二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第21話 ジムバトル! ヒザカリジムⅢ ( No.60 )
日時: 2016/11/09 19:31
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: W8OCFArk)
参照: いよいよ最後のポケモン同士の対決。勝つのはどちらか——

「リオル、電光石火!」
先手を取ったリオルが動き出す。
地を蹴って目にも留まらぬスピードで飛び出し、カエンジシとの距離を一気に詰め、そのままカエンジシへ突き当たる。
「カエンジシ、火炎放射!」
だがカエンジシは押されこそするが踏み止まり、すぐさま炎を吹き出して反撃。
炎に押され、リオルが逆に吹き飛ばされてしまう。
「リオル、真空波!」
起き上がったリオルは腕を振り抜いて真空の波を飛ばすが、
「先制技ならカエンジシ、回避!」
素早く動き、カエンジシは真空の波を躱すと、
「今度はこっちの番! カエンジシ、ワイルドボルト!」
その身体に電撃を纏わせ、勢いよく地を駆ける。
「っ、リオル、発勁!」
咄嗟にリオルは右手に波導を纏わせ、向かってくるカエンジシへ右手を叩きつける。
電撃を纏ったカエンジシと互角に競り合い、その突進を食い止めた。
「サイコパンチ!」
ワイルドボルトは反動が強く、すぐに次の手に出ることができない。
念力を纏ったリオルの拳を躱すことができず、カエンジシが殴り飛ばされる。
「カエンジシ、火炎放射!」
体勢を立て直し、カエンジシが息を吸い込み、灼熱の炎を吹き出す。
「リオル、躱して真空波!」
素早く移動して炎を躱し、リオルは腕を振り抜いて真空の波を放つ。
真空の波は高速で飛び、カエンジシへと直撃する。電光石火と違って格闘技であるため効果は抜群、カエンジシが少し後ずさりする。
「サイコパンチだ!」
その隙を狙って、すかさずリオルが踏み出す。
拳に念力を纏わせ、カエンジシへと殴りかかっていく。
「カエンジシ、悪の波動!」
しかしカエンジシの放つ悪意に満ちた波動の力によって、拳を纏う念力は引き剥がされ、リオルも吹き飛ばされてしまう。
「エスパータイプの技は悪タイプには効かないのさ! カエンジシ、火炎放射!」
吹き飛ぶリオルへ、カエンジシの放つ灼熱の炎が襲い掛かる。
悪の衝撃波を受けたリオルは、さらに炎をまともに浴びてしまう。
「リオル! 大丈夫?」
炎を浴びたリオルは、体の煤を払いながらゆっくりと立ち上がる。決してダメージは小さくないが、まだまだ戦えるようだ。
「よし! リオル、発勁!」
右手に青い波導を纏わせ、リオルは地を蹴って駆け出す。
「カエンジシ、火炎放射!」
リオルを迎撃すべく、カエンジシは大きく息を吸い、灼熱の炎を吹き出すが、リオルは炎を飛び越え、掻い潜り、カエンジシの額に右手を叩き込んだ。
効果抜群の一撃をまともに受け、カエンジシがよろめく。
「いいぞリオル、続けてサイコパンチ!」
「させない! カエンジシ、悪の波動!」
さらにリオルは念力を纏わせた拳で殴りかかるが、やはりカエンジシの悪意の波動によって防がれてしまう。
「カエンジシ、一旦立て直すわよ! ワイルドボルト!」
リオルが素早くカエンジシから距離を取ったのを見て、カエンジシは首を大きく振って体勢を整えると、身体に電撃を纏って突撃を仕掛ける。
「リオル、躱して真空波!」
カエンジシの電撃を帯びた突進を、リオルは跳躍して躱すと、腕を振り抜き、駆け抜けていくカエンジシへと真空の波を飛ばす。
「カエンジシ、そのまま右に! そこからUターン!」
後ろは見えていないはずだが、ポプラの指示によりカエンジシは素早く右に曲がって真空の波を回避、さらにUターンして、着地しようとするリオルを再び狙う。
「リオル、発勁!」
空中に飛んだ以上、回避はできない。
右手に纏う波導を強め、リオルは突っ込んでくるカエンジシに合わせて右手を叩きつける。
しかし勢いがついている分、今度はカエンジシの方が強く、リオルは押し負け、突き飛ばされてしまう。
「火炎放射!」
「っ、リオル、躱して!」
カエンジシが灼熱の炎を放って追撃を仕掛け、リオルは横っ飛びして何とか炎の一撃を避け切った。
「危ない……リオル、電光石火!」
立ち上がったリオルが地を蹴り、目にも留まらぬスピードで飛び出し、カエンジシへと突撃する。
電光石火の一撃では、カエンジシを突き飛ばすことはできないので、
「続けて発勁!」
体勢の崩れたカエンジシへ、さらにリオルは波導の力を纏った右手を叩き込む。
しかし。

「カエンジシ、怒りの炎!」

カエンジシの瞳が、長い鬣が、燃えるように赤く染まる。
刹那、カエンジシが憤怒の感情の如く荒れ狂う灼熱の爆炎を吹き出した。
「っ!? リオル!」
先ほどの火炎放射よりもさらに高火力の炎。
リオルは咄嗟に波導を纏った右手を突き出して防御しようとするが、それだけで食い止めることなどできるはずもなく、なす術もなくリオルは炎に飲まれてしまう。
「決めろカエンジシ! 火炎放射!」
そしてポプラは手加減ひとつしない。
リオルがまだ倒れていないと踏んだようで、爆炎の中へと容赦なく炎を噴射する。
しかし、
(……まだ終わらない。絶対に負けない)
根拠はないが、しかしなぜかハルには分かった。
(リオルは、僕たちは、まだ戦える!)
灼熱の炎が、爆炎の中心へと放たれる。
直後。

