二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第20話 ジムバトル! ヒザカリジムⅡ ( No.59 )
- 日時: 2016/11/07 22:54
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: ポプラが繰り出す炎のポケモン達。ハルはどう立ち向かうのか——
光線を掻い潜り、ヒノヤコマは一気にメラルバとの距離を詰めていく。
「ここ! メラルバ、ワイルドボルト!」
ヒノヤコマが眼前にまで迫ったその瞬間、メラルバが電撃を纏う。
向かってきたヒノヤコマを仕留めるべく、前方へタックルを仕掛けるが、
「……っ! ヒノヤコマ、躱して!」
スピードの上がっているヒノヤコマは、ギリギリのところで急上昇、間一髪でメラルバの突進を躱した。
「エアカッター!」
すっ飛んでいくメラルバへヒノヤコマは翼を羽ばたかせ、無数の風の刃を飛ばす。
「やばっ……! メラルバ、シグナルビーム!」
メラルバは宙を飛んでいて回避ができない。瞳から光線を放とうとするが間に合わず、無数の風の刃に切り裂かれ地面に落ち、目を回して戦闘不能になってしまう。
「ダメだったかぁ。メラルバ、よく頑張った! 後は休んでて!」
ポプラはメラルバをボールに戻すと、すぐに次のボールを取り出す。
「なかなかやるね! それじゃあ次はこの子! 火の粉を巻き上げろ、ブーバー!」
ポプラの次なるポケモンは、燃える炎の体を持つ人型のポケモンだ。
『information
ブーバー 火吹きポケモン
火山の火口から生まれたポケモン。
炎を撒き散らして周りの環境を
住みやすいように変えてしまう。』
「ブーバー……持っているタイプは、炎だけか」
ヒノヤコマに対して、タイプの有利不利は無い。
「ヒノヤコマもまだまだ戦える。ここはもう少し、頑張って!」
ハルの言葉にヒノヤコマは頷き、相対するブーバーを見据える。
「よし! ヒノヤコマ、疾風突き!」
嘴を突き出し、ヒノヤコマは猛スピードで突っ込んでいく。
ニトロチャージの加速も合わさり、そのスピードはかなりのもので、瞬く間にブーバーに近づき、嘴で突き飛ばす。
「続けてニトロチャージ!」
そのスピードをさらに加速させるべく、ヒノヤコマは炎を纏って突撃するが、
「ブーバー、クリアスモッグ!」
ブーバーが口から白い煙を吹き出す。
煙はヒノヤコマにまとわりつき、ヒノヤコマを包む炎を消し去ってその動きを止めてしまう。
「ヒノヤコマ、振り払って! アクロバット!」
翼を羽ばたかせてヒノヤコマは煙を振り払うと、今度は軽やかに飛び回りながらブーバーへと接近していく。
しかし。
「……あれ?」
明らかにヒノヤコマのスピードが落ちている。
正確には、戻っている、と言った方が正しいか。上がったはずの素早さが、元に戻っているのだ。
「ブーバー、アクセルフレア!」
さらにブーバーが全身に炎を纏わせ、地を蹴って飛び出す。
ニトロチャージよりも炎の規模が小さいが、その代わりに速い。ヒノヤコマの横からブーバーが突撃し、ヒノヤコマを弾き飛ばした。
「雷パンチ!」
体勢を崩すヒノヤコマに、ブーバーが電撃を纏わせた拳を叩き込む。
「っ、ヒノヤコマ!」
効果抜群の一撃を受けたヒノヤコマが床へと叩きつけられ、そのまま戦闘不能になってしまう。
「ありがとう、ヒノヤコマ。戻って休んでて」
ヒノヤコマをボールに戻すと、ハルはポプラの方に向き直る。
「教えてあげよう。クリアスモッグは、相手の能力変化を元に戻す技! 必中技でもあるから、私のブーバーの前ではいくら能力を上げても意味が無い! 能力変化なんか使わないで、正々堂々ぶつかってこいってことよ!」
得意げな笑みを浮かべてポプラは説明する。
「さあ、次はどんなポケモンで来る? もっと私を楽しませてよ!」
「それじゃあ、次は君の出番だ。出てきて、イーブイ!」
ハルの二番手はイーブイ。地面技を持つため、炎タイプに対して有効打がある。
「なるほど、イーブイで来たか。それじゃあその力を見せて! ブーバー、火炎放射!」
ブーバーが大きく息を吸い込み、
「イーブイ、電光石火!」
炎を吹き出す前にイーブイの突撃を受け、口から吹き出た炎は明後日の方向に飛んでいく。
「ブーバー、雷パンチ!」
「イーブイ、潜る!」
