二次創作小説(映像)※倉庫ログ

第39話 王剣 ( No.84 )
日時: 2016/12/10 09:07
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 50k5ovTJ)
参照: 教皇ディントスが操るは、二匹の強力なゴーストポケモン——

「それでは我々も始めよう。神道を示せ! ギルガルド、シャンデラ!」
こちらはハルとアリス対ディントス。
ディントスが繰り出すのは先日のギルガルドに、紫の炎を揺らすシャンデリアのようなポケモン。

『information
 シャンデラ いざないポケモン
 腕の炎を妖しく揺らし人やポケモンを
 催眠状態にして操る。催眠が解けると
 その魂を吸い取って食べてしまう。』

ギルガルドとシャンデラ、どちらも司教の持つポケモンの進化系だ。
「ハル君、ワルビルを出して」
アリスが、ハルへと指示を出す。
「ライボルトのサンダーブラストは強力だけど、ダブルバトルだと味方も巻き込んでしまうの。地面タイプのワルビルなら、電気技を防げるから」
「分かりました。それじゃ頼んだよ、ワルビル!」
アリスの言う通り、ハルはワルビルを繰り出す。相手ポケモンとの相性も悪くない。
「さあ出てきなさい! 輝け、ライボルト!」
そしてアリスのポケモンはライボルト。
「容赦しないから! ライボルト、初っ端から飛ばして行くわよ! メガシンカ!」
ライボルトが吼えると同時に、首元のメガストーンが輝き、アリスのキーストーンと光を繋ぐ。
ライボルトが光に包まれ、体毛が稲妻の如く鋭く逆立つ。
「メガシンカ——メガライボルト!」
電撃を纏ったライボルトが天高く咆哮を放ち、ディントスを威嚇する。
「準備は整ったようだな。それでは行くぞ! シャンデラ、まずは火炎放射!」
「ライボルト、躱してサンダーブラスト!」
シャンデラがライボルトを狙って紫色の業火を放つが、ライボルトは素早い動きでそれを躱し、纏った電撃を衝撃波と共に周囲へと解き放つ。
「ギルガルド、キングシールド!」
電撃の衝撃波は相手のポケモン二体へ同時に迫り来るが、ギルガルドがシャンデラの前に立ち、神々しい純白の結界を張る。
結界に触れた瞬間に、電撃の衝撃波は消滅してしまう。
「ハル君、キングシールドに気をつけて」
相手から目線を離さず、アリスはハルへ言葉を掛ける。
「あの結界に直接触れると攻撃力を下げられてしまうの。私のライボルトは特殊技しか持っていないからいいけど、君のワルビルは物理技ばかり。幸い連発はできないから、気をつけて戦ってね」
「分かりました、ありがとうございます」
礼を言い、ハルはギルガルドへ向き直る。
「連発できないなら、今だ! ワルビル、噛み砕く!」
「援護するわよ! ライボルト、シグナルビーム!」
ワルビルは床を蹴って飛び出し、大顎を開いてギルガルドへ牙を剥く。
ライボルトはシャンデラに対して激しく光を放つ光線を瞳から発射し、シャンデラを牽制する。
「シャンデラ、シャドーボール!」
対するシャドーボールは漆黒の影の弾を放ち、シグナルビームを相殺。
その隙にワルビルは牙をギルガルドへと食い込ませる。
だが。
手応えがない。鉄の板を容易く食い破るパワーを持つはずのワルビルの牙が、ギルガルドの盾に牙を食い込ませることができない。
「甘いな。ギルガルドは耐久力の低いポケモンだが、盾を構えた今の姿、シールドフォルムであれば話は別。並大抵の攻撃は受け付けん」
さらに、とディントスは続け、
「それだけではないぞ。剣を抜いてしまえば、ギルガルドの攻撃力は天下一品。その力、受けてみよ」
ぞわり、と。
ハルの背筋に、悪寒が走る。
「まずい……ワルビル、離れろ!」
ワルビルが牙を離し、ギルガルドから距離を取ろうとする。
だが、遅い。

