二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第6話 ジムバトル! シュンインジムⅠ ( No.28 )
- 日時: 2016/10/29 12:41
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: O5n8tXdo)
- 参照: ハルの初めてのジム戦、開始!
シュンインシティのジム戦が始まった。
使用ポケモンは二体。ポケモンの交代は挑戦者のみが可能。一般的なジム戦のレギュレーションとなる。
「綺麗な花を咲かせて……スボミー!」
まずはイチイからポケモンを出す。
可愛らしい表情をした、緑色の植物の種のようなポケモン。頭の上には閉じた花の蕾がある。
『information
スボミー 蕾ポケモン
暖かい日差しを浴びると蕾を開いて
花粉を飛ばす。花粉には毒が含まれ
吸い込むと激しい花粉症を引き起こす。』
「スボミー、草タイプのポケモンか。草タイプに有利なのは……」
タイプ相性の知識を引っ張り出し、ハルもボールを取り出す。
「それじゃあ、出てきて、ヤヤコマ!」
ハルの一番手はヤヤコマだ。草タイプに有利な飛行タイプを持ち、さらに炎技も覚えている。
「なるほど。セオリー通り、有利なタイプのポケモンで来ましたわね。ですがタイプ相性だけでは、ジムリーダーに打ち勝つことは出来ませんわよ。スボミー、葉っぱカッター!」
先にスボミーが動き出す。周囲に鋭い葉を浮かべ、一斉にヤヤコマへと発射する。
「ヤヤコマ、躱して電光石火!」
素早く飛んで木の葉を躱すと、ヤヤコマは目にも留まらぬ速度で突っ込む。
スボミーはそこまで早いポケモンではないようで、ヤヤコマの突撃を受ける。
「よし、ヤヤコマ、エアカッター!」
続いてヤヤコマは翼を羽ばたかせ、風の刃を飛ばす。
「スボミー、スピードスター!」
起き上がったスボミーが蕾を開かせ、星型弾を連射する。
ヤヤコマの放った風の刃は、星型弾に相殺されてしまう。
「なら……ヤヤコマ、疾風突き!」
嘴を突き出し、ヤヤコマは再び突っ込んでいく。
一気にスボミーに近づいて嘴で突き、素早く飛び去る。
「いいぞヤヤコマ! 続けて火の粉だ!」
さらにヤヤコマは嘴を開き、無数の火の粉を放つ。
しかし、
「なるほど、スピードが自慢のポケモンのようですわね。ですが」
イチイが笑みを見せると同時に、スボミーが起き上がり、蕾を開く。
「スボミー、ポイズンボール!」
ぴょんとスボミーは跳躍し、火の粉を躱す。
開いた蕾の間に毒素を固めた弾を作り上げ、蕾を手のように使ってその紫色の弾を投げつけた。
空中でも正確に狙いを定めて投げられた毒の弾は、吸い込まれるようにヤヤコマに直撃した。
「しまった、ヤヤコマ!」
弾が破裂し、毒の煙がヤヤコマを覆う。
煙はすぐに霧散してしまい、ヤヤコマにもそこまで大きなダメージが入ったようには見えない。
だが。
「……ヤヤコマ、どうしたの?」
明らかにヤヤコマの動きがおかしい。翼を羽ばたかせて飛んでいるのだが、その飛び方がふらついている。
何が起こっているのか分からず焦るハルに対して、
「そのヤヤコマは、毒を受けたようですわね」
イチイの表情はどこか得意げだ。
「教えてあげますわ。ポイズンボールは威力が低い代わりに相手ポケモンを高い確率で毒状態にしてしまう技。毒状態になったポケモンは、何もしていなくても少しずつ体力を削られ、いずれは戦闘不能となってしまいますわよ」
ポケモンの行動そのものに影響はあまり及ぼさないようだが、それでも毒を浴びたヤヤコマは苦しそうだ。
「スボミーは進化していくと美しいバラの花を咲かせます。ですが知っているかしら。綺麗なバラには、棘がありますのよ」
それでは、とイチイは続け、
「スボミー、スピードスター!」
スボミーが再び蕾を開き、連続で星型弾を飛ばす。
「あ、ヤヤコマ、躱して!」
慌てて指示を出すハル。ヤヤコマも毒を堪えて動き出し、星型弾を躱そうとするが、
「……えっ?」
放たれた星型弾はヤヤコマを追尾するように飛び、旋回するヤヤコマを捉えた。
ヤヤコマが体勢を崩し、地面へと落ちる。
「スピードスターは、所謂必中技というものですわ。バトルフィールドにいる限り、必ず相手に当たる。回避したければ、技を当てて打ち消すしかありませんわよ」
何となくハルには分かってきた。
毒でじわじわダメージを与えつつ、必中技のスピードスターで攻撃を当てる。少しずつでも確実にダメージを与えるのが、このスボミーの戦術だ。
「さあ、まだまだ行きますわよ? スボミー、葉っぱカッター!」
スボミーが周囲に鋭い葉を浮かべ、地面に落ちたヤヤコマへと放つ。
「っ、ヤヤコマ、火の粉!」
何とかヤヤコマは顔を上げ、無数の火の粉を放つ。
葉のカッターは火の粉に焼かれ、ヤヤコマには届かなかった。
「よし、ヤヤコマ、飛べ!」
その隙にヤヤコマは翼を広げ、再び飛び上がった。
「スボミー、スピードスター!」
「ヤヤコマ、エアカッター!」
再びスボミーが蕾を開き、星型弾を発射する。
対してヤヤコマは翼を羽ばたかせ、風の刃を起こして星型弾を防いだ。
(っ、どうしよう……このまま技と技をぶつけ合っても、ヤヤコマは毒で負けてしまう。何か、スボミーの弱点は……そうだ!)
