二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第3話 出発 ( No.8 )
- 日時: 2016/10/28 00:11
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: PUqaVzEI)
- 参照: いよいよ旅に出る、ハルとサヤナ。
シュンインシティを目指し、ハルとサヤナは二人で道路を進んでいく。
「ねえ、ハル」
ハルの横に並んで歩くサヤナが、口を開いた。
「折角ポケモントレーナーになったし、自分の力で新しいポケモンを捕まえたいよね」
「うん。多分ポケモンジムも、ポケモン一匹だけじゃ太刀打ち出来ないだろうし……」
ポケモンジムではジムリーダーと戦うことになる。恐らくポケモンが一匹だけでは勝てないだろう。
「だよね。多分この道路にも何種類かポケモンが住んでるし、まずはもう一匹ポケモンを捕まえようよ!」
「あ、いいね! それじゃあ、先に捕まえた方が勝ち、っていうのはどう?」
「さんせーい! それじゃ、捕まえたらここに戻ってこようか! 先に戻って来た方が勝ちね!」
二人は一旦別れ、ポケモンを探しに向かう。
「うーんと、まずはどこを探そうか……」
とりあえず定石通り、ハルは草むらに入り込んで野生のポケモンを探す。
だが、ハルが草むらに足を踏み入れたその瞬間。
ガサッ! と音がし、草むらの中から矢のようにポケモンが飛び出してきた。
「っ!? なに!?」
びっくりして尻餅をついたハルは、座り込んだままポケモン図鑑を取り出す。
目の前に襲撃者が飛び出してきた。赤い顔をした小柄な鳥ポケモンだ。
『information
ヤヤコマ コマドリポケモン
さえずる声が美しく人懐こいので
多くの人に人気。縄張り荒らしには
容赦しない荒々しさを見せる。』
「ノーマル・飛行タイプのヤヤコマか……タイプ相性が不安だけど、リオル、頼むよ!」
立ち上がり、ハルはリオルを繰り出す。ヤヤコマを捕まえる考えだ。
威嚇しても縄張りから離れないハルとリオルを外敵だと認識したのか、ヤヤコマは今度こそ本気で突っ込んできた。
「っ! リオル! こっちも電光石火!」
ヤヤコマが電光石火を繰り出したのに気付き、リオルも同じく電光石火で迎え撃つ。
「リオル、発勁!」
お互いに競り合う中、リオルが右手に青い波導を纏い、右拳をヤヤコマに叩きつけて殴り飛ばす。
「よし! リオル、真空波!」
さらにリオルはその場で拳を振り抜き、真空の波を飛ばす。
しかしヤヤコマも動きが早い。すぐに体勢を整え、羽ばたいて上昇し、真空の波を躱す。
そのまま旋回し、ヤヤコマは嘴を突き出し、全速力で再び突っ込んで来た。
「また来たか! リオル、電光石火!」
再びリオルも目にも留まらぬスピードで突っ込んでいく。
二者が再び正面からぶつかる。ここまでは同じ。
しかし。
先程と違い、リオルが押し戻された。ダメージが大きい。
「えっ……? もしかして、技が違う?」
慌ててハルは図鑑を取り出し、今の技を調べる。
「ええっと……“疾風突き”……? 飛行タイプの先制技か!」
電光石火と挙動がよく似ていたが、どうやら違う技のようだ。
「気をつけなきゃ……だけど、ますます欲しくなった! リオル、頑張るぞ! 発勁!」
体勢を立て直し、リオルは右手に青い波導を纏って突っ込む。
対するヤヤコマは口から無数の火の粉を吹き出すが、サヤナのアチャモのものよりは弱めだ。
右手を突き出して火の粉の中を突っ切り、リオルは波導を纏った右手をヤヤコマに叩きつけた。
強い衝撃を食らって、ヤヤコマが空中でふらつく。
「今だリオル! 電光石火!」
それを見逃さずに、リオルは跳躍し、一気にヤヤコマとの距離を詰め、ヤヤコマを地面に叩き落とした。
「よし、これで……! いけっ!」
地面に落ちたヤヤコマを狙って、ハルはモンスターボールを投げる。
ボールがヤヤコマに当たると、ボールがひとりでに開き、ヤヤコマがその中に吸い込まれる。
ボールが地面に落ち、赤い光を点滅させながら揺れる。
しばらくカチカチと揺れ続け、最後に一度だけカチッと音がし、揺れは止まった。
「……やった! ヤヤコマ、ゲット!」
初めてのポケモンゲット、無事成功。
ポケモントレーナーになったということを改めて自覚し、ハルはスタート地点に戻る。
ポケモンゲット対決はハルの勝ちだった。
サヤナ曰く、狙った一匹目に逃げられたらしい。
「バトルで負けて、ゲット勝負で勝ったから、これでおあいこだね」
「うぅ、一匹目を捕まえられてたら勝ってたのにー!」
腕をバタバタさせながら悔しがるサヤナ。
「ちなみに、サヤナはどんなポケモン捕まえたの?」
「えっとね、この子だよ! 出ておいで、コフキムシ!」
そう言いながらサヤナが出したポケモンは、頭に三本の白い毛、首にふさふさの体毛を持つ、黒い芋虫のようなポケモン。
『information
コフキムシ 粉吹きポケモン
体のまわりの毛や粉が体温を調節
するため高い適応能力を持つ。外敵に
対しては毒の粉を撒き散らして対抗する。』
コフキムシという、虫タイプのポケモンのようだ。
「ハルのも見せてよ! どんなの? かわいい?」
「もちろん。僕が捕まえたのは、こんなポケモンだよ」
ハルもモンスターボールを取り出し、先程捕まえたばかりのヤヤコマを出す。
「わぁ、かわいい! だけど、私が一匹目に見つけた鳥ポケモンとは違うね」
そう言ってサヤナはポケモン図鑑を取り出した。
「ほらこれ。私が見つけたのは、このポケモンなんだよ」
サヤナの図鑑には、確かにヤヤコマとは別のポケモンが表示されていた。
図鑑によると、マメパトというポケモンらしい。
「ま、このコフキムシも気に入ったし、結果オーライよね」
にひひー、とサヤナは笑い、コフキムシの頭を撫でてボールに戻す。
「さ、それじゃポケモンも捕まえたし、シュンインシティまで急ぐよ!」
「わ、だから、待ってってば!」
再びサヤナが駆け出し、慌ててハルもヤヤコマをボールに戻し、急いでその後を追う。