二次創作小説(映像)※倉庫ログ
- 第35話 ジムバトル! サオヒメジムⅤ ( No.80 )
- 日時: 2016/12/06 17:08
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: cYeSCNTQ)
- 参照: 波導、覚醒——
波導を右手に纏ったリオルが、ライボルトへ向かっていく。
「ライボルト、シグナルビーム!」
対して、ライボルトは瞳から激しい光を放つ光線を発射してリオルを迎撃する。
波導を纏った右手が光線を打ち消すが、発勁も止められてしまう。
「サンダーブラスト!」
電気を纏い、ライボルトが飛び出す。
リオルとの距離を詰めながら、纏った電撃を衝撃波として一斉に放出する。
「っ、リオル、躱して!」
大きく横っ飛びして、リオルは何とか電撃の衝撃波を躱す。
「真空波!」
「火炎放射!」
リオルが素早く腕を振り、高速の真空の波を飛ばす。
だが真空波を受けてもライボルトは怯まず、すぐさま灼熱の業火を吹き出し、リオルに炎を浴びせて吹き飛ばす。
「ライボルト、シグナルビーム!」
さらにライボルトは激しく点滅する光線を発射し、追撃を仕掛ける。
「くっ……リオル、躱してサイコパンチ!」
咄嗟に横に転がり、リオルは光線を躱すと、右拳に念力を纏わせて起き上がり、再びライボルトへと向かっていく。
「ライボルト、サンダーブラスト!」
ライボルトが電気を纏い、電撃の衝撃波を放出するが、
「来るよリオル! 躱して!」
リオルは跳躍してそれを躱し、上空から念力の拳をライボルトの額へと叩き込んだ。
「ライボルト、目覚めるパワー!」
殴り飛ばされたライボルトはすぐさま起き上がり、周囲へと無数のエネルギー弾を放つ。
「リオル、真空波!」
対して、リオルは腕を振って真空の波を放ち、自分の方へ向かってくる球体を打ち消し、
「電光石火!」
地を蹴り、目にも留まらぬ猛スピードでライボルトへ突っ込む。
しかし。
「ライボルト、一発耐えなさい! サンダーブラスト!」
リオルの高速の突撃を、ライボルトはしっかりと地面に足をつけて耐え切った。
「まずい……! リオル、発勁!」
リオルが右手に波導を纏わせ、突き出したその瞬間。
ライボルトの身体から強烈な電撃の衝撃波が周囲一帯に放出され、リオルの波導の右手を打ち破り、リオルを吹き飛ばした。
発勁で多少威力を抑えたが、それでもライボルトの主力技、その威力はかなりのもの。
「くっ、リオル、まだ行ける?」
リオルはフィールドに手を付き、起き上がって自信を鼓舞するように叫ぶ。決してダメージは小さくないが、それでもまだやれる。
「ライボルト、火炎放射!」
「リオル、躱してサイコパンチ!」
ライボルトが灼熱の業火を噴射し、対するリオルは右拳に念力を纏わせ、炎を躱してライボルトへ殴りかかる。
「ライボルト、躱してシグナルビーム!」
ライボルトは真上に跳躍し、リオルの念力の拳を回避、上空から激しい光を放つ光線を発射する。
「リオル、躱して発勁!」
光線を躱したリオルは床を蹴って跳躍し、上空のライボルトへと波導を纏わせた右手を突き出す。
しかし。
「今よライボルト! サンダーブラスト!」
空中でライボルトが大きく身を捻り、リオルの拳を躱す。
そして間髪入れず、身体中に纏わせた電撃を衝撃波と共に一斉に解き放った。
この至近距離で、しかも空中の攻撃を躱せるはずもなく、リオルは衝撃波を叩きつけられ、金属の床へと撃墜される。
「リオル……!」
「終わりにしましょう! 火炎放射!」
床へ落ちたリオルに、ライボルトは容赦なく炎を吹き出す。
「リオル! まだだ、立ってくれ!」
ハルの呼びかけに応えて、リオルは腕を震わせ、必死に起き上がろうと力を振り絞る。
眼前には、灼熱の業火がすぐそこまで迫るを
「リオル、僕たちは勝つ! 例え相手がメガシンカポケモンだって、勝つんだぁ!」
ハルの叫びが、リオルに届く。
リオルが、大きく、その瞳を見開いた。
刹那。
炎が吹き飛び、掻き消され、リオルの身体が青白く輝く光に包まれる。
「……っ、リオル……!」
「……へえ。やっぱり君は、ポケモンとの仲がいいんだね」
リオルを包む光は、紛れもない進化の光。
小柄なリオルのシルエットが変化し、大柄な人型の獣人のような姿に変わっていく。
光が消えると、リオルは進化して別の姿になっていた。
リオルの面影を残しながら大きくなり、細身ながらもがっしりとした体つき。胴体には薄橙の体毛が生え、腕や胸には鋼の棘を持っている。
『information
ルカリオ 波導ポケモン
あらゆる生命の波導を感じ取れる。