ここで、ハルは閃く。
「ヤヤコマ、電光石火!」
直後、ヤヤコマが目にも留まらぬ速度で飛び出し、スボミーへと急接近する。
「っ! スボミー、スピードスター!」
慌ててスボミーが蕾を開くが、電光石火は先制技。
星型弾を撃ち出すよりも早く、ヤヤコマの突撃を受けてスボミーは突き飛ばされた。
「やった! ヤヤコマ、疾風突き!」
続いてヤヤコマは嘴を突き出し、再びスボミーへと突っ込む。
「……スボミー、日本晴れ」
ヤヤコマの突撃を躱せず、スボミーは再び嘴で突き飛ばされる。
二、三歩よろめいた後、地面に倒れ込み、そのままスボミーは戦闘不能になった。
「……ダメでしたか。スボミー、お疲れ様でした」
イチイはスボミーを労い、ボールへと戻す。
先に勝ち星を挙げられたのは、ハルにとっていい流れだ。
「なかなかやりますわね。先手を取られてしまうなんて」
「最初に電光石火と疾風突きをスボミーが躱せなかったのを思い出したんです。だから、スボミーは結構遅いポケモンじゃないかと思って」
なるほど、とイチイはハルの言葉に頷いた上で、
「しかし、スボミーはしっかり仕事をしてくれましたわ。ヤヤコマに毒を浴びせ、ダメージを与えてくれた。それに」
イチイが天井を指差す。
ハルが上を見上げると、いつの間にか上空に先程まではなかったはずの炎の玉が浮かび上がり、辺りを照らしている。
「気づいているでしょうか。スボミーが最後に使った日本晴れ。最後にあの技を使えただけでも十分ですわ」
ハルにはそれが何なのか分からないが、そんなハルをよそに、イチイは次のボールを取り出す。
「いよいよ私のエースが登場ですわ。行きますわよ。綺麗な花を咲かせて……チェリム!」
イチイの次なるポケモンは、開いた桜の花のようなポケモンだ。
『information
チェリム サクラポケモン
強い日差しが一番のエネルギー。
花弁を広げて全身で日光を浴びると
活発に動き出すようになる。』
「チェリム、やっぱり草タイプ。しかも、進化ポケモンか」
スグリのジュプトルより小柄だが、立派な進化ポケモン。強敵なのは間違いない。
「でもタイプ相性は有利だから、もう少し頑張って、ヤヤコマ。疾風突き!」
ヤヤコマはハルの言葉に応えて鳴き、嘴を突き出して高速で突っ込んで行く。
しかし、
「チェリム、躱してマジカルリーフ!」
チェリムは身軽なステップでヤヤコマの突撃を躱し、光を纏った無数の木の葉を放つ。
「ヤヤコマ、躱して!」
攻撃を外したヤヤコマはすぐに旋回し、木の葉を躱すが、またしても木の葉は軌道を変えて追跡し、ヤヤコマを切り裂いた。
「えっ……!? ヤヤコマ!」
葉に切り裂かれたヤヤコマが地に落ちる。毒のダメージも重なり、戦闘不能になってしまった。
「うぅ……ヤヤコマ、ありがとう」
ヤヤコマをボールに戻し、イチイの方に向き直るハル。
「もしかして、今のマジカルリーフも……」
「察しがいいですわね。マジカルリーフも、スピードスターと同じく必中技ですわ」
結局、一撃も与えられずにヤヤコマはやられてしまった。しかし、ハルにはもう一匹、ポケモンがまだ残っている。
「君に任せる。頼んだよ、リオル!」
ハルの最後のポケモンはリオル。タイプ相性では有利不利はない。
「おや、リオルですか? 珍しいポケモンを連れていますわね」
いかにも珍しいようなものを見る目でリオルを見るイチイだが、すぐにバトルに戻る。
「さあハル君。君の力を、もっと見せてください」
挑戦者ハルの前に、イチイとチェリムが立ちはだかる。