二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第19話 ジムバトル! ヒザカリジムⅠ ( No.58 )
- 日時: 2016/11/07 22:51
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: ハルを待ち受ける三人目のジムリーダーは、超爆烈少女!
山道を下っていくうちに、ゴツゴツした岩だらけの道は次第に舗装された道へと変わっていく。
「よし、やっと着いたぞ」
ターミナルを開いて、ハルは現在地を確認する。
画面には『ヒザカリタウン』、そう表示されていた。
次なる町、ヒザカリタウン。
山から流れてくる水と、町の名の由来にもなった強い日差しによって、植物にとってはまさに天国のような町だ。
ただし人が住む町としてみればまだまだ田舎町。そのため、町興しのためにジムを作ったり、バトル大会を開くために小規模ではあるがスタジアムを作ったりするなど、ポケモンバトルによって自然を壊さないように気をつけながら町全体に活気を与えようとしているらしい。
そんな街に着いたハルだが、
「……ジムに挑戦する体力は、残ってないな」
普通のバトルと比べて、やはりジムバトルは緊張感が違うし、その分体力も使う。端的に言えば、疲れる。
山道を抜けてきたこともあるし、ゴエティアとも一悶着あり、さらにアリスというトレーナーとバトルまでしているハルは、とてもジム戦に挑むほどの体力はない。
ジムに挑む以上、新戦力となるイーブイも鍛えておきたい。
「今日はポケモンセンターの地下で特訓したり、ポケモンの調整に使って、ジムは明日挑むことにするか」
そう呟いて、とりあえず、ハルはポケモンセンターへ向かう。
翌日。
ターミナルの地図を片手に、ハルはジムを訪れていた。
カザハナシティの道場のようなジムと見た目は違えど、やはり和の雰囲気が見て取れるジムだ。町の景観を崩さないようにしているのだろうか、屋敷のように見て取れる。
「失礼しま……えぇ?」
扉を開いて中を覗いたハルだが、そこで素っ頓狂な声を上げる。
それもそのはず、建物の外装と内装が違いすぎるのだ。
ジムの中は赤と金色で派手に彩られていた。当然、床も壁も木製ではない。バトルフィールドだけは普通の作りがされているようだが。
何だか部屋自体も蒸し暑く、あちこちに大きな観葉植物が置かれている。
そして、
「おはようございまぁす! ジムの挑戦ってことで、よろしいですかね!?」
元気一杯の大声が返ってきた。
声の主はフィールドの向こうに立つ少女。彼女がジムリーダーなのだろう。
オレンジ色の服の上に、赤色の長袖のシャツの袖を腰のところで結んで掛けており、黒いショートパンツを履いている。炎のような真紅の髪はポニーテールにして結んでいる。
「私はポプラ! ここのヒザカリタウンのジムリーダーを務めてるよ! よろしく!」
『information
ジムリーダー ポプラ
専門:炎タイプ
異名:爆熱天使(ブレイズエンジェル)
座右の銘:完全燃焼』
ポプラはそう叫ぶように名を名乗る。
「あ、はい……僕はハルです……」
ポプラのテンションに圧倒されながら、ハルは自己紹介する。
「ハル君だね! 私に勝ちたいってんなら、そんなビビってちゃだめだぜ! 燃える炎みたいに、バトルの前からでも相手をガンガン押していかなきゃなー!」
爽やかな笑みを浮かべて、ポプラは指を三本突き立てる。
「そんじゃー早速始めるか! 使用ポケモンは三体! ポケモンを交代していいのはチャレンジャー、つまりハルだけ!」
バトルも始まっていないのに、既にハルはポプラの勢いに完全に押されてしまっている。
だが、
「……はい。よろしくお願いします!
