二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第25話 襲撃者 ( No.66 )
- 日時: 2016/11/14 11:07
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: kLq/cUWR)
朝早く、ハルはヒザカリタウンを出発していた。
次の目的地、サオヒメシティまではまあまあ距離があるため、早起きしてすぐにヒザカリを出た。
サオヒメまでの道路は植物が少なく、ゴツゴツとした岩場が多いが、ちゃんと通れる道は用意されている。
そして、そんな道を進むハルは。
地中からの強襲を受けていた。
「うわっ!」
足元から何者かに襲撃され、ハルは尻餅をつく。
襲撃者の正体は、ポケモンだった。
『information
メグロコ 砂漠ワニポケモン
体温を下げないように地中で生活。
縄張り意識の強い個体は自分よりも
大きな外敵にも積極的に攻撃する。』
砂の色をした、目元の黒いワニのようなポケモン。
どうやら、このメグロコが縄張りとしている地に踏み込んでしまったらしい。
「地面と悪タイプのポケモンか……。君には悪いけど、ここを進ませてもらうよ。出てきて、ヒノヤコマ!」
倒すまでは行かずとも撃退すべく、ハルはヒノヤコマを繰り出す。
外敵が戦うつもりだと理解したのか、メグロコは牙を剥いて本格的に襲い掛かってきた。
「ヒノヤコマ、エアカッター!」
ヒノヤコマが翼を羽ばたかせて風の刃を飛ばすが、メグロコは頑丈な顎で刃を噛み砕いてしまう。
「ニトロチャージ!」
ヒノヤコマが力強く鳴き、その身に炎を纏う。
そのままメグロコへ炎の突進を仕掛けるが、それを見たメグロコは素早く地中へと潜り、突進を躱す。
「なかなか素早いな……ヒノヤコマ、上昇して」
地中からの攻撃を警戒し、上空へヒノヤコマを移動させる。
しばらくするとメグロコが地中から姿を現す。攻撃が届かないと判断したのだろうか。
「ヒノヤコマ、疾風突き!」
嘴を突き出し、猛スピードでヒノヤコマが突っ込む。
対応する隙すら与えず、メグロコを突き飛ばす。
「アクロバット!」
さらにヒノヤコマは身軽な動きでメグロコとの距離を詰め、翼を振りかぶる。
だが翼が振り下ろされる直前、メグロコが大顎を開いてヒノヤコマに噛み付いた。
「っ、ヒノヤコマ! エアカッターだ!」
ヒノヤコマが体を振ってもがきつつ、翼を羽ばたかせて風の刃を飛ばす。
しかしメグロコは刃を受けてもヒノヤコマに噛り付いたまま中々離れない。
「これって……ただの噛み付く攻撃じゃない!」
咄嗟にハルが図鑑を取り出し、技を調べる。
「バインドファング……しばらくダメージを与え続ける技か! だったら、ニトロチャージ!」
ヒノヤコマの全身が、炎に包まれる。
これには流石のメグロコもヒノヤコマから振り落とされ、さらにそのメグロコにヒノヤコマの炎の突進が迫る。
だがこのメグロコ、砂の渦を放ち、ヒノヤコマを纏う炎を打ち消してしまった。
「今のは……砂地獄か」
地面技なのでヒノヤコマにダメージはないが、炎を掻き消されてしまった。
このメグロコ、野生のポケモンにしてはかなりの腕前だ。
「中々強いな……これはゲットしたいかも」
戦っているうちに、目標は撃退から捕まえる方向に変わる。
「よし、ヒノヤコマ、もう一度疾風突き!」
ヒノヤコマが嘴を突き出し、目にも留まらぬスピードで突撃する。
やはりこのスピードには対応できないようで、メグロコは突き飛ばされてしまう。
「今だヒノヤコマ! ニトロチャージ!」
炎を纏い、さらに突撃を仕掛けるヒノヤコマ。
メグロコは地中に潜る余裕はなく、炎に噛み付いての迎撃もできない。
しかし。
突如、メグロコの体が青白く光り輝く。
「なっ……! これは……!」
やはりこのメグロコは野生にしては相当強いポケモンだったようだ。
