二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第14話 ジムバトル! カザハナジムⅡ ( No.44 )
- 日時: 2016/11/02 09:39
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: 進化したヒノヤコマの前に立ちはだかるは、ヒサギのエースポケモン。
ヒノヤコマのニトロチャージとアサナンの雷パンチが激突する。
だが、今度はすぐに均衡が破れた。ニトロチャージの追加効果によってスピードが上がっているヒノヤコマが、不安定な体勢から技を繰り出したアサナンに負けるはずはなく、アサナンを突き飛ばした。
「今だ! ヒノヤコマ、エアカッター!」
ヒノヤコマが翼を羽ばたかせ、風の刃を飛ばす。
躱すこともできずにアサナンは風の刃に切り裂かれ、目を回して床に倒れてしまった。戦闘不能だ。
「……アサナン、戻れ」
アサナンをボールへと戻し、ヒサギはハルの方を向く。
「やはり進化の力は侮れない。ポケモンが進化するのは、よく経験を積んでいる証拠でもあるからな」
だが、とヒサギは続け、
「バトルはここからだ。俺にはまだもう一体ポケモンが残っているぞ」
二匹目が入っている、モンスターボールを取り出した。
「来い……カポエラー!」
『information
カポエラー 逆立ちポケモン
コマのように高速回転しながら戦い
滑らかなキック技を繰り出す。遠心力の
パワーでキックの破壊力は10倍だ。』
ヒサギの二番手はカポエラー、コマをひっくり返したような形の顔をした格闘タイプのポケモンだ。
バトル場に立つと自信を鼓舞し、相手を威嚇するように叫ぶ。
「これがヒサギさんのエースか……だけどタイプ相性ならヒノヤコマの方が有利だよね」
ダメージは少なくないが、ヒノヤコマはまだ十分戦える。しかもニトロチャージによって素早さも上がっている。
「よし、行くよ! ヒノヤコマ、疾風突き!」
ヒノヤコマが嘴を突き出し、飛び出す。
スピードアップも重なって猛スピードで特攻し、嘴でカポエラーを突き飛ばす。
「よし、ヒノヤコマ、ニトロチャージ!」
ヒノヤコマが鼓舞するように大きく鳴き、その体が炎を纏う。
そのまま、ヒノヤコマはカポエラー目掛けて突撃していく。
だが。
「カポエラー、ブレイクスピン!」
カポエラーが動き出した。
瞬時に逆立ちして、頭のツノを軸に高速回転、そのまま突撃してヒノヤコマを迎え撃つ。
両者が正面から激突するが、ヒノヤコマが回転に巻き込まれて弾き飛ばされた。
「えっ……ヒノヤコマ!?」
唖然とするハルをよそに、
「カポエラー、メガトンキック!」
回転を維持したまま、カポエラーがヒノヤコマを追い、強烈な蹴りを叩き込んだ。
アサナン戦でダメージも重なり、ヒノヤコマの体力はいよいよ限界を迎え、戦闘不能になってしまう。
「ヒノヤコマ……ありがとう。休んでて」
ヒノヤコマを労い、ボールに戻す。
進化してきっちりアサナンを倒してくれたが、続くカポエラーには疾風突きを一発入れただけで倒されてしまった。
「やっぱり、ジムリーダーのエースは強い……」
だが、ハルにもポケモンはもう一匹残っている。
「最後は君だ! 出てきて、リオル!」
ハルの最後のポケモンはリオルだ。
だが、そのリオルを見て、ヒサギの表情が変化する。
「リオル……君は確か、フルールバッジを持っていたな」
「ええ、そうですけど」
ハルがそう返すと、ヒサギは興味深そうにリオルを眺め、
「実は……イチイさんに珍しい能力を持ったリオルを持つトレーナーと戦ったと聞いてだな。先日の大会に参加してくれると聞いて密かに注目していたのだが、リオルを使うトレーナーは君だけだった。格闘タイプ使いの身としては、どんな能力を持つのか、大いに興味がある」
「それが本当に能力と言えるものなのか、僕には全く分からないですけど——」
ハルはそこで一拍置き、
「僕とリオルで、ヒサギさんのカポエラーに勝って見せます!」
そう、宣言した。
「……いいだろう。それでは、行くぞ……! カポエラー、回し蹴り!」
素早く逆立ちして、カポエラーが高速回転を始める。
リオルへと回転しながら向かっていき、そのまま蹴りを繰り出す。
「リオル、岩砕き!」
リオルは岩をも砕く勢いで拳を突き出し、カポエラーを迎え撃つが、遠心力の乗ったカポエラーの方に分があり、リオルは押し負けてしまう。
「カポエラー、ブレイクスピン!」
さらにカポエラーは回転したまま、今度は体全体で突撃を仕掛ける。
「っ、リオル、躱して!」
立ち上がったリオルは跳躍し、カポエラーの回転攻撃を回避。
