二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第12話 スピード ( No.40 )
日時: 2016/11/04 21:15
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: F8Gg2X0Y)
参照: ハルの二回戦の相手は、強敵スグリ!

カザハナシティバトル大会、第二回戦が開始される。ハルの相手は、強敵スグリ。
「さすがハル君、二回戦まで上がってきたね。まぁ正直、ハル君なら上がって来れるとは思ってたよ」
「うん、まぁね。前回は負けたけど、今度は勝つよ」
口元を小さく緩ませてスグリはボールを取り出し、まだ緊張が解けないハルもボールを構える。
「ハル君まぁまぁ強いから……ジュプトル!」
「出てきて、リオル!」
スグリのポケモンはジュプトル、ハルのポケモンはリオル。シュンインでのリベンジマッチだ。
『さあ、二回戦が始まりました! スグリ選手はジュプトル、ハル選手はリオルを繰り出し、バトル開始です!』
アナウンサーの声が響き渡り、会場に歓声が響く。
『一回戦、スグリ選手は対戦相手のアメタマを一分もかけずに倒しています。一方のハル選手はタイプ相性を生かして終始有利に試合を進め、そのまま勝利。さぁ、この対戦カードはどうなるか!』
『二人とも素早さの高いポケモンを連れているな。スグリ君とは私もジムで戦ったが、あのスピードに押されて負けてしまった。ハル君のポケモンもスピードが高いが、一回戦のようにはいかないだろうな』
ハルとスグリのバトル。先に動き出したのはスグリのジュプトルだ。
「ジュプトル、燕返し!」
手足を刀の刀身のように白く光らせ、ジュプトルが駆ける。
「っ、リオル、躱して!」
ジュプトルが振るう右手をどうにか躱すリオル。だが間髪入れずに右足で蹴り飛ばされ、宙に打ち上げられる。
「リオル、反撃だよ! 真空波!」
宙を舞いながらもリオルは腕を振り抜き、真空の波を飛ばす。
以前とは違い、空中でもジュプトルを狙って飛ばせるようになったが、
「ジュプトル、電光石火!」
ジュプトルがその場から消える。一旦壁まで飛び出し、壁を蹴って高速でリオルまで接近して突き飛ばす。
「リオル、岩砕き!」
拳を握りしめ、岩をも砕く勢いでリオルが右腕を振るうが、
「遅い遅い、躱して二度蹴り!」
ジュプトルはその腕を躱して瞬時に二発の蹴りを放ち、リオルを蹴り飛ばした。
『スピードはどちらも優れるが、スグリ君のポケモンは攻撃前後の隙が非常に少ない。結果的に攻撃速度が高くなっていく』
ヒサギの言う通り、スグリのポケモンは攻撃の隙がほとんどない。
「っ、リオル、発勁!」
リオルが右手に波導を纏わせ、再びジュプトルに向かっていくが、
「ジュプトル、燕返し!」
ジュプトルもそれに合わせて突撃する。
リオルが腕を振り上げたところにジュプトルの白く光る右腕がラリアットのように食い込み、リオルを吹き飛ばす。
「くっ……リオル、真空波!」
まだ何とか立ち上がり、腕を振って真空の波を飛ばすリオルだが、
「ジュプトル、躱して二度蹴り!」
真空波を躱して一気にリオルとの距離を詰め、ジュプトルは瞬時に二発の蹴りを放ってリオルを蹴り飛ばす。
「これでとどめ! ジュプトル、リーフブレード!」
体勢が整わないうちにジュプトルが動き出す。
両腕に生えた葉を刃のように長く伸ばし、リオルを切り裂いた。
「リオル!」
立て続けに攻撃を受け続け、リオルの体力はついに限界に達し、戦闘不能となって倒れてしまう。
『二回戦第一試合、決着です! スグリ選手、今度はジュプトルで開始から約一分半と、またも試合を速攻で終わらせてしまいました!』
アナウンサーの声が響き、会場が湧き上がる。二人はボールにポケモンを戻し、ハルはスグリに声をかける。
「やっぱり強いね、スグリ君。また負けちゃったよ」
「まぁ、オレ強いしねー。一番警戒してたハル君に勝ったし、後はこのまま突っ走って、優勝しちゃうか」
「あ、あはは……頑張ってね」
相変わらず自信家なスグリだが、やはり強い。彼の言うようにこのまま優勝してもおかしくない強さだ。
だけどいずれ、スグリに勝ちたい。そんな思いをより強めつつ、後はサヤナとスグリの試合を見届けるだけだ。



そして迎えた決勝戦。
対戦カードは、スグリ対サヤナ。
スグリは二回戦と同じくジュプトル、サヤナはアチャモで戦っているが、現在、スグリはタイプ相性で不利なはずのアチャモを圧倒している。スピードを武器に上手く立ち回り、相性を覆しているのだ。
「アチャモ、炎の渦!」
「当たんない当たんない! ジュプトル、電光石火!」
アチャモが息を吸い込むが、炎の渦を吹き出すよりも早く動き出したジュプトルに突き飛ばされてしまう。
「うぅ、強い……アチャモ、こっちも電光石火!」
「ジュプトル、躱して二度蹴り!」
アチャモも同じように高速で突っ込んでいくが、ジュプトルには躱され、瞬時に二発の蹴りを叩き込まれる。
「っ、アチャモ、火の粉!」
アチャモは起き上がると、嘴を開いて無数の火の粉を放つが、
「電光石火!」
既にジュプトルはそこにはおらず、横から高速で突撃してきたジュプトルに弾き飛ばされる。
「これでとどめ! ジュプトル、リーフブレード!」
ジュプトルの両腕の葉が刃のように伸び、アチャモを切り裂く。
その一撃で、アチャモは戦闘不能になってしまった。
『決勝戦、決着ーーッ!』
試合終了の合図と同時にアナウンサーの大きな声が響き渡り、観客たちがより一層湧き上がる。
『スグリ選手、タイプ相性をものともせずサヤナ選手のアチャモを撃破! 試合時間はどの試合も二分掛かっておりません! 速攻のスグリ選手、カザハナシティ大会優勝です!』
『とんでもないトレーナーが現れたものだ。初めて戦った時にも感じたが、やはり今後の彼の活躍が楽しみだ』
試合を観戦していたハルの元へ、サヤナが戻って来る。
「あの人、本当に強いね……全く敵わなかったよ……」
「正直、スグリ君なら優勝してもおかしくはないとは思っていたけど……こんなに早く優勝を決めるなんて……」
アナウンサーも言っていた通り、驚くべきはスグリの試合時間の短さだ。全ての試合を二分以内で終わらせ、あっという間に優勝してしまった。
その後、スグリが優勝商品として用意されていた木の実の詰め合わせを受け取り、カザハナシティバトル大会は無事閉幕した。