二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第38話 激突 ( No.83 )
日時: 2016/12/08 11:01
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: VYLquixn)
参照: ディントス教とアリス率いる精鋭、激突!

「これはこれはジムリーダー一行。我々ディントス教に何の用かね」

「キーストーンを取り戻しに来たのよ。ついでにディントス教もぶっ潰すの」

ディントスが支配する教会の大聖堂に、二つの集団が対峙していた。
かたやジムリーダーのアリス率いるディントス教壊滅部隊。かたや教皇ディントスが牛耳るディントス教信者。
一触即発の雰囲気の中、先頭に立つそれぞれのリーダー、アリスとディントスが睨み合いを続けている。
「今ここでキーストーンを返して土下座するというのなら、それで許してあげるけど」
「ふっ、つまらぬ冗談よ。『V』様の加護がある限り、我々ディントス教の敗北などあり得ない。貴様らを叩き潰し、そのポケモンも『V』様への献上物にしてやろうか」
「交渉決裂ってわけね。それじゃあ、こっちも手段は選ばないわよ!」
モンスターボールを取り出し、アリスは大声で叫ぶ。
それに呼応し、ハルたちも一斉にそれぞれのボールを取り出した。
「あくまでやる気のようだな。『V』様は資格のある者しか救いを与えない。迷える子羊は導きたいところだが、生憎救いの手は貴様らには向けられないようだ。お前たち、この異教のサル共に、裁きの鉄槌を」
ディントスも静かにボールを取り出し、それに呼応する信者も戦闘態勢に入る。
それが戦闘開始の合図となった。サオヒメのジムトレーナーとディントスの背後に控える信者たちが一斉に飛び出し、大聖堂が瞬く間に混戦の地となっていく。
「さあ、我々も始めようか!」
ディントスが叫ぶと、その背後から司教の二人組、ミョルとグングが姿を現す。
「スグリ君、サヤナちゃん! 司教二人をお願い! ハル君、私と一緒にディントスを倒すわよ!」
「はい!」
ハルは一歩踏み出し、アリスの横に並ぶ。
「さぁてお二人さん、今度こそ本気でかかって来なよ。サヤナちゃん、後衛を頼むよ」
「任せて! 私だって、戦えるんだから!」
スグリとサヤナが対峙するのは、司教の二人組。
「いいでしよう。ただし」
「貴方たちが敗れた時、その手元にポケモンが残ると思わないことですよ」
こちらもこちらで、戦闘に入る。



「神の道よ、ニダンギル!」
「神の命よ、ランプラー!」
ミョルとグングが繰り出すのは、やはりニダンギルとランプラー。
「頼んだよ、コドラ!」
「出て来い、フローゼル!」
サヤナのポケモンはコドラ、そしてスグリのポケモンはブイゼルを一回り大きくしたようなポケモン。首を覆っていた浮き袋は背中にかけて広がっている。

『information
 フローゼル 海イタチポケモン
 昔から人と共存してきた。溺れた
 人の救助や漁師の仕事の手伝いを
 するなど今も人と共に暮らしている。』