間違いない。昨日見たものと全く同じこの光は、進化の光。
光に包まれたメグロコが、そのシルエットを大きく変えていく。
ようやく収まった時、先ほどまで四足歩行をしていたメグロコは二本足で立ち上がり、別のポケモンとなっていた。
『information
ワルビル 砂漠ワニポケモン
両目は熱を感知し暗闇でも周囲の
様子を把握できる。大顎で外敵に
噛み付き遠くへ投げ飛ばして追い出す。』
先程までのメグロコと比べて体色は変わらないが、二本足で立ち上がっており、体つきが強化されている。
「……まさか進化するなんて。意地でも僕を撃退したいみたいだ」
しかし、ワルビルが本当にそう思っているのなら、この進化は逆効果。
「すごいや、ますます欲しくなってきた! ヒノヤコマ、まだ行ける?」
ヒノヤコマは一旦ハルの元まで戻り、頷く。
「よし! ヒノヤコマ、ニトロチャージ!」
ヒノヤコマが力強く鳴き、その身を炎に包んで突撃する。
しかし、ワルビルは口を開き、ヒノヤコマの炎の突進をその大顎で受け止めた。
そのまま首を振るい、ヒノヤコマを逆に投げ飛ばしてしまう。
「っ!? ヒノヤコマ!」
勢いよく投げ飛ばされ、ヒノヤコマが岩場に叩きつけられる。
「ダメだ、途端に相性が悪い……ヒノヤコマ、一旦戻っててくれ」
ヒノヤコマをボールへと戻し、ハルは別のボールを取り出す。
「頼んだよ、リオル!」
代わりにハルが繰り出したのはリオルだ。悪タイプを持つワルビルに対して、有利に戦える。
「リオル、電光石火!」
地を蹴って飛び出し、リオルが猛スピードで突撃する。
一瞬で懐へと潜り込み、ワルビルを突き飛ばす。
「発勁!」
さらに波導の力を纏った右手をワルビルに突き出すが、ワルビルは刀身のように白く輝く腕を振るい、リオルの右手を受け止め、さらにもう片方の腕を振るってリオルを弾き飛ばした。
「燕返しか……! リオル、真空波!」
すぐさまリオルは起き上がり、腕を振って真空の波を放つ。
ワルビルの額に直撃し、わずかに後ずさりする。
「もう一度発勁!」
右手の波導を強め、リオルはワルビルへと向かっていく。
それを見たワルビルは今度はすぐさま地中に潜り、姿を隠してしまうが、
「リオル、波導の力で場所を探るんだ」
リオルは生命体の波導を感じ取ることができる。例え相手が地中にいようとも、その場所を正確に捉える。
「リオル、出てきた瞬間に発勁!」
直後、リオルの足元から勢いよくワルビルが飛び出す。
しかしそれを予知していたリオルは身を捻ってワルビルの攻撃を躱すと、返す刀で波導を纏った右手を叩きつけ、ワルビルを大きく吹き飛ばす。
「真空波!」
宙を舞うワルビルへ、さらにリオルは真空の波を放つ。
真空波の直撃を食らって、ワルビルは地面に撃墜される。
「よし……今だ!」
それでもまだゆっくりと起き上がろうとしているワルビルに対し、ハルはモンスターボールを投げつける。
ボールがワルビルの脳天に直撃し、ワルビルがすっ転んだ直後、モンスターボールが開き、ワルビルはその中に吸い込まれる。
ボールが地面に落ち、ボタンが赤く点滅し、激しく揺れる。
やがて、カチッと音がし、点滅とボールの揺れが止まった。
「……やった! ワルビル、ゲット!」
ハルの手持ちに、またもう一匹、新しい仲間が加わった。
「ワルビル、突然攻撃しちゃってごめんよ。これからよろしくね」
ハルは捕まえたばかりのワルビルを出し、体力を回復するオボンの実を差し出す。
まだ気が立っている様子のワルビルだったが、オボンの実を食べた瞬間、表情が一変した。
「……え? まだ欲しいって? まぁ昨日の優勝商品だからまだ沢山あるよ。待ってね……」
バッグを探り、ハルはいくつかオボンの実を取り出す。
ワルビルは瞬く間に木の実を食べてしまうと、機嫌良さそうに雄叫びを上げる。
旅の仲間にまた一匹頼もしいポケモンを迎え、ハルは改めて次の街、サオヒメシティを目指す。