「ギルガルド、聖なる剣!」

盾から刀身を引き抜き、ギルガルドは刀身のその身体に光を纏わせ、黄金の斬撃をワルビルへ叩き込んだ。
「っ! ワルビル!」
悪タイプのワルビルに、聖なる剣は効果抜群。二体の威嚇で攻撃力は下げているのに、かなりの威力だ。
「調子に乗らないでもらおうかしら! ライボルト、サンダーブラスト!」
「甘い。ギルガルド、キングシールド!」
すぐさまライボルトが電撃の衝撃波を放出する。
シャンデラが電撃の直撃を受けるも、ギルガルドは再び盾を構えて結界を張り、電撃を防いだ。
「シャンデラ、エナジーボール! ギルガルド、ヘビーブレード!」
体勢を立て直したシャンデラが自然の力を集めた光の弾をワルビルへと放ち、ギルガルドは刀身を引き抜き、重々しい金属の体をライボルトへ叩きつける。
「ワルビル、シャドークロー!」
「ライボルト、火炎放射!」
ワルビルは右手に黒い影を纏わせ、影の爪を振り抜いて光の弾を引き裂く。ライボルトも灼熱の炎を吹き出し、ギルガルドの斬撃を防ぎ切った。
「だったらワルビル、穴を掘る!」
ワルビルは床に穴を開け、すかさず地中へと身を隠す。
「どちらを狙ったか……まあいい、察しは付く。ギルガルド、イビルスラッシュ!」
今度は剣に闇の力を込め、ギルガルドは再びライボルトへと向かっていく。
「ライボルト、躱して火炎放射!」
瞬時に何度も剣を振るって連続の斬撃を放つギルガルドに対し、ライボルトは次々とそれを躱し、隙を見て灼熱の炎を吹き出す。
「今だ、ワルビル!」
その時、ワルビルが地中から飛び出す。
狙いはシャンデラ。足元から飛び出し、シャンデラへ殴りかかるが、
「やはりな。シャンデラ、エナジーボール! ギルガルド、キングシールド!」
シャンデラはすぐさま自然の力を集めた光の弾を放ってワルビルの攻撃を防ぎ、ギルガルドも盾を構えて純白の結界を張り、炎を消滅させる。
「シャドーボール!」
さらにシャンデラは黒い影の弾を放ち、ワルビルを吹き飛ばした。
「いつキングシールドが来るか分からないこの状況、まさかギルガルドをわざわざ狙うとは思えん。シャンデラを狙ってくることくらい想定済みだ」
「くっ……ワルビル、大丈夫?」
ワルビルはゆっくりと起き上がり、忌々しそうに唸る。
「さらにこのシャンデラは耐久力こそ並程度だが、ギルガルドを僅かに上回る火力を持つ。ゴーストタイプ最強の防御力に最強の火力を持つこの二匹相手に、君たちのポケモンはどこまで戦えるかね」
不敵な笑みを浮かべ、ディントスはさらに言葉を続ける。

「我らがディントス教を潰すためにわざわざ出向いて来ているのだろう? それならばこの二匹を突破する力くらいは備えてきているのだろうね」

ディントスの言葉に呼応してギルガルドが剣を抜き、シャンデラが頭部の炎を勢いよく吹き上げる。
「ギルガルド、ヘビーブレード! シャンデラ、火炎放射!」
ギルガルドが刀身を構えて動き出し、それを援護するように後方からシャンデラが灼熱の紫炎を放つ。
「私が食い止めるわ! ライボルト、サンダーブラスト!」
「分かりました! ならワルビル、穴を掘る!」
ライボルトが電撃を乗せた衝撃波を周囲に解き放ち、ワルビルは穴を掘って地中へ身を隠す。
衝撃波がギルガルドの剣の一撃を止めるも、その直後に襲い来る炎まで対応することは出来ず、ライボルトは紫の炎を浴びる。
「ギルガルド、イビルスラッシュ!」
さらにそのライボルトを狙い、一度は攻撃を止められたギルガルドが再び動き出す。
「させない! ワルビル!」
そのギルガルドの真下から、ワルビルが飛び出す。
キングシールドの可能性は考慮したが、今はライボルトへの追撃を止めるのが最優先だ。
しかし。
「ヘビーブレード!」
ワルビルが飛び出したその瞬間、ギルガルドはその場で回転し、ギルガルドを狙ったワルビルへと重い金属の剣の体を叩きつける。
硬い床をも抉る一撃が、ワルビルを捉えた。
「っ、ワルビル!?」
その威力の高さは、見ただけで分かる。
凄まじい勢いで、ワルビルが後方へと吹き飛ばされた。