「真空波!」
回転を止めて一旦立ち上がったところに、リオルが腕を振り抜いて真空の波を飛ばし、カポエラーの額にぶつけた。
「いいぞリオル、電光石火!」
続けてリオルは目にも留まらぬスピードでカポエラーへと突っ込んでいく。
「ブレイクスピン!」
しかしカポエラーは再び逆立ちしてその場で猛回転、リオルが突撃してくるも、逆に弾き飛ばしてしまう。
「カポエラー、メガトンキック!」
弾かれて体勢を崩したところに、カポエラーの強烈な蹴りが叩き込まれ、リオルは吹き飛ばされる。
「リオル! 大丈夫?」
吹き飛ばされて床に倒れるも、まだリオルは立ち上がる。
「さあ……まだまだ行くぞ。回し蹴り!」
「だったらリオル、発勁!」
カポエラーが再び動き出す。
猛スピードで回転し、遠心力の力を受けた回し蹴りを放つ。
対してリオルは右手に波導を纏わせ、その掌を叩きつける。
リオルにも波導の力が上乗せされ、今度は威力は互角。
「岩砕き!」
その直後に、リオルはもう一度勢いよく右拳を突き出す。
「メガトンキック!」
カポエラーも蹴りを放とうとするが、カポエラーの攻撃は回転してから行われるため、リオルに比べてタイムラグが生じ、その結果、迎撃に間に合わずにリオルに殴り飛ばされた。
「リオル、真空波!」
「やるな……カポエラー、ブレイクスピン!」
腕を振り抜いて真空の波を放つリオルだが殴り飛ばされたカポエラーはなんと頭から着地し、それと同時に回転を始める。
高速回転によって真空波をも弾き飛ばし、そのままリオルへと突っ込んでくる。
「この技には何をしても弾かれるのか……リオル、ここは躱して!」
再び大きく跳躍して、リオルはもう一度カポエラーの回転を躱し、さらに、
「電光石火!」
回転が止まった直後に高速で動き出し、カポエラーを突き飛ばす。
「今だリオル! 発勁!」
カポエラーを追い、リオルが駆けだす。
その右手が青い波導に覆われ、カポエラーへと突き出される。
しかし、
「ブレイクスピン!」
またしてもカポエラーは逆立ちと同時に高速回転を始め、波導を乗せたリオルの右手をも弾き、さらに回転しながらの突撃でリオルを吹き飛ばしてしまう。
「リオル! くっ、また……」
どうしてもこの技を攻略できない。リオルの技の中で、ブレイクスピンを破れるものがない。
ハルが必死に考えを張り巡らせるが、
「そろそろ……最後の技を使う時か」
そこでハルは気づいた。カポエラーの回転が、さらに速まっている。
ここに来て。
ヒサギが、動き出す。
「カポエラー、ブレイズキック!」
カポエラーの足に、激しい炎が灯った。
回転したままカポエラーは突撃し、燃える炎のコマのように猛スピードでリオルへと迫る。
「っ……! リオル、躱し——」
ハルが指示を出すより早く、遠心力の乗ったカポエラーの炎のキック攻撃がリオルを捉え、吹き飛ばした。
「リオル……!」
ハルが叫ぶと、腕を震わせながら、何とかリオルは起き上がる。
まだ何とか戦闘不能までには追い込まれていないが、それでも大ダメージだ。もう一撃、耐えられるかどうか。
「さあ……ここで終わりか? 挑戦者ハル君。まだ終わらないというのなら、君と君のリオルの、その力をもっと見せてくれ……カポエラー、メガトンキック!」
一旦回転を解いていたカポエラーが再び逆立ちし、また回転を始める。
そのままリオルへと向かっていき、強烈な蹴りを繰り出す。
(諦めちゃダメだ……! リオルの闘志はまだ尽きていない。リオルが立っているなら、僕だって諦めない……最後まで!)
回転するカポエラーのメガトンキックが、リオルを捉える。
その、刹那。
カポエラーが、吹き飛ばされた。
「……!」
「おぉ……」
吹き飛ばされるカポエラーだが、ヒサギは思わずリオルに目をやっていた。
リオルの全身を波導が纏い、さらにその右手が、炎のように噴き出した青い波導に覆われていた。
シュンインジムでも見せた、リオルの謎の能力。
しかし、今回はそれだけではない。
リオルをよく見ると、波導だけではなく、念力のようなものが右手を覆っている。
「これは……!」
ギリギリまで追い詰められたことで、この状況の打破のために、新しい技を覚えたのだ。
「……なるほど。これがイチイさんの言っていた、リオルの力……! それに今の技は、サイコパンチか……!」
笑みをこぼすヒサギ。ヒサギの湧き上がる闘志に呼応して、カポエラーが立ち上がる。
そして、ハルとリオルの闘志はそれをさらに上回る。
「ヒサギさん、勝負はここからです!」
「ああ……全力でかかってこい!」
それぞれの相手を見据え、二匹の格闘ポケモンは同時に飛び出す。