二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第24話 進化 ( No.65 )
- 日時: 2016/11/13 12:08
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: 進化の光に包まれるイーブイ。果たして、その進化先は——
イーブイが青白く輝く光に包まれ、その姿を変えていく。
光が収まった時、そこにいたのは、イーブイとは全く違うポケモンだった。
『information
エーフィ 太陽ポケモン
全身の細かな体毛はわずかな空気の
流れも敏感に感じ取り今後の天気や
相手の行動を瞬時に読み取ってしまう。』
細くしなやかな体躯に、二股の尻尾を持つ。
体毛は薄い紫色で、額にはサイコパワーを司る珠が真紅に輝いている。
ハルが図鑑で調べると、タイプが変化したためか、技も大きく変わっていた。
『なんと!? ハル選手のイーブイ、ここでエーフィへと進化ぁぁぁぁっ!』
『エーフィはトレーナーにとっても懐いたイーブイだけが進化できる姿! ハル君の思いに、ハル君を深く信頼していたイーブイが応えたんだ! さあ、面白くなってきたぜ!』
実況と解説の叫び声が会場に轟き、会場が盛大にどよめき湧き上がる。
「イーブイ……いや、エーフィ。進化してくれたんだね」
ハルの言葉を耳にしてエーフィは振り返り、微笑んで頷く。
「……よし、エーフィ! この勝負、勝とう! 進化した君の力を見せてやろう!」
「ま、まさかこの局面で進化をするとは。でも進化前に受けたダメージはそのままのはず。一気に決めさせていただきますわ! コモルー、龍の息吹!」
「行くよエーフィ! スピードスター!」
コモルーが龍の力を帯びた息吹を吹き出すが、対してエーフィは無数の星型弾を放って息吹を打ち消し、さらに、
「サイコショット!」
額の珠に念力を集めて念力の弾を作り出し、コモルーへと放つ。
「コモルー、噛み砕く!」
飛来する念力の弾を、コモルーは鋭い牙で食らいつき、砕く。
「そこだ! エーフィ、スピードスター!」
しかしその隙にエーフィはコモルーの横に回り込み、再び星型弾を打ち込む。
今度はコモルーに直撃。鉄壁で上がった防御力も、特殊技ならば影響されない。
「っ、コモルー、焼き尽くす!」
「エーフィ、躱して!」
コモルーが勢いよく炎を噴射し、対するエーフィは身軽に跳躍して炎を躱す。
「隙あり! コモルー、龍の息吹!」
エーフィが飛んだところを狙って、コモルーは龍の力を帯びた息吹を放つ。
先程は進化エネルギーによって防がれたが、二度はない。空中にいるエーフィには、息吹を避ける手段はない。
確かに、それは事実。
しかし。
だからと言って、他に方法がないとは限らない。
「それを待ってたんだ! エーフィ、マジカルシャイン!」
エーフィの額の珠が眩い輝きを発し、コモルー目掛けて純白の光が放出される。
「なっ……! フェアリー技……!」
フェアリー技は、ドラゴンタイプに滅法強い。純白の光は龍の息吹を打ち消し、コモルーを覆い尽くした。
「コモルー!」
光が消えた時、コモルーは体力を削り取られ、既に戦闘不能となっていた。
『決まった——! ハル選手のイーブイ、いや、エーフィ! 相性の悪かったコモルーを相手に、土壇場でまさかの進化! そのまま大逆転勝利です!』
『ハル君とエーフィの絆が成せる技だねえ! こいつぁ決勝戦も楽しみだぁ!』
実況と解説のハイテンションな叫び声に呼応し、会場にも歓声が響き渡る。
「ま……まさか、負けてしまうなんて。カザカリ山道でのこともあって、正直なところ格下の相手だと思って油断してたわ。私に勝つなんて、やるじゃない。見事なバトルだったわね」
「エストレさんのおかげで、イーブイはエーフィに進化できたんです。そもそも、あそこでエストレさんに会わなかったら、僕は今頃イーブイ——エーフィと旅をしていなかったと思います。ありがとうございました」