やることは分かっている。ジム戦をして、勝てばいいのだ。
「おぉ! いい表情になってきた! それじゃあ、バトルを始めるぜ!」
三つ目のバッジを賭けた、ハルのジム戦が始まる。
「それじゃあまずは私から! 燃えろよ燃えろ、メラルバ!」
ポプラの一番手は、松明のような形状をした虫ポケモンだ。
『information
メラルバ 松明ポケモン
五本の角から炎を出して攻撃する。
ある地域では太陽から生まれたポケモン
として信仰の対象になっている。』
「炎と虫タイプなら君の出番だ。出てきて、ヒノヤコマ!」
ハルが繰り出したのはヒノヤコマ。炎技も虫技も効果は今一つで、相性がいい。
「ヒノヤコマ、まずはニトロチャージ!」
ヒノヤコマが力強く鳴き、体を炎に包み、メラルバに向かって突撃を仕掛ける。
「メラルバ、こっちもニトロチャージ!」
メラルバも角から炎を吹き出して全身に纏わせ、跳躍してヒノヤコマへと突っ込んでいく。
炎の弾のように、二体が正面から激突する。
「ヒノヤコマ、疾風突き!」
嘴を突き出し、ヒノヤコマは目にも留まらぬ速度で突っ込む。
「メラルバ、躱してシグナルビーム!」
対するメラルバはぴょんと跳躍してヒノヤコマの突撃を躱すと、その瞳から激しい光を放つ光線を発射する。
「っ、ヒノヤコマ、アクロバット!」
光線がヒノヤコマの背中に直撃するも、効果は今一つ。
そのままヒノヤコマは空中を旋回し、素早く軽快な動きで距離を詰め、メラルバを突き飛ばす。
「メラルバ、ギガドレイン!」
メラルバの五つの角から光の触手が飛び出し、ヒノヤコマへと向かってくる。
「ヒノヤコマ、もう一度アクロバット!」
ヒノヤコマが再び軽快に動き出す。
軽やかに光の触手を躱しながら、メラルバへ一気に接近していく。
しかし。
「メラルバ! ワイルドボルト!」
メラルバの周囲の空気がバチバチと音を立てて弾ける。
その体が電撃を纏い、正面からヒノヤコマを迎え撃つ。
再び正面から二者が激突するが、すぐさま均衡が破れる。
電撃を纏ったメラルバが、ヒノヤコマを逆に突き飛ばした。
「電気技……! ヒノヤコマ!」
飛行タイプを持つヒノヤコマには、電気技は効果抜群。
「苦手タイプの対策はできてるぜ! 本当は水タイプ対策の技だけどな!」
ふふふー! とポプラは陽気に笑う。
「っ、さすがはジムリーダー……タイプ相性がいいからって、簡単には勝てない……!」
イチイやヒサギもそうだったように、苦手タイプ対策はバッチリということだろう。やはりジムリーダーは一筋縄ではいかない。
「当然! さあメラルバ、ニトロチャージ!」
五本の角から炎を吹き出し、メラルバが炎に包まれ、火の弾のように飛び出す。
「ヒノヤコマ、躱して!」
体勢を崩しながらも、何とかヒノヤコマは立て直して上昇する。
ただ完全に躱し切ることはできず、メラルバの攻撃がヒノヤコマを掠めた。
「ヒノヤコマ、ここから反撃だ! エアカッター!」
ヒノヤコマが激しく翼を羽ばたかせ、無数の風の刃を飛ばすが、
「メラルバ、躱してワイルドボルト!」
ニトロチャージでスピードが上がっているメラルバに躱され、メラルバは電気を身体中に纏って突っ込んでくる。
「ヒノヤコマ、ニトロチャージ!」
ヒノヤコマは炎を纏い、メラルバの電撃の突進を迎え撃つ。
お互いの力は互角、しかし、ニトロチャージの追加効果により、ヒノヤコマのスピードが上昇する。
「疾風突き!」
速度の上がったヒノヤコマが、嘴を突き出して猛スピードで突撃。
目にも留まらぬ速度で、メラルバを突き飛ばす。
「やるじゃんやるじゃん! メラルバ、シグナルビーム!」
「ヒノヤコマ、アクロバット!」
メラルバが瞳から激しい光を放つ光線を発射し、ヒノヤコマは素早く飛び回る。
鞭のように振るわれる光線を掻い潜り、メラルバとの距離を詰めていく。