しい連続攻撃が激突する。
「ジュカイン、龍の波動!」
激しい応酬が続く中、隙を突いてジュカインがルカリオの攻撃を捌き、跳躍する。
口を開き、ルカリオの背を取って輝く龍の形をした光線を発射する。
「っ、ルカリオ!」
背中に波導の直撃を受けるが、吹き飛ばされたルカリオは受け身をとってすぐに起き上がる。
「ルカリオ、こっちも龍の波導!」
ルカリオの両手の波導が輝く龍の形を取り、光線のように発射される。
「ジュカイン、躱せ!」
最小限の動きで光線を躱しつつ、ジュカインは腕の葉を伸ばしてルカリオとの距離を詰め、
「アサシンソード!」
一瞬のうちにルカリオの弱点を見極め、腕の刃を振るい、的確に弱点を切り裂く。
「アサシンソードは鋼タイプに強い格闘技。威力はそんなに高くはないけど、その代わり、必ず急所に当たるんだ」
「っ、なるほど……ルカリオ、大丈夫?」
一度膝をついたルカリオだが、再び立ち上がり、ハルの言葉に応えて頷く。
威力が低いとはいえ、急所を突かれれば必然的にダメージは大きくなる。それに必ず弱点を突かれるとなれば、受ける側としては侮れない。しかもルカリオには効果抜群だ。
「ジュカイン、龍の波動!」
「ルカリオ、躱してボーンラッシュ!」
ジュカインが咆哮と共に龍の姿をした輝く光線を放つが、ルカリオは長い骨のロッドを掴むと、ジュカインへと向かっていく。
薙ぎ払うように放たれた龍の光線を飛び越え、掻い潜り、ルカリオは骨のロッドを振り回し、ジュカインへと叩きつける。
「ジュカイン、受け止めろ! リーフブレード!」
淡く光る腕の刃を伸ばし、ジュカインは骨のロッドを受け止める。双方の技は火花を散らし、激しく競り合う。
「ジュカイン、アサシンソード!」
「ルカリオ、波導弾!」
ジュカインが骨のロッドをいなして背後へ回り込むが、ルカリオは素早く反応する。
骨を携えた右手を裏拳のように振り抜くと同時、骨のロッドを青い念弾の形に変えて発射する。
波導の念弾はジュカインの腕へと命中、炸裂した波導がジュカインの体勢を崩し、
「発勁!」
間髪入れずに腹部へ波導の掌底を叩きつけられ、ジュカインが大きく吹き飛ばされる。
「ルカリオ、龍の波導!」
「ジュカイン、こっちもだ!」
ルカリオが両手を突き出し、宙を舞いながらもジュカインが口を開き、両者同時に輝く龍の光線を放つ。
二頭の龍が正面から激突、龍の咆哮のような爆音と共に大爆発が起こる。
「ルカリオ、君ならジュカインの場所が分かる。突っ込め! 発勁だよ!」
両手を叩いて波導を纏わせ、ルカリオは爆煙の中へと飛び込んでいく。
煙の中でも正確にジュカインの場所を見切り、ルカリオは一気にジュカインの懐へと飛び込み、波導の右手を振るう。
「っ! ジュカイン、アサシンソード!」
振り下ろされる右手を叩きつけられ、地面に撃墜され、それでもジュカインの動きは止まらない。
すぐさま両腕の刃を構えて飛び出し、一瞬のうちに狙いを定めて両腕を振るい、瞬時に二度、ルカリオの急所を切り裂いた。
「吹っ飛ばしてリーフブレード!」
続けて長い尻尾でルカリオを叩き飛ばし、ルカリオを地面に落とすと、ジュカインは両腕の刃を淡く光らせ、さらにルカリオへの追撃を仕掛ける。
「っ、ルカリオ、受け止めて! ボーンラッシュ!」
立て続けに、かつ一瞬の隙もなく振るわれるジュカインの腕の刃を、ルカリオは長い骨のロッドを振り回し、何とか捌き、いなしていく。
「龍の波導!」
「龍の波動だ!」
二人とも考えていたことは同じだった。
連続攻撃のさなか突然にジュカインが口から龍の光線を撃ち出し、それと同時にルカリオも手にした骨のロッドを輝く龍の形に変え、それを発射させる。
ほとんど零距離に近いほどの至近距離で両者の輝龍は、再び競り合った末に爆発する。
爆発と爆風に巻き込まれ、ジュカインもルカリオも大きく吹き飛ばされる。
「まだだ! ルカリオ、発勁!」
「この程度! ジュカイン、リーフブレード!」
壁まで吹き飛ばされたルカリオはそのまま壁を蹴り、両手に青い波導を纏わせて突撃し、床に落ちたジュカインは受け身をとってすぐさま起き上がり、淡く光る腕の刃を構えて飛び出す。
両者激突と同時に怒涛の連続攻撃を繰り出し、猛烈な攻防の応酬が繰り広げられる。