「き、急にそんなこと言われると調子狂うわね……と、とにかく! 私に勝ったからには、優勝しなさいよ。分かったわね」
「はい! 決勝戦、絶対に勝ちます!」
その後ハルはもう一度エストレにお礼を言って、フィールドを後にした。
そして決勝戦。
「ドテッコツ、叩きつける!」
「リオル、躱して発勁!」
『information
ドテッコツ 筋骨ポケモン
手にした鉄骨で自身を鍛えたり
バトルの際には武器として使用する。
鍛え上げた硬い筋肉の体を持つ。』
赤い鉄骨を持った格闘ポケモン、ドテッコツが振り下ろす鉄骨を躱し、リオルは青い波導を纏った右手をドテッコツに叩きつける。
「ぐっ、ドテッコツ、アームハンマー!」
体勢を崩すもその場に踏み止まり、ドテッコツは筋肉を鍛え上げた硬い腕をリオルへ振り下ろす。
「躱して電光石火!」
だがリオルは一旦後ろへと飛んでドテッコツの腕の一撃を躱すと、地を蹴って目にも留まらぬ猛スピードで飛び出し、ドテッコツの腹へと体当たりする。
「ドテッコツ、引き剥がせ! もう一度アームハンマー!」
「リオル、サイコパンチ!」
リオルを叩き落そうとドテッコツが腕を振り上げるが、リオルはそれよりも速く拳に念力を纏わせ、ドテッコツの鳩尾に拳を叩き込み、吹き飛ばした。
「発勁!」
吹き飛ばされたドテッコツを追って地を駆け、リオルが波導を纏った右手を突き出す。
「ぐっ……ドテッコツ、叩きつける!」
よろめきながらもドテッコツは鉄骨を振り上げる。
しかしドテッコツの攻撃は強力な分、出が遅い。
鉄骨が振り下ろされるその前に、ドテッコツの懐へと飛び込んだリオルの右手が先にドテッコツへと叩き込まれた。
「ドテッコツ!」
ドテッコツの体が、フィールドにバタンと倒れる。
目を回して倒れ伏したその姿は、明らかに戦闘不能だった。
『決着ぅぅぅぅっ! 準決勝で格上を破った新星同士の決勝戦、激しい戦いを制したのは、ハル選手ッ! 力で勝るドテッコツ相手に、スピードを生かしての大勝利! まさに柔よく剛を制し、ハル選手、ヒザカリ大会優勝です!』
アナウンサーの声が轟き、会場の歓声が今まで以上に大きくなる。
『いやぁどの試合も見どころ満載のすっげえバトルだったね! 何だか私も無性にバトりたくなってきた! ってことで、まだヒザカリジムに来てないポケモントレーナーの皆! 私ポプラはいつでも挑戦を受け付けてるぜーっ!』
もはや解説らしい解説をしていないが、ポプラもそう言ってまとめる。
何はともあれ、ヒザカリタウンバトル大会はハルの優勝で幕を下ろし、ハルのイーブイはエーフィへと進化した。
「まさか、優勝できちゃうなんて……」
地域のリポーターと思われる二人組からちょっとしたインタビューを受けた後、ハルはポケモンセンターに向かっていた。
ちなみに優勝商品は木の実詰め合わせセットなるものだ。多種多様な大量の木の実を貰った。
ポケモンセンターで、ハルがポケモンを回復させていると、
「ここにいたのね。探したわよ」
後ろから声を掛けられた。振り返ると、そこにいたのは先程戦ったエストレだ。ハッサムを連れている。
「エストレさん! 大会お疲れ様でした」
ハルが言葉を返すと、エストレは小さく笑い、
「貴方、本当はなかなか強かったのね。私は自分より弱い人間には興味がないのだけれど、今回の大会で見直したわ」
そう言って、ターミナルを取り出す。
「貴方のターミナルを貸しなさい。貴方を私のライバルと認めて、私の連絡先を教えてあげるわ」
「え……いいんですか!?」
ハルとしては、嬉しい申し出だった。今回は勝てたが、トレーナーとしてのハルの腕はエストレにはまだまだ及ばない。格上のトレーナーにライバルとして認められたのは、ハルにとっては何だか嬉しかった。
「ええ、勿論よ。次に会うときは私のエース、このハッサムと戦いましょう。今度は負けないわよ」
「……! はいっ!」
その後、お互いの連絡先を交換した後、エストレはハルに手を振り、ハッサムを連れてポケモンセンターを出て行った。
「……よし、僕ももっと頑張らなきゃ」
今日はヒザカリタウンに泊まって、明日は次なる街、サオヒメシティに出発だ。