1km離れた相手の感情をも理解し
見えない敵の場所も正確に読み取る。』
「ルカリオ……進化してくれたんだね!」
立ち上がったルカリオはハルの言葉に応え、静かに頷く。
「行ける、勝てるよ! この勝負、絶対勝とう!」
対して、アリスも不敵に笑う。
「進化しただけじゃ、私には勝てないわ。私に勝ちたかったら、私とライボルトと上回る絆を見せ——」
そこで、アリスは言葉を止めた。
なぜなら。
ルカリオが普通では考えられないほど膨大な量の波導を纏っているからだ。
「これは……!」
アリスの表情に浮かぶ驚愕。
その驚きは、
「……すごい! ハル君、やっぱり君はすごいトレーナーだよ!」
次第に楽しむような笑みへと変わっていく。
「そのルカリオの膨大な波導の力、それは、君とルカリオの絆の力! ポケモンはトレーナーとの絆を得て、最大まで力を引き出せる。そのルカリオは、ハル君との絶対的な絆を得た上で、その力を使いこなせているのね……!」
心の底から楽しそうな表情を浮かべ、アリスは叫ぶ。
「ライボルト、すごいよ! この子、私たち以上かもしれない! この子たちになら、もしかしたら……!」
最高の笑顔で、アリスはハルの方に向き直る。
「君の輝きと私の輝き、どっちが強いか勝負! さあ! その絆の力を! 私たちに見せてよ!」
「絆の力……それが、この力の正体」
ようやく分かった、リオルの時からの特別な力。
それは、ハルとルカリオの絆によって生み出される力だったのだ。
「ええ! 僕とルカリオは、絶対に負けません! ルカリオ、発勁!」
ルカリオの右手から、爆発するように青い波導が噴き出す。
地を蹴り、ルカリオは一気にライボルトとの距離を詰め、波導の右手を叩き込む。
「格段に威力が上がってる……! ライボルト、サンダーブラスト!」
すぐに体勢を立て直し、ライボルトは電気を溜め込み、衝撃波と共に電撃を放出するが、
「ルカリオ、ボーンラッシュ!」
対して、ルカリオは骨の形をした長い波導のロッドを作り上げる。
地面タイプの技のボーンラッシュなら、電気タイプの技を打ち消せる。波導のロッドを構えてルカリオが突撃し、電撃の衝撃波を難なく打ち破り、さらにライボルトを殴り飛ばす。
「躱してシグナルビーム!」
立て続けに繰り出されるロッドの連続攻撃を躱しつつ、ライボルトは瞳から激しく点滅する光線を放ち、ルカリオを押し戻す。
「火炎放射!」
「発勁で防いで!」
さらにライボルトが灼熱の業火を吹き出すが、ルカリオは波導を纏った右手を振り抜いて炎をなぎ払い、
「サイコパンチ!」
念力を纏った拳を構え、一気にライボルトとの距離を詰め、殴り飛ばす。
「ルカリオ! 次で決めるよ!」
「へえ! それならライボルト、こっちも次で終わりにしましょう!」
両者が、最後の技を繰り出す。
ルカリオが体を纏う全ての波導を一点に集め、ライボルトは体の全ての電気エネルギーを溜め込んでいく。
「ルカリオ、波導弾!」
「ライボルト、サンダーブラスト!」
ルカリオの構えた両手から、全ての波導を凝縮した巨大な波導の念弾が撃ち出される。
ライボルトもあらん限りの電撃を全て、衝撃波と共に解き放つ。
波導の念弾と電撃の衝撃波が、正面から激突。
轟音を立てて双方が競り合い、その末に、遂に波導の念弾が衝撃波を打ち破った。
止めるものがなくなった波導弾は、そのまま一直線に飛び、ライボルトを捉えた。
「……すっごい」
ライボルトが倒れ、光と共に姿が元に戻る。
目を回し、戦闘不能となって倒れていた。
「お見事ね。私とライボルトの絆を、君とルカリオの絆の力が上回った。あの力を発揮できたのがその証よ」
「ありがとうございます。やっとこの力の正体を知ることができました」
ハルと同時に、ルカリオもアリスに礼を言う。
「それじゃ、これを」
アリスは微笑み、小さな箱からバッジを取り出す。
青い無数の火花が飛び散る、黄色の稲妻を模した模様のバッジだ。
「サオヒメジム制覇の証、ライトニングバッジ。大事にしてね?」
「はい、ありがとうございます!」
ハルのバッジケースに、四つ目のバッジが填め込まれた。
「……それと」
と、そこでアリスがさらに口を開く。
「このあと時間あるかしら? よかったら、この街の外れの塔に来てほしいのだけれど」
「……? いいですけど、何かあるんですか?」
ハルの疑問に対し。
アリスは、こう答えた。
「そこで君に継承したいの。私を超える絆を持つ君とルカリオに、メガシンカの力をね」
『information
ジムリーダー アリス
専門:電気タイプ
異名:閃光煌めく戦乙女(スパークヴァルキリー)
家系:継承者』