二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第31話 ジムバトル! サオシメジムⅠ ( No.76 )
- 日時: 2016/12/02 23:45
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
- 参照: メガシンカ使いのジムリーダー、アリスとの戦いが始まる!
翌日、ハルは朝早くからサオヒメジムを訪れていた。
濃い紫の塗装の建物をネオンライトで派手に飾った、色鮮やかなジムだ。
ドアの前に立つと、勝手に自動ドアが開く。
「失礼します」
そう言って、ハルはジムの中へと足を踏み入れる。
部屋の電気自体は薄暗いが、代わりに壁のネオンライトが眩しく部屋を照らし、フィールド自体は明るい。
さらにフィールドは今まで見た土のフィールドとは違い、金属で作られている。
そして、フィールドの向こう側に立つ、一人の人影。
「おお、ハル君! 来てくれたんだね!」
鮮やかな金髪の毛先を水色に染め、青白いグラデーションのかかった服に真っ白なスカートの女性。
ジムリーダー、アリスだ。
「君がいつ来てくれるのかって、楽しみにしてたよ。本当はここで私がジムリーダーだってネタばらししたかったんだけどねー。ディントス教の司教に邪魔されなければ、それができてたんだけど」
とにかく、とアリスは続け、
「ここに来たってことは、バトルの準備はできてる、ってことだよね?」
「はい。アリスさんに勝つために、特訓してきました!」
「ふふふ、君がどれくらい成長してるのか、見せてもらうわね。バトルは四対四、ポケモンの直接の交代は挑戦者のみが可能。それじゃあ、始めるわよ」
四つ目のバッジを賭けた、ハルのジム戦が始まる。
「最初は君に頼むよ、エーフィ!」
「まずはこの子。輝け、マルマイン!」
ハルの最初のポケモンはエーフィ。
対して、アリスの一番手はモンスターボールを巨大化してひっくり返して顔をつけたようなポケモンだ。
『information
マルマイン ボールポケモン
溢れるほど大量の電気エネルギーを
体内に溜め込んでいる。猛スピードで
動き回り衝撃を受けると爆発する。』
奇妙な見てくれだが、こんな形でもれっきとした電気タイプのようだ。
「あら? そのエーフィ、もしかして?」
「ええ。あの時のイーブイが進化したんです」
「そっかぁ。エーフィはよく懐いて進化するポケモン、君にぴったりの進化だね」
だけど、とアリスは続け、
「進化したエーフィのその力、君はちゃんと引き出せているかな? 私が見てあげよう! マルマイン、シグナルビーム!」
マルマインの全身が激しい光を放ち、額から光線が撃ち出される。
「エーフィ、スピードスター!」
対してエーフィは二股の尻尾を振るい、無数の星形弾を放って光線を相殺する。
「マルマイン、磁力線!」
見た目からは想像もつかないスピードでマルマインはエーフィの周囲を駆け回り、電気を放って磁場を荒らし、激しい磁力の波をエーフィへと放つ。
「軌道が見えない……それならエーフィ、マジカルシャイン!」
磁力は目に見えないが、明らかに衝撃が接近して来ているのは分かる。
エーフィは額の珠から純白の光を周囲へ放ち、磁力線を防いだ。
「サイコショット!」
マルマインの動きが止まったところにエーフィは念力の弾を放ち、マルマインを吹き飛ばす。
「っ、特攻が高いね、そのエーフィ。これは普通に戦うだけだと苦しくなりそうね」
だったら、とアリスは不敵な笑みを浮かべ、
「これはどう? マルマイン、怪電波!」
マルマインがノイズと共に電波を放出し、エーフィへ浴びせる。
だが。
エーフィに当たった電波は弾かれ、逆に電波を放ったはずのマルマインがもろに電波を浴びた。
「っ……なるほど。そのエーフィ、珍しい子なのね」
「はい。このエーフィの特性は、マジックミラーなんです」
ポケモンの中には、稀に普通の特性とは違う、所謂『隠れ特性』をもつ個体がいる。
普通のエーフィの特性はシンクロだが、ハルのエーフィの特性は変化技を跳ね返すマジックミラー。マルマインの放った怪電波は、マジックミラーによって跳ね返されたのだ。
さらに、怪電波は相手の特攻を大きく下げる技。つまり、