ブイゼルの進化系、フローゼルだ。タイプは変わらず水。
「それでは、お覚悟を。ニダンギル、聖なる剣」
「ランプラー、火炎放射」
ニダンギルが刀身そのものの体を構えて動き出し、その姿を隠すようにランプラーが灼熱の炎を吹き出す。
「フローゼル、アクアジェット!」
対してフローゼルが水を纏い、床を蹴って飛び出し、突撃を仕掛ける。
ランプラーの炎を躱し、ニダンギルが斬撃を放つよりも早くその脇を通り抜け、ランプラーを突き飛ばした。
「私たちも行くよ! コドラ、水の波動!」
「させません。ニダンギル、切り裂く」
体勢を崩すランプラーを狙ってコドラが水弾を放出するが、その弾はニダンギルに両断されてしまう。
「ちょうどいいや。オレがメインで戦うから、サヤナちゃんはフローゼルの隙をカバーして。流石に二対一だと隙を隠しきれないからね」
「わかった! サポートすればいいんだね!」
サヤナの返事にスグリは小さく笑い、
「それじゃ続けようか! フローゼル、噛み砕く!」
フローゼルは口を大きく開き、ランプラーへと牙を剥く。
「守りなさい。ニダンギル、切り裂く」
しかしフローゼルとランプラーの間にニダンギルが割り込み、剣の体を振るい、フローゼルの攻撃を食い止めた。
「今ですランプラー、シャドーボール」
「させないよ! コドラ、ロックスパイク!」
長い両手を動かし、ランプラーが影を溜め込むが、その隙を狙ってコドラが素早く岩の破片を飛ばし、ランプラーに破片を突き刺す。
「ニダンギル、イビルスラッシュ!」
「サヤナちゃんナイス! フローゼル、冷凍パンチ!」
ニダンギルが斬撃を繰り出そうとするが、それよりも早くフローゼルが冷気の拳を振り下ろし、ニダンギルを床へと叩き落とす。
「ランプラー、サイコキネシス」
「遅いっての! 噛み砕く!」
さらにフローゼルはランプラーの頭部に牙を食い込ませ、首を大きく振ってランプラーを真上に投げ飛ばす。
「今だよコドラ! 水の波動!」
そのランプラーに対し、コドラがさらに水の弾を放出。
しかし、
「ニダンギル、聖なる剣」
それとほぼ同時に、コドラへと標的を変更したニダンギルが一気にコドラとの距離を詰める。
水弾はランプラーに直撃するが、その直後にニダンギルの黄金に輝く剣の一撃がコドラを捉えた。
「っ、コドラ!」
聖なる剣は格闘タイプの技。コドラには二重に効果抜群で、ダメージは相当なもの。
「コドラ、大丈夫?」
それでも防御の高さが幸いし、まだ倒れてはいない。体勢を立て直したコドラが、サヤナの声に応えて頷く。
だが一方で、まだランプラーも倒れてはいない。
「小癪な……! やってくれますね……」
「グング、落ち着きなさい。まだ状況は五分ですよ」
「……そうですねミョル。失礼しました、立て直していきましょうか」
ミョルとグングも仕切り直し、再びランプラーとニダンギルが戦闘の体勢を取る。
「へえ、まだ倒れないんだ。そろそろやられてくれると嬉しいんだけど」
「我々はディントス教のナンバー2、そう簡単に倒せると思わないことです」
「へえ。フローゼル、アクアジェット!」
「ランプラー、躱しなさい」
水を纏って猛スピードで突撃するフローゼルに対し、ランプラーは大きく浮上してフローゼルの突撃を何とか躱し、影の力を両手に集める。
「ニダンギル、コドラに手出しをさせないように。イビルスラッシュです」
「やっぱりこっちに来るのね! コドラ、守る!」
ニダンギルが剣を構えてコドラへと向かい、対するコドラは守りの結界を周囲に張る。
闇の力を込めて振り下ろされる連続の斬撃は、結界の前に弾かれてしまう。
「ランプラー、シャドーボールです」
「遅い! フローゼル、リキッドブレード!」
ランプラーが両手に影の力を溜め込むと同時、フローゼルの右の掌から水が噴き出し、剣を作り上げる。
ランプラーが影の弾を放つよりも早く、水の剣を握ったフローゼルが剣を一振りし、ランプラーを一刀両断した。
「ランプラー……!」
ランプラーがゆっくりと下降し、力なく倒れる。
効果抜群の一撃を立て続けに受け、戦闘不能となってしまうが、
「っ、コドラ、水の波動!」
「ニダンギル、躱して聖なる剣です」
コドラが放つ水弾を身を捻って躱し、ニダンギルが二本の黄金の剣をコドラへと振り下ろす。
「コドラっ!?」
致命的な弱点となる格闘技を受け、コドラも戦闘不能となった。
「うぅ……スグリ君、後は頼んだよ」
「任せときなって。ニダンギルの体力を削ってくれたおかげで、後は楽に倒せるよ」
サヤナの言葉に対し、スグリはニヤリと笑って親指を立てる。
「……ミョル、後はお願いします」
「引き続き、私の出番のようですね。任せておいてください」
グングは引き下がり、代わりにミョルが一歩進み出る。
「さあ、ここからはオレの得意なシングルバトルだ。速攻で終わらせてあげるよ」
「残念ですが、貴方に救いの手は届かない。我がニダンギルの聖なる剣か邪なる剣、どちらに裁かれたいか、今のうちに決めておきなさい」
余裕を浮かべるスグリに対し、表情を一切変えないミョル。
ニダンギルとフローゼルも、お互いの敵を見据えて睨み合う。