リオルを覆う灼熱の爆炎が、烈風と共に消し飛んだ。

「な……何だっ!?」
驚きを隠せず、炎の中心に目をやるポプラ。
立ち上がったリオルの身体は波導に覆われ、その手には青い炎のような波導を纏っていた。
そして。
なぜか、ハルは感覚で分かっていた。
今、このタイミングで、リオルがこの能力を発動させるということを。
「……何だかよく分かんないけど、ハル! 君と君のポケモンの溢れんばかりの熱意、伝わってきた!」
だけど、とポプラは続け、
「バトルはまだまだここから! その力で、私のカエンジシを攻略してごらんよ!」
「ええ、望むところです! リオル、電光石火!」
波導を纏ったリオルが、地を蹴って飛び出す。
目にも留まらぬスピードで一気にカエンジシとの距離を詰め、カエンジシを突き飛ばした。
「やっぱり威力も上がってるねえ! カエンジシ、火炎放射!」
すぐさま体勢を立て直し、カエンジシは灼熱の炎を吹き出す。
「リオル、躱して発勁!」
大きく跳躍して炎を躱し、リオルは炎のような波導を纏った右手をカエンジシへと叩きつけた。
効果抜群の一撃を受け、カエンジシが吹き飛ばされる。
「サイコパンチ!」
さらにリオルは拳に念力を纏わせ、吹き飛ぶカエンジシを追って拳を振りかぶる。
「悪の波動!」
だがカエンジシもジムリーダーのエース、やられっぱなしなわけはない。
体から悪意に満ちた漆黒の波動を放出し、リオルの拳を纏う念力を打ち消し、弾き返す。
「今だ! カエンジシ、火炎放射!」
「っ、リオル、発勁!」
すかさずカエンジシが炎を噴射し、リオルは激しい波導を纏った右手を突き出し、炎を受け止める。
「ワイルドボルト!」
その直後、電撃を纏ったカエンジシが突撃を仕掛ける。
対応が遅れ、リオルは突撃を食らって吹き飛ばされる。
「カエンジシ、火炎放射!」
「リオル、立て直して! 真空波!」
カエンジシが息を吸い込んだその時、リオルは宙を舞いながらも腕を振り抜いて波導を乗せた真空の波を飛ばす。
カエンジシの額に波が命中し、カエンジシの動きが止められる。
「こうなったら……! カエンジシ、行くぜ!」
ポプラが叫び、カエンジシがそれに応えて雄叫びをあげる。
「カエンジシ、怒りの炎!」
カエンジシの瞳が激怒に染まり、口から憤怒の感情の如き灼熱の爆炎が放出される。今までのダメージを受けた怒りによって強化されているのか、先程よりもさらに炎の勢いが増している。
「これはとても躱せない……勝負を決めに来たんだ! だったらリオル、こっちも行くよ!」
ハルの言葉にリオルは頷き、拳を握りしめて波導をさらに強める。
「リオル、発勁!」
激しく燃えているかの如き青い波導を右手に纏わせ、リオルは炎の中へと自ら飛び込んでいく。
灼熱の炎がその身を焼いていく。ダメージが小さいわけがないが、それを気にも留めずにリオルはひたすら突き進む。
そのまま、カエンジシの下顎に右手を叩きつけ、天高く吹き飛ばした。
「カエンジシっ!?」
ポプラの叫びがフィールドに響く。
打ち上げられたカエンジシは重力に従ってそのまま落下し、床にドサリと落ちる。
「……ふぅ」
力なく、燃え尽きてしまったように、へたりとポプラはその場に座り込む。
目を回して倒れているカエンジシは、誰が見ても戦闘不能だった。



「……はぁ、負けちゃった」
座り込んだまま、力なくポプラは呟いた。
ポプラが動く気配がないので、ハルはポプラの元まで歩み寄る。
「私、バトルの後っていつもこうなっちゃうんだ。全力を出しすぎて、疲れちゃうんだよね」
ハルの顔を見上げて、ポプラは力のない笑みを浮かべる。
「さあ。それじゃあ、熱い気持ちを、炎のように燃える熱意を、私に見せてくれたお礼に、これを……」
そう言ってポプラは、小さな箱を取り出し、フタを開ける。
太陽を模したような形にアルファベットのCの文字を描いた、赤色とオレンジ色で作られたバッジが収められていた。
「私の熱意に打ち勝ち、ヒザカリジム制覇した証。コロナバッジを、君にあげよう」
「はいっ、ありがとうございます!」

燃える炎の戦いに勝利し、ハルのバッジケースに、三つ目となるバッジが収められた。



ポケモンセンターに戻り、ポケモンたちを回復させている間、ハルはロビーで考え事をしていた。
(今までリオルがあの能力を発動してきたのは、ジム戦の時だけだ)
大会の時やポケセンの地下で戦った時は、例の現象は起こらなかった。
(しかも今日やカザハナジムの時は、何だかリオルと感覚が一つになっているような感じだった。一体、あの力は何なんだろう……)
色々考えてみるが、残念ながらハルは人並みの知識しか持ち合わせていない。
そうこうしているうちに、
「お待たせしました! お預かりしたポケモンは、皆元気になりましたよ!」
ポケモンの回復が終わり、ジョーイさんが三匹を連れてきた。
「……うーん、ダメだ! 考えてても始まらない。旅を続けていれば、いずれ分かる時が来るさ」
とりあえず、今日はまたヒザカリタウンに滞在だ。
明日になれば、ポケモンバトル大会が開催される。