「そのマルマインの特攻は大きく下がってる。エーフィ、チャンスだ! サイコショット!」
エーフィが額の珠にサイコパワーを集め、念力の弾を放つ。
しかし。
「なるほどねぇ。だったら、この手でいくわ」
アリスが、次の手に出る。その表情に、焦りはない。
「マルマイン、躱してボルトチェンジ!」
素早い動きでマルマインは念力の弾を躱し、電撃の輪をエーフィへと放つ。
電撃がエーフィに命中すると、その輪はブーメランのようにマルマインの元へと戻る。
そして、電撃の輪に囲まれたマルマインは、そのままアリスの持ったモンスターボールの中へと戻ってしまう。
「えっ……?」
予想外の展開に驚きを隠せないレオ。
ジムのルールとして、ジムリーダーのポケモンの交代は禁止のはず。
しかし、
「言ったでしょ? ポケモンの“直接の”交代は挑戦者のみ。だけどボルトチェンジは使用後に控えのポケモンと入れ替わる技。ジムのレギュレーションは、技による交代は可能なのよ。そうじゃないと、相手を交代させる技を受けた瞬間に不正になっちゃうしね」
得意げな笑みを浮かべてアリスは語る。そして、アリスの次なるポケモンが繰り出される。
「次はこの子! 輝け、エレブー!」
代わりに繰り出されたのは、黄色い体に無数の黒い稲妻模様を刻んだ人型に近いポケモンだ。
『information
エレブー 電撃ポケモン
強い電気が大好物。発電所に
忍び込んで電気を食べてしまい
街中に大停電を起こすこともある。』
マルマインと違い、こちらは見ただけですぐに電気タイプと分かる。角や腕からバチバチと電撃を生み出しているからだ。
「それじゃあ仕切り直し! エレブー、雷パンチ!」
腕を振り回して膨大な電撃を纏わせ、エレブーが殴りかかってくる。
「エーフィ、躱してスピードスター!」
跳躍して電撃の拳を躱し、エーフィは上空から無数の星形弾を飛ばすが、
「もう一度雷パンチ!」
再びエレブーは雷の拳を振るい、腕の一振りで星形弾を打ち消してしまう。
「お次は冷凍パンチ!」
さらにエレブーは地面を蹴って大きく飛び、右拳に冷気を込めて空中のエーフィへ飛びかかる。
「エーフィ、シャドーボール!」
エーフィも額から黒い影の弾を飛ばし、エレブーを迎え撃つ。
影の弾がエレブーの拳を覆う冷気を打ち消すが、
「炎のパンチ!」
すかさず左拳に炎を灯し、エレブーは炎の拳を振り下ろして、エーフィを叩き落とした。
「っ、エーフィ!」
エーフィが床に叩きつけられる。今までのフィールドと違い金属で作られており、痛そうな音が響き渡る。
「エーフィ、大丈夫!?」
ハルが声を掛けると、エーフィは痛そうな表情を浮かべながらも立ち上がり、頷く。
「この間と比べて、耐久力も上がってるねえ。だけど私のエレブーはひたすら攻撃するアタッカータイプ。殴り合いならこっちに分があるわよ」
アリスの言葉に続くように、エレブーも両手を振り回しながら雄叫びを上げる。
「生憎、僕のエーフィは正面から殴り合うタイプじゃありません。勝負はここからですよ! エーフィ、サイコショット!」
立ち上がったエーフィが、額の珠にサイコパワーを溜め込み、念力の弾を発射する。
「エレブー、弾き飛ばして! 雷パンチ!」
対するエレブーは電撃を纏わせた腕をバットのように振るい、念力の弾をエーフィへと打ち返す。
「シャドーボール!」
しかし既にエーフィはそこにはおらず、エレブーの横まで回り込んでいる。
放たれた黒い影の弾がエレブーに直撃し、エレブーが押し飛ばされる。
「スピードスター!」
体勢を崩すエレブーへ、エーフィはさらに必中の無数の星形弾を飛ばす。
「エレブー、炎のパンチ!」
体勢が整わないまま強引にエレブーは炎を灯した拳を突き出し、飛来する星形の弾を纏めて打ち破る。
「今だエーフィ! マジカルシャイン!」
直後、エーフィが空中へ飛び上がり、額から純白の光を放つ。
真っ白な光がエレブーを覆い尽くし、吹き飛ばす。
「っ、エレブー、ここからよ! 立て直して!」
吹き飛ばされて地面に落ち、エレブーは起き上がると、怒ったように大きく叫ぶ。
「連続攻撃を受けても疲れも見せないか……エーフィ、気をつけて行くよ」
エーフィはハルの言葉に応えて頷き、怒りの形相でこちらを睨むエレブーをじっと見据える。