すぐさま立て直したブーバーが電撃を纏わせた拳を突き出すが、イーブイは地面に潜って拳を躱すと、ブーバーの足元から飛び出してブーバーを突き飛ばす。
「イーブイ、スピードスター!」
素早くブーバーから距離を取り、イーブイは無数の星形弾を放とうとするが、
「好き勝手はさせない! ブーバー、アクセルフレア!」
炎を纏ったブーバーが高速で突撃、イーブイに激突して吹き飛ばす。
「火炎放射!」
「っ、躱して!」
ブーバーが灼熱の炎を勢いよく吹き出し、起き上がったイーブイは何とか炎を回避する。
尻尾の先を炎が掠め、毛先が黒く焦げる。
「まだ終わってないぜ! ブーバー、雷パンチ!」
拳に電撃を纏ったブーバーがフィールドを駆け、イーブイとの距離を詰めてくる。
「イーブイ、潜る!」
イーブイは地面を掘り、素早く床の下へと潜る。
雷の拳は空を切り、直後、ブーバーの足元が割れ、飛び出してきたイーブイがブーバーを突き上げる。
「イーブイ、スピードスター!」
「っ! ブーバー、連続で雷パンチ!」
イーブイが無数の星形弾を放ち、ブーバーは立ち上がると一旦距離を取る。
ブーバーを追尾してしつこく迫る星形弾を、電撃を纏った連続パンチで全て砕く。
「電光石火!」
しかしその星形弾の後ろから、イーブイが猛スピードで突っ込んでくる。
ブーバーの拳を纏う電撃が消えたところに、イーブイが突撃を仕掛けた。
しかし、
「ブーバー、火炎放射!」
イーブイの突進を受けたブーバーが、今度はしっかりと地に足をつけて踏み止まった。
返す刀でブーバーは灼熱の炎を口から吹き出し、イーブイを逆に炎に飲み込んで吹き飛ばす。
「まず……っ! イーブイ、大丈夫!?」
やはり主力の炎技の威力は侮れない。まだイーブイは何とか立ち上がるが、次はない。
そしてそれを分かっているポプラは、当然、
「もう一度火炎放射!」
確実に仕留めに来る。
「イーブイ、潜る!」
イーブイは床下に潜り、間一髪のところで炎を躱す。
そして地中を素早く移動、ブーバーの足元から飛び出し、ブーバーの顎に体当たりする。
「よし、これで……!」
だが、
「っ、ブーバー、耐え切って! 火炎放射でとどめだぁ!」
大きく仰け反りながらも、ブーバーは耐え切った。
目の前のイーブイを一点に見据え、大きく息を吸い込む。
「くっ……だったら一か八かだ! イーブイ、ブーバーの口に噛み付く攻撃!」
ブーバーが炎を吹き出す、その直前。
イーブイが口を大きく開き、平べったい嘴のようなブーバーの口に噛み付き、牙を食い込ませ、口を封じた。
「な……っ!?」
こうなってしまっては、ブーバーは炎を吹き出すことができない。
放たれるはずだった炎はブーバーの口の中にどんどん蓄積され、遂に限界を超えて爆発を起こした。
「ブーバー!?」
「っ……イーブイ!」
爆煙が晴れると、まずはブーバーが口から黒い煙を放ちながら仰向けに倒れていた。
そしてそのすぐ近くに、爆発に巻き込まれたイーブイが横たわっていた。両者共に戦闘不能だ。
「戻って、ブーバー。お疲れ様」
「イーブイ、ゆっくり休んでて」
お互いに、それぞれのポケモンをボールへと戻す。
「ブーバーの口内で炎エネルギーを爆発させるなんて、なかなかえげつないことするじゃないの」
「炎を放つブーバーを見て、何となく思いつきました。ブーバーの口は特徴的ですから、噛み付けば封じられると思ったんです」
「なるほどねえ。観察眼もなかなかってわけだ」
それじゃあ、とポプラは最後のボールを手に取る。
「これで最後だ! 私のエースポケモン、行くぜっ! 天まで燃やせ、カエンジシ!」
ポプラの最後のポケモンは、雌の獅子のようなポケモン。頭から背中にかけて長く伸びた炎の鬣を持つ。
『information
カエンジシ 王者ポケモン
何匹もの群れで生息し、鬣が一番
大きなオスが群れのリーダーを務める。
メスたちは協力して群れの子供を守る。』
「カエンジシ、タイプは炎とノーマル……ノーマルなら……!」
格闘タイプのリオルが、有利に立ち回れる。
「最後は頼んだよ、リオル!」
ハルの最後のポケモン、リオルが、バトルフィールドに立つ。
「それじゃあ、最終戦を始めるぜ! どこからでもかかってきな!」
「ええ。全力で行きます!」
カエンジシは吼えることもせず、ただじっとリオルを睨む。
対するリオルも身体中の波導を滾らせ、戦闘体勢に入る。